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高橋 暁子, 竹岡 篤永, 根本 淳子, 鈴木 克明
2025 年 2025 巻 1 号 p.
1-6
発行日: 2025/05/24
公開日: 2025/05/27
研究報告書・技術報告書
フリー
本研究では,高等教育機関で他者の授業改善を支援するインストラクショナルデザインの専門家を対象としたケーススタディ教材を開発した.高等教育機関の教員による形成的評価の結果,開発したケース文は量的には十分であることが示唆された一方,学生に関する情報の追加が求められていることが明らかとなった.
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殿村 英嗣, 小柳 和喜雄
2025 年 2025 巻 1 号 p.
7-13
発行日: 2025/05/24
公開日: 2025/05/27
研究報告書・技術報告書
フリー
本研究は,同僚性と教師の学習環境との関連を明らかにする質問調査の設計を目的とする.先行研究をもとに同僚性の尺度を設定し,学習環境に関する項目は予備調査を通じて開発・検討した.小学校教師15名を対象に実施した調査では,オープンコーディングにより12カテゴリーを抽出し,そのうち10カテゴリーを新たな質問項目とした.今後,因子分析を通じて項目の妥当性を検討し,本調査に向けた準備を進める.
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遠藤 みなみ, 八木澤 史子, 佐藤 和紀, 堀田 龍也, 姫野 完治
2025 年 2025 巻 1 号 p.
14-18
発行日: 2025/05/24
公開日: 2025/05/27
研究報告書・技術報告書
フリー
近年,従来の授業観察研究のレビューを行い,1人1台端末を活用した授業の観察に関する研究課題を明らかにすることを目的とした.その結果,(1)1人1台環境における授業観察の実態把握,視点の整理,(2)クラウド上の児童生徒同士の相互作用を含め,統合的に授業観察の対象とする研究方法,授業観察システムの開発,(3)クラウド上の児童生徒の学習活動や学習者同士の協働の過程を複数の観察者と協働的に省察する研修設計に関する研究が求められることが示唆された.
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興 雄司
2025 年 2025 巻 1 号 p.
19-26
発行日: 2025/05/24
公開日: 2025/05/27
研究報告書・技術報告書
フリー
大学における電磁気学は諸分野の電気・物質・機械工学の源泉的な学問で,同時に数学的なベクトル解析・微分積分を組みあわせる.習得には100点近い記憶(物理定数及び基礎方程式の数)を必要とし,それらを組みあわせて考える必要がある.著者はそのような大規模記憶を短期間で行い且つ長期的記憶に資する方法として電磁気学基礎理論の体系化を試みた.2014年から開始した体系化は2023年におおいに進展があり,2024年にほぼ固定化した.本稿ではこの内容を簡単に解説し,記憶法や講義戦略の分析に応用した事例を紹介する.
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堀田 雄大, 八木澤 史子, 堀田 龍也
2025 年 2025 巻 1 号 p.
27-31
発行日: 2025/05/24
公開日: 2025/05/27
研究報告書・技術報告書
フリー
本研究では,COVID-19の影響によるオンライン研修の拡大や,GIGAスクール構想によって整備されたクラウド環境の下での1人1台の情報端末を活用した研修の推進を背景に,教師の専門的な学習共同体に関する研究の中から,ICTを活用した実践や展望に関する研究の動向を把握することを目的としてレビューを行った.レビューの結果,抽出された10件は,「教員コミュニティの形成」「授業観察・授業省察の支援」「知識の共有」「相互交流に関する課題」の4つのカテゴリに分類され,ICTの活用が,いずれも教員が学び続ける環境づくりに寄与していることが示唆された.
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三井 規裕, 森川 修
2025 年 2025 巻 1 号 p.
32-35
発行日: 2025/05/24
公開日: 2025/05/27
研究報告書・技術報告書
フリー
本研究ではオンデマンド形式を中心としたオンライン入学前教育を実施した.その際,教員と入学予定者間でやりとりされる課題を通じて,安心して質問できる学びの環境を整え,継続的に学習できるようにした.その上で受講した入学予定者がどのような点で学びやすさを感じていたかを検証することを目的として設定した.自由記述を分析した結果,入学予定者は①教員の丁寧な添削や励ましの言葉から安心感を得ていた,②動画教材から熱心な指導を感じていたことが示された.
