関西病虫害研究会報
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11 巻
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  • III.鉢試験法の条件(1)
    高橋 実, 川瀬 保夫, 木下 富雄, 一谷 多喜郎
    1969 年 11 巻 p. 1-5
    発行日: 1969/02/01
    公開日: 2012/10/29
    ジャーナル フリー
    Pythium aphanidermatum, Rhizoctonia solani, Sclerotium rolfsii菌などの土壌病原菌に対する土壌殺菌剤の鉢試験法の条件, とくに接種源の種類, 培養日数・接種量について報告した.
    フスマ・土壌混合培地と麦粒培地に培養した接種源を用いたときには, 各菌ともに強い病原性を示すが, スポンジ・土壌混合培地ではS. rolfsiiは病原性を示さない.
    また接種源の種類によっては防除効果に差が認められ, 病原性が強く, 粒子の粗い接種源の効果は低い. 病原性からみるとフスマ・土壌混合培地が適当である.
    培養日数と病原性についてみると, スポンジ・土壌混合培地による接種源でP. aphanidermatumは2~10日間, R. solaniは4~10日間病原性を示すが, フスマ・土壌混合培地ではP. aphanidermatumは2~6日間, R. solaniは2~10日間, S. rolfsiiiは2日間病原性を有する. 防除効果は病原性の低下しはじめる5日間培養のもので2日間培養のものより高い効果を示す. 確実な病原性を示す接種源をうるためには2日間培養が適当である.
    接種量は多量なほど病原性が高くなり, 接種量10gでは5gに比較して薬剤の効果が低い.
  • 河合 利雄, 長谷川 美克, 北村 義男, 高士 祥助
    1969 年 11 巻 p. 6-12
    発行日: 1969/02/01
    公開日: 2012/10/29
    ジャーナル フリー
    葉いもち病に対しEBP, KSM, PCBAをアール当たり各20および100g灌漑水中に施用した結果, その防除効果はEBPが最もすぐれ, KSMもある程度の効果がみられた. EBP, KSMの催芽もみ処理では, はじめKSMが多少有効であったが有効期間が短かかった. 苗を浸根後植付けたものでは効果がみられない. 一方畑苗代で25, 50および100ppm液をm2当たり8l灌注した所, KSMは効果著るしく, かつ長期にわたり持続したが, EBPは効果がみられなっかた. IBPの水面施用の効果もKSMまたはIBP粉剤の散布より高く, かつ長期にわたり有効であった. IBP灌注はたん水状態の方が効果がやや高いようである. 6種類の薬剤について効果を比較した結果, IBPが最も優れ, DF-1991がこれに近い効果がみられたが, EDDP, BBEP, H-236およびNF35は劣った.
    葉および穂いもち病対象に, a当たり50~100gのIBPを2回水面施用した結果, 穂および節いもち病の防除効果はIBP粉剤4回散布よりも優れ, かつ小黒菌核病の防除効果も極めて顕著で, 著るしく増収した. なお粒剤施用区は稈長やや低く, とくに下位節間の短縮がみられたが, 収量への影響はなさそうである.
  • リンゴ園におけるアブラムシ, アリおよび捕食虫3者間の相互関係
    福島 正三, 武田 享
    1969 年 11 巻 p. 13-18
    発行日: 1969/02/01
    公開日: 2012/10/29
    ジャーナル フリー
    本報においてはリンゴ園におけるアブラムシ2種とトビイロケアリおよびアブラムシの捕食虫3者間の相互関係について調査した結果を報告した.
    1. リンゴ樹上のリンゴアブラムシの周囲にはトビイロケアリが比較的多く, テントウムシ類, クサカゲロウ類, ショクガバエ類などの捕食虫が少なく, 一方リンゴコブアブラムシのまわりにはアリが少なく, 捕食虫が多い.
    2. リンゴ樹枝にタングルフートを塗付してトビイロケアリの到来を阻止すると, リンゴアブラムシの増殖が著しく少なくなるが, リンゴコブアブラムシではこれによってあまり影響をうけない.
    3. リンゴアブラムシの分泌する甘露量はリンゴコブアブラムシのそれより著しく多く, 前者の甘露中には後者におけるよりも糖の種類が多い.
  • 近藤 章
    1969 年 11 巻 p. 19-22
    発行日: 1969/02/01
    公開日: 2012/10/29
    ジャーナル フリー
    接木法で指標植物にmild mottle病徴を示すウイルスは, ワタアブラムシにより伝搬され, バラヒゲナガアブラムシにより伝搬されない. ワタアブラムシは, 2時間の吸汁でウイルスを獲得し, 30分の吸汁でウイルスを伝搬する. ウイルスを獲得したアブラムシは, 植物上で吸汁しないと, 5時間で伝搬能力を失う. 植物上では, 最初の植物で伝搬し得るが, 以後その能力を失うもようである. 以上の性質から, 本ウイルスはstrawberry mild mottle virusと同定された.
