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望月 俊男, クラーク A. チン, エオウィン P. オドワイヤー, ミャッ ミンスェ, テイ ミンカウン, 関根 聖二
2023 年 2023 巻 4 号 p.
1-5
発行日: 2023/12/04
公開日: 2023/12/04
研究報告書・技術報告書
フリー
複数の矛盾する文書を読み解いて統合的な結論を導く際に,素人はそれらの情報が矛盾する理由を考慮しないことが多い.本研究では,そうした矛盾に関する協調的推論の過程を改善するため,議論の際に,学習者が矛盾の理由と,導く結論の間を矢印で結びつける新たなスクリプトを協調学習環境に導入した.その結果,スクリプトを導入したグループは,矛盾の理由をより包括的に考慮しつつ結論に統合しようとすることが明らかになった.
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吉田 圭輔, 三上 貞芳, 濵 克己
2023 年 2023 巻 4 号 p.
6-12
発行日: 2023/12/04
公開日: 2023/12/04
研究報告書・技術報告書
フリー
簡便な方法による客観的指標に基づく授業評価・改善支援システムの開発を目指している.その為に,授業者のどのような行動が受講者の学びに効果があるのかを調査してきた.授業者の視線・教授行動が,受講者の授業に対する心象を高める効果を確認した.更に,授業に対する心象が向上して受講者には学習面でも良い効果がもたらされる,という結果を得たので報告する.
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家元 瑛基, 池之上 勇斗, 北澤 武, 益川 弘如
2023 年 2023 巻 4 号 p.
13-20
発行日: 2023/12/04
公開日: 2023/12/04
研究報告書・技術報告書
フリー
児童生徒1人1台端末について,児童生徒の情報活用能力と教師のICT活用指導力の自認保持における特徴を明らかにするために,北澤・益川(2023)をもとに分析した.その結果,児童生徒は複数のアプリケーションを活用し,多様な表現活動を行うことや児童生徒主体の学びに向かう活動ができないと自認している傾向にあり,教師もまたこれについて指導できないと自認している傾向にあることが明らかとなった.児童生徒と教師の自認傾向が似通っていることから,児童生徒の情報活用能力を育成するために,教師が指導できないと自認している項目について速やかな改善が必要であることが示唆された.
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相澤 祐一, 鋤田 大日, 笠間 俊夫
2023 年 2023 巻 4 号 p.
21-26
発行日: 2023/12/04
公開日: 2023/12/04
研究報告書・技術報告書
フリー
本研究では,記述指導支援に向けて,文間接続関係を自動推定するシステムを開発する.具体的には,接続関係の種類ごとにその適否を判定するBERTから成る二値分類器と,それらのスコアを統合して多値分類を行うモデルを構築した.昨今着目されているGPTモデルと精度比較をすると,接続関係の種類によってその優劣が異なる傾向となった.GPTモデルとの組み合わせにより,さらなる精度改善の可能性が示唆された.
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篠崎 祐介
2023 年 2023 巻 4 号 p.
27-34
発行日: 2023/12/04
公開日: 2023/12/04
研究報告書・技術報告書
フリー
複数の教材を用いる読解指導における教材選択を,複数の観点と基準が存在するため,どの観点をどの程度の基準で優先させればよいかを決定することの難しい「多基準決定問題」と捉えて,数量的に表現することが可能かを検討する.本発表では,AHPの相対評価法によって表現することの問題点と絶対評価法によって数量的な表現が可能であることを示す.
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上土井 宏太
2023 年 2023 巻 4 号 p.
35-40
発行日: 2023/12/04
公開日: 2023/12/04
研究報告書・技術報告書
フリー
ディベートは,議論教育や英語教育の手法として広く用いられており,その教育効果についても多くの報告がなされてきた.しかしながら,ディベートはその専門性が高いことから,ディベートの専門家や経験者以外の教員が実践することの難しさが同時に指摘されてきた.本稿では,近年急速に発展してきた科学技術を用いてディベート教育を行う可能性について議論を行う.また,近年注目されている「合理的配慮」を考慮したディベート教育の可能性についても紹介する.
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―教科等横断的な視点でのGoogle Classroomの活用を通して―
上園 雄太
2023 年 2023 巻 4 号 p.
