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杉山 比呂之
2023 年 2023 巻 2 号 p.
1-8
発行日: 2023/07/21
公開日: 2023/07/21
研究報告書・技術報告書
フリー
2011年度より専修大学附属高等学校において,「非認知能力」の育成をねらいとする学校設定科目「チーム作り講座」(2022年度より「秘密基地「らぼる」」に改称)を対象とした実践研究を継続してきた.しかし,新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行を社会的背景として,教育DX(Digital Transformation)の視点を踏まえ,その取り組みが変化した.特に,授業における外部人材の活用と授業内容に変容をもたらし,その結果,育成をねらいとする能力の再定義をもたらした.本報告では,その変容と再定義を整理したうえで,今後の実践研究に向けての成果と課題を示す.
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梶本 秀樹, 藤村 裕一
2023 年 2023 巻 2 号 p.
9-16
発行日: 2023/07/21
公開日: 2023/07/21
研究報告書・技術報告書
フリー
高校生の不適応行動に関する要因は複雑で,改善が困難である.しかし,素手素足のトイレ掃除を行う事によって非認知能力をより効果的に育成する変容要因と非認知能力が育成されていることが明らかとなった.さらに,素手素足のトイレ掃除を繰り返し行う事によって,どのように育成されていくのかを明らかにするために,不適応行動を引き起こす生徒のエピソード記録と半構造化質問紙調査を分析し,その育成要因を構造的に明らかにした.
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有友 愛子, 長谷川 愛
2023 年 2023 巻 2 号 p.
17-24
発行日: 2023/07/21
公開日: 2023/07/21
研究報告書・技術報告書
フリー
創造的思考を育む学習活動に取り組む中で,技術分野と家庭分野の3年間を見通した横断的なカリキュラムデザインとして,「プログラミング×調理」をテーマに授業実践を重ねている.さまざまなプログラミングがなされた調理家電が私たちの暮らしに入り込んできた.技術分野で家電製品に込められたプログラムの工夫について着目することで,家庭分野の食材の加熱による変化の学習につながる.家庭分野で得た知識を活用することで,さらに技術分野で根拠を持ってプログラムを最適化できるようになっていく.このように,教科内を生徒の思考が行き来していくことでより思考の深まりが出てくる.本発表では,プログラミング×調理の指導計画の構想及びこれまでの授業実践について報告し,今後の授業改善につなげていきたい.
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村上 唯斗, 小川 晋, 水谷 年孝, 高橋 純
2023 年 2023 巻 2 号 p.
25-31
発行日: 2023/07/21
公開日: 2023/07/21
研究報告書・技術報告書
フリー
本研究では,授業DXの過程にある中学校を事例とし,授業DXを促進する間接要因を明らかにすることを目的とした.授業DXの取組の中核を担う校長と教務主任の2名を対象としたインタビューの結果,環境に関わる要因として,【技術を体験する】【非連続な変化を乗り越える】【外部とつながる】【方法を研究する】の4つの要因が抽出された.信念に関わる要因として,【持続可能性を重視する】【挑戦に前向きである】【納得感を重視する】【同僚を信頼する】の4つの要因が抽出された.
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―複合遠隔システムを活用した先進事例調査から―
大原 央之, 藤村 裕一
2023 年 2023 巻 2 号 p.
32-39
発行日: 2023/07/21
公開日: 2023/07/21
研究報告書・技術報告書
フリー
へき地小規模中学校若手教員の専門教科の授業力量形成は,一人教科であることから困難である.その改善方策を明らかにするため,複合遠隔システムを活用し,授業づくりに取り組む教員へ面接調査を行った.その結果,協働による授業づくりが可能となり,一人教科であっても専門教科の授業力量形成につながることが示唆された.また,協調学習に限らず,問題発見・解決学習など汎用的な授業づくりにおける活用への可能性が示唆された.
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中川 哲, 清遠 和弘, 白鳥 亮, 貫井 真史, 堀田 龍也
2023 年 2023 巻 2 号 p.
40-45
発行日: 2023/07/21
公開日: 2023/07/21
研究報告書・技術報告書
フリー
本研究では,学習指導要領コードを活用し,デジタル教科書から学習内容に関連する外部教材(動画)にリンクするシステムを開発した.開発したシステムを小学校5年の社会科の授業で使用し,アクセスログから外部教材の活用実態を調査した.さらに,開発したシステムを用いて授業を行った教師に半構造化インタビュー調査を行った.インタビュー結果から,提供された動画は情報も豊富で指導に役立つとのコメントを得られた.一方で,授業の内容から外れる動画が提示されるなどの問題点も見られた.
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渡邉 光浩, 西久保 真弥, 原 圭史, 堀田 龍也
2023 年 2023 巻 2 号 p.
