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園木 裕貴, 齋藤 ひとみ
2023 年 2023 巻 1 号 p.
1-8
発行日: 2023/05/05
公開日: 2023/05/05
研究報告書・技術報告書
フリー
本研究の目的は,理科及びプログラミング学習における児童の問題解決意識を高めることである.この目標を達成するために,「問い,予想,計画,実行,分析,考察」の問題解決学習過程を意識化する手立てとして,問題解決シートへの各段階の記録や,シートを使った振り返りを行う授業を考案した.公立小学校第5学年を対象として,一人一台のタブレット端末を活用した理科及びプログラミング学習の検証授業を実践した.理科では「天気と台風」と「ふりこ」,プログラミング学習では「順次と繰り返し」「条件分岐」で取り組んだ.授業後の考察における振り返りの記述内容とアンケート調査の変容により,分析を行った.その結果,振り返りにおける問題解決の各段階の語句使用において向上が見られた.アンケート調査では6観点のうち,5観点に有意な向上が見られた.よって本実践をとおして児童の問題解決意識が向上することが明らかになった.
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栗山 直子
2023 年 2023 巻 1 号 p.
9-12
発行日: 2023/05/05
公開日: 2023/05/05
研究報告書・技術報告書
フリー
2020年から小学校で必修化したプログラミング教育であるが,小学校段階においてプログラミングを習得するということではなく,プログラミング的思考を行えるようになることが目的とされている.小学校におけるプログラミング学習が,プログラミング技術の習得にとどまらず,他の学習の思考の支援につながる可能性を筆者が行ってきた小学校におけるプログラミングの実践研究より検討する.発達段階に応じた指導内容と小学校のプログラミング教育と中学校の技術科への接続について述べる.
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大林 要介, 大谷 忠
2023 年 2023 巻 1 号 p.
13-16
発行日: 2023/05/05
公開日: 2023/05/05
研究報告書・技術報告書
フリー
現代社会を生き抜くための力として批判的思考の重要性が求められている.楠見は,原子力発電所の事故を例にして,批判的思考を伴うリスクリテラシーの考え方を用いて,情報を批判的に吟味して判断することの重要性を示している.このような考え方は,科学技術のシステムに関する利用のリテラシーを問うものであり,技術科で取り扱う重要な技術の評価・活用に関する現代的な課題であると考えられる.そこで本研究では,批判的思考の観点に基づき,技術の評価・活用における指導の特徴を分析することを目的とした.
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―思考発話法に基づく解答過程の調査から―
小野塚 若菜, 渡邊 智也, 泰山 裕
2023 年 2023 巻 1 号 p.
17-23
発行日: 2023/05/05
公開日: 2023/05/05
研究報告書・技術報告書
フリー
学習指導要領では,資質能力を支える3つの柱のひとつとして「思考力・判断力・表現力等」(以下,思考力)の育成を求めているが,生徒の思考過程を把握して評価することは難しい.そこで本研究では,Can-do statementsで思考力を定義し,教科の学習の中でその思考過程を把握できるようなアセスメント教材を開発し,中学生の解答過程を,思考発話法を用いて調査を行った.発話プロトコルデータの分析の結果,想定していた思考過程で解答していることが示された.
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山本 尚毅, 橋本 敬
2023 年 2023 巻 1 号 p.
24-31
発行日: 2023/05/05
公開日: 2023/05/05
研究報告書・技術報告書
フリー
世界を現在の立場よりも高い視野,すなわちメタ・レベルで見ようとする姿勢である「メタ・オリエンテーション」を動機づける連想ゲームを高校生を対象に実施し改良を重ねている.ルール変更に着目した修正を行い,試行した結果を報告する.30名を対象に実施した結果,ゲームのルールを企画者の視点で考え,さらにゲームの意義を検討する問いかけが,より高いメタ・レベルの思考を促すのに効果的であることが示唆された.
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泰山 裕
2023 年 2023 巻 1 号 p.
