聖マリアンナ医科大学雑誌
Online ISSN : 2189-0285
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50 巻, 2 号
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原著
  • ―コロナ禍の影響―
    小山 照幸
    2022 年 50 巻 2 号 p. 33-45
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/09/28
    ジャーナル フリー

    目的:リハビリテーション治療は近年,急速に普及が進んできているが,令和元年末から流行し始めた新型コロナウイルス感染症への対応により,通常の診療に影響が出ている。今回,保険診療の面からリハビリテーション治療のこれまでの経過と現状を調査した。

    調査方法:厚生労働省が公表している社会医療診療行為別統計の平成27年から令和2年までの「心大血管疾患リハビリテーション料,脳血管疾患等リハビリテーション料,廃用症候群リハビリテーション料,運動器リハビリテーション料,呼吸器リハビリテーション料,がん患者リハビリテーション料と回復期リハビリテーション病棟入院料」の算定回数,点数の年次変化を調べた。また各疾患別リハビリテーション料算定回数の年齢階級別年次変化,令和元年と2年の入院外・入院別年齢階級別年次変化を検討した。

    結果:リハビリテーション料算定回数は平成30年まで増加していたが,令和元年から減少していた。算定点数は令和2年まで増加していた。令和2年の心大血管疾患リハビリテーション料算定回数は17.7%,運動器リハビリテーション料は8.1%,廃用症候群リハビリテーション料は4.9%それぞれ前年に比べ減少していた。

    結論:リハビリテーション治療は,平成30年までは普及が進んでいたが,その後令和2年に著しく減少しており,これは新型コロナウイルス感染症の流行が影響していると考えられた。

  • 本吉 愛, 小池 淳樹, 津川 浩一郎
    2022 年 50 巻 2 号 p. 47-54
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/09/28
    ジャーナル フリー

    背景BRCA1/2病的バリアント陽性の乳癌発症者における対側リスク低減乳房切除術(contralateral risk-reduction mastectomy: CRRM)は,本邦では2020年4月に保険適用となった。しかしCRRM検体の病理評価方法は統一されていない。今回,術前画像評価と術後病理結果を対比し潜在性乳癌の発見率とCRRM検体の病理評価方法について検討した。

    方法:2015年から2020年までに当院でCRRMを行なった症例7例を対象とした。CRRM検体は10 mmスライスの全割標本とし,ヘマトキシリン・エオジン(HE)染色による組織検索を行った。さらにp53,Ki-67の免疫組織化学的評価を行った。

    結果:CRRM症例全例に術前画像評価では悪性を疑う所見は指摘されていなかった。CRRM検体のHE染色では1例に乳管内増殖性病変,1例に線維腺腫を認めたが,全症例の全ての切片に浸潤癌,非浸潤性乳管癌および前癌病変は認めなかった。p53及びKi-67免疫組織化学検査の結果はBRCA1/2病的バリアントの有無で有意な差は認めなかった。

    考察:我々の研究では,CRRM検体の全割標本での病理評価において潜在性乳癌を認めなかった。この結果は質の高い画像評価を行うことの重要性を示すとともに,CRRM検体に対する病理評価方法の簡略化を支持する結果になると考えられた。

雑報
  • 田嶋 ティナ宏子
    2022 年 50 巻 2 号 p. 55-59
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/09/28
    ジャーナル フリー

    近年,ジャーナルのオープンアクセス化が進んでいるが,それとともに悪質な「はげたかジャーナル」が増加している。何よりも問題なのは,その悪質なジャーナルに投稿し,アクセプトされた論文を業績としてカウントする研究者が増えていることである。どこの大学でも,特に医学系大学では論文執筆することが求められている。1年に1本と目標はたてても,容易に書けるものではなく,書き上がったものを投稿したらすぐにアクセプトされるわけでもない。そこで「はげたかジャーナル」に頼る研究者が増えているのだろう。「はげたかジャーナル」が悪質で,投稿してはいけないと注意喚起は多数出ているが,その正体はどのようなものなのかを具体的に示したものはない。

    本稿では,実際に「はげたかジャーナル」に投稿したらどうなるのかを検証した。これを読んで,今後,危険なジャーナルに論文投稿しないようにして欲しい。

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