46-51
発行日: 2023/07/21
公開日: 2023/07/21
研究報告書・技術報告書
フリー
本研究では,児童の1人1台情報端末(以下1人1台)の活用を初めて指導した教師を対象とした半構造化インタビューの内容の分析を試みた.指導開始前は,活用の仕方や児童の操作などに不安を抱えていたが,自身の操作の慣れや児童の教え合いにより,開始から2カ月を過ぎた頃に,自分や児童が授業で活用できるようになったと感じていた.また指導開始前,ICT活用の指導について「自身が完璧に使えるようになってから」と考えていたが,「児童に教えてもらうくらいの気持ちで臨む」と意識が変化した.一方,1人1台環境でも学級経営や学習指導に関して意識が変化していない部分もあった.
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佐藤 貴之, 坂本 毅啓
2023 年 2023 巻 2 号 p.
52-55
発行日: 2023/07/21
公開日: 2023/07/21
研究報告書・技術報告書
フリー
ソーシャルワーク教育において,新型コロナウィルス感染拡大前までは,ICTの活用事例はほとんど存在していない状態であった.しかし,感染拡大により,大学等が通常の教育を実施できなくなったことで,様々な実践事例が発表され,内容が共有されるようになった.本稿では,ソーシャルワーク教育DXの過程におけるICT活用に対する教員の意識の変化について関係する論文や報告書をもとに紹介する.
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丸山 浩平, 森本 康彦, 高橋 菜奈子, 櫻井 眞治, 宮内 卓也, 小嶋 茂稔
2023 年 2023 巻 2 号 p.
56-63
発行日: 2023/07/21
公開日: 2023/07/21
研究報告書・技術報告書
フリー
東京学芸大学では学生本位の学びの振り返りを促し,修得主義に基づく教員養成の実現を目指して「eポートフォリオ構築によるデジタル技術を活用した教育実習DX」を進め,本学附属学校園で行われてきた教育実習の教育実習日誌を電子的に扱い,実習の記録や指導・支援の記録を集約するシステム「教育実習日誌eポートフォリオ」(以下,実習ポートフォリオシステム)を開発した.そして実習ポートフォリオシステムを用いた附属学校園における教育実習の試行を実施した.本論文では,本学における教育実習日誌eポートフォリオの構築とその取組みの内容,試行に関する質問紙調査の結果について述べた.
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登本 洋子, 高橋 純
2023 年 2023 巻 2 号 p.
64-67
発行日: 2023/07/21
公開日: 2023/07/21
研究報告書・技術報告書
フリー
GIGAスクール構想により,初等中等教育の児童生徒に1人1台の学習者用コンピュータ端末と通信ネットワークが整備された.本研究では,ICT環境の整備と活用に対する期待や懸念の変化を明らかにするために,1人1台端末を学習で使用することに関する教員,保護者,教員養成系大学に在籍する学生の意識を3か年にわたって調査した.結果,授業における学習用端末の活用は進んでいるが,意識の面では大きな変化がないことが確認された.また,1人1台端末への期待は保護者が最も高く,教員が最も低いことが確認された.
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―授業改善システムの開発に向けて―
吉田 圭輔, 三上 貞芳, 濵 克己
2023 年 2023 巻 2 号 p.
68-74
発行日: 2023/07/21
公開日: 2023/07/21
研究報告書・技術報告書
フリー
授業の録画データから,授業者の挙動を定量的に評価・提示し,授業改善の支援をするシステムの開発を行っている.前段階としてどのような授業者の挙動が教育効果に寄与するかを調査した.本発表では,「授業者と受講者の視線が一致していることが記憶定着に効果を与える」という仮説の検証結果について報告する.
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―生成AIの機能比較と教員の生成AI利用意向調査を通して―
藤村 裕一
2023 年 2023 巻 2 号 p.
75-82
発行日: 2023/07/21
公開日: 2023/07/21
研究報告書・技術報告書
フリー
近年,生成AIの教育利用の在り方が賛否両論を含め,活発な議論が行われている.しかし,生成AIを教育において,どのような有効活用の可能性があるのか,また,留意点や今後の利用に先立つ事前指導の内容等については,研究が不十分である.そこで,最新の生成AIの機能比較と現職教員・教員養成系大学院生の生成AIの利用意向調査を通して,生成AI利用意向,教育利用の可能性と留意点,求められる教育内容等について考察した.
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澤崎 敏文
2023 年 2023 巻 2 号 p.
83-87
発行日: 2023/07/21
公開日: 2023/07/21
研究報告書・技術報告書
フリー
コロナ禍を契機として全国に広がったオンライン授業であるが,Moodle等LMSの活用,Zoom等のビデオ会議システムによる同期型授業から動画配信による非同期型授業まで,その形態には様々なものがある.今回は,近年再び注目を集めているメタバース(三次元仮想空間)を活用して構築した学習環境において,2022年度に実践した授業ならびに学生の課外活動についての考察である.
