歩行には大きく分けて静歩行と呼ばれるものと, 動歩行と呼ばれるものがある.動歩行は移動速度と移動エネルギの点で優れていると言われている.本論文では, これまでの研究で欠けていた, これらの特徴を生かすためにはどのような動歩行が望ましいかという問題が, 四足歩行ロボットについて考察される.
歩行を計画するときには, 歩容 (Gait) や移動速度, 歩行周期, 歩幅, 胴体高さなど多くのパラメータが存在する.本論文では, これらを「歩行の安定性」, 「最大移動速度」, 「移動エネルギ」という三つの指標を考慮して決定することを提案し, これらの指標とパラメータの関係を動力学的に考察している.そして, 結論として以下のことを得ている.
(1) 歩行周期が短かい程, 安定に歩行できる.
(2) 最大移動速度を上げるためには, ゆっくりと大きな歩幅で歩行することが望ましい.
(3) 移動速度を最大にする歩行周期が存在する.
(4) ある移動速度に対して移動エネルギを最小にする歩行周期が存在する.
(5) 移動エネルギ優先の歩行ではTrot (対角線上の二脚を同時に振り出す歩容) が, 移動速度優先ではPace (同じ側の前脚, 後脚を同時に振り出す歩容) が望ましい.
そして, Collie-2と呼ばれる四足歩行ロボットを用いて, 以上の議論の妥当性と有用性を示している.
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