日本ロボット学会誌
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6 巻, 1 号
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  • 亀山 充隆, 江上 秀樹, 樋口 龍雄
    1988 年 6 巻 1 号 p. 3-13
    発行日: 1988/02/15
    公開日: 2010/08/10
    ジャーナル フリー
    ロボットマニピュレータにおいて, 手先の位置・姿勢から各関節の変位を, 解析解に基づいて計算する, LSI向き超高速座標逆変換プロセッサを提案している. このような逆変換演算を, 主に座標の回転移動と逆正接演算の組み合わせにより, 効率よく計算する高速アルゴリズムを考案し, これらの演算をCORDIC手法に基づき, 高速に処理するハードウェアアルゴリズムについて考察している. これにより, 従来にない高速性やコンパクト性, 種々のマニピュレータに適用可能であるという汎用性を兼ね備えた専用プロッサを構成し, ブレッドボードによる動作実験結果を示している. 最後に, 2μm CMOS技術に基づくLSI化を前提として, 本プロセッサの処理速度やハードウェア量を評価している. 処理速度については, 通常処理時間が長いとされている6自由度垂直多関節型ロボットにおいて, 従来の汎用マイクロプロセッサを用いた場合と比較して大幅な速度向上が可能である. また, ハードウェア量は, 8ビットワンチップマイクロコンピュータと同程度の規模であり, LSI化は極めて容易であると考えられる.
  • 実時間地図構成法の検討
    広瀬 茂男, 吉田 和弘, 虎谷 泰昌
    1988 年 6 巻 1 号 p. 14-25
    発行日: 1988/02/15
    公開日: 2010/08/10
    ジャーナル フリー
    知能移動ロボットにおいて視覚センサの果たす役割は大きい. 特に歩行機械においてその本質的な長所である対地適応性を発揮するためには, 移動環境の地図を生成する視覚システムの導入が不可欠である. 筆者らはこのような地図生成型の視覚システムをMARS (Map Realization System) と呼び, すでにそのうちの重要なセンサ系の1つであるレンジファインダについて基本的な検討を行った. 本論文は, レンジファインダからの3次元情報を歩行機械に適した地形地図に構成するための基本的な手法について考察するものである. まず地形地図の表現形式について検討し, 円環メモリ表現と呼ぶ, 移動ロボットに適したメモリ空間内表記法を導入する. 次に地形地図を可視域と死角域とに分け, 可視域については逐次形の平均および平均偏差データの蓄積法の提案を行う. 死角域推定法については, 筆者らはすでに人の視覚系に関する考察から, 過去に得られた環境情報を効率的に利用する連想的推定補間法 (A補間法) を提案している. 本論文ではこれについてより実用的なレベルで再検討し, 処理の高速化を計った実時間性のある手法を提案する. 最後に提案した手法について2つの検証実験を行う. 4足歩行機械に搭載したMARSレンジファインダによる第1の計測実験では, 可視域の地形地図が実時間的に生成できることを示す. 計算機による第2のシミュレーション実験では, 提案する新しいA補間法についてその基本的有効性を示す.
  • 津村 俊弘, 橋本 雅文, 藤原 直史
    1988 年 6 巻 1 号 p. 26-34
    発行日: 1988/02/15
    公開日: 2010/08/10
    ジャーナル フリー
    本論文では, 荒地を走行する農業機械や建設機械, 化学プラントや原子力プラント内の保守ロボット等, 三次元環境を移動する移動体の能動位置計測法を提案する. 環境内の3つ以上の基準点の方向が移動体上で同時に計測すると, 三角測量の原理にもとづいて移動体の位置・姿勢が決定できる.
    本論文では, 高い指向性を持ったレーザ光とユニークな反射特性を持ったコーナキューブ (全反射鏡) を用いて上記の概念を実現する. 基準点にそれぞれコーナキューブを設置する. 一方, 移動体上より発射するレーザ光の方向を常にコーナキューブに当たるように制御する. この制御, すなわちレーザ追尾制御はコーナキューブからの反射光を移動体上で検出することで容易に達成される. レーザ追尾中において, コーナキューブの方向をレーザ光により移動体上で計測する. そして, 三角測量の原理にもとついた反復計算により計測データから移動体の位置・姿勢を決定する.