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武田 俊之
2023 年 2023 巻 2 号 p.
88-94
発行日: 2023/07/21
公開日: 2023/07/21
研究報告書・技術報告書
フリー
生成系AIの急速な進化と普及は,大学の教育と研究へ大きなインパクトになりつつある.授業でのAIによるコンテンツ生成の利用は積極派,慎重派に意見が分かれており,評価の基準,教育目的の再考,倫理的な考慮,法的課題などさまざまな論点もある.日本の大学は生成系AIをどのように理解し,取り扱いの方針を立てているか.この報告ではウェブサイトから収集した約200のAIガイドラインを分析することによって,日本の大学の認識と取り扱いを概観する.
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橋本 智也
2023 年 2023 巻 2 号 p.
95-100
発行日: 2023/07/21
公開日: 2023/07/21
研究報告書・技術報告書
フリー
本発表では,生成AIを活用した初年次教育の授業設計とその実践について報告する.「学び方」の習得を目標とする初年次教育において,生成AIの導入が学生の学習プロセスや学習行動,教員の教授法にどのような影響を与えるかに着目する.具体的には,文献調査,クリティカル・リーディング,情報整理,レポート作成,プレゼンテーション,グループワーク等への影響を扱う.また,初年次教育における生成AIの活用と教育目標・評価方法との関係についても検討する.
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―オンラインと対面との比較―
田中 洋一, 多川 孝央, 山川 修, 合田 美子
2023 年 2023 巻 2 号 p.
101-104
発行日: 2023/07/21
公開日: 2023/07/21
研究報告書・技術報告書
フリー
仁愛女子短期大学生活情報デザイン専攻では,Studentエージェンシーを育成するため,社会情動的スキルを身につけるキャリア科目を設計・実践している.本稿では,2021年度のリアルタイム配信(同期型)オンライン授業と2022年度の対面(面接)授業における授業設計及び授業評価について比較する.特に,情動知能及び進路選択自己効力に関する心理尺度がどのように変化したのかを報告する.
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阿部 真由美, 石川 奈保子
2023 年 2023 巻 2 号 p.
105-111
発行日: 2023/07/21
公開日: 2023/07/21
研究報告書・技術報告書
フリー
大学3年生を対象としたゼミナールにおいて,2022年度春学期に反転授業形式で研究指導を行い,効果を検証した.その結果を踏まえ,同年秋学期には事前学習や授業内での活動を一部変更し,また,オンライン同期・非同期の授業形式を織り交ぜることで,多面的な授業を展開した.本発表では,秋学期終了後に行った受講生対象のインタビュー調査をもとに,授業デザインの各要素について検証した結果を報告する.
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上田 勇仁
2023 年 2023 巻 2 号 p.
112-115
発行日: 2023/07/21
公開日: 2023/07/21
研究報告書・技術報告書
フリー
リーダーシップ開発において,挑戦的な課題を与えることが受講者のリーダーシップ開発に繋がるとされており,受講者の授業に対する課題認識によって能力の獲得に影響を与える可能性がある.ただ,リーダーシップ開発を目的としたプロジェクト学習において,受講者が授業に対する課題認識によって能力獲得に違いが生じているのか教育実践を通じて検証した例は少ない.そこで,本研究は授業開始時に受講者の授業における課題認識を確認するために,受講理由を問う質問紙調査と自身のリーダーシップ行動を問う質問紙調査を授業開始時と終了時に実施した.授業目的に関する課題認識を有する受講者群は,授業目的外に関する課題認識を有する受講者群よりも,リーダーシップ行動尺度の得点に有意な傾向があった.
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魚住 拓摩
2023 年 2023 巻 2 号 p.
116-119
発行日: 2023/07/21
公開日: 2023/07/21
研究報告書・技術報告書
フリー
本研究では,X専門学校Y学科に所属する学生34名に対し,専門学校生活における満足度に影響を及ぼす要因を明らかにすることを目的として,半構造化インタビューを実施した.共起ネットワークによる分析を行ったうえで,特徴量をグルーピング化し,満足度の高・中・低で3つに分類したグループとクロス集計による分析を行った.その結果,満足度のグループごとで,満足している点や不満を抱いている点が,それぞれ異なることが明らかとなった.
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―組織外協力者との同時連携協力の実現―
波多野 和彦, 中村 佐里, 三尾 忠男
2023 年 2023 巻 2 号 p.
120-123
発行日: 2023/07/21
公開日: 2023/07/21
研究報告書・技術報告書
フリー
教育方法の授業改善に取り組み続けている.教職課程では,今年度から「情報機器の活用に関する理論及び方法(教育ICT)」にかかわる内容が追加され,各大学ともに,本格的な展開が始まった.我々は,教育ICTのみならず(今回は,改善の対象外となった)保育者養成を対象とした内容(いわゆる保育ICT)の授業開発にも取り組んでいる.一般に,学内利用者に限られるLMSを利用し,学外者と連携・協力した授業開発・改善の取り組みを紹介する.