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―ルーブリックの系譜をふまえて―
加澤 ねね, 黒上 晴夫
2025 年 2025 巻 1 号 p.
36-43
発行日: 2025/05/24
公開日: 2025/05/27
研究報告書・技術報告書
フリー
ルーブリックは現在,学習評価の手法として広く活用されているが,その運用や認識のされ方には多様性が見られる.本研究では,ルーブリックの理論的系譜を文献調査により整理し,「測定」と「評価」という二つの視点に基づいて,その多様性を探索的に検討した.教員を対象としたアンケート調査の結果,ルーブリックに対する理念的な認識は「評価」志向と「測定」志向に大きく分かれており,その認識の違いが実践の方向性にも影響を及ぼしている可能性が示唆された.
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―高校教育現場からの提言―
二宮 宗徳
2025 年 2025 巻 1 号 p.
44-51
発行日: 2025/05/24
公開日: 2025/05/27
研究報告書・技術報告書
フリー
本稿は,日本の教育現場で混同されがちな「自立」と「自律」という概念を批判的に検討し,それらを弁証法的に統合した新たな教育概念「じりつ(JIRITSU)」を提案する.筆者の教育実践における違和感や葛藤を出発点に,理論と実践の往還から「じりつ」の可能性を探る.近代教育で称賛されてきた「自律」は,内面化された規範への従属にすぎない場合もあり,学校文化の中で「従順さ」や「模範性」と結びついて再生産されている現状がある.また,「自立」と「自律」がともに“じりつ”と読まれる日本語の特性も,意味の混乱を助長している.自己決定理論や社会構成主義の知見を参照しながら,「支援されながら選び取る力」や「関係性の中で育まれる主体性」に注目し,「自立」と「自律」の対立を超えた統合概念としての「じりつ(JIRITSU)」を提示し,教育実践の新たな方向性を示すものである.
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藤原 伸彦, 谷口 幹也, 石川 勝彦, 村上 太郎
2025 年 2025 巻 1 号 p.
52-56
発行日: 2025/05/24
公開日: 2025/05/27
研究報告書・技術報告書
フリー
著者らは,所属大学において教員養成の初年次教育に携わっており,自律的に探究する教員の育成に取り組んできた.その中で,いくつかのPBL型の課題を用いた取り組みを行ってきた.本発表ではそれぞれの課題を俯瞰して,自律的に探究する教員を育成する場のモデルを提案する.
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米国有力大学の大学教育センター視察
加藤 由香里, 山下 幸彦
2025 年 2025 巻 1 号 p.
57-64
発行日: 2025/05/24
公開日: 2025/05/27
研究報告書・技術報告書
フリー
海外主要大学の科学技術分野における大学教員準備講座を調査するために米国スタンフォード大学とジョージア工科大学の教授学習センターを訪問した.この調査から(1)TAは授業担当教員からの推薦により任命されること,(2)TA活動に従事して得られる授業料免除は重要であること,(3)TAの研究活動を阻害しないようにTA業務の調整が必要なこと,(4)複数の大学間で教育リソースを共有しつつ,自大学で教育能力の認定を行う教育能力養成プログラムが利用されていることが明らかになった.
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趙 暁晴, 佐藤 弘毅
2025 年 2025 巻 1 号 p.
65-72
発行日: 2025/05/24
公開日: 2025/05/27
研究報告書・技術報告書
フリー
本研究は,日中両国で行われている日本語教育の中で,中国人の新人日本語教師がもつ教育に対する不安について検討するために,日本の日本語学校で働いている教師あるいは中国の高校で働いている教師のうち,新人時代の記憶をはっきり覚えている中国人教師を対象として,どのような不安を持っているか,不安の影響,不安の解決策について調査した.その結果,日本語能力や授業実践などの授業内の不安と,学校支援,人間関係,文化背景などの授業外の不安を持っていることが明らかとなった.また,日本と中国における相違点と共通点,不安の影響と解決策が示唆された.
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藤原 瑞卿
2025 年 2025 巻 1 号 p.
