わが国における腐植集積量の分布,火山灰土壌の腐植組成と生物気候条件の関係について考察を行なった。(1)畑地および開拓地土壌調査の成績によれば,わが国の全域にわたって腐植が集積されているが,とくに北海道,東北裏日本,北関東,南九州の平地および北関東,中部,山陰の標高の高い地域に著しく集積していいる。(2)PONOMAREVA法による腐植組成によれば,Ch:Cfは0.4〜1.8であり,腐植集積量の多い地域ではヒューミン酸含有量が多い。また組成群はfraction-1, -1a, -4が主要なものである。そして各地域の土壌の特徴は,Ch:Cfおよび組成群の断面分布によって示される。(3)成帯性土壌と比較すると,中部の標高の高い地域ではTYURINによる褐色森林土に,関東および北九州ではSABASHVILIによる赤色土に似ている。そして東北裏日本および山陰は両者の中間的性質を示す。(4)このような腐値組成の特徴は,わが国の地理的条件と密接な関係があり,腐植組成の見地から本州および九州に分布する主要な火山灰土壌は,GERASSIMOVの"Humified Allophayaic soils"であると考える。
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