関西病虫害研究会報
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3 巻
選択された号の論文の11件中1~11を表示しています
  • 井上 義孝, 筒井 喜代治
    1961 年3 巻 p. 1
    発行日: 1961/02/01
    公開日: 2012/10/29
    ジャーナル フリー
  • 病原菌の形態及びその生理学的性質について
    安部 卓爾, 野添 早苗
    1961 年3 巻 p. 6-14
    発行日: 1961/02/01
    公開日: 2012/10/29
    ジャーナル フリー
    本実験に用いた5分離系共人工培地上に於て広範囲の温度のもとで発育し,最適温度は24°~28℃, 最高温度は32°~36℃であつた.
    9号菌はRICHARDS培地上で発育が良く, CZAPEK培地上では不良, いづれの培地上でも胞子形成が認められなかつたが, 他の4分離系統は馬鈴薯及び燕麦煎汁寒天培地, CZAPEK培地上で発育よく, RICHARDS乾杏煎汁寒天培地上で不良, 又乾杏煎汁寒天培地上での胞子形成は不良であつた.
    致死限界温度は3及び5号菌は55℃で5~15分, 4及び6号菌は61℃で5~15分, 9号菌は49℃で5分間であつた.
    セルローズ及び澱粉分解能力試験に於ては各系統間の差を示すと共に病原性とも相関し, これらの能力が菌の分類の1指標となり得ると考へられる.
    チユーリプの球根腐敗を原因するFusarium菌は形態並に生理学的性質と前報告2)に述べた接種試験による病原性とから, Elegans区に属するFusarium oxysporum SCHL.の1系統であると考へられる.
  • (1)病徴発現様式による解析
    赤井 重恭, 福富 雅夫
    1961 年3 巻 p. 15-24
    発行日: 1961/02/01
    公開日: 2012/10/29
    ジャーナル フリー
    本報告はイネ黄化萎縮病の後期感染機構について, その病徴発現様式を解析した結果である.
    1. イネの第1本葉抽出後の後期感染において, 冠水時葉位と病徴発現葉位の間に明らかな規則性が認められる.
    2. 冠水時すでに抽出展開していた葉において病徴が現われることは全くない. しかしまれには冠水後抽出する第1葉目に病徴を現わすが, 多くの場合典型的病徴をあらわすのは2~3葉目からである. なお冠水時未出現の分げつ芽が発病する場合には本葉のすべてに明瞭な病徴が現われる.
    3. 母茎ならびに分げつ茎ともに, 病徴発現はすべてほぼ同時に抽出する同伸葉において認められる.
    4. 一般に母茎葉鞘の切開または切断処理によつて幼若組織を露出せしめると発病を助長する.
    5. かかる処理の効果は処理位置によつて異なり, 葉鞘上部 (完全展開最上葉の葉舌下部) 処理では分げつの発病を助長するのみであるが, 処理部位を下げて生長点に近づけるに従つて母茎の発病を助長し, 発病率は著しく増加する. しかし, 切断処理では分げつ芽の出現が著しく抑制されるので分げつ芽の発病は助長されず, 母茎の発病が促進されるにすぎない.
    6. 処理位置の差異は, 各次各号分げつにおける発病茎出現状況に著しい特徴をあらわす. すなわち, 母茎葉鞘上部の露出処理は上位の分げつ芽のみを発病せしめるが, 処理部位を下げ, 生長点に近づけるに従つて発病分げつ位も下り, 母茎の発病もまた著しく増加する. しかし接種時すでに出現生育している下位分げつ芽の発病は全く, または殆んど助長されない.
    7. 幼若組織の露出部位が生長点に近ずくに従つて, 発病葉出現までに抽出する外観健全葉の葉数は減少する傾向が見られ, 基部露出処理においては新たに抽出する葉から直ちに病徴が現われることもある.
    8. 以上の観察結果から, 本病の後期感染においては発病にまで進展しうる主な寄主体侵入部位は展開葉の葉鞘に包まれた未抽出の幼若組織である. しかしてかかる侵入部位が生長点に近い程発病は容易である. 侵入した菌糸は一旦寄主組織内を下降して生長点およびその周辺組織に蔓延し, ついでそれら組織から発育した葉に病徴を現わすに至るものと推論される.