  • 桂 〓一, 江川 宏, 益子 道生, 上山 昭則
    1969 年 11 巻 p. 23-27
    発行日: 1969/02/01
    公開日: 2012/10/29
    ジャーナル フリー
    Plasmodiophora brassicae WORONINに侵害されたスグキナ根部に見出されるオーキシン活性物質は塩基性物質と中性物質の2種類であった. 塩基性物質は健全根, 罹病根ともに存在していたが, 中性物質の活性は罹病根部のみに認められた.
    カイネチン様活性物質を検出するため, 罹病根部をベンゼン, エチルエーテル, およびエタノールで連続抽出した. ダイコン幼葉生重量比較による方法, ダイコン子葉緑色退色試験による方法, ならびにタバコカルス生育量比較による方法などで検討した結果, いずれの検定法においてもエチルエーテル抽出部は罹病根部の活性が高かった. したがってスグキナ罹病根部のカイネチン様活性物質はエチルエーテル抽出部に存在するものと考えられる.
  • 尹 泰圭, 平井 篤造
    1969 年 11 巻 p. 28-33
    発行日: 1969/02/01
    公開日: 2012/10/29
    ジャーナル フリー
    動物肝組織での酵素誘導物質として知られている, フェノバルビタール(PB)を用いて, タバコ葉内でのタバコモザイクウイルス (TMV) の増殖に対する影響を調べた. PBは50ppmの濃度でTMVの増殖を約40%促進し, ウイルスの感染性も増加したが, インゲン葉上での局部病斑形成には影響がなかった. PBはタバコ葉のリボヌクレアーゼ (RNase) の活性を促進したが, リボ核酸 (RNA) 量には影響しなかった. PBはタバコ葉のNADPHオキシダーゼの活性を増加したが, ペルオキシダーゼは却って阻害された. PBと植物ホルモンとの混合処理で, PBのTMV増殖促進効果は低下した. 以上のことから, PBのウイルス増殖促進の機構について考察した.
  • ミカンネコナカイガラムシの加害部位と被害
    吉田 正義, 上田 修一
    1969 年 11 巻 p. 34-39
    発行日: 1969/02/01
    公開日: 2012/10/29
    ジャーナル フリー
    ミカンネコナカイガラムシ(以下不カイガラと略称)によるミカン根部の被害を詳細に分析するため, 吉田・二見の装置にミカンを植えて, 直根の上部と下部に分布する根群をそれぞれ切断した場合における, ミカンの地上部と地下部にみられる影響を調査した.
    1) ミカンの直根の上部および下部の新根を切断することにより旧葉の落葉がみられた. 上部根群の切断区では無処理区の5.7倍, 下部根群の切断区では3.0倍の旧葉が落葉した.
    2) 上部根群の切断区における落葉は, 根群の切断直後から約60日の間に起り, 又その傾向は葉位の下部から起った. 下部根群の切断区におけるそれは秋期における落葉が顕著で, また無作為に落葉した.
    3) 上部における根群の増加曲線の峰は, ミカンの地上部の伸長期(夏期)とほぼ一致したが, 下部における根群の増加曲線の峰は秋期にみられた.
    4) 苗の生体重を比較すれば, 上部根群の切断区は無処理区に比較して68.6%, 下部根群の切断区では82.996ではあった. 地上部の生体重の傾向も同様であった.
    5) 上部根群の切断区では上部の旧根ばかりでなく下部の新根の生体重が減少した. 下部根群の切断区では下部旧根の生体重は減少したが, 反対に直根の上部に分布する新根の生体重は増加し, 補償作用がみられた.
  • 上山 昭則, 江川 宏, 津田 盛也
    1969 年 11 巻 p. 40-42
    発行日: 1969/02/01
    公開日: 2012/10/29
    ジャーナル フリー
  • 上住 泰, 杉浦 哲也, 森岡 寛治, 浅田 幸男
    1969 年 11 巻 p. 42-45
    発行日: 1969/02/01
    公開日: 2012/10/29
    ジャーナル フリー
    1967年越冬虫から奈良県下7ケ所のγ-BHCの致死薬量の検定をおこなってきた. その結果越冬後幼虫ではLD-50/grの値は214.0~44.1μgにもおよび大宇陀個体群をのぞいて他は耐性を獲得しつつあることが明らかとなった. また実験したなかでも橿原, 桜井個体群は対数薬量一プロビット死亡率回帰線が2分しBHCに対して感受性の異なる個体群に分化しつつあり, このことは越冬前幼虫,人工培地生育虫, 圃場生育虫のいずれの実験でも同じ傾向が得られることからも明らかである. また抵抗性程度も橿原がもっとも高くついで桜井であった.
  • 山本 敏夫
    1969 年 11 巻 p. 45-47
    発行日: 1969/02/01
    公開日: 2012/10/29
    ジャーナル フリー
  • 1969 年 11 巻 p. 48-63
    発行日: 1969/02/01
    公開日: 2012/10/29
    ジャーナル フリー
  • 1969 年 11 巻 p. 64-91
    発行日: 1969/02/01
    公開日: 2012/10/29
    ジャーナル フリー
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