多重分解能における特徴の対応付けを行なうことを主眼とした両眼 (立体) 視モデルについて述べた.
各分解能毎の特徴として種々のサイズのラプラシアン・ガウシアン演算子による積和画像のゼロ交差点 (ZC) を用いる.ただし, 微小なコントラストしかもたないZCは, ガウシアン演算子による積和画像の勾配の大きさに基づいて除去しておく.
まず, 全画面のZCに対して大局的な視差のヒストグラムを計算し, これにより視差の候補区間を求めた後, 全画面を小領域に分割し, 領域毎の局所的な視差のヒストグラムを視差の候補区間内で求める.次に, 各分解能毎の局所的な視差のヒストグラムを用いて, その領域での最も確からしい視差を探索する.もし, 最も確からしい視差が見つかると, その領域における全てのZCに対する視差を, その確からしい視差の近傍のみ探索することにより決定する.いったん, あるZCに対する視差が決まると, そのZCと対応するZCの対はZCの集合から除きながらこれらの一連の処理を新たな視差の決定が生じなくなるまで反復する.
様々な形状や濃淡をもち, 種々の位置におかれた複数の物体が存在するシーンに対して計算機実験を行なった結果, この両眼視モデルは対応の効率や正確さの点で優れていることが明らかとなった.さらに, この両眼視モデルと人間の両眼視の機構との関連について若干の考察を加えた.
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