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―実証実験を通して―
古越 佳子, 藤村 裕一
2023 年 2023 巻 2 号 p.
124-131
発行日: 2023/07/21
公開日: 2023/07/21
研究報告書・技術報告書
フリー
小学校の在籍学級における非日本語母語話者児童に対する初期日本語指導の実態と効果的な指導法を明らかにするため,それを経験した教員と児童を対象に半構造化面接を行った.その結果をもとに質問紙調査を行い仮説を立て,児童の実態に合わせて指導法を抽出し,実証実験を行った.その結果,初期日本語指導でのいくつかの効果的な指導法が明らかになった.教職員がどのような支援ができるかという意識をもつことの必要性が示唆された.
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井村 明子, 藤村 裕一
2023 年 2023 巻 2 号 p.
132-139
発行日: 2023/07/21
公開日: 2023/07/21
研究報告書・技術報告書
フリー
内発的改善力のある学校組織の重要性が指摘されている.その形成の在り方を明らかにするために,教員対象の質問紙調査を実施した結果,教員の自律性,協働性,目的意識の共有の3要素に傾向性が存在していることが示唆された.更に,学校規模別にそれを分析・考察したところ,例えば,大規模校ではわかりやすい目標設定が促進要因となり,トップダウンの過重視が阻害要因となるなど,学校規模によって要因の差異があることが示唆された.
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原田 真喜子, グリズバ パリハティ, 渡邉 英徳
2023 年 2023 巻 2 号 p.
140-147
発行日: 2023/07/21
公開日: 2023/07/21
研究報告書・技術報告書
フリー
本研究の目的は,母国言語に限った情報検索によるバイアスへの意識化である.そこで,小中学児童を対象にウイグルの観光情報を調査するワークショップを行なった.ここでは,ウイグルの観光地から観光地と料理を調べるという課題を出した.日本語・英語・中国語による情報検索や複数ウェブ検索エンジンを用いて情報を取得することを促したところ,言語ごとに表示される結果が異なることが明らかになり,メディアの在り方や,多言語/横断検索の重要性について児童間で考察する様子が見られた.本発表では,ワークショップのデザインと成果について述べる.
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髙野 雄生, 木戸 耕太, 滝澤 修, 古瀬 政弘
2023 年 2023 巻 2 号 p.
148-153
発行日: 2023/07/21
公開日: 2023/07/21
研究報告書・技術報告書
フリー
糸鋸は美術・工芸題材及びものづくりを通した学習にて用いられる手工具である.糸鋸を用いた実習を行う際,刃を確実に装着することが実習を円滑に進める上で必要となる.しかし,高等学校及び大学の授業において受講者は刃を確実に装着することができず,素材の加工途中に刃が外れてしまう事例がみられる.これらの問題を解決し,実習を円滑に行うための補助器具の開発を行った.試作品を作製し,公立高等学校の授業において試作品の補助効果について検証を行った.
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名知 秀斗, 向後 千春
2023 年 2023 巻 2 号 p.
154-161
発行日: 2023/07/21
公開日: 2023/07/21
研究報告書・技術報告書
フリー
本研究の目的は,発表年や教科,対象,研究の概要を整理した上で,初等中等学校の批判的思考教育において,eラーニングがどのように取り入れられてきたのか,研究資料を提示することとした.年別に整理した結果,2019年以前と比較すると,2020年から2023年の文献数が多いことが明らかとなり,これは新型コロナウィルスの影響受けたことが要因と推察された.また,小学生を対象とした研究数が少なく,国語科の研究は見受けられないことが明らかとなった.さらに,初等中等学校の批判的思考教育で使用されるeラーニングは,「WebQuest」「Webサイト学習」「Web情報の評価」「インタラクティブなアプリ学習」「オンライン交流」「コンセプトマッピング学習」「電子漫画」「動画学習」の8つに分類されることが明らかとなった.
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―情報Iの授業における実践研究―
時任 隼平
2023 年 2023 巻 2 号 p.
162-165
発行日: 2023/07/21
公開日: 2023/07/21
研究報告書・技術報告書
フリー
本研究の目的は,「思考・判断・表現」を評価するための短答自由記述課題を対象に,「1回の授業で完結可能な思考・判断・表現の育成を目的とし学習課題の評価とその妥当性を検討する」事である.具体的には,私立高等学校Aの情報Ⅰの授業を取り上げ,40名を対象に行った短答自由記述課題の評価結果とその結果の妥当性に関する教員の自信について,データ収集を行った.表現の抽象度によってルーブリックでは捉えきることのできない箇所が明らかになった.
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―キャリア教育に関する全国調査の再分析から―
山田 晋作, 荒巻 恵子, 石井 卓之
2023 年 2023 巻 2 号 p.