41-48
発行日: 2023/12/04
公開日: 2023/12/04
研究報告書・技術報告書
フリー
本研究は,教科等横断的な視点でのGoogle Classroomの活用を通した批判的思考(クリティカル・シンキング)教育の効果を測定し,学校教育活動に反映できるより効果的な方法について考察することを目的とした.批判的思考(クリティカル・シンキング)に関する先行研究を調査し,効果的なアプローチについて検討し,クリティカル・シンキングを軸とした教科等横断的な実践計画について考察した.
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橋本 菜々子, 越智 洋司
2023 年 2023 巻 4 号 p.
49-54
発行日: 2023/12/04
公開日: 2023/12/04
研究報告書・技術報告書
フリー
近年,大学ではシラバスを用いた履修登録に加え,カリキュラムマップなどの履修系統図を活用することで主体的な学修を促している.しかし大学1年生のような初学者にとって,シラバスやカリキュラムマップ等多くの情報から適切に科目選択することは難しい.本研究ではシラバス内の科目情報を分散表現に変換し「ボックス」で表現する手法を用いて科目情報を可視化し,科目間の関連性を明確にする可視化ツールを開発した.
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岑 駿之介, 越智 洋司
2023 年 2023 巻 4 号 p.
55-62
発行日: 2023/12/04
公開日: 2023/12/04
研究報告書・技術報告書
フリー
本研究は,オンライン授業での学生の自己調整スキルの不足を背景に,学生の学習過程を詳細に分析することに着目した.本稿では,課題の提出状況や視聴ログを使用して行動パラメータを作成し,成績データと組み合わせた学習者分類手法を提案する.課題への取り組み方,講義動画への取り組み方,動画の視聴スタイルを表現する各行動パラメータには成績との相関が見られ,学習過程の特性を反映していることが示唆された.
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佐藤 裕理, 村浦 新之助, 関口 あさか, 水内 豊和
2023 年 2023 巻 4 号 p.
63-69
発行日: 2023/12/04
公開日: 2023/12/04
研究報告書・技術報告書
フリー
GIGAスクール構想でICT機器が広く普及したものの,活用実態は教員のデジタルリテラシーやスキルに依存し,知的障害のある児童生徒の生活の質や社会自立を見据えた系統性のある活用がなされているとは言いがたい現状である.そこで本稿では日本版Vineland-Ⅱ適応行動尺度と特別支援学校学習指導要領を参考に,社会で豊かに生きる上で必要となる力につながるアプリ活用のモデルを提案した.今後は教員を対象に有効性や妥当性について検討が必要である.
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後藤 康志
2023 年 2023 巻 4 号 p.
70-73
発行日: 2023/12/04
公開日: 2023/12/04
研究報告書・技術報告書
フリー
主体的・対話的で深い学びに対する教職課程履修学生の意識について,学年間の比較を通して検討した.具体的には,AHP(Analytic Hierarchy Process:階層分析法)「良いと思う授業像」尺度(後藤2020)を活用し,教職課程履修学生の1年次と4年次の基準,代替案の平均値比較,相関を分析した.結果として4年次では「生徒一人一人が自分の考えを述べ,お互いに聞き合う授業」「生徒同士の話し合いや討論」が高く,1年次では「単に暗記ではなく,教材の意味を理解させる授業」「教師による説明の授業」が高かった.
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森下 夏鈴, 谷塚 光典, 森下 孟
2023 年 2023 巻 4 号 p.
74-77
発行日: 2023/12/04
公開日: 2023/12/04
研究報告書・技術報告書
フリー
近年全く読書をしない児童生徒が増加傾向にあり,国語力の育成という観点から見過ごすことができない問題とされている.そこで本研究では,読書をしない要因は「選書」なのではないかという仮説を立て,読書嫌いを減少させるための手掛かりを得ることを目的とした.教員養成学部生を対象としたアンケート調査の結果,読書をしない理由として「文章を読むことが苦手」「興味のあるもの以外を読むことが苦手」ということが挙げられた.このことから,①読む時間を取りたくない,②興味のあるジャンル以外は内容がわからないために本を読むことが苦手であると推察できた.一方で,仮説としていた「選書」の段階まで至らず,活字に苦手意識を持っており,読書に気が進まない可能性がうかがえた.
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Chen Xi, 松本 奈菜三, 森下 孟
2023 年 2023 巻 4 号 p.
