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北澤 武, 小川 圭美
2024 年 2024 巻 3 号 p.
1-4
発行日: 2024/10/12
公開日: 2024/10/16
研究報告書・技術報告書
フリー
本研究は,小学校高学年を対象に,テキスト生成AIと画像生成AIを用いて,プロンプトとAI生成物の関係について体験的に学ぶ授業を実践した.授業の前後で,生成AIに対するイメージについて自由記述で回答させた結果,事前では便利で人間よりも知能が高く,頭が良い機械のようなイメージを抱いている児童が一定数存在した.事後では生成AIの能力には限界があり完璧ではないこと,生成AIの情報を鵜呑みにしないこと,プロンプトとして適切な情報を入力することが重要であることなどを認識している児童の存在が明らかになった.
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澤井 一慶, 新井 一成
2024 年 2024 巻 3 号 p.
5-8
発行日: 2024/10/12
公開日: 2024/10/16
研究報告書・技術報告書
フリー
横浜市立緑園西小学校(西小)では2021年にタブレット機器が生徒全員に配られた.当初西小では,社会の時間や総合の時間を中心に調べることに使っていた.翌年からは家に持ち帰るなどが可能になったり係活動の使用も許可され使用頻度が高くなった.しかし,クラブ等の自主的なものや特殊なもの以外ではプログラミング教育に使用されず,私はこれを由々しい事態だと考え今回の研究でどのようにすれば難しいことをせずプログラミング学習を一般化できるかを考え,その教材とカリキュラムが実現可能か調べた.
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大沼 宙生, 遠海 友紀, 嶋田 みのり, 稲垣 忠
2024 年 2024 巻 3 号 p.
9-16
発行日: 2024/10/12
公開日: 2024/10/16
研究報告書・技術報告書
フリー
近年,初年次教育において,学習者に自己調整学習を促すことが求められている.本研究では,学習者のメタ認知的方略の使用を促進するため,生成AIを用いた対話型振り返り支援システム「Ref-Layers」を開発し,「Ref-Layers」から初年次教育科目を受講する学習者へ,学習者ごとに個別の助言を与えた.その結果,「Ref-Layers」との対話は,学習者に対して一部のメタ認知的方略の使用に影響を与える可能性が示唆された.
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向田 識弘, 平林 千恵, 磯部 征尊
2024 年 2024 巻 3 号 p.
17-22
発行日: 2024/10/12
公開日: 2024/10/16
研究報告書・技術報告書
フリー
文部科学省(2023)が発出した暫定的なガイドラインでは,学校教育において生成AIの限定的な使用を求めている.本研究では,生成AIを活用した創造的思考支援ツール「もじもじさん」を開発した.開発したツールは,ユーザの質問と事前設定したプロンプトに対して,生成AIとのAPI連携により,回答を自動生成する.検証の結果,同ツールでは創造的思考を促す助言や逆質問が生成でき,学習課題に沿わない質問には回答を制限できることが確認された.
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山口 大成, 丸山 浩平, 森本 康彦
2024 年 2024 巻 3 号 p.
23-28
発行日: 2024/10/12
公開日: 2024/10/16
研究報告書・技術報告書
フリー
学習者は自身の学習状況を把握しながら,次の学習に向けた課題や方向性を調整していくために,絶えず自身の学びを振り返ることが求められている.その際,学びでの気づきや大切だと思ったことを踏まえ,学びを教訓化することが重要になる.しかし,次の学びにつながるような教訓化を行うことは容易でない.本研究では,生成AIがeポートフォリオから生成した学習風景画像を用いて,学びの教訓化の支援を行うことを目的とした.本論文では生成AIがeポートフォリオから生成した学習風景画像と学びの振り返りの記述をあわせて見返すことの効果を検証し,その結果を踏まえ,教訓化方法を提案した.
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石原 浩一, 泰山 裕
2024 年 2024 巻 3 号 p.
29-33
発行日: 2024/10/12
公開日: 2024/10/16
研究報告書・技術報告書
フリー
本研究の目的は,小学校低学年の授業で1人1台端末を日常的に活用している教員を対象に,どのような場面でどのような活用を行っているかを調査し,活用の傾向を明らかにすることである.アンケート調査を分析した結果,低学年では主に算数,生活,国語,図工等において,LMS,ホワイトボードアプリ,描画アプリ,カメラ機能等が活用されており,教科によって活用しやすいアプリや活用方法の傾向に違いがある可能性が示唆された.また,日常的に指導を行っている教員は,基礎的な情報活用能力についてより早い時期での指導を想定していることが確認された.
