保険学雑誌
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2009 巻, 605 号
選択された号の論文の12件中1~12を表示しています
 
「いま保険とは何かを考える」―平成20年度大会共通論題―
  • 石名坂 邦昭
    2009 年2009 巻605 号 p. 605_11-605_12
    発行日: 2009/06/30
    公開日: 2011/10/15
    ジャーナル フリー
  • 江澤 雅彦
    2009 年2009 巻605 号 p. 605_13-605_32
    発行日: 2009/06/30
    公開日: 2011/10/15
    ジャーナル フリー
    本稿のテーマは,保険と,その類似制度としての共済事業―とりわけ大規模生協共済―との「境界」である。後者は,近年の法律改正等の環境変化により,保険会社にとっての「外部者」から「競合相手」に変化した。こうした新たな段階に達した共済事業は,保険会社に対してそのアイデンティティーを発揮するために,(1)組合員への契約推進の枠を超えた共済・保険に関する幅広い学習機会の提供,(2)共済契約者からの意見反映を通じた「間接的自治の実現確保」に努める必要があろう。
  • ―保険契約の(最大)善意契約性から導かれること―
    梅津 昭彦
    2009 年2009 巻605 号 p. 605_33-605_52
    発行日: 2009/06/30
    公開日: 2011/10/15
    ジャーナル フリー
    「いま保険とは何かを考える」にあたり,保険契約の法的性質に焦点をあて,特に近時あまり強調されなくなったと思われるその(最大)善意契約性を再確認することにより,保険契約のいまあるべき解釈論を展開するためのひとつの視点を提供する。例えば,英国では1766年のCarter v. Boehm 事件判決が保険契約の最大善意(utmost good faith)性を認め,その後の判例においても,特に保険者の最大善意義務違反を認定する判断が続いているところである。すなわち,英国法では保険契約について最大善意性の相互性(mutuality)が確認され,そしてそれは契約の締結時から終了に至るまで契約両当事者に認められる具体的な継続的義務として発現している。そこで,日本法における保険契約についても,その前提となる保険システム自体の特性,いわゆる射倖契約としての特性,そしてその継続的契約あるいは関係的契約としての性格を認め,今一度,(最大)善意契約性を保険契約の性質として再評価することにより,保険者側にそのこと故に具体的義務を課すことを検討すべきである。
  • ―生命保険は金融商品として規制すべきか―
    松澤 登
    2009 年2009 巻605 号 p. 605_53-605_71
    発行日: 2009/06/30
    公開日: 2011/10/15
    ジャーナル フリー
    金融審議会では今後,生命保険業を金融商品取引法の適用対象に取り込んだ,より包括的な横断的投資サービス法制度についての検討を行う予定である。ところで,日本の法令とEU 指令を検討すると,生命保険業と金融商品取引業には,それぞれに特徴的な規制アプローチが存在する。横断的法制度を有する英国でも原則としてEU 指令におけるそれぞれの規制アプローチをそのまま受け入れており,ただし,販売規制についてのみ生命保険商品の持つ投資的性格を踏まえて,金融商品取引業にかかる規制を一部「重ねて」適用している。このような方式は実質的には日本でも導入済みであり,今後,仮に各事業の特性を無視した,規制の共通化ありきの議論がなされるとすれば疑問である。
    一方で,規制を実効化するための制度のうち,たとえば英国に存在するような裁判外紛争処理制度の横断化といった対応は検討対象となりうるが,背景となる裁判制度の相違などをしっかり踏まえた慎重な判断が必要となる。
  • ―資本市場における保険と金融の融合の進展―
    後藤 和廣
    2009 年2009 巻605 号 p. 605_73-605_92
    発行日: 2009/06/30
    公開日: 2011/10/15
    ジャーナル フリー
    「リスク・サービス産業」とは,金融機関等の「業態の垣根」の低下を表象する言葉である。
    金融機関,非金融会社を問わず,リスクを処理する最終的な資金は株主資本である。リスクは最終的には資本市場の投資家により負担される。金融機関の役割はリスクの出し手である非金融会社と投資家との間の導管的な機能を果たすことと言える。
