日本組織適合性学会誌
Online ISSN : 2187-4239
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20 巻, 2 号
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平成25年度認定HLA検査技術者講習会テキスト
  • 一戸 辰夫
    2013 年 20 巻 2 号 p. 101-107
    発行日: 2013/08/10
    公開日: 2013/08/22
    ジャーナル フリー
    現在,わが国において実施されている同種造血幹細胞移植の約30%程度は,非血縁者間さい帯血移植(unrelated cord blood transplantation, UCBT)である。従来より,UCBTにおいてはHLA適合性と移植成績との関連が明確ではなかったが,最近では十分な移植経験の蓄積に伴い,さい帯血ユニットの選択指針を提示し得るような信頼性の高い研究が行われるようになってきた。本講演では,UCBTを対象とするHLA適合性と移植成績に関してのわが国における最新の研究成果を紹介するとともに,その中で得られた知見に基づいたさい帯ユニット選択指針の試案を提示する。
  • 入江 厚, 西村 泰治
    2013 年 20 巻 2 号 p. 109-120
    発行日: 2013/08/10
    公開日: 2013/08/22
    ジャーナル フリー
    移植片に対する拒絶反応の重要な原因である,同種異系(アロ)HLA ⁄ ペプチド複合体(アロpHLA)に対するT細胞の強い免疫応答は,T細胞レセプター(TCR)がアロpHLAを直接認識して,活性化されることに起因する。本来,自己のHLAに結合した非自己抗原ペプチドの複合体(cognate pHLA)を認識するはずのTCRが,どのようにしてアロpHLAを認識するのか,その根底にあるメカニズムを解明できれば,移植前にドナーとレシピエントのHLA型の違いを解析することにより,起こり得るアロ反応の強弱を予測できるかも知れない。これが可能となれば,移植医療に携わる者にとって福音となるはずである。これまでに,いくつかのTCR ⁄ アロpHLA(MHC)の複合体の立体構造が明らかにされ,TCRが本来認識するcognate pHLA(MHC)との複合体の構造と比較検討されている。その結果TCRの直接アロpHLA(MHC)反応性のメカニズムとして,少なくとも以下の3つの様式があることが明らかとなっている。:1)アロpHLA(MHC)の立体構造がcognate pHLA(MHC)のものと酷似するために,TCRが交差反応により認識する場合(分子擬態;molecular mimicryと呼ぶ),2)アロpHLA(MHC)の立体構造がcognate pHLA(MHC)と異なっていても,TCRのみならずペプチドとHLA(MHC)のいずれもが,柔軟に立体構造を変化させて会合する場合(induced fitと呼ぶ),および,3)同一のTCRがcognate pHLA(MHC)の場合とは全く異なるドッキング様式により,アロpHLA(MHC)と会合する場合(disparate dockingと呼ぶ)である。このように,TCRとアロpHLA(MHC)の会合様式は多様であり,T細胞の直接アロpHLA(MHC)認識を一元的に説明することは出来ない。いっぽう,移植後の慢性拒絶反応において,抗ドナーHLA-IgG抗体が産生されるメカニズムとして,レシピエントのB細胞上の自己HLAクラスII分子と,これにより提示されたアロHLA抗原由来のペプチドを認識する,レシピエントのCD4陽性ろ胞ヘルパーT細胞(follicular Th-cell)による,間接アロpHLA(MHC)認識反応が必須であることが,最近のマウスの実験系により明らかにされている。
  • 石塚 敏
    2013 年 20 巻 2 号 p. 121-129
    発行日: 2013/08/10
    公開日: 2013/08/22
    ジャーナル フリー
    臓器移植におけるHLA抗体検査には,ドナーリンパ球を用いたクロスマッチ検査,抽出HLA抗原や精製HLA 分子をコーティングした合成ビーズによるPRA(Panel reactive antibody)法などさまざまな検査法が考案されている。しかし,検査法によって検出感度の相違,検出されたドナー特異的抗体DSA(Donor specific alloantibody)の免疫グロブリン(class・subclass)の相違,自然抗体または自己抗体などnon-HLA抗体が反応する場合もあり結果判定が難しいのが現状である。本講演では,HLA抗体検査について当施設で日常実施している検査法および解析法を紹介する。
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