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甲斐 晶子, 白澤 秀剛
2024 年 2024 巻 3 号 p.
34-41
発行日: 2024/10/12
公開日: 2024/10/16
研究報告書・技術報告書
フリー
非同期でチームプロジェクト業務を行う学生スタッフを対象に,チームプロジェクトの流れや共同作業を疑似体験できるボードゲーム型研修を設計・実施した.研修直後のリアクション評価からは,参加者にとって本研修が魅力的で満足度も高く,学習目的である不安の解消やサポートの必要性,チームワーク,役割分担,スケジュール意識,タスク管理の重要性を学んだことが伺えた.一方で,他者のサポート発言には有益さが感じられにくい参加者がおり,サポート内容の発想を支援する必要性が示唆された.
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―「読むこと」領域における自己効力感の高まりをめざして―
山下 志織
2024 年 2024 巻 3 号 p.
42-49
発行日: 2024/10/12
公開日: 2024/10/16
研究報告書・技術報告書
フリー
本研究は,オンライン補習授業校児童のための授業をデザインし,その授業の有効性を検証することを目的とした.授業デザインにおいては,継承日本語学習者が苦手とする「読むこと」領域における自己効力感の高まりをめざし,自己調整プロセス(木村2022)を活用した.アンケートの評価,児童の振り返りの解釈,授業記録の分析,教師のフィールドノートの解釈から,自己調整プロセスを活用した授業デザインが補習授業校児童の自己効力感の高まりに有効であることが示された.
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平岡 斉士, 長岡 千香子
2024 年 2024 巻 3 号 p.
50-57
発行日: 2024/10/12
公開日: 2024/10/16
研究報告書・技術報告書
フリー
マンガとゲームの特性を学習教材としての活用を前提として比較した.その結果を踏まえて,ゲーム内でのプレイヤーの行動選択によってストーリーが変化するノベルゲーム型教材に注目し,知的技能の学習を支援するノベルゲーム型のゲーム教材の設計フレームワークを提案した.提案したフレームワークに基づいて,生成AIにゲームの設計案を作成させ,それを踏まえて設計フレームワークの改良方針を検討した.
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山口 拓哉, 山口 麻美, 立石 力斗
2024 年 2024 巻 3 号 p.
58-64
発行日: 2024/10/12
公開日: 2024/10/16
研究報告書・技術報告書
フリー
本研究は地方自治体の教育センター等が実施する特別支援教育におけるICT活用指導研修の現状と課題を明らかにすることを目的とし,令和6年度に各自治体で実施された研修について調査した.調査の結果,特別支援教育におけるICT活用指導研修が5.7%であったことや特別支援教育におけるICT活用指導研修の内容の傾向が明らかになった.また,特別支援教育関連の研修は,機器の操作についての研修が最も多く,教科に関する研修と情報モラルに関する研修が少ないことが分かった.
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小林 由征, 貴志 浩久, 田村 仁志, 不破 輝彦
2024 年 2024 巻 3 号 p.
65-69
発行日: 2024/10/12
公開日: 2024/10/16
研究報告書・技術報告書
フリー
技能検定や技能五輪の電子機器組立て職種において,はんだ付け作業は製品の品質を左右する重要な技能である.はんだ付け作業を指導する際,はんだごての当て方やタイミングなどは暗黙知であるが故に抽象的な教え方となっている.そこで本研究では,作業者がはんだごてを介して基板に加える力に着目し,基板への力の加え方を計測,解析し,定量化することを目的とする.技能検定3級基板を用い,熟練者と初心者を被験者として計測し,力の加え方について解析を行った.その結果,初心者より熟練者の方が基板に対して垂直に加える力が大きいことを定量的に示した.
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房前 千里, 山崎 智仁
2024 年 2024 巻 3 号 p.
70-73
発行日: 2024/10/12
公開日: 2024/10/16
研究報告書・技術報告書
フリー
小学校の自閉症・情緒障害学級において,AIロボットを活用したコミュニケーションスキルや対人応答スキルの向上を目指した支援を行った.ロボットを介入したコミュニケーション場面を設定することで,児童が自発的にロボットを自分のそばに移動させ,ロボットを介した会話による友だちとのコミュニケ―ションが成立するようになった.ロボットとの関わりは,発達障害児のコミュニケーションや対人応答スキルの向上に寄与することが考えられる.
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山崎 智仁, 熊南 真人
2024 年 2024 巻 3 号 p.