78-83
発行日: 2023/12/04
公開日: 2023/12/04
研究報告書・技術報告書
フリー
中日の教育システムにおいて,知識は学校の先生から教えてもらったり,本を読んだりして得るものだった.しかし,超情報化社会の現代,知識はインターネットでいくらでも手に入れることができる.これからのAI(人工知能)時代を生き抜くためには,子どもたちが自分で考える力を身に付け,得られた知識を活用しながら新しいアイディアを生み出したり問題を解決したりする力を育むことが必要になってくる.そのため,中日両国の教育学者はSTEAM教育の試みを始めた.一方で,中日の先行研究では教員養成においてSTEAM教育が直面している重要な課題があることを指摘している.本論文は小学校教育を研究背景として選定し,日中小学校がSTEAM教育を推進するなかで教師が直面している課題を分析し,最終的にSTEAM教育の視点で課題の解決策を検討した.
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一戸 智之
2023 年 2023 巻 4 号 p.
84-91
発行日: 2023/12/04
公開日: 2023/12/04
研究報告書・技術報告書
フリー
ピアノ教育における演奏技能の習熟,楽譜読解能力の強化,創造的表現力の育成は,音楽教育の基盤を形成する不可欠な要素である.本稿では,個別学習用テキストの適用が,協調学習と個別学習におけるピアノ学習の基礎的課題にどのような影響を及ぼすかに焦点を当てる.そして,理解度,技術的熟達度,学習方法の関連性と影響要因を明らかにし,本研究の終着点である協調学習の促進と基礎的技能の習得を支援するための教材開発についての示唆を導き出すことを目的とする.
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石川 奈保子, 市川 尚, 阿部 真由美, 石田 百合子, 市村 由起, 甲斐 晶子, 杉浦 真由美, 根本 淳子, 高橋 暁子
2023 年 2023 巻 4 号 p.
92-99
発行日: 2023/12/04
公開日: 2023/12/04
研究報告書・技術報告書
フリー
本研究では,高橋ほか(2019)でのレビュー後の2019年から2022年までの4年間のインストラクショナルデザイン研究を把握し,動向を整理することを目的とした.教育工学領域の論文から,21編のID研究論文が抽出された.論文数は,日本教育工学会論文誌のID特集号が組まれた2019年がもっとも多く,8編であった.それ以外の年は高橋ほか(2019)で指摘された3〜6編の範囲内にとどまり,横ばい傾向が続いていた.IDの新しいモデルや理論に関する研究動向も捉えるために,レビュー方法の工夫が課題とされた.
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沙 華哲, 杉浦 真由美, 重田 勝介
2023 年 2023 巻 4 号 p.
100-107
発行日: 2023/12/04
公開日: 2023/12/04
研究報告書・技術報告書
フリー
本研究の目的は,教材制作の授業において,相互評価を行う前に自己説明を行うことによって,相互評価でのコメントの内容変化を明らかにすることである.大学1年生向けのWeb教材制作授業において,自己説明ワークシートを利用しない場合の相互評価と,自己説明ワークシートを利用する場合の相互評価を実施した.その結果,相互評価でのコメントが教材制作チェックリストの項目を引用しているコメント,独自な良い点に関するコメント,独自な改善点に関するコメントおよびそのほかの4種類に分類することができた.また,自己説明ワークシートを使用することで,被評価者がもらったコメントのうち,独自な良い点と独自な改善点の個数が減っていたことが分かった.相互評価におけるコメントが,教材改善に及ぼす効果について検討することが今後の課題である.
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阿部 真由美, 杉浦 真由美, 石川 奈保子
2023 年 2023 巻 4 号 p.
108-114
発行日: 2023/12/04
公開日: 2023/12/04
研究報告書・技術報告書
フリー
ライティング授業において,他者からのフィードバックがレポートの改善に必ずしも反映されない点が指摘されている.本研究では,大学のライティング授業でピアレスポンスを実施し,レポートを改善するとともにピアからのコメントに回答を返す活動を行った.本稿では,ピアレスポンスに回答活動を取り入れることにより,レポートがいかに改善されたのかを検証する.
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波多野 和彦, 中村 佐里, 三尾 忠男
2023 年 2023 巻 4 号 p.
115-118
発行日: 2023/12/04
公開日: 2023/12/04
研究報告書・技術報告書
フリー
日頃の授業実践活動を通じ,解決すべき課題を記録し,その解決方策を検討している.本稿では「教育方法および技術」と「教科教育法」を中心に,養成課程の質を確保するためには,科目間の連携が必要であること.それが実現されていない状況を整理し,その解決に向けて,どのような可能性があるかについて,検討した.
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―理系の教職課程を事例として―
中村 佐里, 三尾 忠男, 波多野 和彦
2023 年 2023 巻 4 号 p.
