円錐台珪酸体の形態的特徴とその分類上の位置づけを明確にするために,ニュージーランドに自生するダンチク亜科3属13種についてその三次元形態および粒径を検討した。結果を要約すると以下の通りである。1. 円錐台珪酸体の同定は,三次元観察によってそれらの形態的特徴を把握することが極めて有効である。2. 円錐台珪酸体の粒径とそれらの比の平均値と95%信頼区間により,円錐台珪酸体の特徴づけと,それらの給源植物種が概略推定可能である。とくに,高さC/横長A比は円錐台珪酸体の形状を特徴づける最もよい指標であり,この比が1.0以上のものがPearsall and Trimbleのスプール形に相当する。3. 三次元形態および珪酸体各部位の粒径の特徴から,円錐台珪酸体を長および短円錐台型に二大別した。すなわち,高さ C>横長Aの円錐台珪酸体を長円錐台型,高さC≦横長Aの円錐台珪酸体を短円錐台型とそれぞれ命名した。さらに,これらの円錐台珪酸体は上底の形から2つのタイプにそれぞれ細別された。4. 円錐台珪酸体は短細胞珪酸体中,2〜100%占めていた。とくに,円錐台珪酸体を60%以上と多量に含有する試料はC. richardii, C. oetoe, Ch. rubra; Ch. rigida, Ch. fravescens, Ch. defracta(葉鞘), Ch. S. I. flavであった。長円錐台型は,C. toetoe, Ch. rubra, Ch. flavescens, Ch. defracta(葉鞘), Ch. S. I. flavでその頻度が著しく高く,全短細胞起源珪酸体の56〜84%を占めていた。他方C. richardii, C. toetoe, Ch. rubraおよびCh. rigidaは短円錐台型を30
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