皮膚腫瘍切除後の皮膚欠損症例12名(欠損面積 20~313 mm2)に対して,人工真皮(テルダーミス®)移植を行い,皮弁移植や植皮は行わずに二次治癒させた。欠損創の上皮化までに要した日数(治癒日数)に影響する可能性のある 4 因子(患者年齢,患者性別,皮膚欠損面積,欠損部位)の影響度を,線形回帰モデルを用いて多変量解析した。その結果,患者性別と皮膚欠損面積が治癒日数に有意に影響し,性別が女性だと男性の場合より 26.2 日治癒日数が長く,また皮膚欠損面積が 1 cm2大きくなるごとに治癒日数は 19.4 日延長した。患者年齢や欠損部位は治癒日数に有意な影響を与えない。おおむね 3 cm2以下の皮膚欠損で,創治癒期間が 3 週間以上で約 2 ヵ月に及ぶことが受容できる場合には,人工真皮移植のみによる再建法は,手術時間の短縮を含む手術の低侵襲化と創瘢痕の最小化,移植組織採取部・皮弁挙上部瘢痕の回避といった利点をもつ選択肢として検討に値する。
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