119-122
発行日: 2023/12/04
公開日: 2023/12/04
研究報告書・技術報告書
フリー
理系大学の教職課程の学生を対象に,これまでの受けた授業を振り返り,「授業の良さ」や良さを構成する要素について調査した結果を報告する.
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森 裕生, 橋口 優衣
2023 年 2023 巻 4 号 p.
123-128
発行日: 2023/12/04
公開日: 2023/12/04
研究報告書・技術報告書
フリー
本研究では,生成系AIを利用する課題が導入された大学共通教育科目において,学生がどのように生成系AIを認識し,どのように活用したのかに着目した.授業内で実施された課題の回答内容を質的に分析した結果,(1)多くの学生は生成系AIを,知識を与える存在として認識していること,(2)学習のモチベーション管理などについて相談する学生が3割ほど存在したことなどが明らかになった.また,生成系AIの利用後に「気を使う必要のない対話の相手」と認識をするようになった学生も存在した.
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家本 繁, 永原 健大郎
2023 年 2023 巻 4 号 p.
129-134
発行日: 2023/12/04
公開日: 2023/12/04
研究報告書・技術報告書
フリー
PBL(Project Based Learning)においてPDCAサイクル等のフレームワークは頻繁に採用されるが,十分なサイクルを繰り返せず終える場合が少なくない.本年度前期に開講した総合教育科目「教養演習I」では,学生が日常で直面する問題に対してプログラミングを介して探究することをテーマにし,生成AIの技術を導入することで授業の質の向上を図った.生成AIを主にプログラムの構築やデバッグに活用した実践から得られた知見と,教育的意義について報告する.
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笠原 秀浩, 高橋 純
2023 年 2023 巻 4 号 p.
135-140
発行日: 2023/12/04
公開日: 2023/12/04
研究報告書・技術報告書
フリー
本研究は,AIを用いた文章生成技術を応用し,児童の自由記述に対する指導・助言の生成を可能にする新たなプローチを試みるものである.具体的には,小学校の理科授業における自由記述に対してAIを適用し,生成された指導・助言が教師の指導をいかにサポートできるかを試みる.本研究により,教師の負担軽減と教育の質の向上の両方を目指す評価支援システムの開発に向けた基盤を築くことを目的とする.
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―キャリア教育における「自己の位置」の視覚化―
山田 晋作, 荒巻 恵子, 石井 卓之
2023 年 2023 巻 4 号 p.
141-148
発行日: 2023/12/04
公開日: 2023/12/04
研究報告書・技術報告書
フリー
山田ら(2023)は,キャリア教育の新たな取り組みとして,児童生徒の自己理解,自己管理能力の醸成のために,児童に内在する「自己の位置(ik-posities)」(Harmas 2004)に注目し,「自己の位置」付けによるアイデンティティへの意識が,キャリア教育のために重要であることを示した.本研究では自己理解に着目したキャリア教育の授業において,AIを用いた協働学習アプリによって,児童の学習活動中のコミュニケーションの状態を視覚化し,「自己の位置」付けを確認することを目的として,授業研究から自己理解,自己管理能力の醸成での教具ツールとしてのAIを用いた協働学習アプリの可能性を探る.
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尾関 基行, 越智 美月
2023 年 2023 巻 4 号 p.
149-156
発行日: 2023/12/04
公開日: 2023/12/04
研究報告書・技術報告書
フリー
本稿では,2023年5月23日〜7月4日の期間に反転型のプログラミングの授業において大学生にChatGPTを利用させた結果を報告する.授業はJavaScriptを教える2科目(内容は同一,大学2・3年生対象)で,授業までにオンラインテキストをノートにまとめ,授業の最初に小テストを実施し,それ以降は演習課題に取り組むスタイルである.ChatGPTは予習や復習,演習課題のために受講者に自由に使用してもらい,実践終了後にアンケート評価を行った.受講者数は101名で,そのうち100名から回答を得た.その結果より,プログラミングの授業において,ChatGPTがインターネット検索をかなりの部分で代替すること,また,人間(教師や助手)のサポートをすべて代替することは難しいものの,人の手が回らないときの補佐としては十分に役立つことが確認できた.
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可部 繁三郎
2023 年 2023 巻 4 号 p.