32-36
発行日: 2023/05/05
公開日: 2023/05/05
研究報告書・技術報告書
フリー
本研究は,思考ツールポートフォリオの振り返りの観点の違いが思考ツールへの認識に与える影響について検討することを目的とした.教科や思考スキルのタグをつけた思考ツールのポートフォリオを作成し,それをそれぞれのタグで振り返る実践を行った.思考ツールの活用経験を,教科ごと,教科等横断的な思考スキルごとに振り返ることで,これまでよりも詳細な振り返りを行うことが可能になり,思考ツールポートフォリオを複数の観点から振り返ることが,思考ツールの汎用性や使い分けに関する認識に影響を与えることが明らかになった.
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西村 龍之介, 居原田 梨佐, 菅本 祐也, 石井 裕, 望月 俊男, 江木 啓訓
2023 年 2023 巻 1 号 p.
37-43
発行日: 2023/05/05
公開日: 2023/05/05
研究報告書・技術報告書
フリー
本研究では,議論参加者の発話量に基づいて参与をはたらきかける議論支援エージェントシステムを提案する.音声入力から各発話者の累積の発話率を算出し,ホログラフィックエージェントを通じて働きかけを行う.提案システムによる介入が議論参加者および議論全体に及ぼす影響を分析することを目的として評価実験を行った.実験の結果から,エージェントによって発話の偏りが緩和されることが示された.さらに,コミュニケーション能力アンケートの結果と,発話率や働きかけの効果の大きさに関係がある可能性が示唆された.
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梅田 恭子, 山本 大聖
2023 年 2023 巻 1 号 p.
44-50
発行日: 2023/05/05
公開日: 2023/05/05
研究報告書・技術報告書
フリー
本研究では,1人1台端末を用いてクラウド環境で算数の作問演習の宿題を課す実践を行い,他者参照の理由や行動を分析した.その結果,他者参照の理由を6つに分類することができた.具体的には,内容の一部や解き方がわからないときに参考にしたり真似したりするために,復習や確認のために,より応用的な問題や解説をするために等,向上的な目的や気持ちを持って参照していることがわかった.また,「役に立った」「頑張ろうと思う」という肯定的な感想が半数以上の児童から得られた.
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村重 慎一郎, 早原 利香, 鈴木 愛彩, 新村 綾菜, 澁倉 陶子, 亀井 由衣
2023 年 2023 巻 1 号 p.
51-56
発行日: 2023/05/05
公開日: 2023/05/05
研究報告書・技術報告書
フリー
現代のイノベーションにはデジタル知識・スキルの活用は必須であるが,デジタルはツールであり,活用するための思考プロセスが本質的に重要と考える.大学生主体のNPO法人STEM Leadersでは,デジタル介護などの社会課題解決プロジェクトを実践しており,そこで得られた思考プロセスをモデル化し,自治体と連携した長期ハッカソンを企画運営してきた.その実践報告に加えて,社会課題解決を通じたスキル・マインドセットの成長度合いの評価方法・分析結果についても発表したい.
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藤浦 五月, 宇野 聖子
2023 年 2023 巻 1 号 p.
57-62
発行日: 2023/05/05
公開日: 2023/05/05
研究報告書・技術報告書
フリー
本実践では,レポート評価活動において,「①Aさんのレポートについて,読んでいて感じた疑問点やもっと知りたいと感じたことを書いてください,②Aさんのレポートをよくするためにアドバイスをお願いします」という2種類の指示文でそれぞれコメントを求めた.各指示のコメント(46名分)をKHコーダーを用いて分析したところ,①のコメントでは内容面に,②の指示では形式に注目される傾向があることが明らかになった.
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玉有 朋子, 森口 茉梨亜, 有廣 悠乃, 北岡 和義, 寺田 賢治
2023 年 2023 巻 1 号 p.
63-68
発行日: 2023/05/05
公開日: 2023/05/05
研究報告書・技術報告書
フリー
徳島大学 高等教育研究センター学修支援部門創新教育推進班では,学部学科の分野を横断する自主的なプロジェクト活動を支援している.新型コロナウィルスの世界的流行により,2020年度以降の対面活動が制限された結果,プロジェクト活動に停滞が起こった.停滞した活動を支援するために,可視化や思考支援のワークショップを実施した結果,学生間の関係性が改善する傾向が示された.
