創傷
Online ISSN : 1884-880X
ISSN-L : 1884-880X
10 巻, 1 号
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原著
  • ~殿溝皮弁の有用性~
    桒水流 健二, 櫻井 敦, 谷口 智哉, 三谷 寛子
    2019 年 10 巻 1 号 p. 1-7
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/01/05
    ジャーナル フリー
     殿部の創傷に対し,創面環境調整(wound bed preparation,以下WBP)や植皮片固定を目的に,局所陰圧閉鎖療法(Negative Pressure Wound Therapy,以下NPWT)を用いる場合がある。しかし病変が肛門近傍に及ぶ場合,複雑な形状や浸軟でフィルムの固定が不安定となりリークや便汚染が危惧される。今回われわれは,殿部慢性化膿性汗腺炎の治療において殿溝皮弁を併用し,陰圧の維持を良好に行えたため報告する。
     症例は60代男性,殿部慢性化膿性汗腺炎。病変を切除し植皮片をNPWTで固定する際,皮膚欠損部が肛門に近接しNPWTの実施が困難であった。そこで,殿溝皮弁で肛門近傍に安全域を形成することでフィルムの安定した貼り代を確保でき,NPWTを問題なく実施することができた。また肛門周囲が植皮ではなく皮弁で再建されることで,拘縮も起こさず肛門機能も温存された。
     肛門近傍に及ぶ創傷に対しNPWTを実施する際,本法は選択肢の一つとして有用であると思われる。
症例報告
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