157-163
発行日: 2023/12/04
公開日: 2023/12/04
研究報告書・技術報告書
フリー
関東と中部の2大学で,毎回の講義時に,質問をする力をつけさせるために感想や疑問点などをミニッツペーパーに書いて提出させた.その内容に教員のコメントを加えたものを学生の名前を伏せたうえで一覧化し,翌週の講義で学生にフィードバック(FB)を行った.その結果,自分の感想や質問へのコメントのみならず,他の学生の感想や質問および教員のコメントについても効果が見受けられた.成績との相関を見ることができた1大学について分析すると,成績が低い学生は自分の質問に生かせると受け止める傾向がうかがえる一方,成績の良い学生は新しい観点を学ぶという刺激を受けている可能性があることがうかがえた.
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髙畠 晃大, 平本 督太郎
2023 年 2023 巻 4 号 p.
164-169
発行日: 2023/12/04
公開日: 2023/12/04
研究報告書・技術報告書
フリー
本研究の目的は,持続可能な社会の実現に向けてSDGsに取り組む学生を増やすことである.2023年はSDGs達成に向けた節目の年です.SDGsについては,特に興味がなくてもほとんどの日本人が知っている.しかし,目標の2030年に向けて,企業だけでなく個人もさらなる努力が必要である.SDGsへの取り組みを推進するには教育の充実が不可欠である.本研究では,ゲーミフィケーションを活用した独自の授業カリキュラムを実施することで,SDGsへの理解を深め,行動変容につなげることが可能かどうかを明らかにする.
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入川 琢仁
2023 年 2023 巻 4 号 p.
170-175
発行日: 2023/12/04
公開日: 2023/12/04
研究報告書・技術報告書
フリー
試験中に教科書等の持ち込みを可とするオープンブック(OB)評価を実施した際,持ち込み不可のクローズドブック(CB)評価と比べ学習者の家庭学習や学習意欲にどのような影響があるのかを調査した.中学2年生を対象に定期考査を両方の方式で実施した後,学習タイプや家庭学習の様子ごとに学習効果を尋ねたところ,OB評価は思考力に成果があった生徒は48%を占めた.また家庭学習の類型では「授業で習ったことを,自分でもっと詳しく調べる」群に思考力の評価が高くみられ,OB評価の導入が生徒の自発的な学びに導くことが期待できる.
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野口 太輔, 山本 朋弘, 森岡 真弥
2023 年 2023 巻 4 号 p.
176-180
発行日: 2023/12/04
公開日: 2023/12/04
研究報告書・技術報告書
フリー
教育学部の大学生を対象に,小学校算数科の授業において,1人1台端末を活用した授業に対する関心や不安等に関する意識調査を実施して分析を行った.その結果,過去に1人1台端末を活用した授業を受けた経験は,算数での活用への動機と正の関連が見られた.一方で,算数での活用への学修意欲には関連が見られなかった.算数での活用への動機に対しては,端末活用に対する興味関心と利便性,重要性が正の関連を示した.また,算数での活用への学修意欲に対しては,興味関心,重要性,不安が正の関連を示した.不安は,算数での活用への動機とは関連が見られなかったが,算数での活用への学修意欲には正の関連があることが分かった.
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山本 朋弘, 堀田 龍也
2023 年 2023 巻 4 号 p.
181-186
発行日: 2023/12/04
公開日: 2023/12/04
研究報告書・技術報告書
フリー
本研究では,1人1台の情報端末(以降:1人1台端末)の持ち帰りについて,教育委員会や学校が家庭にWeb上で提供する情報を収集整理して,家庭での活用を促すための情報提供について分析した.Web上の情報を一定の文字列で検索し,提供しているPDF等の資料338件を収集・整理した.収集した資料では,家庭や学校での使用ルールやマニュアル,家庭の使用環境,適切な活用等が提供されていた.家庭での使用環境では,家庭のWi-Fi環境や充電保管,破損時の対応やアプリのインストールに関する記述が見られた.適切な活用の面では,健康面への配慮や誹謗中傷,個人情報の保護等に関する記述が見られた.
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北原 郁美, 山本 朋弘
2023 年 2023 巻 4 号 p.
187-193
発行日: 2023/12/04
公開日: 2023/12/04
研究報告書・技術報告書
フリー
本研究では,小学校図画工作における情報端末を活用した授業実践の動向を明らかにするために,Web上で公開されている学習指導案を収集・整理し,授業において情報端末がどのように活用されているかを分析した.情報端末の活用方法として,活動の過程や作品の撮影が多く,情報端末を活用した表現活動の実践は少ない結果であった.これらの結果から,プログラミングやAR等を用いて,情報端末の特長を生かした表現活動の教材研究や指導方法の向上が必要であることを明らかにした.
