本論文は超音波センサにおいて, 反射波の位相情報から対象面の姿勢を測定する方法について検討を行っている.
対象面の3次元的な姿勢を得るためには, 少なくとも3つの受信器による2つの位相差が必要である. しかし, 位相差は1周期を越えて識別することができず, これにより姿勢の測定範囲は比較的小さな値に限定されてしまう.
この問題に関し, 本論文では受信器の個数を増すことによる解決法を示す. 送信器の囲りに多数の受信器を密に配置する分布型の構成により, 隣接した受信器での反射経路長さの差を小さくできる. これにより, 個々の位相差を十分小さな値に抑えることができ, 大きな範囲での姿勢測定が可能となる.
論文ではまず, 多数の位相差から最小自乗法にもとづき, 対象面法線方向に関する2つの姿勢角を測定する原理について示す. このように, 多数の受信器による冗長な位相差情報を用いることで測定精度も向上できる.
つぎに, 6受信器と8受信器のセンサシステムを試作し, 実験により本装置の基本的な性能を調べた. これより, 本センサを用いることで, 大きな範囲における高精度な姿勢測定の可能なことが示された.
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