74-78
発行日: 2024/10/12
公開日: 2024/10/16
研究報告書・技術報告書
フリー
知的障害特別支援学校中学部において,AIロボットを学級に設置することで子どもたちのコミュニケーションにどのような効果があるのかを検討した.ロボットを導入した際には,興味深くロボットを眺めたり,教師からのロボットの説明やクイズに対して応答したりする生徒の姿が見られた.ロボットと関わり合う際は,撫でることしかできなかった生徒が友達に促されることで抱っこしたり,自発的に友達と関わることが少ない生徒が友達にジェスチャーを行うことでロボットを受け取ったりする様子が見られるようになった.学級にロボットを設置することは,知的障害児のコミュニケーションのきっかけとなり,コミュニケーション支援に寄与することが考えられる.
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安里 基子, 堀田 龍也
2024 年 2024 巻 3 号 p.
79-86
発行日: 2024/10/12
公開日: 2024/10/16
研究報告書・技術報告書
フリー
本研究では,安里・堀田(2024a)が示した小学校の社会科教科書に掲載されているQRコードからリンクしている学習コンテンツ(QRコンテンツ)の分類結果を,学年別,教科書会社別に分類し,それらの結果を比較した.その結果,中学年では読解を支援するQRコンテンツの割合が高く,高学年では情報収集を支援するQRコンテンツの割合が高いこと,A社,B社のQRコンテンツは約200件であるのに対して,C社のQRコンテンツは約500件であることなどが確認された.
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若林 雅子, 稲垣 忠
2024 年 2024 巻 3 号 p.
87-94
発行日: 2024/10/12
公開日: 2024/10/16
研究報告書・技術報告書
フリー
本研究では,若林・稲垣(2024b)が仙台市立X小学校向けに開発した「保護者向けGIGAスタンダード教育プログラム」を実践し,学習会直後のアンケート結果,事後インタビューをもとに評価をおこなった.学習会直後のアンケートは好意的な回答が多く見られた.プログラムやアンケート内容,2回目以降に保護者が受講する際に取り入れてほしい内容について改善点が挙げられた.事後インタビューでは,保護者から子どもへの声掛けや見守りについての変容が明らかになった.
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柳瀬 颯, 永原 健大郎
2024 年 2024 巻 3 号 p.
95-102
発行日: 2024/10/12
公開日: 2024/10/16
研究報告書・技術報告書
フリー
本研究では,高等学校工業科で行われる「課題研究」において,生徒の研究活動と経験の浅い教師の指導を支援するシステムの開発を目的とする.技術書や豊富な指導経験のある教師の知識をデータベース化し,その情報にアクセスする手段として生成系AIであるChat GPTを活用する.情報の収集・整理・データベース化の方法を検討し,現場での運用と有効な情報提供の要件を明確にする.この研究を通して,教育分野におけるAI活用の具体的な実装可能性を探るものである.
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繁浪 寛之, 谷塚 光典, 森下 孟
2024 年 2024 巻 3 号 p.
103-108
発行日: 2024/10/12
公開日: 2024/10/16
研究報告書・技術報告書
フリー
本研究は学生の持つCBTに対するイメージ,メリット・デメリットに感じている点に関する調査である.先行研究では,CBTに対しマイナスなイメージを持つ学生の割合は低いという結果であった.本研究では,GIGAスクールによる一人一台端末やコロナ渦などを経験した現在の学生の持つイメージやメリット・デメリットがどのようなものかを調査をしたが,先行研究の結果との大きな違いは現れず,CBTに対するマイナスイメージを持つ学生の方が低い割合であった.
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殿村 英嗣, 小柳 和喜雄
2024 年 2024 巻 3 号 p.
109-114
発行日: 2024/10/12
公開日: 2024/10/16
研究報告書・技術報告書
フリー
本研究は,校務DXが進む中で,公立小学校の教師Aを対象に,誰が誰にどのメディアを使ってどのような情報を共有しているのかの実態把握を目的として調査を行った.その結果,9つのメディアが利用されており,情報共有の範囲によって利用するメディアが変わること,調査時期によって情報の重要度や緊急性が変わることが分かった.しかし,学校規模や自治体によってツールが異なることも踏まえると調査方法をより工夫する必要があった.そのため,今回の調査結果から,メディアによる情報共有の実態をより明らかにしていくための新たな調査方法を検討した.
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―小学校のプログラミング教育の事例―
栗山 直子, 佐藤 樹
2024 年 2024 巻 3 号 p.