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鈴木 晴, 鬼藤 明仁
2023 年 2023 巻 4 号 p.
194-198
発行日: 2023/12/04
公開日: 2023/12/04
研究報告書・技術報告書
フリー
本研究の目的は,小学校図画工作科におけるICT活用としてeポートフォリオを導入し,そこから発生する協働的な学びと児童の作品との関係性を検討することである.授業では,児童同士が互いにeポートフォリオを見られるようにし,適宜話し合えるようにした.事前・事後調査及びeポートフォリオを分析した結果,児童は鑑賞学習と表現学習を結び付けて行い,より深い理解を得られていると推察された.従来,鑑賞学習は作品制作後に行われることが多かったが,制作過程でも行うことでより広い視野が得られ,創造的な思考が促進されると期待できる.
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森岡 真弥, 山本 朋弘, 野口 太輔
2023 年 2023 巻 4 号 p.
199-206
発行日: 2023/12/04
公開日: 2023/12/04
研究報告書・技術報告書
フリー
本研究は,1人1台端末とクラウド環境における協働学習での教師の支援の在り方を明らかにするために,Web上で公開されている先行研究を収集・整理した.その結果,ICT活用での教師の指導に関する先行研究は88件で,そのうち,1人1台端末とクラウド環境における協働学習に関連した先行研究は10件であった.その中でも,「協働での制作・編集」と「校外との協働」に関連する先行研究は2件と1件であった.さらに,協働学習に関する教員研修は1件と少なかった.演習や遠隔,VOD,リーフレットを活用した児童主体の授業スタイルとして,協働学習の具体的な学習場面の授業づくりに関する教員研修が必要であることが明らかとなった.
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橋本 泰介, 小柳 和喜雄
2023 年 2023 巻 4 号 p.
207-214
発行日: 2023/12/04
公開日: 2023/12/04
研究報告書・技術報告書
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小学校低学年において1人1台端末を活用している割合や頻度が低いことが明らかになっている.そこで,1人1台端末を低学年では初めて活用する3名の教員のマイクロコミュニティを対象に,低学年における1人1台端末活用に関する指導観,活用に対する阻害・促進要因を明らかにすることを目的にアンケート及びインタビューを実施した.その結果,指導観,阻害要因6点,促進要因12点が明らかになった.さらに阻害要因への対応策を検討した.
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武田 亘明, 片山 めぐみ, 大村 莉乃
2023 年 2023 巻 4 号 p.
215-222
発行日: 2023/12/04
公開日: 2023/12/04
研究報告書・技術報告書
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地域活性化を目指した地域連携型プロジェクト「芸術の森マルシェ八百カフェ」を2年間で全14回実施した.当初は,農家の農産品販売とその購入を目的とする高齢者の参加が多数であったが,次第に日頃の地域活動の成果を発表したり,手作り品の販売やゲームへの参加,ワークショップ体験,相互対話など,販売,購入,参加,体験,交流,発表,相談など主体的に活動して長時間滞在する多世代の参加者が増加してきた.本稿では,地域連携型コミュニティ・マルシェの概要を示し,参加者の役割の多様化と意識の変化について報告する.
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笠松 美歩, 小矢 英毅, 中島 一, 大石 晴夫, 森田 裕介
2023 年 2023 巻 4 号 p.
223-230
発行日: 2023/12/04
公開日: 2023/12/04
研究報告書・技術報告書
フリー
近年,就労者がデジタルツールの活用スキルを習得することが広く求められている.著者らは,このスキルのうちプログラミング的思考に着目し,その評価のための選択式テストを提案したが,プログラミング経験を有する少数の被験者に対する評価しか行われておらず,妥当性の検証に課題がある.本研究では,多様なプログラミング経験を持つ集団に対する大規模な調査を実施し,選択式テストの解答傾向がプログラミング経験の差を反映していることを確認した.
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伊藤 恒平
2023 年 2023 巻 4 号 p.
