創傷
Online ISSN : 1884-880X
ISSN-L : 1884-880X
2 巻, 4 号
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原著
  • 鳥山 和宏, 亀井 譲, 八木 俊路朗, 佐藤 秀吉, 小野 昌史, 神戸 未来
    2011 年2 巻4 号 p. 141-146
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/10/01
    ジャーナル フリー
     内視鏡を用いた手術は瘢痕を最小限にできる整容的な手技として広く行われているが,組織採取に関する報告は乏しい。そこで,われわれが行ってきた内視鏡下組織採取について,採取組織,採取時間,組織生着,合併症などについて検討したので報告する。1996年から2003年までに30例に行い,採取した組織は大網9例,広背筋弁9例,大腿筋膜6例,空腸5例,腹直筋弁1例であった。採取時間は筋弁で約90分,筋膜約40分であった。大網・空腸では内視鏡下での操作が約30分で,実際の採取は約60分であった。採取した組織の生着に問題はなかった。観察期間は平均18ヵ月であった。術後合併症は頚椎神経不全麻痺,大腿部のしびれ,臍部の縫合不全を各1例認めたが,保存的に治癒した。術後腹部合併症はみられなかった。また,採取部には肥厚性瘢痕を認めず再手術を要する症例はなかった。内視鏡を用いた組織採取は時間がやや延長されるが,採取部の障害を最小限にできることが示唆された。
  • 草竹 兼司
    2011 年2 巻4 号 p. 147-153
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/10/01
    ジャーナル フリー
     近年,高齢化とともにさまざまな合併症をもつ患者の創傷の治療にあたる機会は増えてきている。このような患者の創傷の治療期間は長期化することが比較的多く,その創に感染徴候を認めなくても培養でMRSAを検出することは少なくない。そしてMRSAを検出した創傷に対して外科的治療を行う際に用いる抗菌薬の選択についてはいまだコンセンサスが得られていない。われわれは,創部からMRSAを検出しても局所に感染徴候を認めない創傷(以後,MRSA定着創)13症例の創閉鎖の手術に際して,通常の手術と同様に第一世代セフェム薬を予防抗菌薬として用いて手術部位感染の有無を検討した。結果,12症例は術後にMRSA感染を起こすことなく順調に経過し治癒を得た。1例では術後に皮弁の壊死およびMRSA感染を認めたが,その原因は手技的なものであると考えた。以上より,MRSA定着創の周術期に用いる抗菌薬は清潔手術における通常の予防抗菌薬の使用で十分と考える。
  • 権東 容秀, 松村 一, 今井 龍太郎, 小宮 貴子, 小野 紗耶香, 渡辺 克益
    2011 年2 巻4 号 p. 154-159
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/10/01
    ジャーナル フリー
     ハチミツは日本では食用品以外でのイメージは乏しいのが現状であるが,ヨーロッパやニュージーランドなどで古くから熱傷や創傷に使用され,近年さまざまな創傷被覆剤として開発も進んでいる。今回われわれはこのハチミツを通常の軟膏治療や物理的治療に抵抗した症例に使用し,wound bed preparationに有効か検討した。術後感染創で難治性となった5名と顔面新鮮熱傷の1名に対してハチミツを使用した。すべての症例でハチミツ使用後に滲出の量が減少し,不良肉芽であった創は良好な肉芽となり,細菌量が減少した。ハチミツは (1) 高浸透圧,(2) hydroxy peroxide を含む,(3) 酸性である,(4) 適度な湿潤環境を作る,等の作用により創治癒に有効であるといわれている。今回の経験でも不良肉芽を良性肉芽にかえ,滲出液をコントロールでき,細菌量も減少した。ハチミツはwound bed preparationに有効であると考える。
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