115-118
発行日: 2024/10/12
公開日: 2024/10/16
研究報告書・技術報告書
フリー
東京科学大学の大学院の教職科目「学校インターンシップ専修I・II」では,大学院生が近隣の小学校にインターンシップに行き,履修学生の専門を活かした出前授業などを行っている.本発表は「学校インターンシップ専修I・II」におけるプログラミングの授業を例に取り上げ,履修学生が小学校教諭からのアドバイスを取り入れ,指導計画をどのように構築したか,実際の指導計画と実践について紹介する.また,このように大学院生の学校現場でのインターンシップ可能性についても検討を行う.
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新井 一成, 澤井 一慶
2024 年 2024 巻 3 号 p.
119-125
発行日: 2024/10/12
公開日: 2024/10/16
研究報告書・技術報告書
フリー
本研究はプログラミング教育の授業実践である.GIGAスクール構想によって一人一台のタブレット端末が必携化されたものの,依然としてその運用状況には課題が残る.著者は近年必修化されたプログラミング教育に着目した.プログラミング教育においては外部講師の活用が叫ばれており一部自治体ではITエンジニアの積極的な参画がなされているが,学校が管理するPCを使って外部講師が学習支援する際にはさまざまな課題がある.
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―プログラミングを利用した修学旅行での課題解決―
加藤 明良, 和田 重雄
2024 年 2024 巻 3 号 p.
126-132
発行日: 2024/10/12
公開日: 2024/10/16
研究報告書・技術報告書
フリー
教科横断的学習の一つであるSTEAM教育をさいたま市では全市立小・中・中等教育学校に導入している.その内容は学校ごと様々であるが,教育課程の中で探究的な学びの時間を新たに確保することはカリキュラムオーバーロードとして課題である.そこで,STEAM教育の視点を学校行事である修学旅行に取り入れ,旅行先の課題解決を図る活動を実施した.事後学習では,スクラッチでプログラミングし見学地の地図に調査内容を貼り付け発表会を実施した.学校行事のSTEAM化の成果と課題について報告する.
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真弓 英彦, 村手 真樹
2024 年 2024 巻 3 号 p.
133-138
発行日: 2024/10/12
公開日: 2024/10/16
研究報告書・技術報告書
フリー
本研究は大学の教員養成課程における教育現場でのプログラミング教育に関する実体験を,地域の小学校と連携してプログラミング教育に関するカリキュラムの一環としてフィールドワークを実施した事例報告である.ビジュアルプログラミングの素地を備える児童に対して,フィジカルプログラミング教材を活用した出前授業を実施し,児童を指導した大学生および大学生から指導を受けてプログラミングを体験した児童の振り返りを分析して,その実践による効果や課題を明らかにした.
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町 岳, 白石 裕彦, 伊藤 崇達, 中谷 素之
2024 年 2024 巻 3 号 p.
139-142
発行日: 2024/10/12
公開日: 2024/10/16
研究報告書・技術報告書
フリー
本研究では,小学校外国語科「話すこと(発表)」の授業において,英語スピーチを省察する視点を提示し,ペアの友達と共同で省察することの効果を検討した.ペア学習における発話分析の結果,「量を増やす」コツを活用してスピーチを省察していることや,スピーチを共同省察する発話プロセスの特徴が,自力改善・自律的援助活用・依存的援助活用に分類でき,その割合が一人一人異なるという可能性が示された.
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神谷 勇毅, みやざき 美栄, 田中 裕子
2024 年 2024 巻 3 号 p.
143-146
発行日: 2024/10/12
公開日: 2024/10/16
研究報告書・技術報告書
フリー
筆者らは,Society5.0を迎える社会の中で幼児教育において幼児に対してのICT(Information and Communication Technology)利活用に焦点を当てた研究活動を行っている.幼児に対してのICT保育利活用として,保育室の環境に多大な影響を与える「壁面構成」に着目し,幼児が触ることでイベントが発生する“応答志向型デジタル壁面構成(インタラクティブウォールデザイン)”の開発に取り組んでいる.本稿では,応答志向型デジタル壁面構成の実践を控え,開発した教材の見直しとその改変について報告する.
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七澤 朱音
2024 年 2024 巻 3 号 p.
147-152
発行日: 2024/10/12
公開日: 2024/10/16
研究報告書・技術報告書
フリー
体育科では,1994年に形成的授業評価が公表され現在も活用されている.しかし,現行の評価法は,小学校第3学年以上を対象にしたものであり,低学年は対象に含まれていない.本研究では,小学校低学年を五年間以上担任したことのある教師を対象に,低学年が理解できる設問と調査方法について質問紙調査を行い新しい評価票を作成した.また,児童との質疑応答をまとめ,児童自身が抱く等身大の疑問を把握し,本調査に臨むための基礎資料を得ることとした.
