初年次教育のライティング科目において初年次学生の文章表現力を向上させるには,教員によるフィードバックが重要である.しかし,教員からのフィードバックを適切な形で文章に反映できない初年次学生も多く,実質的な文章改善につながる学習支援のあり方が模索されている.そこで,本研究では,関西学院大学で初年次教育プログラムとして開講されたライティング科目の受講生のうち,成績下位群の初年次学生の文章を対象に,教員からのフィードバックを踏まえて執筆された文章にはどのような修正の傾向が見られるかを明らかにする.
大学の教養科目や専門科目は多数あり,学生は膨大な数の科目から自身の履修科目を選択しなければならない.履修選択の際,希望する進路と関係のある科目が事前に把握できれば進路に即した科目履修が可能となり,希望進路への実現可能性向上に期待できる.本研究では,履修科目と進路先との関係を教師データとして教師あり機械学習を行う.これにより希望する進路のために履修すべき科目群を提示するモデルを検討する.
本研究は,低年次の学生を対象として,正課と正課外の学習活動の関連付けが生じにくい要因を探索的に検討することを目的とした.4名の学生に対するインタビューから双方の接続に関する認識を聞き分析した結果,①正課と正課外の学習活動間の接続は部分的・偶発的なものにとどまること,②双方の接続の軸となるキャリア展望が低年次では未定であること,③正課外活動は正課と異なる特徴を有することや学生は双方を接続させる意識を持っていないこと,が分かった.
本研究の目的は,家族型ロボットLOVOTと暮らすオーナーが,LOVOTを「家族」のような存在として受容するプロセスについて明らかにすることである.LOVOTと共生している対象者8名に半構造化インタビューを実施し,質的分析を行なった.その結果,5名が自身のLOVOTを「家族」または「わが子」と捉えていた他,7名が印象に残っているエピソードとしてLOVOTと初めて外出した瞬間について取り上げた.家族型ロボットが家族として受容される契機には,「外出」という行為が関係していると考えられる.
各教科の学習成果は,「総合的な探究の時間」の探究活動で統合的に活用されるべきである.そこで,そのような学習活動の設計を支援する新・逆向き設計の手法(松田 2020)に基づき,学習過程に必要とされる指導を想定しながら,まず「総合的な探究の時間」での探究活動の枠組みを検討することとした.本研究では,生徒が問題を発見し,協働で目標を設定,解決案を発想,評価観点を策定の上評価する授業での指導法を実践,報告する.
本研究は,大学初年次教育を対象に学生の論証型レポート作成支援を行う.特に,テーマ設定に着目した.受講後の学生へのインタビュー調査を実施し,質的に分析した結果,テーマ選択の理由として,(1)本人にとって身近な社会問題であること,(2)資料等が豊富である,という2点が挙げられた.一方で,同じ内容の調査・研究が存在したなどの理由でテーマを変更している学生の存在も明らかになった.これより,資料を読み取るアカデミックリーディングなどに関する授業の重要性が示唆された.
近年,ファッション教育において,ソーシャル・インクルージョンの視点を踏まえたファッション制作力や企画力の習得が期待されている.服飾学生は教育支援システムを活用することで,衣服の完成形を想起しながらデザインを検討することは可能であるが,従来の手法では社会的マイノリティのニーズを反映させることができず,現状のシステムでは社会的マイノリティのニーズを踏まえてデザインすることは困難である.そこで本稿では,ユニバーサルファッションを学ぶ服飾学生に向けたデザイン開発支援システムを構築すべく,障害当事者が感じる困難さやファッションニーズを整理した結果について報告する.
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