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森口 茉梨亜, 日下 一也, 浮田 浩行, 金井 純子, 寺田 賢治
2023 年 2023 巻 1 号 p.
69-76
発行日: 2023/05/05
公開日: 2023/05/05
研究報告書・技術報告書
フリー
徳島大学高等教育研究センター学修支援部門創新教育推進班では,ものづくりを基礎とした学生の主体的なプロジェクト活動を通じて,創造的な能力や実践的な態度,社会性の育成を目指している.それらの能力について,学生自身がどのように認識しているかを確認するため,能力自己評価アンケートを実施している.2022年度に行われたアンケート結果を基に学生の能力の自己評価の変化について分析した結果,プロジェクト活動の経験や外部とのかかわりが自己評価に影響していることが示唆された.
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尾関 基行, 山本 あすか
2023 年 2023 巻 1 号 p.
77-83
発行日: 2023/05/05
公開日: 2023/05/05
研究報告書・技術報告書
フリー
2022年11月に公開されたChatGPTの高い性能と利便性は教育現場においても看過できないとして,その活用方法や懸念点に関する議論が早速始まっている.本研究では,少人数の遠隔グループディスカッションにおいて,1. ChatGPTを各自で利用,2. 一人が画面共有してChatGPTを利用,3. インターネット検索のみを利用の3パターンを比較した結果を報告する.
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佐藤 和紀, 若月 陸央, 稲木 健太郎, 久川 慶貴, 泰山 裕, 堀田 龍也
2023 年 2023 巻 1 号 p.
84-89
発行日: 2023/05/05
公開日: 2023/05/05
研究報告書・技術報告書
フリー
情報端末を活用して個別最適な学びに取り組む児童の意識について8学級243名の児童を対象に,学習の進め方や学習方略に関する調査を実施した.その結果,①自ら内容や方法を選択しながら学習を行うことを8割以上の児童が肯定的に捉えていること,②情報端末を活用した個別最適な学びの中で,学習を進めることや授業内容の理解ができていると感じている児童は,個々の力や目標達成までの進捗を前提にした上で,クラウドでの授業内容の確認や学習方法(問題の種類や方法)の選択,他者参照を行いながら学習を進めている可能性が示唆された.
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坂田 雪菜, 山本 朋弘
2023 年 2023 巻 1 号 p.
90-96
発行日: 2023/05/05
公開日: 2023/05/05
研究報告書・技術報告書
フリー
本研究では,端末を用いた家庭学習において,児童がテーマを自己決定し,学習の成果をまとめられるよう,大学生の運営によるオンラインコミュニティを通して,チャットを用いた学習者間の協働学習を支援した.児童向けの意識調査やチャット上でのやり取りを分析した結果,家庭学習における児童の主体性と協働性で有意な差がみられ,オンラインコミュニティの有効性を明らかにした.また,チャットでは互いに学習内容やスライドへのアドバイスをしている姿が見られた.
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二橋 拓哉
2023 年 2023 巻 1 号 p.
97-104
発行日: 2023/05/05
公開日: 2023/05/05
研究報告書・技術報告書
フリー
本研究の目的は教員間のコミュニケーションを通して教科等横断型授業立案に至るプロセスを明らかにすることによって,教科等横断型授業の立案プロセスへの示唆を得ることである.そこで教科等横断型授業に課題意識を持つ教員6名を対象にインタビュー調査を実施し,その逐語録を修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチ(M-GTA)を用いて分析した.その結果,以下の点が明らかになった.1)教員が教科等横断型授業に課題意識を持つのは,生徒が抱える多様な課題に対応し,彼らのためになる授業を提供したいという使命感からだった.2)教科等横断型授業の立案プロセスにおいて,横断する教科は,教員間の人間関係が構築される中で決定された.3)教員間のコミュニケーションの中で,一貫して「生徒のために良い授業がしたい」という思いがあり,立案プロセスの中で「そのために自分は何ができるのか」が明確になっていく.
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小清水 貴子, 藤木 卓, 室田 真男
2023 年 2023 巻 1 号 p.
