日本組織適合性学会誌
Online ISSN : 2187-4239
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24 巻, 2 号
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平成29 年度認定HLA 検査技術者講習会テキスト
  • 木村 彰方
    2017 年 24 巻 2 号 p. 101-122
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/09/22
    ジャーナル フリー

    日本組織適合性学会では,認定HLA検査技術者および認定指導者を認定するために,筆記試験を課している。本稿では,これまでの筆記試験において正答率が40%未満であった問題を取り上げ,その内容を解説する。

  • 八幡 真人
    2017 年 24 巻 2 号 p. 123-133
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/09/22
    ジャーナル フリー

    ヒトナチュラルキラー(NK)細胞表面上には,HLAクラスI分子を認識する受容体群が発現している。これら受容体のうち,KIR(「キア」:Killer cell Immunoglobulin-like Receptor)ファミリーはHLAのシステムと同様に莫大な多様性を包含する1)。KIR多様性はNK細胞の表現型や機能に影響を与え,免疫応答の個体差を生む重要な因子である2)。造血幹細胞移植において,KIRジェノタイプはドナー選択の際の有用なバイオマーカーとして臨床応用が定着している。染色体19番長腕に存在する各KIR遺伝子座の組み合わせには多くのバリエーションがあり,さらに各遺伝子座にアリル性多型が存在する。また,NK細胞上のKIRの発現は多様であることから,NK細胞集団に多くのサブセットが形成される。このようにKIRシステムは自然免疫系のリンパ球であるNK細胞に多様性をもたらし,ウイルス感染,腫瘍免疫,造血幹細胞移植等において大きな個体差をもたらす。本稿ではKIRの遺伝的多様性のメカニズム,KIR発現とNK細胞機能の調節,造血幹細胞移植における臨床的応用の側面につき概説する。

  • 吉澤 淳
    2017 年 24 巻 2 号 p. 134-142
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/09/22
    ジャーナル フリー

    肝移植における抗ドナーHLA抗体(DSA)の臨床的意義は未だ議論中であるが,近年,DSAの測定法の進歩により明らかになりつつある。今回,周術期におけるDSAの臨床的意義と術後遠隔におけるDSAの臨床的意義について述べる。周術期におけるDSAの臨床的意義については,DSAによって引き起こされる急性抗体関連型拒絶反応(aAMR)と細胞性拒絶反応のリスクの増大である。以前の京都大学での経験ではDSA陽性症例は有意に予後不良であった。DSA陽性症例に対して,ドナーの変更やリツキシマブによる術前脱感作療法を行うことで,予後はDSA陰性症例と同等になってきた。しかし,術後の急性拒絶反応の頻度は高い傾向があるので,術後の拒絶反応に留意した術後管理が必要である。術後遠隔期におけるDSAの臨床的意義についてはDSAと移植肝線維化の相関が強いことである。現時点ではDSA陽性とグラフト生着率の差は認めないが,さらなる経過観察が必要である。DSAが肝線維化を引き起こしている原因であるのか,DSAは免疫応答の状態を反映している指標であるのかについては今後の検討が必要である。

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