73-79
発行日: 2025/05/24
公開日: 2025/05/27
研究報告書・技術報告書
フリー
本研究では,日本語学習者向けに生成AIを活用した自動問題生成およびリアルタイムフィードバック機能を備えた教育支援システムを構築した.日本語能力試験(JLPT)の形式に準拠し,多様な問題形式を自動生成することで学習効果を高める.さらに,学習履歴に基づいて弱点を可視化し,個別最適な学習支援を実現する.日本語教育の高度化に貢献する.
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栫井 大輔, 増田 周平
2025 年 2025 巻 1 号 p.
80-87
発行日: 2025/05/24
公開日: 2025/05/27
研究報告書・技術報告書
フリー
セルフスタディにおいて授業者・クリティカルフレンド(CF)・学生がどのように省察を行い,それらがどのように関連するかを明らかにするため,三者の省察記述および授業者とCFのやり取りを分析した.その結果,他者との関わりによる「拡張」と,経験を自己内で意味づけていく「深化」を往還的に繰り返すことで省察が深まることが示唆された.また,各自の省察が他者の省察を促進することも明らかとなり,そのプロセスのモデル化を試みた.
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改発 智也, 中村 駿
2025 年 2025 巻 1 号 p.
88-93
発行日: 2025/05/24
公開日: 2025/05/27
研究報告書・技術報告書
フリー
本研究は,教員養成段階の学生が学級経営に関する比喩的画像を選択する過程の特徴を明らかにすることで,画像の選択過程にどのような教育的効果があるのか検討することを目的とする.分析の結果,画像を検索する手がかりの発見に困難が生じる傾向にあり,複数の画像を比較する中で画像の選択がなされていた.比喩的画像を選択する過程は,概念の言語化を促進するなど省察を深める契機になっていることが示唆された.
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佐藤 靖泰, 稲垣 忠
2025 年 2025 巻 1 号 p.
94-101
発行日: 2025/05/24
公開日: 2025/05/27
研究報告書・技術報告書
フリー
小学校を対象に,担任が入力する包括的アセスメントの結果と児童が活用したAIドリルの算数・国語の学習ログをそれぞれ整理・集計し,相互の関連性を検討した.その結果,自己肯定感や計算する力と正答率の高さに弱い正の相関が見られた.一方,担任が学習面を高く評価していてもドリルの取組数や時間との相関は見られなかった.担任らへのインタビューから,アセスメントとドリルの教育データを連携させ,多指標・多観点で評価することの有用性が示唆された.
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水野 一成, 近藤 勢津子
2025 年 2025 巻 1 号 p.
102-105
発行日: 2025/05/24
公開日: 2025/05/27
研究報告書・技術報告書
フリー
2024年11月実査を基に,中学生で生成AIを利用している子の特性を数量化理論第Ⅱ類にて分析した.その結果,利用している子は「サイト・動画で調べもの」をする頻度が多く,「パソコンに関するスキル」が高い子であった.また,利用している子と相関が見られなかった変数は「親の生成AIの利用頻度」であった.このことから,子の生成AI利用については親が介入しての利用の可能性は低いことが示唆された.
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草本 明子, 小川 晋, 井村 亜紀子, 水谷 年孝, 高橋 純
2025 年 2025 巻 1 号 p.
106-113
発行日: 2025/05/24
公開日: 2025/05/27
研究報告書・技術報告書
フリー
1人1台端末とクラウド環境下で探究的な学習過程の自律的な循環が成立し始めた生徒の情報の収集の時間における外部情報との関わりを明らかにすることを目的とし,中学校社会科の授業を対象に,1人の生徒の端末画面録画データ・学習の様子を記録した映像データ・音声データを分析した.結果,多様な情報を多様な情報源から多様な手段で得ることが,生徒の能動的な情報の収集を促し,主体的な意見形成を支える重要な基盤となることが明らかになった.
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長谷川 元洋, 平野 修, 阪口 彩菜, 佐々木 めぐみ, 半田 美沙, 黒坂 俊介
2025 年 2025 巻 1 号 p.
114-121
発行日: 2025/05/24
公開日: 2025/05/27
研究報告書・技術報告書
フリー
探究的な学習を行う場面を設定した総合的な学習の時間や教科の授業の中で,児童・生徒が自身の学び方を振りかえったり,教師が児童・生徒の学びの状況を把握したりするための,「生徒エージェンシー育成と自己調整学習のための学びの足場がけツール“Learning Scaffolding Tool Kit to Foster Student Agency and Self-Regulated Learning”」を開発した.中学校の総合的な学習の時間の中で,自身の学び方を自己評価させた結果,学び方の変化を把握し,授業の改善に活用できることが示唆された.
