北海道十勝地方に分布する土壌型の微生物相を培養法によって調査した。結果は次のように要約される。1.各微生物の垂直分布は,下層に行くにしたがって減少しているが,その程度は土壌型および微生物の種類によって特徴がある。2.微生物数の垂直分布を全般的にみて,褐色森林土が最もゆるやかに下層へ向かって減少し,褐色火山性土がこれに次ぎ,下層への理化学性の変化が大きい疑似グラィ土,停滞水グライ土および泥炭土は急減した。しかし,土壌理化学性が全層にわたってあまり変化がないと思われる沖積土も急減している。3.A/Bは,火山性土が非火山性土に比べて全層にわたって明らかに高かった。火山性土の中では褐色火山性土が黒色火山性土より高く,非火山性土の中では,褐色森林土が,疑似グライ土よりも高い。4.GN/Bは,作土では各土壌間の差は小さいが,下層では褐色火山性土が作土との差が小さく,沖積土,泥炭土は非常に高かった。5.An/Bは,非火山性土の沖積土・泥炭土の下層で非常に高い値を示したが,一般的には,嫌気条件の強化にともなってAn/Bが増加するという傾向はみられなかった。以上の結果から,土壌微生物の諸現象は,土壌の理化学性および他の要因と複雑に関連し合っているので,これらの調査研究にあたっては,対象とする土壌を,土壌分類に基づいて,体系的に把握しなければならないことの重要性を認めた。
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