創傷
Online ISSN : 1884-880X
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原著
  • 奥村 慶之, 杉村 智加
    原稿種別: 原著
    2025 年16 巻3 号 p. 58-68
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/07/01
    ジャーナル フリー

     開腹術後の腹壁欠損患者の外科的管理は困難な課題であり,効果的な外科治療のためには正確な術前評価,術後合併症を最小限に抑える適切な術式,そして術後管理が重要であると考える。今回われわれは,このような症例に対して腹壁再建を達成するために必要な術前評価,手術計画,至適な術式と術後管理について検討したため報告する。
     2017年8月から2024年4月の間に当科で腹壁再建を行った8例について,組織欠損のレベル,大きさと部位を評価し,併存症,SSOとの関連を調査し,修正VHWG分類に基づいてまとめた。男女比は1:1,平均年齢は66(59~70)歳,BMIの平均値は22.1(16.4~27.8)kg/m2であった。原疾患は消化器癌が5例,卵巣癌が1例,腎癌が1例,心臓外科による開腹術後が1例であった。SSOは3例(37.5%)で存在した。併存症は慢性閉塞性肺疾患と糖尿病を認めたものが1例あった。腹壁欠損の平均は8.4 × 7.3(5 × 5~12 × 10)cm2であった。欠損部位は M1:1例,M1+M2:1例,M3:1例,L:3例,U:2例であった。修正VHWG分類ではグレード1が5例,グレード3 が 3例であった。再建方法は局所皮弁4例,有茎腹直筋皮弁4例であった。平均観察期間は18ヵ月であった。全例において腹壁再建は成功し治癒した。欠損部の術前評価,SSOを考慮した術式選択,術後管理を最適化させることで良好な結果を得た。

症例報告
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