    リスクファイナンシングは,企業が存続していくための資金(リスク・キャピタル)を資本市場から調達できるようにすることであり,企業の財務活動の一部である。リスク・キャピタルは,最終的には株主資本であるが,その代替機能を有する負債資本,そして保険,ART,デリバティブ等のオフ・バランスシート・キャピタルも広義には含まれる。
    「保険と金融の融合」の進展が続く現代,リスクファイナンシングの検討は,リスク・キャピタルの調達コストである資本コストの視点からも行われるべきである。
  • 森本 祐司
    2009 年2009 巻605 号 p. 605_93-605_105
    発行日: 2009/06/30
    公開日: 2011/10/15
    ジャーナル フリー
    本稿は,最近の国際的な会計や規制において検討されている保険負債の評価方法に対する考え方を踏まえた上で,その評価の観点から保険商品の構造を再考し,論点を洗い出そうとするものである。中でも,契約者の解約行動について言及する。このオプションの複雑さが保険負債評価を難しくしているとも考えられるが,そのように複雑になってしまう原因には保険商品の解約返戻金額の規定にあるとも考えられる。本稿では,こうした問題を解決するための解約返戻金額の考え方と,それがなかなか実現しない理由について簡単に整理する。
  • 2009 年2009 巻605 号 p. 605_107-605_120
    発行日: 2009/06/30
    公開日: 2011/10/15
    ジャーナル フリー
 
  • 桑名 謹三
    2009 年2009 巻605 号 p. 605_121-605_140
    発行日: 2009/06/30
    公開日: 2011/10/15
    ジャーナル フリー
    ドイツでは,環境汚染賠償責任保険(EIL)が強制付保化されてから15年以上が経過した。また,日本においても環境政策のツールとしてEIL が有用ではないかとの主張をする論者もいる。しかしながら,ドイツと同様の政策を日本で実施した場合の経済効果を分析した研究は存在しない。
    そこで,本論においては,日本でEIL の強制付保化政策が実施された場合に,当該政策が日本経済に与える効果のうち,損害保険マーケットが受ける影響に特化して分析を行った。本論では,現状のリスクの積上げを保険料に変換するという政策の経済的波及効果を無視した手法と,応用一般均衡モデルを用いて経済の波及効果を勘案した手法の双方により分析を行った。
    結果は,経済の波及効果を無視した手法は,EIL のマーケット規模を過大評価することと,EIL の強制付保化政策が日本の損害保険業にとって,大きなビジネスチャンスとなることを示すものであった。
  • 草苅 耕造
    2009 年2009 巻605 号 p. 605_141-605_160
    発行日: 2009/06/30
    公開日: 2011/10/15
    ジャーナル フリー
    本論では,先ず,信用リスクを5類型に分類してその内容や規模を概観している。又,わが国の信用リスクの総額を2001兆円,民間保険制度の対象となる信用リスクを1262兆円と推定している。
    次に,この信用リスクの転嫁の方法である保証制度や保険制度について概観し,特に保険会社の行う保険制度の内容及び現状について分析している。又,この保険制度の役割についても分析し,保険会社がその役割を果たすための要件を論述している。更に,これらの要件を充足させる上での問題を指摘すると共に信用リスクを担保する保険制度の重要性の認識が必要としている。この民間保険制度によって担保されている信用リスクは未だ30兆円,信用リスク総額の2.4%に過ぎない。保険業界がその負託に応えて,この信用リスクにかかる保険制度を発展させるための方法論を提示して結論とした。
  • 渡橋 健
    2009 年2009 巻605 号 p. 605_161-605_179
    発行日: 2009/06/30
    公開日: 2011/10/15
    ジャーナル フリー
    近年の保険金殺人について,刑事裁判例に基づき,(1)保険金額,(2)加害者と被害者の関係,(3)保険契約加入から犯行までの期間等の観点から分析を行い,その結果(法人契約と個人契約の相違・保険加入期間と犯意形成の関係等)についてモラル・リスク対策への活用策を提言する。
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