家計分野の保険商品は,社会的ニーズを背景に,新価保険,価額協定保険,評価済保険など保険価額の範囲を変更(拡大)するとともに,消極的利益(費用,責任利益)や付帯サービスの補償など,てん補範囲を拡大してきた。保険価額の定義が商法631条から保険法9条に変更されたことも,今後の保険商品の開発に影響を与えることが考えられる。
そもそも,保険価額については,その対象が多種多様であることや,不動産の価額の特徴などから,社会的に公正とみとめられる評価精度を確保した「客観的な保険価額」を評価することは困難である。
また,損害保険会社等が設定する保険価額評価の方法については,簡易評価基準を設定するなど「評価方法の簡素化の流れ」が進展しており,この評価額を原因として,超過保険や一部保険が生じる問題が散見される。
保険商品の多様化と評価方法の簡素化の流れが進展していくものの,基本となる公序の維持については変わるところがない。
保険者は,これらの問題に対処するため,保険契約締結時における重要事項説明等により,説明責任を履行することで適切に対処していく必要がある。
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