105-111
発行日: 2023/05/05
公開日: 2023/05/05
研究報告書・技術報告書
フリー
授業におけるICT活用では,教師の「ICT活用に向かう姿勢」が重要である.本研究では,ICT活用推進リーダー教員対象の集合研修と,教員養成課程学生対象の模擬授業を取り上げ,授業者の「ICT活用に向かう姿勢」の特徴について考察することを目的とする.その結果,授業者の「ICT活用に向かう姿勢」は,学習場面の違い(一斉学習と個別学習)により,異なる活用意図(授業者が教師目線でとらえた有用感と授業者が学習者目線でとらえた有用感)に整理されることが示唆された.
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佐藤 智文, 吉中 貴信, 平野 智紀, 山本 良太, 石橋 純一郎, 杉本 昌崇, 山内 祐平
2023 年 2023 巻 1 号 p.
112-118
発行日: 2023/05/05
公開日: 2023/05/05
研究報告書・技術報告書
フリー
川崎市教育委員会により行われた教員調査に基づき,GIGAスクール構想におけるICT活用の小学校・中学校比較を行った.その結果,端末整備後のICT活用は両校種ともに向上していること,授業での活用場面においては小学校の方が進んでいること,ICT利用の指導は小学校と中学校で力点が異なることが分かった.またICT活用高低群の比較では,実験や観察等の手順説明や発表場面は小学校で活用されやすいこと,教師の課題提示や学習理解の深化,子ども同士の相互学習に関しては,小中で同程度であることが分かった.
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Jumpei Tokito, Nguyen Thi Mai Huong, Nguyen Thi Cam Huong
2023 年 2023 巻 1 号 p.
119-124
発行日: 2023/05/05
公開日: 2023/05/05
研究報告書・技術報告書
フリー
Vietnam and Japan have had a long-standing relationship, with cultural and economic ties dating back to the 16th century. In recent years, Vietnam has looked to Japan as a model for education, as Japan has a reputation for having a high-performing education system. The purpose of this study was to compare and contrast previous research in English language education in Japanese and Vietnamese high schools and to explore useful findings for both countries. The authors reviewed and organized previous research in English language education, looking more closely at teaching English speaking skills in both countries since 2017 when reforms in curriculums, textbooks and teaching methods started to be launched in both countries. The results showed that although a lot of efforts have been made for improving English competencies of EFL students in both countries, both Japan and Vietnam have relatively low level of English, especially in speaking skills, compared to the rest of the world. This finding calls for empirical research in English education in both countries to shed light on the most appropriate methods for improving English competencies of EFL students in both countries.
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草本 明子, 東條 光利, 水谷 年孝, 高橋 純
2023 年 2023 巻 1 号 p.
125-132
発行日: 2023/05/05
公開日: 2023/05/05
研究報告書・技術報告書
フリー
最適解が明確でない課題への取り組みに他者参照を日常的に活用している学級を対象として,他者参照に関する実態を調査した.結果,他者参照する理由として,課題を進めることへの困難を解決することだけでなく,自己成果の向上を意図していることが明らかになった.また,他者参照されることに対して否定的な意識を抱いている生徒は6.4%であった.他者参照された相手へのアクションを求める傾向は小さい一方,他者参照により,学習者が協働感覚を得ている可能性が示唆された.
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池尻 良平, 澄川 靖信, 豊野 勇紀, 高田 彰一, 逆瀬川 愛貴子, 山内 祐平
2023 年 2023 巻 1 号 p.
133-140
発行日: 2023/05/05
公開日: 2023/05/05
研究報告書・技術報告書
フリー
近年,グループワークにおける教師の適切なモニタリングの重要性が高まっている.しかし,モニタリングの情報として重要なグループの会話データを収集した上で,学習上重要な情報として可視化するシステムは少なく,それが教師のモニタリングに与える影響は明らかにされていない.そこで本研究では,支援が必要なグループワークを判定するシステムは,教師の授業中のモニタリングにどのような影響を与えるかを調査した.システムについては,グループの会話の停滞度合いを判定できるSumikawa et al.(2022)および池尻ほか(2022)のシステムを用いた.小学校5年生の社会科の授業を対象に,本システムの有無で教師のモニタリングを分析・比較した結果,議論の停滞度合いをもとにしたモニタリング対象の変化と,クラス全体の議論の停滞度合いに関するモニタリングと全体への介入に影響があることが確認された.
