接着ブリッジが臨床で用いられるようになり10年以上の歳月が経過した。現在も装着されている症例、脱落して再装着された症例、全部被覆型で再補綴された症例など経過は様々である。
接着ブリッジを用いる場合、その利点、欠点などの特徴を熟知した上で処置を行う必要があり、なかでも適応症の判定が問題であった。しかし現在では材料が飛躍的な進歩をとげ、従来よりもその適応症は多岐にわたるようになった。そのため、適応症の選択よりも形成デザイン、材料の選択、接着面の処理などの実際に臨床を行う場合の術技についての誤った知識や術式上のミスのため脱離することが多くなっている。
接着ブリッジの臨床術式は形成、印象、技工、接着の4段階で、従来のブリッジと大きく異なる点は形成と接着の2段階である。レジンセメントの維持力のみに頼るのではなく十分な維持形態を形成時に付与すること、材料の特徴をよく把握し適切な選択を行うこと、および確実な接着操作を行うことが接着ブリッジを行う上で重要であると考えられる。
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