本報では, 農薬の空中散布がタマネギ露菌病およびボトリチス葉枯病の発病抑制に有効か否かについて検討し, その実用性について述べた.
1) 地上散布用薬剤のダイセン水和剤, トリアジン水和剤, ヘプタクロール乳剤を, 高濃度液 (40倍液)で単用あるいは混用して供試したが, 粘性, 泡立ちなどのために薬液調整や散布に支障はなく, タマネギに対しても薬害は全く生じなかった.
2) 散布時の気象条件がおよぼす影響は, 粉剤散布に比べて少なく, 風速5m/sec前後では風向によって薬液が流され薬液粒子の分散に多少のむらを生じることはあったが, とくに支障はなかった. また, 上昇気流による影響も少なかった.
3) タマネギの葉身は他の広葉作物と異なり, 円筒形で上方向に展開しているため, 全身的に薬液の付着状況は良好であったが, 下位葉の屈折した葉身の裏面には薬液の付着は見られなかった.
4) 散布薬液量が10aあたり3
lと6
lの場合を比較すると, 散布量の多い程薬液粒子の分散, 付着状態が良好で, 発病抑制効果も優れた. すなわち, 前者の露菌病防除価50%に対し, 後者は88.7%を示した. なお, 投下薬液量が同じ場合でも分割散布すると, 1飛行あたりの吐出量 (散布量) が少ないために付着, 分散状態および防除効果はともに劣った.
5) 露菌病およびボトリチス葉枯病を対象とした防除の時期は, 地上散布の場合と同じく, 球の肥大前期頃からの蔓延期に散布するのが効果的であり, 該時期に2~3回, または5回空中散布を行なった結果は, いずれもボトリティス葉枯病に対して地上慣行散布 (7~8回) と大差のない防除効果が認められ, 収量面でも優れた.
なお, スリップスを対象にヘプタクロール乳剤を混合した場合, その生息数に急激な減少が認められ, 同時防除の可能性が明らかとなった.
6) 液剤の空中散布では散布地と末散布地の識別が困難なため旗手による飛行誘導が必要と考えられていたが, ほ場に赤旗で標識を立て, 散布飛行をパイロットに任せたところ, 無誘導でも均一な散布ができとくに支障のないことがわかった.
抄録全体を表示