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稲木 健太郎, 泰山 裕, 久川 慶貴, 佐藤 和紀
2023 年 2023 巻 1 号 p.
141-144
発行日: 2023/05/05
公開日: 2023/05/05
研究報告書・技術報告書
フリー
本研究は,探究的な学習の指導頻度による「課題の設定」の指導に対する教師のイメージの違いを調査することを目的とした.調査協力の得られた教師32名に対して質問紙調査を行い,指導頻度(高頻度群・低頻度群)ごとに分析した.その結果,いずれの群も4つの学習過程の中で「課題の設定」の指導に対して最も困難さを感じていること,高頻度群では「課題の設定」の主体が学習者中心として,低頻度群では教師中心としてイメージされていることが示唆された.
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有村 美英, 山本 朋弘
2023 年 2023 巻 1 号 p.
145-150
発行日: 2023/05/05
公開日: 2023/05/05
研究報告書・技術報告書
フリー
本研究では,小学校算数科の図形領域の学習において,ドローンを活用したプログラミング体験を取り入れて,空間の中にあるものの位置をドローンで表す授業を実践し,空間にあるものの位置の表し方についての理解が深まるかを検証した.その結果,授業実践前と授業実践後に行った児童向けアンケートでは,活用への気付き等の項目で有意な差が見られた.自由記述を分析した結果,空間の位置をドローンで表すことができることに驚いた,ドローンが身近で活用されていることを知ることができた等の記述が見られた.児童は授業後,空間にあるものの位置の表し方についての理解が深まり,授業前よりも身近な生活でのドローンの活用に気付いたことが示された.
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八木澤 史子, 安里 基子, 堀田 龍也
2023 年 2023 巻 1 号 p.
151-154
発行日: 2023/05/05
公開日: 2023/05/05
研究報告書・技術報告書
フリー
本研究では,学習指導案を対象とした研究で取り上げられている内容や今後の検討課題を明らかにすることを目的として,学習指導案に関する学術論文をレビューした.対象となる論文99件を,論文種,校種,研究の主たる内容に応じて分類した結果,研究の主たる内容については,10種類のカテゴリが生成された.多く観察されたカテゴリは,順に「カリキュラム開発」(19件),「指導内容分析」(17件),「単元開発」(16件),「教材開発」(12件)で,対象となる論文の約半数を占めていた.一方,「変遷」や「意義」など,学習指導案の経緯やあり方に関する研究は,十分に行われていない傾向が示唆された.
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小林 菜々香, 山本 朋弘
2023 年 2023 巻 1 号 p.
155-162
発行日: 2023/05/05
公開日: 2023/05/05
研究報告書・技術報告書
フリー
本研究は,小学校音楽において,ICTを活用した旋律づくりの授業をどのようにデザインするかを検討するために,複数の教材の特徴を比較分析した.Webアプリと,マイコンボードを活用した授業を実践し,授業後の児童向け意識調査と授業時の様子,児童の作品を分析した.得られた結果に基づいて,2つのデジタル教材の特徴を抽出して比較し,一覧表に整理した.その結果,単元の目標や学習内容と教材の特徴の適合性を踏まえて,旋律づくりの授業をデザインしていく必要があることを明らかにした.
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村上 唯斗, 小川 晋, 水谷 年孝, 高橋 純
2023 年 2023 巻 1 号 p.
163-170
発行日: 2023/05/05
公開日: 2023/05/05
研究報告書・技術報告書
フリー
本研究では,クラウドを基盤とした協働学習における生徒の複線化した学習過程の特徴を検討した.結果,調査対象の生徒は最低でも1授業で200字以上の文字入力を行っていた.ただし,生徒1人1人の文字入力のタイミングは異なっていた.他者参照の回数は最も多い生徒で9回であり,全ての生徒のデータを参照してはいなかった.また,他者参照は主に情報の収集の後に行われる傾向が見られた.生徒は学習過程全体にわたり何らかの学習用ツールを活用していた.ただし,生徒1人1人の活用のタイミングと活用するツールは異なっていた.
