都城盆地の累積性黒ボク土断面における69点の連続試料について,腐植組成を調べ,時系列に伴う腐植の形態変化について検討した結果,以下のことが明らかになった。1)生成年代が異なる埋没腐植層(クロニガ)4Aおよび2Aの腐植組成が類似することから,両埋没腐植層における腐植の形態は数千年の範囲内でほとんど変化していないことが示唆された。2)本断面の腐植化の進行は,土壌に供給される有機物量によって制御され,その有機物量が少ない条件下では,腐植化の進行は小さいことが考えられた。3)腐植酸のタイプは,ほとんどの試料でA型を示し,既報と同様に本断面が一貫して草本植生であった可能性を示した。4)埋没腐植層の遊離形腐植がpH(NaF)と高い正の相関を示すことから,埋没腐植層の腐植は活性アルミニウムと,また,褐色ローム層の腐植はその他の無機成分と複合体を形成して,安定・保持されていることが示唆された。
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