    9. 接種時すでに母茎の葉鞘外に出現していた分げつ芽が感染しそれより菌糸の組織内移行によつて母茎が感染することはないかまたは極めて起り難い. しかし, 葉鞘の下部深く包まれていた未出現の分げつ芽が感染した時には, 母茎への菌の移行蔓延は可能のようである.
  • -稲紋枯病を対象として-
    橋岡 良夫, 牧野 精
    1961 年3 巻 p. 27-29
    発行日: 1961/02/01
    公開日: 2012/10/29
    ジャーナル フリー
  • 井上 義孝, 竹内 昭士郎
    1961 年3 巻 p. 30-34
    発行日: 1961/02/01
    公開日: 2012/10/29
    ジャーナル フリー
    1. 本稿はナタネ苗立枯れ症状の病徴と病原菌との識別及び病原菌の形態を検討し, 新病名を提唱したものである.
    2.ナタネ苗立枯れ症状には地際部が変色腐敗折損して枯死するものと, 子葉基部近くまての胚軸が灰白色に変色して細くなり萎凋枯死を原因するものとがある. 前者はRhizoctonia菌(Pellicularia filamentosa)により, 後者はPythium sp. による.
    3. Rhizoctonia菌ではナタネの不発芽を原因し易いが, Pythium sp.には此の例は少ない.
    4. ここに報告した Pythium sp.は寄主体内において蔵卵器が有刺であること及び卵胞子とともに大形である点とによつて本病に関連のあるものと見られる従来報告のPythium菌と区別される.
    5. ナタネ苗立枯れ症状に対し,「ナタネ苗ピシウム立枯れ病」 と 「ナタネ苗リゾクトニヤ立枯れ病」 とに別個に呼称したい.
  • 桂 〓一
    1961 年3 巻 p. 35-37
    発行日: 1961/02/01
    公開日: 2012/10/29
    ジャーナル フリー
    Phytophthora capsici LEONIANに起因するトマトおよびキユウリの病害は, 未だわが国で発生することを報告したものがないので, 筆者はここに発生と病徴とについて記した. 発生は京都市附近で梅雨期後半に著しい. 病徴は果実において初め白色紛状であるが, まもなく緊密な灰色ないし汚灰色のビロード状の菌叢を生ずる点で, 他の同属菌による病害と区別出来る. 主としてこの果実における病徴にしたがつて, 病名を「トマト灰色疫病」 「キユウリ灰色疫病」 と新称することにしたい.
  • 森田 傳, 河合 一郎
    1961 年3 巻 p. 38-40
    発行日: 1961/02/01
    公開日: 2012/10/29
    ジャーナル フリー
    (1)1958年9月静岡市及び吉原市で, ガーベラの葉に茶褐色の斑点を生ずる病害を観察した.病斑は普通0.5~1cm位であるが,大きくなると2~3cm位の円形又は不正形になる.
    (2)病斑部からはPhyllosticta sp.が検出された.接種試験の結果,本菌は病原性が認められた.
    (3)ガーベラに寄生するPhyllostictaとして,ブラジルで発表した.Phyllositicta gerbericola BASISTERと同一であるかどうかについては明らにすることが出来なかつた.
    (4)この病害は我が国では未報告のものと思われるので, 和名をガーベラ斑点病と新称することにした.
  • 山仲 巖, 河合 利雄
    1961 年3 巻 p. 41-43
    発行日: 1961/02/01
    公開日: 2012/10/29
    ジャーナル フリー
  • 薬剤防除について
    谷元 節男, 新保 友之, 園 孝一, 大石 良平
    1961 年3 巻 p. 44-49
    発行日: 1961/02/01
    公開日: 2012/10/29
    ジャーナル フリー
    モモハムグリガに関する試験の一端として薬剤による防除について1960年6~9月に圃場試験および室内試験を試みたが,それらの結果を要約すると次のとおりである.
    ただし,圃場・室内試験を通じ供試薬剤はホリドール乳剤2000倍,EPN乳剤1000倍,バイジツト乳剤1000倍,エカチン乳剤1000倍,デトロン乳剤300倍および硫酸ニコチン800倍の6種薬剤,1薬剤1濃度とした.