231-234
発行日: 2023/12/04
公開日: 2023/12/04
研究報告書・技術報告書
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コロナ禍では実技系科目において遠隔での授業の実施が困難であることが明確になり,実技系科目だけは学校に登校し集中講義形式を取るなど様々な工夫を用いて授業が行われてきた.ロボットのプログラミングなども同様の集中講義形式や,シミュレーションを併用した形で授業をする工夫をしてきた.しかし,シミュレーションでは意図した結果しか現れず,現実世界のロボットをプログラミングした際に起こる諸々の問題を実体験することができない.そこで,遠隔においてもできるだけ実機のプログラミングを体験できる教材と環境を如何にすれば構築できるのかを検討したところ,既存のネットワークツールとボードコンピュータ及びマイコンを組み合わせての方法を考案したので報告する.
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菊池 拓男, 半田 純子, 山下 龍生, 羽田野 健
2023 年 2023 巻 4 号 p.
235-240
発行日: 2023/12/04
公開日: 2023/12/04
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本研究では,第46回技能五輪国際大会特別版京都大会で競技のある情報ネットワーク施工,光電子技術,再生可能エネルギーの3職種に参加したエキスパートを対象にアンケート調査を行い,訓練環境と訓練計画が選手の技能習得と大会成績にどのように影響するかを探究した.調査結果によれば,総訓練時間が国際大会のスコアに大きな影響を与えており,早期からの訓練開始と訓練時間の長期間確保が良い成績をもたらす可能性が示唆された.一方で,訓練課題の作成方法には成績に対する差異があり,単純な訓練時間の確保だけでは十分ではないことも明らかになった.
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―レジリエンスの視点から―
半田 純子, 菊池 拓男, 羽田野 健
2023 年 2023 巻 4 号 p.
241-248
発行日: 2023/12/04
公開日: 2023/12/04
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本研究は,第46回技能五輪国際大会に出場した選手のレジリエンスについて調査したものである.本研究では,2つの仮説(①選手のレジリエンスの各要因は,大会のスコアと正の相関を示す.②メダルを獲得した選手は,獲得しなかった選手に比べて,レジリエンスが高い.)を検証した.仮説①の結果は,因子レベルではスコアと相関せず,項目レベルでは少数の項目のみが相関を示した.仮説②は因子レベルでは支持されなかった.項目レベルでは「社交性-交友関係が広く,社交的である.」で,仮説に反してメダリストの方が値は低かった.
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赤間 祐也
2023 年 2023 巻 4 号 p.
249-254
発行日: 2023/12/04
公開日: 2023/12/04
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本研究ではICT機器利用の効果や効率,魅力を検証するために,授業を①説明場面②問題解決場面③共有場面の3つの場面に分けた上で①説明場面と③共有場面において情報端末とプロジェクタを利用した授業モデルを設計し,高等学校数学の授業で実施し,学習者の認識を調査した.2回の調査の結果ICT機器の利用は①説明場面,③共有場面の双方で効率的であると認識されたが,効果については①説明場面でのみ見られ,また第1回調査より第2回調査でより効果的であると認識されていた.③共有場面では効果的であるとは認識されず,自由記述からは機材の問題,振り返り場面の効果や方法についての説明の必要性が示唆された.
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―『徒然草』を用いた授業デザイン―
大井 良知
2023 年 2023 巻 4 号 p.
255-262
発行日: 2023/12/04
公開日: 2023/12/04
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近年,古典教育の実用的価値について問われている.その中で,古典教育は社会生活につながる実用的な内容を教えることがないので,高等学校の国語科において必修科目から除外すべきという言説も少なくない.そこで,古典教材を用いて社会生活につながる実用的な教養を学ぶための授業について設計・デザインし,実践した.『徒然草』における,噂や「そらごと」に関する文章を読解させ,グループワークを行った結果,情報モラルにつながる教養を習得できることが示唆された.
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深水 皓司, 森本 康彦
2023 年 2023 巻 4 号 p.
263-268
発行日: 2023/12/04
公開日: 2023/12/04
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現在,総合的な学習の時間における探究的な学びの充実が求められている.しかし,学級集団で行う探究学習では,生徒の様々な興味・関心や多様な学習活動に対応した授業を実現することは容易ではない.そこで,本研究では,「様々な興味関心」や「多様な学習活動」に対応した授業を支援することを目的とし,生徒の興味・関心に基づいたゼミナールを編成して授業実践を行った.その結果,生徒の様々な興味・関心に基づいた課題設定や,生徒による多様な学習活動の展開を支援できた可能性が伺えた.
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梅本 貴豊, 高道 慎之介, 松永 裕太, 吉川 裕介, 由井 紀久子, 坂本 季詩雄, 藤原 茂雄, 石川 保茂
2023 年 2023 巻 4 号 p.
