保険学雑誌
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2019 巻 , 645 号
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「大規模自然災害とリスクファイナンス」—平成30年度大会共通論題—
  • 石井 隆
    2019 年 2019 巻 645 号 p. 645_1-645_18
    発行日: 2019/06/30
    公開日: 2020/03/26
    ジャーナル フリー
  • 遠山 聡
    2019 年 2019 巻 645 号 p. 645_19-645_22
    発行日: 2019/06/30
    公開日: 2020/03/26
    ジャーナル フリー
  • 黒木 松男
    2019 年 2019 巻 645 号 p. 645_23-645_39
    発行日: 2019/06/30
    公開日: 2020/03/26
    ジャーナル フリー

    大規模自然災害によって,個人の生活にどのような衝撃をもたらすか,その衝撃を緩和する手段として,どのようなものがあるか,その手段が,個人のリスクファイナンスである。個人のリスクファイナンスには,公的支援を経たうえの個人としての防衛手段である。それは,保険や共済が中心となる。すなわち,火災保険,地震保険,建物更生共済,フェニックス共催,民間損保の災害に関する保険である。

    本稿では,上記の保険や共済の現状を紹介し,今後の個人のリスクファイナンスの課題を検討している。その課題として,第1に,大規模洪水リスク・土砂災害リスクが気候変動によって多発・恒常化した場合の対策は必要か,第2に,大規模地震リスクに対して,地震保険,地震補償保険リスタ,火災保険地震危険等上乗せ特約,火災保険地震火災特約などの合計保険金で,住まい・生活の再建に十分か,第3に,大規模地震リスクに対するマンション居住者に地震保険の特有なリスクがあり,地震保険未加入リスク,エレベーターや受水層・高架水槽の付属設備の不担保リスク,地震後の解体売却か,再建かの合意形成ができないリスクがあり,それらのリスクにどのように対処するのかが課題になる。さらに,地震保険の再保険スキームの総支払限度額を超えるリスクに対してどのように対処するのかという課題にも言及している。

  • 野田 健太郎
    2019 年 2019 巻 645 号 p. 645_41-645_47
    発行日: 2019/06/30
    公開日: 2020/03/26
    ジャーナル フリー

    近時の災害の多発などにより企業の事業継続計画(BCP)が注目されるようになった。BCPは当初,防災対策の様相もあったが,最近では経営戦略の一環として位置づけられるようになった。BCPに関しては,議論が始まって10年以上が経過し,その政策や効果について検証すべき時期にきている。大きな課題としては,中小企業の策定率は依然として低い状態にあること,策定したものの実効性に疑問があるものが多いこと,資金面を含めた経営戦略との連携が足りない,といった課題があげられている。

    企業が事業を継続していくためには,オペレーショナルな対策に加え,緊急時の資金面での対応(資金繰り,損益,バランスシート)も含めた幅広い視点での対応が求められる。これらの点は広義の BCPの範疇に入るが,対応が十分とはいえない。

    今後,保険や新しい金融手法などリスクファイナンスの分野の対応をより強化することで,大規模自然災害による事業中断といった大きなストレスがかかる場面においても,生き残ることができる対応力を身に着け,最終的には自社のビジネスモデルや強みを確認することにつなげることが期待される。

  • 村田 毅
    2019 年 2019 巻 645 号 p. 645_49-645_73
    発行日: 2019/06/30
    公開日: 2020/03/26
    ジャーナル フリー

    保険実務に携わる者の立場から企業のリスクファイナンスにおける損害保険の位置づけ,効率的活用等について論じる。企業のリスクマネジメントにおけるリスクコントロールとリスクファイナンスの関係やそれぞれの内容について本講では触れず,リスクファイナンスにおけるリスクの定量的評価と資本コストの考え方から始めた。自然災害に対する損害保険の一般的な担保危険・てん補内容を概説したうえで,損害保険会社における実務も紹介しながら,保険はリスクの分散効果により効率的なリスク処理を提供しうる仕組みであること,(再)保険市場等を通じさらに分散効果を拡大しうること,個々の企業においてもリスク特性を踏まえ,保有と転嫁を組み合わせて効率的なファイナンスを検討し得ることを論じる。

  • 徳井 和久
    2019 年 2019 巻 645 号 p. 645_79-645_92
    発行日: 2019/06/30
    公開日: 2020/03/26
    ジャーナル フリー

    災害列島である我が国は,近年,過去に経験したことのないような大規模自然災害が発生している。東日本大震災以降も大規模な地震,洪水,土砂災害などが全国各地の広範な範囲で発生し,国民生活を脅かしている。