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―2024年度の授業実践を通して―
大井 良知
2025 年 2025 巻 1 号 p.
122-125
発行日: 2025/05/24
公開日: 2025/05/27
研究報告書・技術報告書
フリー
2022年度開始の教育課程に基づく高校の情報科のカリキュラム開発に関連して,授業でどのような内容を,どのような視点でそのカリキュラムに入れるのが良いのかについて考察した.2024年度のカリキュラムと,2025年1月に大学入試共通テストを受けた生徒の感想から,実用的な技術を含む知識と,既存のプログラムコードを読み,アルゴリズムを分析する技術や,複数のグラフを分析する技術などを身につけるという視点が必要であるということが,少しではあるが明らかになった.
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―防災ニモナルグッズの商品開発を通して―
大矢 彰子, 深谷 和義
2025 年 2025 巻 1 号 p.
126-133
発行日: 2025/05/24
公開日: 2025/05/27
研究報告書・技術報告書
フリー
近年,学校における防災教育が教科においても求められているが,学校現場での実施は多いとはいえず,特に高等学校での取り組みが遅れている.本実践では2022年から実施の学習指導要領ではじめて防災を扱うこととなった公民科の政治経済における防災教育を扱う.防災士と連携し「防災ニモナルグッズ」の商品開発等を行った.その結果,生徒の防災に関する興味関心と知識を高め,政治経済の学習目標と防災教育の目標を達成する実践が実現できた.
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三浦 裕太, 小川 晋, 井村 亜紀子, 水谷 年孝, 草本 明子, 高橋 純
2025 年 2025 巻 1 号 p.
134-140
発行日: 2025/05/24
公開日: 2025/05/27
研究報告書・技術報告書
フリー
中学校社会科における複線型授業での教師の発話の特徴を明らかにするために,1人の教師の授業を対象に,発話の分析を行った.結果,「学習内容の把握」「学習内容の収集や把握を促す助言」「見方・考え方の助言」などのサブカテゴリ,「子供の現状把握」「学習内容の理解の促進」「思考の促進」などのカテゴリが生成された.「思考の促進」が最も多いカテゴリであったことから,生徒の思考を促進し,学びを深めるための発話を中心的に行っている可能性が示唆された.
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渡邉 光浩, 園田 文, 堀田 龍也
2025 年 2025 巻 1 号 p.
141-148
発行日: 2025/05/24
公開日: 2025/05/27
研究報告書・技術報告書
フリー
本研究は,小学校における教材の選定・活用実態を明らかにすることを目的として,全国の小学校教員を対象にアンケート調査を実施したものである.調査では,教材の選定時期や方法,選定理由,使用教材の種類に加え,デジタル教材の活用状況についても分析を行った.結果として,教材選定は学年単位で教員主導による判断が主流であり,従来の実績や教材見本への評価が大きく影響していることが示された.デジタル教材の利用も進みつつあり,特にデジタル教科書や掲載されているQRコードなどの教科書関連のコンテンツや,Web上や自作,ドリルの付録など無料のデジタル教材の活用が顕著であった.
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仲西 佑香, 藤村 裕一
2025 年 2025 巻 1 号 p.
149-156
発行日: 2025/05/24
公開日: 2025/05/27
研究報告書・技術報告書
フリー
小学校音楽科で,ICT使用に消極的な教員は1割,1人1台タブレット端末導入後も授業は変わっていないとする教員は55%いた.半構造化面接調査により,ICTを効果的に活用している教員は,児童中心という授業観のもと,ICTは「児童の学びを促進する道具」と捉えており,学習内容に応じてデジタル,アナログ問わず柔軟に取り入れ,使用目的を明確にし,日常的にICTを使用していることが明らかとなった.また,丁寧に指導とその効果の確認を重ねていた.
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清水 雅紀, 森本 康彦, 中村 勝一, 宮寺 庸造
2025 年 2025 巻 1 号 p.