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坂本 誠, 森本 康彦
2024 年 2024 巻 3 号 p.
153-159
発行日: 2024/10/12
公開日: 2024/10/16
研究報告書・技術報告書
フリー
近年,教育現場においても生成AIの利活用が注目されている.本研究では,児童生徒が生成AIを活用して学習に取り組み,学びを促進させることを目的とした.具体的には,児童生徒が学びにおける生成AIの役割を明示的に宣言することで,活用するタイミングや生成AIへのプロンプト,生成AIから出力された回答の受け取り方を考えながら生成AIを活用できるという仮説をたてた.次に,その仮説をもとに児童生徒が生成AIの役割を自ら切り替えながら活用する学習方法を提案し,小学校第6学年の児童を対象に問題解決に取り組む授業実践を行った.その結果,たてた仮説が支持されることがうかがえた.
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藤井 翔子, 山村 千草, 藤津 智, 藤井 亜里砂, 松村 欣司
2024 年 2024 巻 3 号 p.
160-166
発行日: 2024/10/12
公開日: 2024/10/16
研究報告書・技術報告書
フリー
NHKが制作している多種多様なコンテンツを,学校教育や生涯学習などの様々な学びに活用しやすくするために,コンテンツやその関連知識を学びの観点で体系化することを目指している.本稿では,学びに関わる単語の階層関係を構造化したナレッジグラフに基づいて,視聴したコンテンツに対する関連コンテンツを提示する手法を提案する.そして,提案手法を組み込んだ動画コンテンツ選択支援システムを試作し,ユーザ評価実験を実施した.実験では,本提案手法の特徴を明らかにするために,類似性に基づく関連コンテンツ提示手法との比較を行い,本提案手法において,分野やジャンルの多様性につながり,興味の広がりのきっかけを与える効果を確認した.
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都丸 龍也, 狩野 稜己, 池之上 勇斗, 北澤 武
2024 年 2024 巻 3 号 p.
167-174
発行日: 2024/10/12
公開日: 2024/10/16
研究報告書・技術報告書
フリー
中学校第2学年数学「式と計算」の単元の第1節にて,eラーニングを活用し,単元内自由進度学習を取り入れた授業を実施した.本実践の特徴について,生徒の主体的に学習に取り組む態度に関する認識の点から分析した.その結果,生徒から「自分のペースで学習できた」「自分たちで話し合い班のみんなで問題を理解して解決でき,達成感を得られたのが良かった」の意見を得た.また,主体的に学習に取り組む態度を高めることが示唆された.
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家元 瑛基, 池之上 勇斗, 北澤 武, 益川 弘如
2024 年 2024 巻 3 号 p.
175-182
発行日: 2024/10/12
公開日: 2024/10/16
研究報告書・技術報告書
フリー
本研究では,ICT端末を活用した課題や目的に応じた学習活動における児童生徒の情報活用能力と教員のICT活用指導力について,北澤・益川(2023)の尺度を用い経年比較分析を実施した.その結果,小学校高学年児童は情報を整理・分析し,まとめる学習活動,中学校教員は生徒主体の学習活動,小学校教員と中学校生徒は基本機能を活用した学習活動から複数のアプリケーションを組み合わせる発展的な学習活動に対して,実践できるという自認が向上した.
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尾関 基行, 石井 相衣
2024 年 2024 巻 3 号 p.
183-187
発行日: 2024/10/12
公開日: 2024/10/16
研究報告書・技術報告書
フリー
英語の整序問題を扱う学習アプリは存在するが,問題の文章は固定されている.一方,社会人の英語学習では自らが日常的に使う表現を学びたいという要望もあり,問題文は自分で決められるとよい.そこで本研究では,学習者が入力した日本語文を生成AIで英訳し,その英単語を並び替えることで整序問題を自動生成するアプリを試作した.正答したときには入力文の言い回しを少し変えた日本語文を新たに生成して次の整序問題とすることで,通勤電車などの隙間時間にもスマートフォンから手軽に操作できるようにした.
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福岡 史記, 泰山 裕
2024 年 2024 巻 3 号 p.
188-191
発行日: 2024/10/12
公開日: 2024/10/16
研究報告書・技術報告書
フリー
現在,自律的な学習が求められており,それを進めるための学習観やメタ認知が重要とされ,双方の関わりについても研究が重ねられてきている.本研究では,社会科学習に対する学習観のうち,社会科学習の意味の捉え方に注目し,メタ認知や,社会科学習においてICT活用の有用性をどのように認識しているかとの関わりを分析した.この結果,社会科において高次な学習活動を重要視する学習観と,メタ認知が相互に作用している可能性が示された.また,社会科において高次な学習活動を重要視する生徒は,社会科の学習においてICT活用の有用性を認識している傾向が見られ,因果関係がうかがえた.