    本論文では, さらに移動体が二次元平面上を移動する限られた場合について実験を行い, 本手法の有効性を検討する.
    移動体が正確な位置計測を行なうには, 環境内の基準点と他の物体とを識別する必要がある. 本手法において単純なコーナキューブを使用することにより, 環境へのわずかの投資でこの問題をたやすく解決できる. さらに, 高い指向性を持つレーザ光を使用することによって移動体は単純な方法で高精度の位置計測を達成できる.
  • 岡野 彰, 川辺 真嗣, 嶋田 憲司
    1988 年 6 巻 1 号 p. 35-41
    発行日: 1988/02/15
    公開日: 2010/08/10
    ジャーナル フリー
    本論文は複数台のロボット間の衝突チェックのアルゴリズムを提案する. 複数台のロボットの動きをオフラインでプログラムする場合, 安全の確認のために単にグラフィックスを用いてシミュレーションをして表示するだけでなく, ロボットが互いに衝突しないことを確かめなければならない. グラフィックスを使った目視チェックだけでは信頼性が劣るので, コンピュータに衝突チェックを行わせたい. 本論文ではまずロボット同士の衝突検出アルゴリズムに必要とされる性質を明らかにする. そしてその性質を満たすアルゴリズムを提案する. このアルゴリズムは, 時間の関数として運動が表されている物体間の衝突が起きる時の条件式を導いて解くという方法をとる. 衝突が起きるのは, 頂点が面に衝突するときと, 辺が辺に衝突するときであり, 本論文においてこれらの条件式を導出する. そして計算量を見積もり, 計算の誤差について考察する. 最後にインプリメンテーション上の問題点と実験結果を示す.
  • 坂和 愛幸, 松野 文俊, 大澤 善樹, 清原 誠, 阿部 敏久
    1988 年 6 巻 1 号 p. 42-51
    発行日: 1988/02/15
    公開日: 2010/08/10
    ジャーナル フリー
    ロボットには, 関節に集中した柔らかさやアーム材料の弾性による分布的な柔らかさが存在して, そのために振動が発生する. 本文ではこれらの柔らかさを集約した等価的なばねを想定し, Lagrangeの方法を用いて, リンクの運動方程式と先端荷重の振動方程式を導いている. マニピュレータ前腕の先端に3個の加速度計をとりつけて振動を検出し, モータの位置制御と同時に振動を減衰させるようなフィードバック制御則を導いている. 根軌跡法を用いて, この制御則のロバスト性を考察している.
    実機について行った実験結果は, 理論的に導いた制御則の有効性を示しており, 先端荷重の運動にともなう振動が速かに減衰することを示している.
  • 中嶋 新一, 高橋 禎一
    1988 年 6 巻 1 号 p. 52-61
    発行日: 1988/02/15
    公開日: 2010/08/10
    ジャーナル フリー
    本論文は超音波センサにおいて, 反射波の位相情報から対象面の姿勢を測定する方法について検討を行っている.
    対象面の3次元的な姿勢を得るためには, 少なくとも3つの受信器による2つの位相差が必要である. しかし, 位相差は1周期を越えて識別することができず, これにより姿勢の測定範囲は比較的小さな値に限定されてしまう.
    この問題に関し, 本論文では受信器の個数を増すことによる解決法を示す. 送信器の囲りに多数の受信器を密に配置する分布型の構成により, 隣接した受信器での反射経路長さの差を小さくできる. これにより, 個々の位相差を十分小さな値に抑えることができ, 大きな範囲での姿勢測定が可能となる.
    論文ではまず, 多数の位相差から最小自乗法にもとづき, 対象面法線方向に関する2つの姿勢角を測定する原理について示す. このように, 多数の受信器による冗長な位相差情報を用いることで測定精度も向上できる.