166-173
発行日: 2023/07/21
公開日: 2023/07/21
研究報告書・技術報告書
フリー
キャリア教育の充実に当たっては,その本質的意義な価値や意義を理解し,計画的に実施することでその教育的効果を発揮する.また,ディジタル時代の児童生徒において,帰属意識からの自己理解,自己管理能力の育成も求められている.そこで,本研究では,国立教育政策研究所が行ったキャリア教育に関する全国調査及び報告書の再分析から,キャリア教育の現状と課題を明らかにする.さらに,Hermansの「対話的自己」論から,オンライン環境上の児童生徒に内在する「自己の位置(ik-posities)」に注目し,新たなキャリア教育の取り組みについて展望する.
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下司 裕樹
2023 年 2023 巻 2 号 p.
174-181
発行日: 2023/07/21
公開日: 2023/07/21
研究報告書・技術報告書
フリー
暗記科目であると認識されがちな日本史において,論理的な知識操作を活用したオンデマンド型授業を開発し実践した.対象は大学生学部1年生であり,授業は90分の講義を2回にわたって実施した.授業実施前と実施後とで同様の課題を課し,事後課題においては文章資料を提示した.実施の結果,事後課題において有意に正答率が上昇し,また文章資料の内容を踏まえた解答の記述が多く見られることがわかった.
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小牧 瞳, 郡司 日奈乃
2023 年 2023 巻 2 号 p.
182-189
発行日: 2023/07/21
公開日: 2023/07/21
研究報告書・技術報告書
フリー
OECDが2019年に提唱して以降注目の集まる"agency"概念は日本の教育にも影響を与える可能性が高い.本発表では,学習者が問題解決者となる場合に,次の5つの立場が示されることによって,学習者のagencyを発揮した授業デザインが可能になるという仮説を検証する.5つの立場とは,①問題が生じて困っているもの,②問題に関する情報を調べるもの,③問題について詳しいもの,④問題について詳しいものと学習者を繋ぐもの,⑤その他のステークホルダーである.
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堀田 雄大, 八木澤 史子, 三井 一希, 佐藤 和紀, 堀田 龍也
2023 年 2023 巻 2 号 p.
190-193
発行日: 2023/07/21
公開日: 2023/07/21
研究報告書・技術報告書
フリー
教員が研修において,自身の教育課題に関する動画を自主的に視聴する際の実態を把握することを目的とし,視聴する時間帯・場所・利用する端末についてのアンケート及び回答に対する半構造化インタビューを行った.その結果,7名中6名が週に1日以上動画を視聴しており,7名中6名が勤務時間外に自宅で視聴しているという回答を得た.理由として,勤務時間内は他の業務により視聴する時間の確保が困難であること,周囲を気にせず視聴できる場所は自宅でないと難しいことが挙げられた.このことから,教員が研修で自主的に動画視聴を行うためには,学習を行うための視聴時間の確保や,集中して取り組める視聴場所などについて実態を踏まえた研修づくりを進めていく必要性が示唆された.
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中尾 教子, 八木澤 史子
2023 年 2023 巻 2 号 p.
194-201
発行日: 2023/07/21
公開日: 2023/07/21
研究報告書・技術報告書
フリー
本研究では,小学校教師が教科書の効果的な使い方を解説した手引書を閲覧する際に,どのような記述に着目するかを確認するために,参考になった点,内容の理解が難しかった点,もう少し詳しい情報が欲しい点という3つの観点を設けて,手引書へのコメントの記入を求めた.27名からの回答を分析した結果,参考になった点に関するコメントが最も多く,また,全55ページのうち「教科に共通した教科書の効果的な使い方」に関するページへのコメントが最も多かった.
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若月 陸央, 南條 優, 八木澤 史子, 佐藤 和紀
2023 年 2023 巻 2 号 p.
202-207
発行日: 2023/07/21
公開日: 2023/07/21
研究報告書・技術報告書
フリー
本研究の目的は,情報端末を活用した個別最適な学びの実践における教授行動の特徴を検討することが目的である.本調査では,小学校第4学年の国語科の授業(1時間)を対象に教授行動の分析を試行的に行った.その結果,課題の設定,情報の収集,整理・分析の段階では,「個々の学習状況をクラウド上や,直接的に確認し,児童に分かるように,具体的に問いかけるなどの教授行動が確認された.また,まとめ・表現の段階では本時の学習内容と既習事項や既有経験,次時の課題を関連づけるなどの教授行動が確認された.
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伊藤 真紀, 佐藤 和紀
2023 年 2023 巻 2 号 p.