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―ハイブリッド形式で行うリレー講義「人文学の多面的展開」での工夫―
小林 敬, 長岡 徹郎, 田口 真奈
2024 年 2024 巻 3 号 p.
192-199
発行日: 2024/10/12
公開日: 2024/10/16
研究報告書・技術報告書
フリー
京都大学文学研究科では,2015年から大学コンソーシアム京都におけるリレー講義を授業実践の場として積極的にアクティブラーニングを導入する発展的プレFDプログラムを実施してきた.コロナ禍を経た2021年から2023年までハイブリッド型で授業を行うにあたり,オンラインでのアクティブラーニングの実施を義務づけ,学生の活動デザインなどに取り組んだ.本稿では,オンライン環境でのアクティブラーニングの義務付けという課題がプレFDプログラムにおいて果たした意義を,実際に行ったプログラムでの諸工夫を紹介しながら考察する.
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瀬崎 颯斗, 渡邊 智也, 岩田 貴帆, 小野塚 若菜
2024 年 2024 巻 3 号 p.
200-207
発行日: 2024/10/12
公開日: 2024/10/16
研究報告書・技術報告書
フリー
学習者のフィードバック・リテラシー向上を目指し,フィードバック・プロセスを効果的にデザインする力量として,教員のフィードバック・リテラシーが注目されている.本稿ではその概念に関する文献レビューを実施した.主要な海外研究の動向として,教員のフィードバック・リテラシーは,デザインの側面・関係性の側面・現実的な側面の3要素で構成される概念枠組みの提案を発端とし,教員調査に基づくカテゴリー生成や,質問紙調査・尺度開発を通じた実証研究が試みられていることが示された.
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吉良 絵里
2024 年 2024 巻 3 号 p.
208-211
発行日: 2024/10/12
公開日: 2024/10/16
研究報告書・技術報告書
フリー
多くの大学院は平日の昼間に開講し,学生はフルタイムで授業を受けているが,経営学系を学ぶ大学院の中には,仕事をしながら学ぶ社会人が受講しやすいよう,平日夜間や土曜日日曜日に集中して開講している大学院もある.これらの大学で学んでいる学生は,学費は誰が負担しているのか,またどのような理由で入学を決めたのかを調査し,社会人の大学院での学びについてCOVID-19の影響があったのか,分析を行う.
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河原 弘幸, 佐藤 克己, 大原 佳子, 宮寺 庸造
2024 年 2024 巻 3 号 p.
212-219
発行日: 2024/10/12
公開日: 2024/10/16
研究報告書・技術報告書
フリー
本研究は,科目単位で「学修者本位の教育」を効果的に実現するための因果モデルを提案する.本モデルは,多様な学生が在籍する大学において,個別・層別最適な学修と自学自習の実現を目的とし,教授者の教育活動が学修者の学習活動に与える影響を明確にし,教育活動と学習活動の関係性を明らかにする.因果モデルの開発にあたって,先行研究より各種の活動を抽出し,有向非巡回グラフ(Directed Acyclic Graph: DAG)に相互作用と包含関係関係を追加した.本モデルにより,教授者が効果的に教育活動を展開するための指針を提供することで高等教育の質向上が期待される.
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酒井 浩二
2024 年 2024 巻 3 号 p.
220-227
発行日: 2024/10/12
公開日: 2024/10/16
研究報告書・技術報告書
フリー
本稿では,食品ロス削減を目指した,大学祭での販売を目指した,産学連携先の商品であるゴマプードルを使った商品メニュー企画と販売計画のPBLを報告する.授業計画は,(1)連携先企業とプロジェクトのミッションの理解,(2)商品の試作と改善,(3)大学祭での販売計画であった.(1)では,担当教員の講義,SWOT分析,連携先企業の社員の講義,連携先企業の工場の見学などを行った.(2)では,商品の試作・試食と,評価シートの分析結果に基づく試作品の改良と連携先企業での試食会を行った.(3)では,大学祭での販売に向けた,商品の内容,製造,売上,販売,販売促進などに関する計画を立てた.本取組を通じて,必修科目での産学連携PBLの授業運営法を考察する.
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―大学から社会人二年目までの交差遅延効果モデルでの検討―
武田 佳子, 溝口 侑, 溝上 慎一
2024 年 2024 巻 3 号 p.