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文山 知紗
2023 年 2023 巻 1 号 p.
171-176
発行日: 2023/05/05
公開日: 2023/05/05
研究報告書・技術報告書
フリー
自閉スペクトラム症傾向のある生徒らの適応支援を目的として,中学生男子270名を対象に自己評定式自閉症スペクトラム指数(以下SR-AQJとする)及び子どもの主体性尺度の測定を行った.SR-AQJの3因子を基にクラスター分析を行い,類型化した.得られた5クラスターを独立変数として,子どもの主体性尺度の5因子について,それぞれ一要因の分散分析を行ったところ,SR-AQJの想像力のみが高い群において主体性尺度の得点が全体的に高いという結果が得られた.学校適応において,こだわりの強さが強みになる可能性が示唆された.
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〜手計算と表計算ソフトの利用の順序に焦点当てて〜
村松 慶多, 山本 光
2023 年 2023 巻 1 号 p.
177-183
発行日: 2023/05/05
公開日: 2023/05/05
研究報告書・技術報告書
フリー
本研究では数学I「データの分析」で多くの生徒が苦手意識を持つ分散において,2クラスで手計算と表計算ソフトによる算出方法を学ぶ順序を入れ替えて,どちらの算出方法から学習することでモチベーションを高め,学習できるのか検証した.その結果,手計算による算出方法から学習したクラスはモチベーションが低下し,表計算ソフトによる算出方法から学習したクラスはわずかにモチベーションが上昇した.
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江木 啓訓, 上野 真, 吉野 貴浩
2023 年 2023 巻 1 号 p.
184-187
発行日: 2023/05/05
公開日: 2023/05/05
研究報告書・技術報告書
フリー
TAの机間指導における学生への声掛けを促進するシステムを提案し,開発と実践を行った.本研究で提案するシステムは,学生の確認問題や孤独感に対するアンケートに基づき声掛けすべき学生を決定し,該当の学生の座席を声掛けシナリオと学生の個別の学習状況と合わせて表示する.理工系大学の学部1年生を対象としたプログラミング演習の授業において,TAに従来システムと提案システムの両方を使用してもらい,実験を行った.学生への声掛け件数,学生の孤独感に対するアンケート結果から,従来システムと比較して,提案システムが学生への声掛けを促進し,学生の孤独感軽減に寄与する可能性が示唆された.
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―学び直しとのバランスを考える―
神谷 勇毅
2023 年 2023 巻 1 号 p.
188-191
発行日: 2023/05/05
公開日: 2023/05/05
研究報告書・技術報告書
フリー
近年,数理やデータサイエンスなどが一層必要視されている.日本政府も「AI戦略2019[文部科学省]」を始めとする施策を打ち出し,文系,理系を問わず,全ての大学・短大・高専で「数理・データサイエンス・AI」に関する能力習得を求めている.発表者はこれまで,数理工学,統計学といった科目を担当してきた.毎年の受講生の傾向から,数理的関心の向上を授業でどのように組み込むか,数学的知識の学びなおしと授業との並行型学習が鍵になると感じている.本稿は,数理的関心の向上に向ける筆者の取り組みについて報告する.
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川上 祐子, 中村 康則
2023 年 2023 巻 1 号 p.
192-199
発行日: 2023/05/05
公開日: 2023/05/05
研究報告書・技術報告書
フリー
ゲーミフィケーションの教育分野への導入が進んでいる.本稿では,日本の看護教育におけるゲームの導入事例13件を取り上げ,それらを検討した.その結果,ゲーム導入の主な目的は「学習意欲を高めること」「臨床の場に代わる安心安全な試行環境を提供すること」「馴染みがなく複雑な事象を理解しやすくすること」であった.また,単にゲームのみを実施するのではなく,ゲームに併せてグループワークを実施するなど,学びの方向性を教員が統制し,より学びを深化させる工夫も採られていた.
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中村 春菜, 山本 朋弘
2023 年 2023 巻 1 号 p.