269-276
発行日: 2023/12/04
公開日: 2023/12/04
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本研究の目的は,TTS合成音声が学習者のプレゼンテーション不安と自己効力感に与える効果を明らかにすることであった.英語母語話者と日本人英語話者のTTS合成音声を用いてプレゼンテーション練習を行った大学生63名を対象に調査を実施し,分散分析を行った.その結果,学習者はTTS合成音声を利用した練習により不安を低下させ自己効力感を向上させたことが判明し,習熟度レベルの上位群に比べて下位群のほうが,また,日本人英語話者よりも英語母語話者のTTS合成音声を用いたほうが不安を低下させることが示唆された.
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登本 洋子, 齋藤 玲, 堀田 龍也
2023 年 2023 巻 4 号 p.
277-280
発行日: 2023/12/04
公開日: 2023/12/04
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本研究の目的は,教員の生成AI(ChatGPT)の使用経験と,その認識,情緒的・認知的態度,発達への影響観との関連を明らかにすることである.Web調査(登本ほか 2023a:n=1,048)の追加分析から,次の3点が新たに明らかになった.(a)使用経験を有することは,認識度合いの高さと関連し,(b)情緒的・認知的態度に対するポジティブな反応をもたらし,(c)発達への影響観に関する相対的得点の高さを示した.今後,慎重な議論こそ必要なものの,生成AIを実際に使用してみることが,認識度合いを高め,情緒的・認知的態度,発達への影響観に対して,肯定的な作用を及ぼす可能性が示された.
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黒川 雅幸, 磯部 征尊
2023 年 2023 巻 4 号 p.
281-288
発行日: 2023/12/04
公開日: 2023/12/04
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本研究の目的は,スクールリーダーを対象に,オンデマンド型の研修を実施し,その効用を検証することであった.校長,教頭,指導主事を含む受講申込者268名のうち,受講者アンケートに回答した44名を分析対象とした.受講者アンケート調査から,全体的な講座の満足度や研修の意義については概ね高く評価されており,オンデマンド型のスクールリーダー研修が効果的であることが示唆された.
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勝田 拓真
2023 年 2023 巻 4 号 p.
289-293
発行日: 2023/12/04
公開日: 2023/12/04
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公立学校における教職員の人事行政状況についての文部科学省の調査(2022)によると,令和3年度の精神疾患による病気休職者数は5,897人で,前年度から694人増加し,過去最多となっている.この調査結果を踏まえた対応として,文部科学省は「労働安全衛生管理の充実などメンタルヘルス対策等の一層の推進」等をあげている.しかし,コロナ禍の中での公立学校ではコロナウィルス感染症予防対策やICT機器のタブレット導入など予期されなかった事態や急速な変革があり,従来のいじめ・不登校対策,保護者対応や部活動の負担に加え,迅速かつ柔軟に対応すべき課題が山積されることになった.校長はこれまで以上に教職員のメンタルヘルス支援を踏まえた学校経営を行う必要がある.
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峯村 恒平, 渡邉 はるか, 枝元 香菜子, 藤谷 哲
2023 年 2023 巻 4 号 p.
294-301
発行日: 2023/12/04
公開日: 2023/12/04
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定年退職以外による教員の離職は増加傾向にあり,その背景には,長時間労働や業務過多などの労働環境の課題や,精神疾患による退職などが指摘されている.一方,退職という決断に至るまでの間には,適切なソーシャル・サポートが受けられていたかどうかも重要な視点である.本研究では,実際に定年退職以外で離職した20代の教員を対象に調査票調査を行い,退職理由と,在職時に受けたソーシャル・サポートの関係について退職理由別に検討した.分析の結果,退職理由によって受けたソーシャル・サポートに違いがあることがわかり,業務の負荷といった課題がある一方,その中で適切な支援を受けられていない可能性が示唆された.
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時任 隼平
2023 年 2023 巻 4 号 p.
302-305
発行日: 2023/12/04
公開日: 2023/12/04
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本研究の目的は,高等学校英語科教育におけるポートフォリオ利用の用途と障壁を明らかにすることである.A県公立高等学校の英語科に勤務する教諭4名を対象にインタビュー調査を実施した.その結果,4名全員が日々の英語教育においてポートフォリオを利用しておらず,既に取り組んでいる学習活動の中でも音声や動画に関する内容を収納したいと考えている事等や,教員自身のICTの技能不足等がポートフォリオを利用する際の障壁となっている事等を示す事が示唆された.
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