157-164
発行日: 2025/05/24
公開日: 2025/05/27
研究報告書・技術報告書
フリー
数学的問題解決では粘り強く考え,問題解決の過程を振り返り,評価・改善することが求められる.本研究は,生徒の問題解決における思考過程を可視化し,生徒の解決の振り返りと評価,教員が行う「思考・判断・表現」の評価を支援する「Math Canvas」を開発・評価することを目的とした.中学校数学の図形領域を対象に,本システムを利用して授業を行った.実践の結果,生徒の思考の幅が広がり,また,生徒自身をベースとした振り返りを行うことができ,教員の評価の向上が確認できた.
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一戸 智之
2025 年 2025 巻 1 号 p.
165-172
発行日: 2025/05/24
公開日: 2025/05/27
研究報告書・技術報告書
フリー
本研究では,教員養成課程のピアノ学修者を対象に,協調学習,自己効力感,技能修得の三要素がどのように関連し合うのか,その構造的関係を検証した.測定モデルの検討を通じて,自己効力感と技能修得の弁別が困難であり,当初想定したモデルよりも両者を統合した因子構造の方がより適合度が高いことが確認された.また,協調的ピアノ学修は,学修者の心理的・技能的認識に影響を及ぼす要因として機能することが示唆された.
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福島 泰子
2025 年 2025 巻 1 号 p.
173-178
発行日: 2025/05/24
公開日: 2025/05/27
研究報告書・技術報告書
フリー
本稿では,ソフトウェア初級技術者向け教育プログラムにおいて,教育スタッフが出題範囲の網羅性と実践性を重視した理解度確認テストを効率的に作成する手法を提案する.本取り組みでは,生成AIを活用して,受講者の要望に応じた基礎知識から実践レベルまで多様な記述式問題を作成した.作成したテスト問題は,講師の評価とフィードバックによる改善サイクルを経て,テストの質を高めた.本手法は,テスト作成時間の短縮と,受講者の理解度向上に寄与すると考えられる.
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齋藤 光貴, 渡辺 知恵美, 菊地 浩平
2025 年 2025 巻 1 号 p.
179-186
発行日: 2025/05/24
公開日: 2025/05/27
研究報告書・技術報告書
フリー
本研究では,自学習環境における学習分析ダッシュボードがメタ認知的活動に与える影響を検証した.質問紙調査とインタビューの結果,メタ認知的活動の自己評価に有意な変化は見られず,ダッシュボードによる支援は限定的と示唆された.これは,ダッシュボードが学習状況の提示に留まり,学習過程の調整を促せないためと考えられる.今後は,十分な協力者数と期間での定量的・定性的評価,および自己調整学習理論に基づいたダッシュボード設計が必要である.
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中沢 尚也, 丸山 浩平, 坂本 誠, 森本 康彦
2025 年 2025 巻 1 号 p.
187-194
発行日: 2025/05/24
公開日: 2025/05/27
研究報告書・技術報告書
フリー
近年,生成AIを用いて学びの振り返りの記述を分類し,学習支援につなぐ取組が見られる.このとき「人」「教師あり学習」「生成AI」の分類結果の違いを明らかにすることで,今後の生成AI活用の議論の発展につながると期待される.そこで,本研究では,人・教師あり学習・生成AIによる学びの振り返りの記述の分類精度を比較検証した.その結果,生成AIによる分類は人・教師あり学習による分類に比べて精度が低い傾向が伺えた.
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上村 百々花, 石野 亜耶
2025 年 2025 巻 1 号 p.
195-201
発行日: 2025/05/24
公開日: 2025/05/27
研究報告書・技術報告書
フリー
学生の執筆する卒業論文には,誤字・脱字や文法の誤りなどが含まれることがあるため,指導教員の添削に多大なコストを要する.そこで本研究では,学生が自ら卒業論文の修正を行うための「卒業論文の添削支援システム」を構築した.そのために,過去の卒業論文の添削履歴を分析し,教員が指摘した項目を基にChatGPTが指摘できるプロンプトを作成した.本稿では,構築した添削支援システムの性能評価と改善案を報告する.
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大久保 紀一朗, 佐藤 和紀, 三井 一希, 中川 哲
2025 年 2025 巻 1 号 p.
