本実験は,
Aphanomyces属菌を罹病組織から分離する際に用いられている Bacto-CMA とこれに添加されている各種の殺菌剤を用い,
A. iridis卵胞子の発芽を調べたものである. 得られた結果は以下のとおりである.
1. 本菌の卵胞子は顕微鏡(低倍)下で容易に形態的に完全と不完全の卵胞子に分けることができた.
2. FDLとCMDの培地は完全な卵胞子形成のための良好な培地であった. FDL培地で25℃, 2週間培養すると, 最も高い発芽率をもつ完全な卵胞子が得られた.
3. 卵胞子の発芽適温は25℃附近, 最適pHは約6.4であった.
4. クロラムフェニコールは用いた100ppmまでの濃度で発芽阻害作用を認めなかった. 同様に, ストレプトマイシン硫酸塩やバイコマイシンも用いた各80, 400ppmまでの濃度で阻害作用を認めないか, 反復すると中間の濃度でやや阻害的であった.
5. アソフォテリシン B, ベノミル, イプロジオンは各5, 0.5, 50-100ppm以上の濃度で明らかな阻害作用を認めた. ベノミルは0.5-1ppmの低濃度でも阻害力を保持していた. また, メタラキシルは用いた中間の濃度で, チォファネートメチルは10-50ppm以上の濃度で共に阻害的であった.
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