208-213
発行日: 2023/07/21
公開日: 2023/07/21
研究報告書・技術報告書
フリー
本研究は,小学校4学年の児童が反転授業の予習に取り組む際に,情報端末を介した外的リソースを,選択・活用しているかの実態,および,活用することによる児童の授業への参加意識の実態を調査した.その結果,①教師がいない環境である家庭においても,自ら外的リソースを選択して予習に取り組む児童がいること,②他者参照や教師のコメントという外的リソースの活用が,児童の予習への取り組みに対して成果の向上や意欲の高まりにつながる可能性があること,③情報端末を介した外的リソースを活用して予習に取り組むことで,93.0%の児童が授業への参加意識に関して肯定的に捉えていることが示唆された.
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南條 優, 金松 萌々花, 若月 陸央, 吉田 康祐, 佐藤 和紀
2023 年 2023 巻 2 号 p.
214-221
発行日: 2023/07/21
公開日: 2023/07/21
研究報告書・技術報告書
フリー
本研究では,学習方法や学習形態を選択しながら学習している様子をイメージすることができるマルチアングル授業映像を,日常的に1人1台の情報端末を活用し学習の個性化に取り組もうとしている児童が視聴した際に,「学習の個性化」をイメージすることが可能であるかを,質問紙調査で評価を行い検討した.その結果,26名中23名の児童が「学習の個性化」をイメージできたと回答した.具体的には,自由記述で31件と最も多くみられた「学習方法」に関する気づきから,児童の情報収集の方法の違いなどをマルチアングルで確認することで,「学習の個性化」をイメージできた可能性が考えられた.
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水野 一成, 近藤 勢津子, 吉良 文夫
2023 年 2023 巻 2 号 p.
222-225
発行日: 2023/07/21
公開日: 2023/07/21
研究報告書・技術報告書
フリー
GIGAスクール構想の本格始動及び低年齢でのスマホ利用に伴い,小中学生のICTスキルが伸びている.本稿では小中学生において,学校でのICT利用,家庭でのICT利用の多寡がどのようにICTスキルに関係しているか,分析をおこなった.その結果,小学生低学年では「学校の授業が多い群」はICTスキルが高く,小学生高学年では「学校及び家庭のどちらかが多い群」はICTスキルが高い傾向が見られた.また中学生では「学校及び家庭両方で利用が多い群」はICTスキルが高い傾向が見られた.この結果より,学年により学校,家庭の利用時間が関係する度合いが異なることが明らかになった.
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草本 明子, 長縄 正芳, 井村 亜紀子, 水谷 年孝, 高橋 純
2023 年 2023 巻 2 号 p.
226-232
発行日: 2023/07/21
公開日: 2023/07/21
研究報告書・技術報告書
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中学校数学の課題への取り組みに他者参照を日常的に活用している学級を対象として,他者参照に関する実態を調査した.結果,他者参照する理由として,課題を進めることへの困難を解決することや自分の回答について確認すること,自信をもつことに関する記述が66.0%を占めた.一方,他者参照後に参照内容を写す傾向は小さく,参照内容を理解した上で,自分で回答する傾向が見られた.また,他者参照されることに対して否定的な意識を抱いている生徒は9.4%であった.
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宮西 祐香子, 長濱 澄, 殿岡 貴子, 清遠 和弘, 松田 諒平, 白鳥 亮, 堀田 龍也
2023 年 2023 巻 2 号 p.
233-236
発行日: 2023/07/21
公開日: 2023/07/21
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デジタル教科書の操作ログなどのデータを活用して教育改善を目指す取り組みへの期待が高まっている.本試行では,つくば市のA中学校1年生の生徒62名が使用した英語科デジタル教科書の操作ログ(ページめくり,ポップアップコンテンツ表示,ズームなど)をもとに,家庭学習時のデジタル教科書利用の実態と音読課題の得点との関連性を分析した.分析の結果,今回の実践においては,期間内のデジタル教科書の利用回数や操作時間の長さなどが,課題の得点に影響していることが示唆された.今後は,操作ログの解析をさらに進め,デジタル教科書の音声機能の利用が音読課題の得点に影響を及ぼしているかを明らかにすることが期待される.
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大林 要介, 田中 若葉, 岩本 洸輝, 大谷 忠
2023 年 2023 巻 2 号 p.
237-240
発行日: 2023/07/21
公開日: 2023/07/21
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近年では,ビッグデータを活用したIoTへの注目が高まっており,学校教育の中でこれらの内容を取り上げることの重要性が増している.本研究では,中学校技術科の情報の技術の内容において,IoTを取り上げた教材を開発し,指導の順序による効果の差異を分析した.その結果,個々の計測や制御の技術を学習した後に,ネットワークを用いた情報通信の技術を学習することで,情報の技術をより系統的に理解できる可能性が示唆された.
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田中 幹大
2023 年 2023 巻 2 号 p.