228-233
発行日: 2024/10/12
公開日: 2024/10/16
研究報告書・技術報告書
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本研究の目的は,大学4年次から社会人二年目までの初期キャリアにおいて,リーダーシップ自己効力感(leadership self-efficacy)と経験学習(experiential learning)の相互関係を明らかにすることである.大学4年次から社会人二年目までの3時点の縦断データを用いて,交差遅延効果モデルによる分析を行った.その結果,リーダーシップ自己効力感4因子(遂行力・変革力・共感力・鼓舞力)から経験学習へは1時点目から2時点目において正の影響がみられたが,2時点目から3時点では有意な影響が見られなかった.いっぽう,経験学習からリーダーシップ自己効力感へは,4因子共に1から2,2から3時点において有意な正の影響がみられた.
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―通信制大学と通学制大学の曖昧化する境界―
田口 真奈, 小林 敬
2024 年 2024 巻 3 号 p.
234-241
発行日: 2024/10/12
公開日: 2024/10/16
研究報告書・技術報告書
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通信制大学と通学制大学は,教育の方法によって差別化がなされてきたが,その境界は曖昧になりつつある.通信制大学であれ通学制大学であれ,最適な教育方法を検討するためには,その目的をどう捉えるかが重要である.本稿では,オンラインと対面のベストミックスを考えるために,大学のもつ役割を2つに分けて論じた.特に「場所的自己形成」を担う居場所性は,数値化・指標化されにくく,それ故,達成度を測ることが困難であるが重要な役割であることを指摘した.
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夏川 真里奈, 水波 洸, 石黒 千晶
2024 年 2024 巻 3 号 p.
242-249
発行日: 2024/10/12
公開日: 2024/10/16
研究報告書・技術報告書
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近年,大学教育において主体的な学習態度が重視されているが,大学生が受動的な学習者となってしまう生徒化が問題視されている.本研究はこうした問題への取り組みとして,大学生活での主体的な学びを探究する4日間のワークショップを実施した.ワークショップでは,(1)過去の学習を捉えなおす活動,(2)つまらない授業を実施し,学生が主体性の発現させる活動,(3)学生の行動とその意図を4つのパターンに分けて対話活動を行った.その結果,学生が自らの主体的な学習態度や大学での学びについてどのように認識が変容するのかを検討した.
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前田 菜摘, 前田 康裕
2024 年 2024 巻 3 号 p.
250-256
発行日: 2024/10/12
公開日: 2024/10/16
研究報告書・技術報告書
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A高校において「生徒が主体的に学ぶ授業づくり」をテーマとして取り組まれた教科の枠を越えた授業改善研修の試みとその成果について報告する.他教科の実践からの学びを支援するため,コルブの経験学習モデルを参考に「概念化」の過程を意図的に研修の中に取り入れた.教職員へのアンケートと探究部の教員のインタビューから,研修を経て同僚間の関係性の変化や主体的・対話的な実践の広まりがあったことが示唆された.
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真島 顕子, 大墨 礼子
2024 年 2024 巻 3 号 p.
257-263
発行日: 2024/10/12
公開日: 2024/10/16
研究報告書・技術報告書
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本研究では,学習の動機づけと自己調整学習を促す「評価シート」を紹介し,教育効果を検討する.評価シートとは,授業で学習活動に使用する紙媒体のいわゆる成績表である.2024年度の継続的な調査において,学習進度の確認や授業への積極的な参加に対し,先行研究同様90%以上の学生から肯定的回答を得ることができた.また,テキストマイニングによる自由記述の分析からも,評価シートが学習に有効に働くことが窺えた.
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加藤 圭太, 澁川 幸加, 森田 裕介
2024 年 2024 巻 3 号 p.
264-271
発行日: 2024/10/12
公開日: 2024/10/16
研究報告書・技術報告書
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本研究の目的は,公立通信制高校における面接指導の実態を明らかにし,その設計・実践に資する知見を得ることである.公立通信制高校教員2名を対象にインタビュー調査を実施し,M-GTAを用いて分析した.その結果,教員は生徒の多様な学びの困難や制度的制約を考慮し,学校方針や前任者の指導方法を参考にしつつ,限られた情報源から面接指導を発展させていた.自学自習支援だけでなく,協働的な学びに挑戦し,安心して学べる配慮や,面接指導前後の学習支援を含めた多層的な設計・実践が行われていた.
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安武 公一, 井上 仁
2024 年 2024 巻 3 号 p.