200-206
発行日: 2023/05/05
公開日: 2023/05/05
研究報告書・技術報告書
フリー
本研究では,大学生が小学校にオンラインで支援を行い,ネット上のコミュニケーションやトラブルの解決を題材にした授業を実施した.授業後に,参加した児童が家庭で保護者と話し合う場を設定し,授業と家庭との連携を図るようにした.授業前後に実施した児童向け意識調査の項目や自由記述を分析した結果,実践後において,児童と保護者が家庭でインターネット使用のルールやマナーについて話し合う機会が増え,児童の家庭でのルールやマナーについての理解が深まることが示された.
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柴田 美紀
2023 年 2023 巻 1 号 p.
207-214
発行日: 2023/05/05
公開日: 2023/05/05
研究報告書・技術報告書
フリー
昨今の複雑な社会問題に対処するため,大学にはこれまでの伝統的な学問分野を超えた学際的な教育研究活動が求められている.しかし,学際教育研究の必要性は認識されているが,その実践については十分明らかにされていない.そこで,本研究は,国立大学の文理融合を目指す学部に所属する教員が学際教育研究をどのように解釈し実践しているかを調査した.その結果,学部内でも学際性の解釈と実践には分野による相違が認められた.
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―振り返りシートの計量テキスト分析の試み―
伊藤 大輔, 寺西 望, 木村 竜也
2023 年 2023 巻 1 号 p.
215-222
発行日: 2023/05/05
公開日: 2023/05/05
研究報告書・技術報告書
フリー
本研究では,総合的な探究の時間における学習成果を可視化するため,振り返りシートの記述を対象に,計量テキスト分析を試みた.その結果,「学習方法に関する」資質・能力を中心として,「自分自身に関すること」の計画実行及び「他者や社会との関わりに関すること」の協同の視点に関する記述が得られていることが明らかになった.
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中村 瑠香, 手塚 和佳奈, 小松 良介, 棚橋 俊介, 佐藤 和紀
2023 年 2023 巻 1 号 p.
223-228
発行日: 2023/05/05
公開日: 2023/05/05
研究報告書・技術報告書
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本研究は,音声入力を用いた音読練習の継続経験の違いが,児童の音読の技能に与える影響を検討することを目的に,音声入力を用いた音読の継続経験が異なる2学級を対象として実践を行った.各学級の児童は音声入力の有無を選択し,1週間の音読練習に取り組んだ.実践の前後で音読を行い,ルーブリックを用いて自己評価を行った.その結果,①音声入力の継続経験がない学級では,大きな声で読むことにつながること,②音声入力の継続経験がある学級では,児童の意識の変化に特徴は見られないことが示唆された.
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山手 優里, 山本 朋弘
2023 年 2023 巻 1 号 p.
229-235
発行日: 2023/05/05
公開日: 2023/05/05
研究報告書・技術報告書
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本研究では,児童の表現や発信をより深めるために,クラウド環境を用いてデジタル新聞を共同制作し,オンライン上での学校間意見交流を行った.意見交流では,新聞のテキストマイニングを活用し,自分のグループの新聞を分析したり,他のグループの新聞と比較したりする活動を行った.「制作前」と「交流後」において,児童向け意識調査を分析した結果,分かりやすい表現等の項目において有意に高い結果となり,相手に情報を分かりやすく伝えようという意識が高まったことを明らかにした.
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渡邉 光浩, 西久保 真弥, 原 圭史, 堀田 龍也
2023 年 2023 巻 1 号 p.
236-241
発行日: 2023/05/05
公開日: 2023/05/05
研究報告書・技術報告書
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本研究では,初めて1人1台情報端末(以下1人1台)を活用した教師の学級において,総合的な学習の時間でのプレゼンテーションのスライド作成の1か月目と4か月目の授業の変化を分析した,結果,4か月目は,一斉指導の時間の割合が低く,また教師・児童とも,端末の操作などICTに関する発話が少なかった.加えて,児童が受けた支援回数は,教師からは少なく,児童からは変わらなかった.ICT活用が苦手な教師が初めて1人1台の活用を指導する時,それ以前から協働的な学習が日常的に行われていれば,活用の初期段階では,クラウドを協働学習に使わず,スライド作成のような汎用的なアプリケーション(以下アプリ)を単一で活用しても,児童のICT操作スキルが高まると考えられる.