241-246
発行日: 2023/07/21
公開日: 2023/07/21
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反復(repetition)とは実験心理学において中心的な役割を果たす現象であり,様々な行動や学習を反映したものでもある.これはプライミングとも言われており,言語科学の研究においてもこの現象が様々な分野で発見され,ここでは大きく分けて2つのプライミングに注目する.1つ目は言語を理解し産出する際に発話者が以前使用した統語構造を繰り返す傾向にある,統語的プライミング効果(Structural priming)である(e.g., Pickering & Ferreira, 2008).2つ目は,統語構造に反映されていない概念や意味が反復されて影響を与える,概念的(意味的)プライミング(Conceptual or semantic priming)と呼ばれる(e.g., Garrod & Anderson, 1987).これらのプライミング現象を用いて,過去には人の発話モデルや対話モデルの構築が議論されてきた(e.g., Pickering & Garrod, 2004).本研究では言語産出や対話のモデルをさらに検証するために,Tanimura(2016)の2名の被験者がLego を指定された形にするLego taskの結果を使用し,対話の会話の中で起きるプライミング効果を分析することで,そのプライミング効果が概念レベル,もしくは統語的レベルで起きていることなのかを検討する.その結果,プライミングがLego taskの対話の中でどのような役割を果たしているのかを明らかにし,最終的に産出や対話のモデルの構築にどのように貢献できるのかを議論する.Bock, J. K. 1986. Syntactic Persistence in Language Production. Cognitive Psychology, 18, 355-387.Garrod, S., Anderson, A. (1987). Saying what you mean in dialogue: A study in conceptual and semantic coordination. Cognition, 27, 181–218.Pickering, M.J., Ferreira, V.S. 2008. Structural priming: A Critical Review. Psychological Bulletin, 134. 427-459Tanimura, M. 2016. Kadai tassei taiwa ni okeru eigogakushusha no grounding to gesture no doki, Paper presented at the 19th conference of Japanese pragmatics, Shimonoseki City University, Yamaguchi.Tanaka, M. (2023). How Do We Produce a Metonymic Expression? Evidence from Priming in Japanese. Unpublished Manuscript.
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松田 稔樹
2023 年 2023 巻 2 号 p.
247-254
発行日: 2023/07/21
公開日: 2023/07/21
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全国歯科衛生士教育協議会は,歯科衛生師養成のための「歯科衛生学教育コア・カリキュラム」を策定している.また,当該養成教育を担う大学や専門学校の教員向けに,講習会も行っており,「学習方法・学習評価」を含めた16科目について156単位(1単位=45分)の講習を受講した者を歯科衛生士専任教員として認定している.本稿では,「学習方法・学習評価」の2単位分の講習を担当する準備過程で収集した情報を共有し,歯科衛生師教育に教育工学が貢献できる可能性を考察する.
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―ChatGPTとの共存を考える―
近藤 千香, 玉田 和恵, 松田 稔樹
2023 年 2023 巻 2 号 p.
255-258
発行日: 2023/07/21
公開日: 2023/07/21
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高校生は生成系AIとどのように共存するか,文部科学省のガイドラインはこれから発出されるが,高校生がChatGPTを題材に問題を分析し,ルール案つくりを実践した.“情報的な見方・考え方を働かせ,情報と情報技術の適切かつ効果的な活用と望ましい情報社会の構築について考察する”ための明示的指導を行い,生徒は,ChatGPTのメリットをまとめる一方,「補助的に使う」「頼りすぎない」といった制約条件を導き出し,「思考力,語彙力,コミュニケーション力等能力低下の懸念がある」と分析した.さらに具体的な行動規範のアイディアも検討し,具体的なルール案を提示した.高校生の視点で,より良いネット社会を目指したChatGPTの問題の本質を考察することには一定の成果が認められ,今後の検討課題が示された.
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藤川 大祐
2023 年 2023 巻 2 号 p.
259-266
発行日: 2023/07/21
公開日: 2023/07/21
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ゲーム理論,「言語ゲーム」論,「遊び」研究,ゲーム哲学,ゲームデザイン研究やゲーミフィケーションといったゲームに関係する諸研究を概観し,教育におけるゲーム的構造として,主に児童生徒に起因する学校環境への適応,退屈への対処,人間関係形成に関するゲーム的構造や,主に教師に起因する児童生徒が積極的に教育活動に参加しやすくしたり退屈に対処したり学校環境に適応できるようにしたりするためにデザインされたゲーム的構造がありうることを示した.さらに,小学校の学級担任からのインタビューから,実際の小学校において教師の立場から見るゲーム的構造の具体例を示した.
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小田 理代, 斎藤 明日美, 毎床 愛美, 登本 洋子, 堀田 龍也
2023 年 2023 巻 2 号 p.
