接着歯学
Online ISSN : 2185-9566
Print ISSN : 0913-1655
ISSN-L : 0913-1655
11 巻, 4 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • (第1報) レジン直接歯髄覆罩例の病理組織変化
    加藤 喜郎
    1993 年 11 巻 4 号 p. 199-211
    発行日: 1993/11/30
    公開日: 2011/06/07
    ジャーナル フリー
    接着性レジン系材料の歯髄刺激性ならびに接着性レジン系材料の歯髄覆罩効果について臨床病理学的に検討した。
    ヒト生活歯 (9名21歯) に対し、直径約1.7mmの露髄を作成し10%NaOClgelで処理後、接着性レジン系材料で直接覆罩、最短37日間、最長194日間、平均79日間放置し、臨床病理学的に検討した。
    その結果、術直後、若干の症例に違和感や咬合痛等の不快症状が現れたが経日的に消退し、無症状のものを合わせると、臨床的に良好な成績を治めた。病理組織学的にも歯髄の炎症性変化は少なく、むしろ修復性変化が多数の症例に認められ良好な結果が得られた。接着性レジン系材料で直接覆罩しても歯髄が安静に保持されれば、かなり高い頻度で基質形成や象牙質橋の形成が行われ、完全治癒の型が得られることが判った。これを基礎にレジン覆罩剤の開発等を試みたい。
  • 熱田 充, 松村 英雄
    1993 年 11 巻 4 号 p. 212-217
    発行日: 1993/11/30
    公開日: 2011/06/07
    ジャーナル フリー
    接着ブリッジを大学で教育する際に、障害となっているのは、「歯学教授要綱」や「歯科医師国家試験出題基準」に含まれておらず、「歯科補綴学教育基準」には出てくるものの、「アンダーグラジュエイトの患者実習には必要でない」ものと位置づけられていることである。しかしながら、「歯学教授要綱」や教科書等も改訂をきっかけに「接着技法の補綴応用」の項目が入る予定であり見通しは明るい。
    私共の所では、こうした動向には関係なく、以前から、講義や臨床実習の場に接着ブリッジを取り込んでおり、その現状と学生の行った代表的な症例を紹介した。限られた時間数の中に、新しい項目を入れるのには、既存の科目の内容、講義・実習方法の見直しなどの努力が大学人に求められている。
  • 斎藤 脩, 中村 隆志, 丸山 剛郎
    1993 年 11 巻 4 号 p. 218-223
    発行日: 1993/11/30
    公開日: 2011/06/07
    ジャーナル フリー
    接着ブリッジが臨床で用いられるようになり10年以上の歳月が経過した。現在も装着されている症例、脱落して再装着された症例、全部被覆型で再補綴された症例など経過は様々である。
    接着ブリッジを用いる場合、その利点、欠点などの特徴を熟知した上で処置を行う必要があり、なかでも適応症の判定が問題であった。しかし現在では材料が飛躍的な進歩をとげ、従来よりもその適応症は多岐にわたるようになった。そのため、適応症の選択よりも形成デザイン、材料の選択、接着面の処理などの実際に臨床を行う場合の術技についての誤った知識や術式上のミスのため脱離することが多くなっている。
    接着ブリッジの臨床術式は形成、印象、技工、接着の4段階で、従来のブリッジと大きく異なる点は形成と接着の2段階である。レジンセメントの維持力のみに頼るのではなく十分な維持形態を形成時に付与すること、材料の特徴をよく把握し適切な選択を行うこと、および確実な接着操作を行うことが接着ブリッジを行う上で重要であると考えられる。
  • 歯質削除量の低減をめざして
    中村 隆志, 日野 年澄, 丸山 剛郎
    1993 年 11 巻 4 号 p. 224-228
    発行日: 1993/11/30
    公開日: 2011/06/07
    ジャーナル フリー
    金属を全く用いずに、生体親和性に優れたセラミックスだけで製作したクラウンは、天然歯に近い色調や光の透過性が得られる補綴物として大きな注目を集めている。このようなセラミッククラウンを用いる場合、従来は主に強度の点から支台歯の全周を1.0~1.5mmの幅でショルダー形成し多くの歯質削除を行うことが一般的であった。ところが、生活歯にセラミッククラウンを応用する際には、歯髄保護の点からも歯質削除を減らして処置を行うことが望まれていた。そこで、今回は3次元有限要素法を用いてセラミッククラウンの応力解析を行い、歯質削除量の低減の可能性を検討した。その結果、セラミッククラウンの唇舌面の厚さが0.75mm以上あれば、比較的安全にクラウンを用いることができること、さらに支台歯表面にエナメル質が残存すれば、支台歯の剛性を高めてクラウンに生じる応力を減少させることが明らかとなった。
  • 猪越 重久, 佐藤 暢昭, 後藤 洋, 勝部 直人, 田上 順次, 山田 敏元, 高津 寿夫
    1993 年 11 巻 4 号 p. 229-236
    発行日: 1993/11/30
    公開日: 2011/06/07
    ジャーナル フリー
    歯冠色のセラミック修復をCAD/CAMの力を借りて行う方法が試みられている。1988年に市販されたセレックシステムは、チェアーサイドで使用することを前提に作られた比較的コンパクトな装置であり、技工室操作が不要で1回の診療でセラミックインレーを設計製作できる。セレックは他の間接法インレー修復法と比較して多くの利点がある。セラミックインレーは、焼盛法にしろ鋳造法にしろ煩雑で時間のかかる技工室操作が要求される。その点セレックは、技工室を用いなくても1ないし2時間でセラミックインレーを装着・完成まで行うことができる。セレックの能力を最大限に引き出すためには、正しい術式には従う必要がある。セレック修復の適合は従来の鋳造修復ほどではないのでの、その成否は使用する接着剤と合着用コンポジットの性能にかかっている。
  • 豊島 義博, 安田 登, 野村 義明, 錦 仁志
    1993 年 11 巻 4 号 p. 237-243
    発行日: 1993/11/30
    公開日: 2011/06/07
    ジャーナル フリー
    我々は東京都内の2カ所の診療所 (港区開業大門歯科医院、千代田区第一生命診療室) において来院患者の主訴、口腔内所見から、成人を対象とした都市型歯科臨床における2次齲蝕、修復物の脱離、脱落等合着材に起因する問題の発生率を調査した。大門歯科医院における調査数は790、第一生命診療室における調査数は230、計1020であった。来院主訴では歯牙疾患が一番多く64.5%であった。
    歯牙疾患の内訳では2次齲蝕34.4%、脱落25.5%、1次齲蝕14.4%、歯髄症状9.3%の順になっていた。同じ齲蝕として包括するには、1次齲蝕と2次齲蝕の年齢別推移は著しく異なり、1次齲蝕は若年者に特異的な疾患、2次齲蝕は成人の疾患といえるようであった。2次齲蝕と脱落は年齢別相関が同型であり、ともに合着材の崩壊として理解できる。
    来院患者の主訴としては42%が、また主訴以外の口腔内診査を含めると71%のものが2次齲蝕、および修復物の脱落といった合着材の崩壊を原因とした疾患を有していた。
feedback
Top