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笠原 秀浩, 高橋 純
2023 年 2023 巻 1 号 p.
242-245
発行日: 2023/05/05
公開日: 2023/05/05
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学校教育において,児童・生徒の心身の健康状態を把握することは,学習状況の把握と同等かそれ以上に重要である.これまで,養護教諭を中心としてこの把握が行われてきたが,最近ではクラウドを日常的に利用できるようになり,より迅速かつ詳細な情報の把握が可能となっている.そこで,本研究では,小学校において日々蓄積される児童の心身の健康状況に関わるどのデータをどのように管理,利活用すると健康課題の解決や養護教諭の仕事量の削減に寄与できるかを明らかにすることとした.その結果,養護教諭の実感としては,従来の紙で情報を集めていたときと比べて,1日あたり約2時間程度短縮することができたとのことであった.また,要配慮児童の発見や情報共有が迅速かつ広範囲に行われ,チームで即座に解決に向けた取り組みが可能になることが示唆された.
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松田 稔樹
2023 年 2023 巻 1 号 p.
246-253
発行日: 2023/05/05
公開日: 2023/05/05
研究報告書・技術報告書
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本研究では,縦糸・横糸モデルに基づき開発された問題解決型学習用のゲーミング教材について,実践で得られたログを分析し,その結果を学習者への指導に活用したり,教材の改善や論文作成に活用するなど,教育・研究活動を促す方策を考える.そのために,有用な分析方法を検討し,それを支援するツールを開発する.なお,IAGの機能をフルに活用して教材開発できるユーザは,独自の分析プログラムを自作できると想定されるため,本稿で開発するツールは,教材開発支援用のテンプレートを活用して開発された教材を対象とする.考察の中では,評価方法を考慮した上で,テンプレートを改善することも検討する.
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正司 豪, 尾澤 重知
2023 年 2023 巻 1 号 p.
254-260
発行日: 2023/05/05
公開日: 2023/05/05
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本研究の目的は,学際系学部学生が,いかに大学4年間の授業や研究等における学びを統合し,研究観を変容させたかのプロセスを検討することである.大学生4年生6名を対象に半構造化インタビューを実施し,TEAによる分析を行った.その結果,本研究協力者は,大学入学後,授業履修により興味を明確化し,ゼミを志望する中で教員の研究観等への共感により一つのゼミを選択していた.また,ゼミで研究を進める過程でゼミ内外でロールモデルを発見しながら,研究の成果物を元に教員や先輩等からのフィードバックを統合し卒業研究を書き終えていた.その後,卒業研究以後の研究において研究の自分ごと化を踏まえた次の研究を志向することが示唆された.
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―コンピテンシー・ベンチマーク策定に向けた基礎的検討―
石井 雄隆
2023 年 2023 巻 1 号 p.
261-267
発行日: 2023/05/05
公開日: 2023/05/05
研究報告書・技術報告書
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近年,高等教育におけるリーダーシップ開発は全国の大学で普及が進んでおり,その効果測定も進められている.リーダーシップの能力測定には長い歴史があり,リーダーシップ自体を探究する研究とリーダーシップ開発を念頭に置いた研究の二つの領域が存在する.本研究では,これまでのリーダーシップ研究及びリーダーシップ開発の測定に関するレビューを行い,高等教育におけるリーダーシップ開発を目的とした質問紙開発への基礎的検討を行う.
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―九州大学共創学部の事例研究―
李 暁燕
2023 年 2023 巻 1 号 p.
268-273
発行日: 2023/05/05
公開日: 2023/05/05
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近年,学際教育を掲げる日本の大学が増えてきた.筆者の調査しているところでは,その教育方法は教員の経験知に負うところが大きく,教育方法の基盤となる理論は存在していない.本研究では,九州大学共創学部を事例研究にして,学際教育を行う社会的背景・教育方針・教育目標を考察し,また共創学部の専任教員を対象に聞き取り調査を行った.これらの調査によって,大学の教育現場における「学際教育」のイメージを明らかにし,また,各教員が学際教育をどのように実践しているのかを明確にすることで,学際教育遂行の条件,及びそのプロセスで知識がどのように統合されているかを論述する.
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