202-209
発行日: 2025/05/24
公開日: 2025/05/27
研究報告書・技術報告書
フリー
本研究では,小学校第4,5学年の児童を対象に,紙の教科書とデジタル教科書について,国語科と社会科,それぞれについて①読解対象②探究的な学習の過程の各段階における使いやすさおよびその理由について調査を試みた.その結果,社会科では,資料を読解する際にはデジタル教科書の評価が相対的に高いこと,探究的な学習の過程の段階や,教科によっても評価が異なることが示唆された.
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手塚 和佳奈, 佐藤 和紀
2025 年 2025 巻 1 号 p.
210-216
発行日: 2025/05/24
公開日: 2025/05/27
研究報告書・技術報告書
フリー
本研究の目的は,生成AIに関わるメディア・リテラシー教育の指導状況を把握するための質問項目を作成し,その妥当性を検討することである.項目は,「生成AIの特性理解に関する指導」「批判的思考態度の指導」「批判的思考技能の指導」の3観点,「真偽」「質問の仕方」「著作権」「偏り」の4カテゴリに基づいて構成した.生成AIパイロット校に勤務する中学校教員24名を対象に調査を実施した結果,クロンバックのα係数は全体で.92,各カテゴリでも.80以上であり,十分な内的一貫性が示された.
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西本 壇, 伊藤 真紀, 杉本 啓馬, 佐藤 和紀, 堀田 龍也
2025 年 2025 巻 1 号 p.
217-222
発行日: 2025/05/24
公開日: 2025/05/27
研究報告書・技術報告書
フリー
本研究は,授業の準備や運営等をデジタル環境で行うことによる時間短縮の程度を明らかにすることを目的とした.全国の小中学校の教師への調査の結果,授業の準備や運営等にかかる時間が,デジタルの活用以後では有意に短縮されていた.さらに,教師のICTの活用頻度を高頻度群・中頻度群・低頻度群に分類し,短縮時間との関係を分析したところ,中頻度群,低頻度群と比較して高頻度群の方が時間が短縮される傾向が明らかになった.
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登本 洋子, 齋藤 玲, 堀田 龍也
2025 年 2025 巻 1 号 p.
223-226
発行日: 2025/05/24
公開日: 2025/05/27
研究報告書・技術報告書
フリー
本研究では,探究的な学習のさらなる充実に向けて,性能が著しく向上し続けている生成AIの活用方法を検討した.具体的には,探究的な学習のプロセスで,児童生徒が遭遇しうる活用場面を想定し,そこでの生成AIの活用方法と課題の整理を試みた.結果,生成AIは即時性や汎用的知能といった観点から,生身の人間と同等かそれ以上のパフォーマンスが期待できる可能性がある.一方,情意的な支援や情報の正確性においては課題があり,生成AIの利用に伴うリスクを踏まえつつ,児童生徒が適切かつ効果的に活用できるような指導方法の確立が求められる.
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―ジョナセンの「多様な視点を持つケース」をベースに―
竹岡 篤永, 根本 淳子, 高橋 暁子, 市川 尚, 鈴木 克明
2025 年 2025 巻 1 号 p.
227-230
発行日: 2025/05/24
公開日: 2025/05/27
研究報告書・技術報告書
フリー
PBLなどで扱われる非構造化問題を中心にした学習設計を検討するため,ジョナセンの「多様な視点を提供するケース」について検討した.構造化問題と非構造化問題の特徴を踏まえ,非構造化問題の設計要件を整理した.その上で,多様な視点には個人の立場だけでなく情報的な側面も含まれることと,非構造化問題の設計要件は,文脈,多様な視点,柔軟な構造であることを明らかにした.
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吉良 絵里
2025 年 2025 巻 1 号 p.
231-234
発行日: 2025/05/24
公開日: 2025/05/27
研究報告書・技術報告書
フリー
現代の労働環境においては,キャリアの構築が個人の主体的な学びと密接に結びついている.組織からキャリア構築についてのサポートがあった際,従業員はどのように行動するのか,今回は所属している法人(介護系)から派遣されたA氏を対象に,どのようにして大学院進学に至ったのか,大学院への進学理由と学生時代の仕事との両立,その学びを現在どう組織運営に活かしているのかを調査する.
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中澤 颯, 上田 達也, 江木 啓訓
2025 年 2025 巻 1 号 p.
