目的:リハビリテーション治療は近年,急速に普及が進んできているが,令和元年末から流行し始めた新型コロナウイルス感染症への対応により,通常の診療に影響が出ている。今回,保険診療の面からリハビリテーション治療のこれまでの経過と現状を調査した。
調査方法:厚生労働省が公表している社会医療診療行為別統計の平成27年から令和2年までの「心大血管疾患リハビリテーション料,脳血管疾患等リハビリテーション料,廃用症候群リハビリテーション料,運動器リハビリテーション料,呼吸器リハビリテーション料,がん患者リハビリテーション料と回復期リハビリテーション病棟入院料」の算定回数,点数の年次変化を調べた。また各疾患別リハビリテーション料算定回数の年齢階級別年次変化,令和元年と2年の入院外・入院別年齢階級別年次変化を検討した。
結果:リハビリテーション料算定回数は平成30年まで増加していたが,令和元年から減少していた。算定点数は令和2年まで増加していた。令和2年の心大血管疾患リハビリテーション料算定回数は17.7%,運動器リハビリテーション料は8.1%,廃用症候群リハビリテーション料は4.9%それぞれ前年に比べ減少していた。
結論:リハビリテーション治療は,平成30年までは普及が進んでいたが,その後令和2年に著しく減少しており,これは新型コロナウイルス感染症の流行が影響していると考えられた。
抄録全体を表示