創傷
Online ISSN : 1884-880X
ISSN-L : 1884-880X
2 巻, 3 号
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総説
  • ~眼窩ブローアウト骨折手術における有用性~
    橋川 和信, 榊原 俊介, 寺師 浩人, 田原 真也
    2011 年2 巻3 号 p. 97-103
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/07/01
    ジャーナル フリー
     眼窩下壁骨折手術の際に用いる眼窩壁再建材料として,われわれは腸骨髄質をシート状に成形したものを好んで用いており,これまでに自験例を対象とした検討で良好な治療成績を示してきた。本稿では,その手技を示し,眼窩壁再建材料としての有用性について報告する。
     手術手技:1)睫毛下切開から眼窩下壁の骨欠損を明示する,2)腸骨内板から髄質を数mm含む厚さで骨を切り出す,3)皮質をバーで削り,厚さ1~2mmの髄質骨でできたプレート状の移植材料を作製する,4)欠損よりもやや大きく成形したものを眼窩壁に移植するが,特別な固定は行わない。
     腸骨髄質は剪刀で切れるほど軟らかく,適度にしなやかである。さらに,眼窩下壁全域に移植しても耐えうる強度を有している。CTによる観察では,術後数ヵ月で骨化することが示唆されている。きわめて扱いやすいうえに,耐久性のある移植材料であり,眼窩壁の再建材料として有用である。
原著
  • 牧野 太郎, 自見 至郎, 大山 拓人, 衛藤 明子, 高木 誠司, 大慈弥 裕之
    2011 年2 巻3 号 p. 104-111
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/07/01
    ジャーナル フリー
     強酸性電解水(以下,強酸水)は次亜塩素酸を主成分とし,強い殺菌効果を有する一方で有機物に接触すると分解され残留しない。マウス感染創モデルを用い,強酸水による創面の洗浄効果を検討した。
     マウスの背部皮膚を全層切除したのち,黄色ブドウ球菌を播種し,以下の3群に分けた:非洗浄群,生食洗浄群(生食群),強酸水洗浄群(強酸性水群)。低圧洗浄装置を使用し,1日1回,3日間連続で創洗浄を行ったのち,創部組織を検討した。
     強酸水による組織障害は認めなかった。細菌定量検査では,3群間に統計的差はなかったものの,強酸水群が最も少なかった。組織学的検索による菌の分布密度も強酸水群が最も少なく,生食群との間に有意な減少を認め,特にコロニー表面の殺菌・洗浄効果がみられた。
     強酸水は組織障害を起こすことなく,菌の洗浄・殺菌効果を有し,その効果は生食水と同等またはそれ以上が期待できる。
  • 山脇 聖子, 内藤 素子, 吉川 勝宇, 石河 利広, 鈴木 茂彦
    2011 年2 巻3 号 p. 112-117
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/07/01
    ジャーナル フリー
     ケロイドに対する治療で,最も有用であるとされる手術と術後放射線治療の併用療法においてもプロトコルや結果は施設によってさまざまである。治療法を評価するには統一したスケールで評価することが望ましい。そこでわれわれは客観的因子と主観的因子に着目し,簡便なスケールを作成した。客観的因子として赤み,硬結,隆起を,主観的因子として掻痒,疼痛を用い,各項目を点数化し,総合点数にて治療結果の評価を行った。34ケロイド(22症例)を対象とし,われわれのスケールを用いた術後2年時点での治療成績評価では17.6%(6ケロイド)の再発率であった。
     術後6ヵ月で全項目0点 excellent となった15ケロイドで再発をきたしたものはなかった。またいわゆる再発兆候は術後1年以内に生じ,以降の制御の可否が最終結果の良し悪しを決定した。半年ごとに評価を行うことで結果は時期によって変化することが明らかとなり,評価時期の統一の重要性が感じられた。
  • 森脇 綾, 辻 依子, 寺師 浩人, 梶田 智, 田原 真也
    2011 年2 巻3 号 p. 118-124
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/07/01
    ジャーナル フリー
     母趾切断後は残存する隣接趾に claw toe などの変形をきたし,擦れなどの外傷から潰瘍を形成しやすく,隣接趾も切断にいたる症例を経験する。2002年12月~2010年5月に当院で母趾のみの切断を施行した28症例について母趾切断後の隣接趾の変形・潰瘍形成,切断部位との関係性について検討した。母趾切断後28.5%に潰瘍形成を認め,60.7%に隣接趾変形を認めた。隣接趾変形を認めたうち92.8%が中足趾節(metatarsophalangeal joint, MTP)関節を含めた切断後であった。母趾MTP関節を含めた切断では隣接趾変形をきたしやすく,長期的な経過観察と適した足底板,踏み返し制限を目的とした隣接趾の変形予防に対するフットケア,潰瘍再発を防ぐための適したフットウェアの作製が重要と考えられた。
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