青色光と赤色光の比率がエンサイの茎の形態に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした.供試したエンサイは,台湾で流通している在来系統である.光源に白色光,紫赤色光と青色光の3種類の蛍光灯を用いて,これらの蛍光灯から3本を組み合わせて青/赤色比の異なる4つの処理区を設定した.それらの青色光(450 ± 10 nm)と,赤色光(660 ± 10 nm)とのエネルギー比(
B/R)は2.0~23.9である.すべての蛍光灯は連続照射とし,光強度は植物体の頂端でPPFD 200 μmol m
-2 s
-1となるように調節した.子葉が完全に展開するまで成長させたエンサイを各処理区へ移し,10日間の照射処理を行った.第1節間の茎径を測定した後に,茎の切片を光学顕微鏡を用いて観察して,皮層,髄,空隙の幅(間隙径)を調査した.茎径は
B/Rの増加に伴い太くなったが,皮層厚には差が無かった.髄厚は
B/Rの増加に伴い有意に肥大し,茎径と髄厚は高い正の相関を示した(r = 0.808,
P < 0.001).髄厚,茎径の肥大は,
B/Rの増加による髄の細胞サイズの増加と細胞数の増加が関係していた.間隙径は
B/Rの最も低い区が他区に比べて有意に小さかった.これらのことから,青色光/赤色光の比率が高いとエンサイの髄の成長が促進され,品質の向上や安定化に効果があると考えられた.
抄録全体を表示