熱帯農業研究
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5 巻, 2 号
選択された号の論文の27件中1~27を表示しています
原著論文
  • 吉井 健一郎, 志和地 弘信, 入江 憲治, 豊原 秀和
    2012 年5 巻2 号 p. 81-87
    発行日: 2012年
    公開日: 2015/08/04
    ジャーナル フリー
    インディカイネのプカールンドゥール品種はカンボジアのバッタンバン州の主力品種であるが,直播き栽培において播種後に水田が湛水すると苗立ちが悪くなることが知られている.これまでの研究において,プカールンドゥール品種の苗立ち不良は第一義的に溶存酸素量の不足によって起きていると考えられたことから,溶存酸素量と苗立ちとの関係について調べた.水だけを入れたポットに種子を播くと播種数が多くなるほど溶存酸素量が低下し,苗立ちが見られなくなった.しかし,ポットに空気を供給すると,苗立ち不良になる播種数のポットの苗立ちは改善した.そこで,溶存酸素量とプカールンドゥール品種の生長との関係を調べたところ,鞘葉は溶存酸素量にかかわらず伸長するが,溶存酸素量が2 mgl-1以下では本葉と根の伸長が阻害された.これらのことから,プカールンドゥール品種の苗立ちに必要な溶存酸素量は3 mgl-1以上と考えられた.水田土壌の溶存酸素の低下には土壌中の微生物が関与していると考えられている.そこで,種子をコサイドおよびカスミンボルドー剤で処理をして湛水した水田土壌中に播種したところ,いずれのボルドー剤処理においても苗立ちが改善した.ボルドー剤処理は水田土壌表面水中の溶存酸素量と水田土壌中の酸化還元電位の低下を抑制したことから,土壌中の微生物の活動を抑えたものと考えられた.ボルドー剤による種子処理は直播栽培による苗立ち不良の改善に期待される.
情報
  • -イラワジデルタにおける被災後3年間-
    松田 正彦
    2012 年5 巻2 号 p. 88-96
    発行日: 2012年
    公開日: 2015/08/04
    ジャーナル フリー
    2008年5月,大型のサイクロン「ナルギス」がミャンマー連邦共和国のイラワジデルタを横断し,同国史上最悪の災害をもたらした.本稿は,被災地域の主生業である雨季稲作において,減収の程度と被災から3年間の回復状況の実態を示すことを目的とする.そのために,複数の情報源からのデータを提示し相互に比較した.データソースは,ミャンマー政府の農業統計,国際合同調査の報告書,および著者による被災農村での聞き取り調査である.その結果,多くのデータで被災直後の雨季稲作(2008年)における広範囲の生産低下が確認されたが,政府統計からはそれを読みとることができなかった.今回の災害においては政府公式統計を代替する意味で,国際合同調査や個別の現地調査のデータが記録としてより重要だといえる.また,被災翌年(2009年雨季作)には収量がはやくもナルギス被災以前の収量水準まで回復している事例がある一方で,3年目となる2010年雨季作でもなお平年収量水準の半分以下にとどまっている地域もあった.後者においては調査時点で稲作生産における被害回復の兆しがみえておらず,依然として支援が必要とされているとともに継続的な調査も重要である.加えて,農業分野での被災地支援においては,政府系機関の果たした役割も大きかったことが示唆された.本災害からさらなる教訓を得るためには,今後,稲作生態の多様性や支援活動の様相をも考慮して,被害の発生と回復(あるいは継続)のメカニズムを分析する必要がある.
  • 片山 克己, 清治 有
    2012 年5 巻2 号 p. 97-103
    発行日: 2012年
    公開日: 2015/08/04
    ジャーナル フリー
  • 大川 雅央, 新野 孝男, 白田 和人, 長峰 司
    2012 年5 巻2 号 p. 104-110
    発行日: 2012年
    公開日: 2015/08/04
    ジャーナル フリー
シンポジウム
研究集会
平成24年度日本熱帯農業学会学会賞奨励賞特別講演要旨
平成24年度日本熱帯農業学会磯賞特別講演要旨
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