熱帯農業研究
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原著論文
  • 岡本 健, 後藤 慎吉, 安西 俊彦, 安藤 象太郎
    2020 年 13 巻 2 号 p. 57-67
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/04/23
    ジャーナル フリー

    高い透水性の石灰岩が分布する熱帯・亜熱帯島嶼地域では,肥料由来の窒素が容易に地下に溶脱し,地下水の硝酸態窒素汚染を引き起こす.地下水を生活用水や農業用水として利用している沖縄県においては,サトウキビ肥培管理による施肥窒素の溶脱が地下への主な窒素負荷源である.特に,生育初期に多量に施用される施肥のほとんどは,サトウキビに吸収されない.サトウキビ肥培管理による窒素溶脱を削減するためには,サトウキビの窒素吸収および生育特性に適した肥培管理法を開発することが重要である.基肥および追肥窒素の減肥がサトウキビ生育および硝酸態窒素溶脱に与える影響を明らかにし,収量を維持し窒素溶脱量を削減する肥培管理技術を開発することを目的として,栽培試験および硝酸態窒素溶脱量観測をライシメーター圃場で行った.サトウキビの栽培初期における作物生育は窒素減肥の影響はなく,硝酸態窒素溶脱は同時期に主に発生したことから,現行の施肥基準において栽培初期の施肥窒素は過剰であることが示唆された.また,基肥窒素を現行の施肥基準量の半量に削減しても,基肥窒素の全量と同程度の原料茎重が維持された.以上の結果から,地下水への窒素負荷量を削減し収量を維持するためには,基肥窒素の施用量を削減することによって,生育初期の窒素溶脱量を削減することが有効である.

  • 團 晴行, 沖 陽子, 廣内 慎司
    2020 年 13 巻 2 号 p. 68-74
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/04/23
    ジャーナル フリー

    水稲は生育に比較的多くの水分を要求するが,複数のほ場で多量の用水を安定的に供給する水田灌漑は,収量増加に寄与する.ガーナ内陸低湿地において,用排水路や畦畔の地表面に自生植物を植栽することで,水田水利施設を補強する技術開発に取り組んでいる.補強効果を長期にわたり持続させるためには,適期かつ適切な植生の維持管理作業が重要となる.現地に自生する植物群落の特性に関して,裸地状態の水路天端への侵略性は,ギョウギシバ(Cynodon dactylon),オキナワミチシバ(Chrysopogon aciculatus),イヌシバ(Stenotaphrum secundatum)の順に大きくなった.群落構造は,地上部はイヌシバの新鮮重が大きく,地下部はオキナワミチシバの新鮮重が大きかった.また,3つの植物は全て根群域が表層10cmに集中して分布していた.植生管理作業をせずに1年間放置した場合,ギョウギシバの成立群落に侵入した雑草は,他の2つの植物群落に比べると最少で,合計した新鮮重も最も小さかった.以上の結果から,植栽と補植ならびに手取り除草と手鎌による刈込の時期や回数などを定めた植物群落の維持管理計画の妥当性を実証し,成立群落の構造や安定性といった特性を明らかにすることができた.

  • 伊波 聡, 安次富 厚, 井上 裕嗣
    2020 年 13 巻 2 号 p. 75-80
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/04/23
    ジャーナル フリー

    マンゴー‘リペンス’には,スレキズや小裂果がシミ状に黒変したような黒キズ障害が収穫期に発生する問題がある.本障害の対策技術を開発するため,ナシやリンゴの類似症状の対策で利用されるギ酸カルシウムを用いて,黒キズ障害に対する効果を検討した.圃場試験の結果,ギ酸カルシウム散布区で無処理区より黒キズ障害の発生率が低く,2017年にはギ酸カルシウム散布区2.1%,無処理区33.4%の発生率,2018年にはギ酸カルシウム散布区8.0%,無処理区37.5%の発生率であった.果実品質には試験区による差がなく,ギ酸カルシウム散布による品質への影響は確認されなかった.ギ酸カルシウム散布区の果実硬度と果皮硬度は,有意に高い値を示した.また,果皮ペクチン含量を分析したところ,ギ酸カルシウム散布区でカルシウムなどのイオンと結合した不溶性ペクチン含量が有意に高く,抽出液中のカルシウムイオン含量も多いことが確認された.以上のことから,‘リペンス’に対してギ酸カルシウムを散布すると,細胞壁に存在するペクチン酸等と結合した不溶性ペクチンが生成され,果皮硬度の強化が図られることにより,黒キズ障害の対策に効果があると考えられた.

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