強酸性電解水(以下,強酸水)は次亜塩素酸を主成分とし,強い殺菌効果を有する一方で有機物に接触すると分解され残留しない。マウス感染創モデルを用い,強酸水による創面の洗浄効果を検討した。
マウスの背部皮膚を全層切除したのち,黄色ブドウ球菌を播種し,以下の3群に分けた:非洗浄群,生食洗浄群(生食群),強酸水洗浄群(強酸性水群)。低圧洗浄装置を使用し,1日1回,3日間連続で創洗浄を行ったのち,創部組織を検討した。
強酸水による組織障害は認めなかった。細菌定量検査では,3群間に統計的差はなかったものの,強酸水群が最も少なかった。組織学的検索による菌の分布密度も強酸水群が最も少なく,生食群との間に有意な減少を認め,特にコロニー表面の殺菌・洗浄効果がみられた。
強酸水は組織障害を起こすことなく,菌の洗浄・殺菌効果を有し,その効果は生食水と同等またはそれ以上が期待できる。
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