    そのような大規模災害への備えとして,リスクを移転する有効な方法の一つに保険が存在する。国民全般に対して,住宅や自動車等について民間の損害保険が広く普及しているが,農業分野においては,特に農作物や家畜,農業施設に関し,政府は農業共済制度を実施し,これまで農家経営の安定や地域経済の維持に貢献してきた。

    近年は,気象の変化及び作柄の変化により農業災害も多様化してきており,様々なリスクに対応した農業共済制度の改正や収入保険の新規導入などの法律改正が昨年行われた。今回の法律改正の目的は,農業者が農業保険を活用して,「備えあれば憂いなし」の農業生産体制を幅広く構築していこうとするものである。大規模災害が頻発する近年において,「備え」の仕組みや支援が拡充されても,全て出発点である農業者自身の「自助」に対する理解や取り組みなくしては何にもならない。本稿では,この農業経営分野でのリスクファイナンスの変化について,農業者の保険ニーズの変化も交えて紹介,検討を行う。

  • 司会:遠山聡
    2019 年 2019 巻 645 号 p. 645_93-645_109
    発行日: 2019/06/30
    公開日: 2020/03/26
    ジャーナル フリー
  • 鬼頭 俊泰
    2019 年 2019 巻 645 号 p. 645_111-645_132
    発行日: 2019/06/30
    公開日: 2020/03/26
    ジャーナル フリー

    地震デリバティブ取引は契約の条件設定次第で損害保険と同様のリスクヘッジ機能を果たすことができる。一方,地震デリバティブ取引では,補償金の支払いと損害の発生とは関係がないため,契約において設定された支払条件を満たさない場合には,たとえ損害が生じていたとしても補償金が支払われることはない。そのため,地震デリバティブ取引契約においては,契約締結時に設定された支払条件が満たされているのか否か,あるいは契約において設定されていない内容が問題となった場合にどのように当該契約内容を支払条件との関係で合理的に解釈するのかが問題となる。

    本稿では,地震デリバティブ取引契約約定書の契約内容の解釈だけでなく,地震デリバティブ取引の役割・機能にも言及している仙台高判平成25年9月20日を手掛かりに,地震デリバティブ取引が企業のリスクヘッジ方法として妥当性を有するものであるのか検討し,地震デリバティブ取引の支払条件次第では,企業の望むリスクヘッジ方法として不十分となる可能性が存在することを示した。

  • —保険法施行後の立証責任と立証の程度—
    山田 康裕
    2019 年 2019 巻 645 号 p. 645_133-645_156
    発行日: 2019/06/30
    公開日: 2020/03/26
    ジャーナル フリー

    傷害保険の偶然性について,平成13年4月20日最判は,保険金請求者がその立証責任を負担すると判断したが,学説からは,傷害疾病定額保険とその故意免責等の規定が定められた保険法の施行等を踏まえて,同最判は見直されるべきとの主張もなされている。

    そこで本稿では,平成22年の保険法施行後の裁判例において,保険法施行が,約款解釈上,立証責任の所在に影響を与えているか,また,事実認定上,立証の程度に影響を与えているかを検討したが,解釈や事実認定の手法を変更するほどの影響はみられなかった。

    立証責任は約款・保険法の条文構造等から裁判例と同様に保険金請求者負担と解すべきである。立証の程度は事故の客観的状況について立証負担を軽減する裁判例の傾向には賛成であり,それに加えて被保険者等の動機,属性等,被保険者等の事故前後の言動等,保険契約に関する事情も慎重に検討されるべきものと考える。

  • 板東 大介
    2019 年 2019 巻 645 号 p. 645_157-645_186
    発行日: 2019/06/30
    公開日: 2020/03/26
    ジャーナル フリー

    最判H14.10.3(民集56巻8号1706頁)は,保険契約者兼保険金受取人が法人である生命保険契約に関する事案の下で,第三者の故意による免責を認めるための規範を定立した。同最判は「実質的支配」及び「利益享受可能性」という2つの考慮要素に照らして,モラルリスク事案における「実質的当事者」の確定に関する判断基準を示したものと理解することが可能であり,その趣旨は,保険契約者または保険金受取人が自然人である保険契約(個人契約)にも妥当する。同最判の前後の下級審裁判例は,個人契約についても,「利益享受可能性」を基準に「実質的保険金受取人」を認定し,「実質的支配」を基準に「実質的保険契約者」を認定している。後者の判断基準について,私見は,🄐保険契約の締結,🄑保険料の負担,🄒保険金受取人の指定等,を基準とする裁判例を支持する。また,上記の判断基準は,重大事由解除,公序良俗違反が争点となった裁判例にも妥当する。

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