認知神経科学
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22 巻, 3+4 号
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表紙
大扉
目次
アンケート特集
シリーズ企画「脳と言語」Ⅱ
  • 原稿種別: シリーズ企画「脳と言語」Ⅱ
    2021 年22 巻3+4 号 p. 129
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/04/29
    ジャーナル フリー
  • 吉田 眞理
    原稿種別: シリーズ企画「脳と言語」Ⅱ
    2021 年22 巻3+4 号 p. 130-144
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/04/29
    ジャーナル フリー

    【要旨】 臨床的に失語症が記載されている13例の病理像を概説した。意味型失語症を示した6例の背景病理は、TDP-43蛋白蓄積を示す前頭側頭葉変性症(frontotemporal lobar degeneration, FTLD-TDP) type Bが3例、 Pick病が1例、 FTLD-TDP type AとADの合併例が2例であった。病変分布は、側頭葉極を含む前方側頭葉の変化が強く、後方では軽度になる傾向を認めた。非流暢性失語症を示した例は、大脳皮質基底核変性症(corticobasal degeneration, CBD)1例、進行性核上性麻痺(progressive supranuclear palsy, PSP)3例、FTLD-TDP type A 1例、Pick病1例であった。CBD、PSP、Pick病などのタウオパチーが83%、内67%は4Rタウオパチーで、50%はPSPで、左優位のシルビウス裂周囲の前頭側頭葉皮質変性を示した。発語失行の例ではFTLD-TDP type Aを示し右中心前回弁蓋部に強い萎縮を示した。語減少型失語症の1例はdiffuse neocortical typeのレビー小体型認知症とアルツハイマー病の合併病理を認めた。失語症の背景病理として、FTLD-TDP、CBD、PSP、Pick病などのタウオパチー、アルツハイマー病が存在していたが、意味型失語症ではFTLD-TDP、非流暢性失語症ではタウオパチーの比率が高かった。

  • —言語治療現場における状況判断の諸相—
    飯干 紀代子
    原稿種別: シリーズ企画「脳と言語」Ⅱ
    2021 年22 巻3+4 号 p. 145-150
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/04/29
    ジャーナル フリー

    【要旨】 重度失語の状況判断について、回復期リハビリテーション病院で、一定期間、標準的な言語訓練を受けた失語症者40例のデータを分析した。発症3か月以内の失語の重症度と状況判断は概ねパラレルではあるものの厳密な対応関係とは言えず、失語が最重度であっても、複数の情報を関連付けて判断できる能力を保持している例は存在すること、中でも、年齢が比較的若い例では、AQが極めて低くても、状況判断が保たれている可能性があることが示唆された。4~6か月の標準的言語訓練を受けた後は、最重度失語症であっても、失語症重症度の改善に加えてRCPM得点が大きく上昇し、複数の情報を関連付けて判断できると思われる者が、40例中12例存在し、高齢であってもその変化がみられることが示された。一方で、標準的な言語訓練を経ても、RCPMが0点のままである最重度失語症者が40例中11例存在し、状況判断能力にはある種の限界があることも推察された。

原著
  • 惠 明子, 鈴木 暁子, 愼 重弼, 安村 明
    原稿種別: 原著
    2021 年22 巻3+4 号 p. 151-157
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/04/29
    ジャーナル フリー

    【要旨】 発達障害の特異性が書字形態に表出されることが示唆されている。しかし、書字速度や筆圧等の書字動態との関連性については十分に検討されていない。そこで、定型発達児・者を対象として書字動態と発達障害傾向との関連性について検討した。対象は通常学級に在籍する小児27例 (男児12例、女児15例、平均12.4歳) と、成人26例 (男性15例、女性11例、平均27.3歳) であった。ひらがな単語聴写課題中の書字動態はペンタブレットを用いて取得した。解析には、ペンタブレットで取得可能な時間、筆圧、画面上の座標、ペンの角度 (垂直成分・水平成分) の基本的な項目を用いた。ASD傾向を測定するAQとADHD傾向を測定する ADHD-RSを用いた。結果、発達的変化では、成人と比較して小児で1文字あたりに要する時間の延長が認められた。ペンの角度においても、垂直成分では成人のほうが大きく、水平成分では小児のほうが大きい結果となり、発達的変化が示唆された。発達障害の傾向との関連性では、小児においてASD傾向を示すAQの細部への関心と1文字あたりに要する時間との関連性が認められ、成人男性では、筆圧が高いほどコミュニケーションの重症度が上昇する結果となった。また、ADHD傾向については、今回使用した基本的なパラメーターでは相関関係を認めなかった。ASDについては発達障害傾向が書字動態に表出されることが示唆された。

総説
  • —信頼性と実施上の留意点
    飯干 紀代子, 山岡 義尚, 江口 洋子, 加藤 佑佳, 成本 迅, 吉田 和生, 岸本 泰士郎, 三村 將
    原稿種別: 総説
    2021 年22 巻3+4 号 p. 158-167
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/04/29
    ジャーナル フリー

    【要旨】 社会の高齢化に伴い、認知症をはじめとして高齢者に神経心理検査を行う機会は増え続けている。神経心理検査は、高次脳機能の十分な知識と熟達した検査技能を併せ持つ専門家が行う必要があるが、対象者の多さに比して数が不足している。このアンバランスを解決する一つの方法が、遠隔技術を用いた検査の実施である。新型コロナウイルスの感染拡大により医療機関などの受診に制限が生じている現状において、その意義はさらに高まったと言える。本稿では、ビデオ会議システムを用いて高齢者に行う神経心理検査(以下、遠隔検査)について、対面での検査と比較した信頼性に関するレビュー、利用満足度に関するレビュー、具体的な実施手続きと留意点について、自験例を含め報告した。結果、遠隔検査は、認知症者を対象に行われた研究であっても高い信頼性が得られていた。利用満足度については概ね良好な満足度が得られているが、スピーカーを通した検査者の声の聞き取りにくさや心的負担などの否定的な意見も散見された。遠隔検査の実施手続きと留意点については、遠隔精神科医療手引書策定タスクフォースが作成した精神科遠隔(オンライン)診療手引きを参照することを推奨したい。今後、適切な手続きに従った遠隔検査が全国に普及し、さらに均てん化されることを期待したい。

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