従来, ロボットマニピュレータが対象物に力を作用させるための関節トルクはヤコビ行列の転置行列を用いて計算されてきた.しかし, このトルクを発生することは力を作用させることができるための必要条件にすぎず, ロボットがその力を実際に作用させることができることを保証するものではない.
本論文では, ロボットマニピュレータの静力学の解析を行なう.はじめに操作力なる概念を導入する.操作変数をエンドエフェクタの位置・姿勢を記述する一般化座標と見なすとき, 操作力はそれに対する一般化力と考えることができる.関節トルクと操作力の関係は, 関節変数の微小量と操作変数の微小量の間の関係と双対な系として表わされる.操作力の定義に基づいて, 操作力を作用させることができるための必要十分条件を示し, 証明を行う.この条件は, 冗長性を持つマニピュレータや特異状態にあるマニピュレータに対しても成立する.
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