膝周囲の原発性骨悪性腫瘍切除後の再建では,一般に広範切除後に人工関節置換されるため,血流のよい組織での十分な被覆が必要となる。また,脛骨近位部の腫瘍では膝蓋靭帯が切除されるために,膝伸展機構の再建が必要となる。われわれは以前より腓腹筋弁を用いて人工関節を被覆し,膝蓋骨と下腿筋膜の連続性を再建してきた。今回,腓腹筋弁による再建11例の合併症,術後機能,追加手術について検討したので報告する。
手術は広範切除後に腫瘍用人工関節または加温処理骨で置換して腓腹筋弁で被覆した。膝蓋靭帯が広範囲に切除された4例に対して腓腹筋弁と腸脛靭帯で膝伸展機構を再建した。
腓腹筋弁は全例で生着した。4例において感染を認めたが,デブリードマンと人工関節の部品交換と腓腹筋弁の再利用で感染を沈静化できた。術後膝関節機能は,9例で良好であったが,感染した2例で不良であった。
腓腹筋弁は膝周囲の骨悪性腫瘍切除後の再建に有用と考えられた。
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