235-242
発行日: 2025/05/24
公開日: 2025/05/27
研究報告書・技術報告書
フリー
動画での学習は受動的なため,集中の維持が難しいという学習者が存在する.そこで本研究では,動画プレイヤーにアニマシー知覚を与えることで,学習者の注意喚起を行う手法を提案する.基礎研究として,動画プレイヤーの設計指針を,矩形の様々な動きを見比べる形の調査によって明らかにする.その結果,素早く2回繰り返される動きかつ拡大から縮小する動きが最も厳しい感情を持ち,生き物らしく,強い働きかけを感じさせる動きであることがわかった.
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市川 尚, 根本 淳子, 市村 由起, 阿部 真由美
2025 年 2025 巻 1 号 p.
243-249
発行日: 2025/05/24
公開日: 2025/05/27
研究報告書・技術報告書
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本研究は,AECTの2種類の学術雑誌について,インストラクショナルデザイン(ID)とAIの両方に関連する論文を調査した.過去2年間の論文から17件を選定した.6件は生成AIを扱っていた.論文のカテゴリは,仕事や能力の変化,IDへのAI適用,教育現場へのAIの受容,今後の研究の枠組み,システム開発に整理された.また,特徴的な5件の論文を紹介し,その内容を考察した.最後に,IDの自動化との関係性に触れた.
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後藤 心平, 山田 哲敬, 齋藤 玲
2025 年 2025 巻 1 号 p.
250-254
発行日: 2025/05/24
公開日: 2025/05/27
研究報告書・技術報告書
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選挙における若年層投票率の低迷は,民主主義社会を形成する上での課題である.これに対し,教育現場では十分な主権者教育がなされているとは言い難い.選挙権を持つ大学生の主権者意識向上のための学習は重要だと言えよう.本研究では,ジャーナリストによる政治に関する授業が,大学生の主権者意識向上に影響するかどうか,授業前後にアンケート調査した.その結果,地方政治への信頼度が向上した.一方で,政治家や議会への信頼度等に変化はなかった.
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室林 奏人, 吉野 貴浩, 江木 啓訓
2025 年 2025 巻 1 号 p.
255-260
発行日: 2025/05/24
公開日: 2025/05/27
研究報告書・技術報告書
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本研究では,演習型授業における学生の挙手回数の出現頻度を指標とし,援助要請傾向を客観的に分類する手法を提案する.頻度分布に基づいてWard法で階層的クラスタリングを行い,「挙手多用」「挙手消極」「挙手回避」と仮定した分類を,疑問解決行動に関するアンケートで検証した.その結果,行動ログによる分類は,主観的支援方略との整合性から一定の妥当性が示唆された.
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酒井 浩二
2025 年 2025 巻 1 号 p.
261-268
発行日: 2025/05/24
公開日: 2025/05/27
研究報告書・技術報告書
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本稿は,食品ロス削減を目指した,産学連携先の商品であるゴマプードルを使った商品メニューを2日間の大学祭で販売するPBLを報告する.授業計画は,(1)大学祭の準備,(2)大学祭での出店,(3)取組成果の可視化と発表であった.(1)調理機器や具材の購入・管理,予算管理,看板・チラシの作成,当日の役割分担の検討,などであった.(2)大学祭での出店は2チームで,Aチームは「焼きゴマる」,Bチームは「ごまっフル」の商品メニューを販売し,多くの売上高,利益を得た.(3)個人報告書,チーム成果報告書の作成,学内および連携先企業に成果発表を行った.考察では,大学祭出店を通じたPDCAの推進,連携先企業の重要性,必修科目で推進する意義について議論した.
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梅田 香穂子
2025 年 2025 巻 1 号 p.
269-274
発行日: 2025/05/24
公開日: 2025/05/27
研究報告書・技術報告書
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科学技術イノベーション創出に向け,分野横断型博士課程教育の重要性が高まっている.本会では,医学・薬学・保健学・社会文化学・自然科学の大学院による「Well-Being社会を先導する異分野横断型博士人材育成プログラム」の学生を対象に,教育・支援・学修環境の有効性認識,修得能力の自己評価,「プログラム・教員に対する肯定感」や「研究・キャリアに対する不安」の間の関連の分析結果を報告する.また,研究共有・相対化や異分野教員・職業人等との関わりを通じた学生の気づきの分析経過も紹介する.
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