    つぎに, 6受信器と8受信器のセンサシステムを試作し, 実験により本装置の基本的な性能を調べた. これより, 本センサを用いることで, 大きな範囲における高精度な姿勢測定の可能なことが示された.
  • 南方 博視, 辻 三郎
    1988 年 6 巻 1 号 p. 62-66
    発行日: 1988/02/15
    公開日: 2010/08/10
    ジャーナル フリー
    ロボットがあるサブゴールへ移動する時, 視覚システムの役割はその目標へ誘導することで, ロボットの正確な位置やシーンの構造の理解などは必要ない. このような目的の簡単な視覚誘導システムを示す.
    サブゴールが目印のない床面上に指定された時, その近傍の特徴点をマーカとして追跡し, それからサブゴールの位置を算定してロボットを誘導する, 実時間フィードバックのための処理の簡略化の方策が示される.
  • 岩本 太郎, 山本 広志, 天城 滋夫
    1988 年 6 巻 1 号 p. 67-74
    発行日: 1988/02/15
    公開日: 2010/08/10
    ジャーナル フリー
    地形適応能力のある実用的なロボット用移動機構の機構的問題について述べる. 筆者等は先に, ロボット用移動機構として形状可変クローラのスケールモデル機を開発した. この移動機構は, クローラの形状変化を利用して地形変化に対し積極的に適応できる. このプロトタイプはスケールモデルであったため実用寸法の階段を移動するにはやや小さすぎ, また細部において改良すべき点もあった. そこで, 実用上の観点から機構を一新するため, 実用サイズ機を開発した.
    この走行車の体積はスケールモデルに比べ約4.3倍に拡大したが, 重量は2.5倍に抑えた. これは, 主要構造部品にCFRP材を適用したことと, 構造の改良による.
    本走行車は揺動接地機構によって路面のうねりや小さい凹凸になじみ, 車体を安定に保つことができる. この機構は特に階段走行時にクローラの履帯のスリップを防止するのに有効である. また旋回抵抗減少機構により, 補助輪を路面に押出して走行輪を浮上さぜ, 接地長さを小さくすることにより, 旋回抵抗を53%まで縮小できる. さらに, 急傾斜の階段走行と平地での高速走行を両立させるため, ロボット用変速機も装備した. このため, 高速モードでは平地で2.2km/hの速度で走行することができ, また低速モードでは傾斜角39.3°, ステップ高さ203mmの実用階段を0.44km/hの速度で昇ることができた.
  • 井上 正夫, 山田 克彦, 田中 健一, 中川 潤, 町田 和雄, 戸田 義継
    1988 年 6 巻 1 号 p. 75-82
    発行日: 1988/02/15
    公開日: 2010/08/10
    ジャーナル フリー
    本論文は, 異構造の6自由度マスタースレーブマニピュレータシステムに関するものである. 異構造のシステムには多くの利点があり, 将来性のある方法と考えられているが, 2つの座標系の間の変換に多くの演算が必要で制御周期が長くなるという困難がある. また, 操縦者に力感覚を与えるための減速機構は操作性を劣化させる効果を持つ. 本論文では, これらの問題を緩和させるために次のような方針でシステムを構成した. (1) マスターアームを直交座標型として演算量を減らし, ハンドルに備えられた力センサを使って関節を力制御した. (2) ハンドの姿勢表現に四元数を使用して, 演算量と通信データ量を削減した. (3) マスターとスレーブとにそれぞれ個別のCPUを用い, 両者をシリアル回線で結合した. このような手段を用いることにより, 良好な操作性が実現できた.
  • 佐藤 力
    1988 年 6 巻 1 号 p. 83
    発行日: 1988/02/15
    公開日: 2010/08/10
    ジャーナル フリー
  • 松島 皓三
    1988 年 6 巻 1 号 p. 86-87
    発行日: 1988/02/15
    公開日: 2010/08/10
    ジャーナル フリー
  • 進化するセンシング技術
    増田 良介
    1988 年 6 巻 1 号 p. 88
    発行日: 1988/02/15
    公開日: 2010/08/10
    ジャーナル フリー
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