272-278
発行日: 2024/10/12
公開日: 2024/10/16
研究報告書・技術報告書
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社会ネットワーク分析(Social Network Analysis: SNA)アプローチによるLearning Analyticsは学習の関係性に着目した,ネットワーク科学の応用研究である.これまでSNAによるLearning Analyticsは多くの成果を挙げてきた.しかしながら,教育工学・学習科学の分野における現行のSNA分析研究には大きな課題がある.それは,第一に,時間概念を無視した静的ネットワークの枠組みで分析していること,第二に,使われているネットワークは1対1のペアワイズな相互作用しか分析できない,古典的なものでしかない,ということである.本研究ではこれらの現在の研究の制約・限界を超える新しい枠組みを提案する.それがHigher-Order Temporal Network Analysisである.この理論的ツールによって,時間の関数としての学習の多体相互作用分析が可能となる.
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長岡 千香子, 古川 雅子, 孫 媛, 林 正治, 朝岡 誠, 重田 勝介, 武田 俊之, 山地 一禎
2024 年 2024 巻 3 号 p.
279-283
発行日: 2024/10/12
公開日: 2024/10/16
研究報告書・技術報告書
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近年,国内の複数の研究・高等教育機関では,学習・教育用コンテンツを,誰でも無償で利用できるOpen Educational Resources(OER)として公開している.これらのOERは各大学が独自に提供するウェブサイト上での公開,各機関のリポジトリ上での公開など,公開方法は多様である.そのため,OERを利用したい教員にとって横断検索が困難な状態であった.そこで本研究では,これらの多様なプラットフォームで公開されているOERのメタデータを自動もしくは手動で収集し,横断検索できる仕組みを構築して「OERリポジトリ試行版」として公開した.さらに,OERのメタデータを永続的に自動収集する仕組みとしてスクレイピング用のプログラムを開発した.
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松田 稔樹
2024 年 2024 巻 3 号 p.
284-291
発行日: 2024/10/12
公開日: 2024/10/16
研究報告書・技術報告書
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歴史教育は暗記に陥りがちとの批判があり,時代の潮流を大まかに捉えることの重要性が指摘される.教職課程でも,教育の歴史・思想を扱う科目(例えば,「教育学概論」)が必須だが,教員採用試験では歴史上の人物や思想の細部を問う問題が出題されがちである.中学校社会科で歴史が公民の基礎に位置づけられるのと同様,公教育を担う教員としての資質・能力を育成する観点からは,歴史の潮流をふまえた社会の見方・考え方を養うことが重要であり,本稿では,Neo教育工学の立場からそのカリキュラム設計を考える.
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黒川 雅幸, 磯部 征尊
2024 年 2024 巻 3 号 p.
292-299
発行日: 2024/10/12
公開日: 2024/10/16
研究報告書・技術報告書
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本研究の目的は,令和4年度に実施したスクールリーダーを対象としたオンデマンド型の研修を改善し,令和5年度における実施の効用を検証することであった.受講報告があった校長,教頭,指導主事,教務主任,校務主任を含む延べ273名のうち,受講者アンケートに回答した延べ243名を分析対象とした.全体的な講座の満足度については概ね高く評価されたものの,昨年度から向上がみられたとは言えなかった.受講者自身による新たな気づきから,本研修での学びの意義が示唆された.
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井上 奈美子, 藤井 厚紀
2024 年 2024 巻 3 号 p.
300-303
発行日: 2024/10/12
公開日: 2024/10/16
研究報告書・技術報告書
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本研究は,大学1年から3年まで段階的に熟達するキャリア教育プログラムの開発を目指した.各授業前後の検証から,1年生ではライフキャリア教育の成果が,2年生の学生同士の協働作業では社会人基礎力の向上が,3年生の企業連携の問題解決演習では自己評価能力の向上が確認された.また,学生主体の学習を促すことで,1人の教員が3科目を運営できる体制を構築することができた.
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木田 孝紀, 姫野 完治
2024 年 2024 巻 3 号 p.
304-310
発行日: 2024/10/12
公開日: 2024/10/16
研究報告書・技術報告書
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教師の学びは,主体的・自律的であることが重視されている.一方で,他律的な側面に着目すると,周囲から与えられる機会や受けられる支援が教師によって異なる現状がある.本研究では,どのような教師が同僚からかわいがられる傾向にあるのかを検討するために,若手教員を巻き込みながら実践を重ねている6名のミドルリーダー教員にインタビュー調査を行った.その結果,かわいがられる教師は「日常実践への意欲」や「困難への直面と開示」,「同僚とのコミュニケーション」や「前向き思考」により,それぞれに対応した異なるタイプの支援を同僚から引き出していることがわかった.
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