    圃場試験によれば,
    1.各薬剤とも無散布の場合より被害は少なく被害防除効果が認められたが,薬剤間には有意な差を認められなかつた.しかしEPNの効果が他に較べて高い傾向を示した.
    2.6月15日,6月27日,7月9日および7月21日の12日毎に4回の薬剤散布を行なつたが,果実登熟期~収穫期の7月中旬~8月下旬の被害を十分に防除することは出来ず,例え無散布の場合より防除効果が高かつたとて更に効果の高い防除の必要があると考えられる.
    室内試験によれば,
    3.卵に対する効果はホリドール・EPN・バイジットおよび硫酸ニコチンがそれぞれ100%の殺卵効果を示したが,エカチンおよびデトロンの効果は明らかに出来なかつた.
    4.幼虫に対する効果はホリドール・EPNおよびバイジツトは若・中・老令の各令期の幼虫に常に100%の殺虫効果を示したが,エカチン・デトロンおよび硫酸ニコチンの幼虫に対する殺虫効果は令期により約90~20%と変動し,若~中令幼虫には約90~60%の殺虫効果を示すが,老令幼虫に対しては約40~20%に止まり,幼虫の成長に従つて殺虫効果の低下がみられた.
    5.蛹に対する効果はホリドール・EPNおよびバイジットは100%の殺蛹率を示し完全に蛹繭内で死んだが,エカチンの効果は殆んど認められなかつた.デトロンおよび硫酸ニコチンは成虫の羽化はみられたが総て羽化直後に成虫は死亡,結局殺蛹効果(広義)はホリドール・EPNおよびバイジツトの効果と同等に優れていた.
    6.成虫に対する効果は本試験では比較出来なかつた.
    両試験を通じて,
    7.ホリドール・EPNおよびバイジツトは室内試験によれば十分に本種の各態に対する効果が認められるので,圃場においても本種の発生時期および発生期間等を考慮して散布すれば現在慣行法として用いられている薬剤で更に効果の高い防除を行なえる可能性はある.
    8.この場合,ホリドール・EPNおよびバイジツトについてはEPNが優れた傾向を示し,その原因はEPNが残効性の点で他より優れているためであると考えられる.比較的効果の不安定なデトロンおよび硫酸ニコチン等でも圃場試験ではホリドール等と大差ない効果を示したのも同様の原因と思われる.9.供試薬剤および供試濃度の範囲では薬剤の桃樹に対する薬害は認めなかつた.
  • 桐谷 圭治, 法橋 信彦, 榎本 新一
    1961 年3 巻 p. 50-55
    発行日: 1961/02/01
    公開日: 2012/10/29
    ジャーナル フリー
    早期栽培によつてミナミアオカメムシの動きが, どう変るかを知るために, 直線的に1km, その間に550mにわたつて標高70mの山でさえぎられた山畑と早期水田を調査地点にえらんだ.
    両地点について, 卵寄生率, 各発育段階の個体群密度の動きをしらべ, 成虫の行動は標識法と誘ガ灯の設置によつてとらえた.
    結果は, (1)成虫は早期水稲の出穂数日で周辺部から集中飛来すること (2)1kmの範囲内の成虫はその飛来圏に入ること (3)成虫密度のピークは山畑と早期水稲では2週間もずれ,山畑の成虫密度の減少は早期水稲への飛来にも一部もとずくらしいこと (4)卵寄生蜂はカメムシ成虫の行動について行けないため早期への成虫飛来の初期には, 卵の寄生率は山畑にくらべ非常に低い. そのため早期でのカメムシの増殖率は山畑にくらべ高い.
    とくに, ミナミアオカメムシの水稲以外の寄生植物が, この虫の増殖に不適となる時に, 早期水稲の出穂ならびに乳熟期になり, それが1化期成虫の羽化時期にあたることが, 上記の理由とともにミナミアオカメムシが早期水稲の重要な害虫になつた原因と考えられる.
  • 1961 年3 巻 p. 56-74
    発行日: 1961/02/01
    公開日: 2012/10/29
    ジャーナル フリー
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