肝臓機能障碍時ニ於ケル「フエノール」ノ新陳代謝ヲ攻究セントシテ、家兎ニ毒物的、或ハ、機械的肝臓障碍ヲ施シ、其ノ際ノ膿汁「フエノール」價ニ就キテ精細ナル檢索ヲナセルニ甚ダ興味アル所見ヲ得タリ。(一)膽汁中ノ「フエノール」ノ濃度ハ略肝臓ノ障碍ノ程度ニ從ッテ特異ナル三種ノ型ヲ呈セリ。即チ第一型ハ正常時ニキ近ノニシテ、第二型ハ抱合「フエノール」ノ増加著シク第三型遊離「フエノール」ノ増加顯著ナルモノナリ。(二)膽汁中排泄セラル、「フエノール」ノ一量遊離並ニ全「フエノール」ニ在リテハ障碍ノ亢進シ膽汁量ノ減少スルト共ニ漸次減少スルモ、抱合「フエノール」ニ在リテハ障碍ノ高度ニ及バザル限リハ略正常時近キ排泄量ヲ示セリ。(三)個體トシテ取ル排泄ノ時間的態度ハ略正常ニ一相似タリ。是等ノ所見ハ肝臓ノ障碍ノ程度ノ亢進スルト共ニ合成機能ノ障碍ヲ招キ、從ツテ血液「フエノール」價ニ變調ヲ來スエ基因スルモノナルベキモ之.争ニ關シテハ次篇ニ報告スベシ。

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家兎ニ種々ナル肝臓障碍ヲ施シ其ノ血液「フエノール」價ニ就キテ詳細ナル研究ヲナシ次ノ所見ヲ得タリ。(一)肝臓障碍時ニハ體内ニ「フエノール」ノ増加停滞起ルト同時ニ、肝臓ノ合成機能ノ障碍ヲ随伴スルガ故ニ、血液ノ「フエノール」價ハ特異ナル變化ヲ來タシ、而モ略障碍ノ程度ニ從ツテ之ヲ三種ノ型ニ分類シ得ラルル事實ヲ認メタリ。即チ第一型ハ正常健康時ニ近ク、第二型ハ抱合「フエノール」ノ増加著シク、第三型ハ遊離「フエノール」ノ増加顯著ナリ。(二)主トシテ尿ニ於テナサレタル先人ノ業績ノ區々トシテ統一無キ所以ハ實ニ是等ノ三種ノ相ヲ認知セザリシニアルヲ推定セリ。(三)同一家兔ニ於テハ肝臓障碍時卜雖モ、血液ノ「フエノール」濃度ハ膽汁中ノ濃度ニ殆ド相一致スルヲ認メ得タルガ故ニ、前篇ニ發表セル膽汁所見ハ血液ノ變化ニ基因セルヲ知得セリ。而シテ肝臓障碍時ニハ遊離並ニ全「フエノール」ノ膽汁中へノ排泄量ハ漸次減少スルニモ拘ラズ、獨リ抱合「フエノール」ノミハ障碍ノ高度ナラザル限リ略正常時ニ近キ排泄量ヲ示セル特異ナル態度ハ即チ肝臓障碍時ニ招來サレタル「フエノール」ノ増加ニ對シテ、出來得ル限リ抱合合成シ以テ抱合「フエノール」ニ變化セシメ、而モ排泄濃度ノ増加ナル形式ヲ辿リテ、能フ限リノ排泄ヲ營マントスル生體ノ努力ナルヲ知見セリ。(四)肝臓障碍ノ高度ナル時ハ血液「フエノール」ハ第三型ヲ呈シ、合成機能ノ高度ノ減退ノタメニ遊離「フエノール」ノ停滞増加著シク、從ツテ動物ハ此ノ有毒ナル「フエノール」ノ中毒ノ状態ニ陷ルヲ知リ、膽毒症ノ本態一部ハ之ニ近キモノタルベク、是ニ依リテ尿毒症ト相似タル症状ヲ呈スルモノナラシト推知セリ(五)肝臓碍時ノ「フエノル」ノ體内増加ノ要約ニ就キ種々吟味セルニ、先人ノナセル如ク膽汁ノ排泄碍ノミヲ以テシテハ解シ難キヲ知レリ。(六)正常膽汁中ニ排泄サル「フラエノール」ハ腸肝循環ヲナストシテモ極メテ輕微ニシテ、血液「フエノール」價ハ之ガタメニ蓍シク左右サレザル事實ヲ見出セリ。

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家兎ニ就キテ機械的腎臓障碍後血中ニ卵「アルブミン」ヲ注入シテ、ソノ血中ヨリノ消失状態及ビ膽汁内移行状况ヲ檢シ、腎臓障碍後ノ一定ノ時期ニ於テハ、卵「アルブミン」ノ血中ヨリノ消失著明ニ促進セラルルコト、即チ肝臓ノ異種蛋白固定機能ノ亢進アルコトラ證明セリ。又ソレガ肝臓ヨリノ排泄モ一定ノ亢進アルヲ示ス。

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「ハブ」毒、硝酸「ウラン」、「カンタリヂン」、「クローム」酸加里ヲ家兎ニ注射セル後、經過ヲ追ヒテ卵「アルブミン」ヲ注射シ、其ノ血中ヨリノ消失、尿及ビ膽汁内排泄状態ヲ檢シタリ。而シテ「ウラン」腎炎ニアリテハ其ノ初期ニハ卵「アルブミン」ノ尿中排泄機能多少亢進スルコト、血中ヨリノ消失速度比較的大ナルコト、及ビ、膽汁内移行ノ低下ヲ證明スレドモ、後ニハ漸次ニ尿中排泄減少シ、血中消失遲延シ、膽汁内移行濃度高ク且ツ長時間陽性トナル。他ノ腎炎ニ於テハ經過時日ニ依ル一定ノ變化ハ之ヲ認メ難シ。

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「ウロビリン」體ノ無機及ビ有機吸着相ニ對スル被吸着性ト、コレニ及ボス水素「イオン」濃度、「ビリルビン」及ビ諸種膽汁酸ノ影響ヲ研究シ、最後ニ所謂「ウロビリン」黄疸ニ關シ考察ヲ下セリ。

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激烈ナル腹痛、嘔吐及ビ尿ノ「ポートワイン」様着色ヲ主訴トセル患者ニ就キ、ソノ臨床的檢索、殊ニ尿所見ヨリ急性「ポルフイリン」症ナルコトヲ知リタリ。

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