熱帯農業研究
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2 巻, 1 号
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原著論文
  • 小田 正人
    2009 年2 巻1 号 p. 1-7
    発行日: 2009年
    公開日: 2013/08/21
    ジャーナル フリー
    乾燥環境への順化を利用したトマトの節水栽培法の適用性を,2003年12月から2004年4月にかけての東北タイの乾季において検討した.畝幅1m長さ30mの試験区を2つ作り,一方をマルチで覆い,隣接個体の影響を受けないよう1m間隔でトマト(Lycopersicon esculentum Mill cv. Seeda)を定植した.試験圃場の土質はLoamy Sandであった.灌水は定植時,定植16日目,同35日目に各株250mL施した.ただし,後半の2回は液肥(NPK: 120-90-60 ppm)で施した.対照区は週3回水250mL を施用した.試験開始時の作土は極度に乾燥していたが,定植後11日目の29mmの降水により一旦圃場容水量に達した.その後61日間は殆ど降水が無かった.開花期の根系は,無マルチ区が土中深く伸長していたのに対し,マルチ区および対照区は地表付近に根群を形成しており, とくにマルチ区は根域が水平方向に広かった.果実の糖度は対照区が4度であったのに対し,処理区は7~8度と上昇していた.生育の個体間差は非常に大きく,個体当り収量は,マルチ区で0~388g,無マルチ区で0~65g,対照区で0~210gの間に分布した.枯死個体もあったが,水分不足が直接の原因と見られるものはなく,生育差は養分不足等水分以外の要因によると見られた.マルチ区の最大収量は,標準栽植密度に換算すると1035 g・m-2となり,同年の現地平均収量1133 g・m-2に近く,試験結果は,東北タイの乾季においても,少なくともマルチを使用すれば,ほとんど灌水することなく,シーダトマトが栽培できる可能性を示すものであった.
  • 米本 仁巳, 緒方 達志, 香西 直子, 近藤 友大, 樋口 浩和, 野村 啓一
    2009 年2 巻1 号 p. 8-14
    発行日: 2009年
    公開日: 2013/08/21
    ジャーナル フリー
    沖縄で有望な熱帯果樹のひとつとしてピタンガの優良品種‘Lover’と‘Vermilion’をカリフォルニアから導入し,果実の生長と品質について調査した.石垣島では,春(4~5月)と秋(10~12月)の年2回の収穫が可能であり,酸含量は春果と秋果ともに0.8%程度で差が無く,可溶性固形物含量は春果12.0に対し秋果は17.0で,秋果の方が甘く美味であった.春果は開花後50日頃,秋果は40日頃の果実生育後期に果皮色が緑色から黄色く(a*値11.2,b*値32.1)なり,その後は約2日間隔で橙色,赤色,暗赤色(a*値17.5,b*値11.7)と急速に変化して落果した.2006年の春果と秋果ともに,果実生育に必要な日平均気温の積算温度は約1200℃であった.ピタンガ果実中の有機酸はほとんどがリンゴ酸であり,その含量は果実生育後期に果皮色が緑色から黄色に変化する頃にピークとなり,その後暗赤色となって落果するまで急激に減少した.可溶性固形物含量は橙色時から急速に増加し,落果時にピークとなった.したがって,糖酸比(Brix/酸含量)は橙色時の4から落果時に19へと急速に増加し,落果直前の果実を収穫することで最高の食味が味わえると考える.ピタンガの果汁にはショ糖がほとんど存在せず,ブドウ糖と果糖がほぼ等量含まれていた.ピタンガ果実は,ポリフェノール含量が多いといわれるグアバより多くのポリフェノールを含んでいることがわかった.種子の重量は果実の10~20%程度と高いことがわかった.官能試験では,‘Lover’と‘Vermilion’は沖縄在来種に見られる果実のえぐみや樹脂臭が少なく,美味であると評価された.このことから,これらの品種は沖縄での新規導入品種として有望であるといえる.
短報
シンポジウム
研究集会
平成20年度日本熱帯農業学会学会賞学術賞特別講演要旨
平成20年度日本熱帯農業学会学会賞奨励賞特別講演要旨
平成20年度日本熱帯農業学会磯賞特別講演要旨
平成21年度日本熱帯農業学会学会賞奨励賞特別講演要旨
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