267-273
発行日: 2023/07/21
公開日: 2023/07/21
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本原稿では,女子及びジェンダーマイノリティの大学生・大学院生(以下,女子学生)によるプログラミングの学習が,プログラミングの動機づけにどのように影響するのかを検討することを目的に調査を行った.女子学生を対象に2週間のプログラミングのコース(Waffle Collegeエントリーコース)を実施し,コース実施前後に期待-価値モデルを適用した,プログラミングの動機づけに関する質問紙調査を行った.その結果,成功期待,実践的利用価値が有意に増加し,心理コストが有意に減少した.また機会コストは有意に増加したことが示された.
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―生成AIリテラシーの涵養を目的として―
岡野 健人, 藤川 大祐
2023 年 2023 巻 2 号 p.
274-279
発行日: 2023/07/21
公開日: 2023/07/21
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ChatGPTをはじめとする大規模言語モデルを利用した生成AIが注目を集めている.活用のためには,その性質を理解し利点と欠点を考慮した上で使用するといった,生成AIリテラシーを身に着ける必要がある.本研究では,ChatGPT APIを用いて独自データ活用型生成AIチャットボットを製作することが可能なプログラムを作成し,学習者がチャットボットの製作を通して生成AIリテラシーを学ぶ教育実践デザインを検討した.
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菅谷 克行
2023 年 2023 巻 2 号 p.
280-284
発行日: 2023/07/21
公開日: 2023/07/21
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近年,電子媒体を使用した文章読解の機会が増えている.しかし,各種書籍媒体使用時の表示文章の読みやすさや,読解集中度,疲労度などには差異があると考えられる.本研究では,書籍媒体の特性が文章読解中の読者にどのような影響を及ぼしているのかを検討するための前段階として,視線移動情報に基づく読解状態(集中度や疲労)の推測可能性について考察する.特に視線移動情報から文章読解中の状態を示す特徴量として,視線の停留,順行,逆行の推移や時間,視線移動距離に注目し分析した結果について報告する.
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―指標性からの考察―
山口 征孝
2023 年 2023 巻 2 号 p.
285-288
発行日: 2023/07/21
公開日: 2023/07/21
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本発表の目的は,英語母語話者(NES)と日本人英語学習者(JEL)のレゴブロックを使ったタスク遂行対話4組を分析の対象にすることで,共通注視がタスク遂行に果たす決定的役割を例証することである.分析の焦点は敷居がある場合(IV)とない場合(V)における談話構造の違いである.分析により,タスク遂行上必要な言語機能の理解には指標性の観点からの説明が有益である点を示す.例えば,NESによる談話標識(“OK”)や評価的メタ発話(“Excellent”)はVでは頻繁に表れた.一方,IVの条件では,“OK”はJELによるNESの指示の理解を示す指標表現として使われている.指標性分析から共同注視が基盤化に与える決定的な役割を談話構造の違いから具体的に例示する.
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―言語とジェスチャーの反復に注目して―
谷村 緑, 吉田 悦子
2023 年 2023 巻 2 号 p.
289-296
発行日: 2023/07/21
公開日: 2023/07/21
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対話の場合,左右のような空間の相互理解は簡単ではない.これは相手の視点を取るか自分の視点を取るかの選択肢が,言語およびジェスチャー(例.指差し)で2×2の4通り存在し,混乱を招きやすいためである.本稿では,子供用のブロックを用いた二者課題達成対話を対象に,英語学習者がブロックを置く位置を説明する際に左右をどのように説明し,聞き手との相互理解に至るのかを言語とジェスチャーの繰り返しに注目して,量的,質的に分析する.
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吉田 悦子
2023 年 2023 巻 2 号 p.
297-300
発行日: 2023/07/21
公開日: 2023/07/21
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本稿では,レゴ・ブロックを用いた英語母語話者(教示者)と英語学習者(作業者)との二者課題達成対話において,課題遂行中のトラブル源に対してどのような発話交換や相互調整が行われているかを分析する.特に,英語学習者の質問発話をきっかけとする発話連鎖に注目し,「聞き手デザイン」のストラテジーとして有効に働いているパターンを抽出し,学習者が利用できる言語資源としての活用性を指摘する.
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岡田 真, 竹内 和広
2023 年 2023 巻 2 号 p.
301-306
発行日: 2023/07/21
公開日: 2023/07/21
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第2言語習得に取り組む学生のカリキュラムとして第2言語で対話をしつつ定められたタスクをこなすものがある.この際に学生の習熟度の差によって会話が途切れるなど滑らかな会話にならなかったり対話の際に意味がとり切れず理解の食い違いや誤解が生じる場合がある.その際にネイティブスピーカであればどのように会話していたかという想定の事例を示すことは学習者のスキル向上に有効であると期待できる.しかしネイティブスピーカに容易に協力が得られない場合も容易に想定できる.本論文では深層学習による大規模言語モデルをネイティブスピーカの言語能力を表すものと仮定して,それを利用することで既存の対話情報中の単語を補完・推測させて,その結果を確認して,ネイティブスピーカの会話を推定できるかどうかその可能性を検証する.
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