本研究では, 超音波探触子と圧覚センサを備えたロボットアームの制御のための, マイクロコンピュータによるAMFC (Adaptive Model Following Control) システムの開発を行っている.確実なNDT (Non-Destructive Testing, 非破壊検査) を行うためには, アーム先端の超音波探触子は, 原子力発電所の配管や圧力容器などの構造物表面を, 適当な接触圧力で滑らかに走査する必要がある.表面接触を安定させるため, 従来バネが用いられてきたが, バネでは厳密な接触圧力の制御は困難である.そこで著者らはバネの機能も備えた圧覚センサと, AMFC手法に基づく軌道/圧力制御系の開発を行った.
完全な軌道制御には6自由度が必要であるため, 軌道/圧力制御系にはさらにもう1自由度が必要であると考えられる.本研究では圧覚センサを用いることにより, 必要な自由度を7から6に減らし, 効率的な軌道/圧力制御系を構成した.
Balestrinoらによって, ロボットへ応用されたAMFC手法は, パラメータ類推機能を有するため, 軌道/圧力制御系に適している.しかし, 完全な制御を行うには厳密なパラメータの選択と非常に短いサンプリングタイムが必要である.本研究では, 計算速度の遅い16ビットマイクロコンピュータによる実際のロボットアームの制御に, AMFC手法を応用した.
本研究で開発されたシステムを用いてロボットアームの軌道/圧力制御実験を行った.外乱の発生しない静止時には, 制御圧力は目標圧力によく一致することを示した.また, 外乱の発生する走査時には, AMFCとフィードバックのハイブリッド制御が有効であることを確認した.
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