0.1N-HCl抽出法によって調製した土壌抽出液の分析にICP法を用いる場合,抽出液中に共存する主成分元素によって起こる微量元素に対する分光干渉が大きな問題となっている。そこで,各微量元素についての分析条件を検討するとともに,主成分元素による干渉を補正するのに必要な,それらの元素に対する主成分元素の分光干渉補正係数を求めた。その結果,ICP法において主成分元素の影響をほとんど受けない元素としてはTi, Cu, Mn, V, Zn,主成分元素の影響を少し受ける元素としては,CO, Cr主成分元素の影響を強く受ける元素としては,Cd, Pb, Ni Snがあることがわかった。また,,微量元素に対する補正係数を適用することにより,"マトリックスマッチング"を行わなくとも微量元素の定量が可能であることが明らかとなった。ICP法と原子吸光法により土壌の0.1N-HCl可溶のCu, Zn, Ni, Cdの含有量を測定した結果,両分析法による分析値の間には,r=0.994〜0.999の高い相関性が認められた。
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