塩基性酸素転炉吹錬時に生成するスラグにはMgO系耐火物溶存抑制のためMgO源としてドロマイトを添加している。MgO飽和スラグにMgO系耐火物は溶存しないはずであるが,耐火物とドロマイトのスラグへの溶解は同時に進行するため,耐火物に寿命がある。MgO系耐火物の保護にはドロマイトなどのフラックスからスラグへのMgO供給速度が耐火物溶解速度より高速であることが重要である。そこで本研究では,MgO溶解速度におよぼす各種因子を明らかにするため,各種MgO含有固体酸化物を溶融スラグへ溶解させ,スラグ組成変化からMgO溶解速度を評価し,以下の知見を得た。(1)MgO焼結体のMgO-SiO2-B2O3スラグへの溶解速度はFeO-CaO-SiO2スラグへの溶解速度より高速であった。これはFeO-CaO-SiO2スラグとMgO焼結体界面に緻密なMgO-FeO固溶体が生成するためである。(2)MgO-C耐火物のFeOCaO-SiO2スラグへの溶解速度はガス発生のためMgO焼結体やドロマイトより高速であった。(3)脱炭スラグの溶解速度はMgO焼結体やドロマイトより高速であった。この結果は耐火物を被覆する脱炭スラグは容易に溶融スラグに溶解し,ス
ラグへのMgO供給源として有用であることを意味する。
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