接着歯学
Online ISSN : 2185-9566
Print ISSN : 0913-1655
ISSN-L : 0913-1655
34 巻, 2 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
  • 小泉 寛恭, 野川 博史, 宮森 沙耶香, 今井 啓文, 中村 光夫
    2016 年 34 巻 2 号 p. 47-53
    発行日: 2016年
    公開日: 2022/10/31
    ジャーナル オープンアクセス
     本研究は,歯面処理にリン酸エッチングとセルフエッチングプライマー(ティースプライマー,以下TP)を併用 した4-META/MMA-TBB レジンのエナメル質に対する接着性および接着耐久性の評価を目的に行った.リン酸濃度 60-65% の表面処理材およびTP を併用し,ウシ歯およびヒト歯エナメル質に歯面処理を施し,4-META/MMA-TBB レジンを筆積み法にて接着した.接着試験前のエナメル質- レジンの接着界面は,電界放出型電子顕微鏡(FE-SEM) を用いて観察した.37℃水中に24 時間浸漬後および5℃/55℃の熱サイクル200,000 回負荷後のウシ歯エナメル質に 対する接着耐久性試験を引張接着試験法にて,37℃水中に24 時間浸漬後および5℃/55℃の熱サイクル20,000 回負荷 後のヒト歯エナメル質に対する接着強さを微小引張接着試験法にて評価した.その結果,リン酸エッチングおよび TP 処理を併用することにより,接着強さは有意に高くなり,接着耐久性にも優れることが判明した.FE-SEM の観 察結果から,エナメル質- レジンの接着界面において,リン酸エッチング処理およびリン酸エッチングとTP 処理を 行った試料では明確にレジンタグが観察された.
  • 吉江 啓, 大河 貴久, 伊東 優樹, 山村 高也, 藤井 孝政, 田中 昌博
    2016 年 34 巻 2 号 p. 54-61
    発行日: 2016年
    公開日: 2022/10/31
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究では,低温大気圧ヘリウムプラズマ処理後の経過時間が,審美修復材料表面の復疎水化に与える影響につい て検討した.  ジルコニアにはカタナ(ZR 群),CAD/CAM 用レジンブロックにはカタナアベンシアブロック(RB1 群),セラス マート(RB2 群),ハイブリッド型コンポジットレジンにはエステニア(HC1 群),グラディアフォルテ(HC2 群), コア用コンポジットレジンにはクリアフィル DC コア オートミックス ONE(BC1 群),MI コアLC(BC2 群)を用 いた.研磨した試料表面に低温大気圧ヘリウムプラズマ処理を行った.接触角の計測は,処理前,直後,0.5 時間後, 1 時間後,6 時間後,12 時間後,18 時間後,24 時間後とした.統計学的解析は経過時間を要因とする一元配置分散分 析を行った後,多重比較を行った(p<0.01).  接触角は,照射直後と比較して,ZR 群,RB1 群,RB2 群,BC2 群では0.5 時間まで,HC1 群では6 時間まで, HC2 群で1 時間まで統計学的有意差を認めなかった.本研究において,最高値は,ジルコニアの24 時間で42.1°で あった. 42.1°は一般に極性があると判断できる値である.  以上から,すべての試料において復疎水化が認められたが,24 時間後においても低温大気圧ヘリウムプラズマ処理 の効果は維持されていた.
  • 山村 高也, 大河 貴久, 伊東 優樹, 杉立 尚城, 藤井 孝政, 田中 昌博
    2016 年 34 巻 2 号 p. 62-67
    発行日: 2016年
    公開日: 2022/10/31
    ジャーナル オープンアクセス
    歯冠修復後には天然歯と異なる固有のプロフェッショナルケアが重要である.本研究では,Professional Tooth Cleaning(PTC)が間接修復用コンポジットレジンの表面粗さに及ぼす影響について検討した.  間接修復用コンポジットレジンには,エステニア(Es)および エクスペリア(Ex)を用いた.耐水研磨紙で試料 (10×10×2 mm3)を#2000 まで研磨した後,超音波洗浄を行った.PTC はエアスケーラーを用いたS 群,エアス ケーラー接続型ナイロンブラシのみを用いたN 群およびマイクロモーター接続型ナイロンブラシと研磨材を用いた M 群の3 条件とした.実験1 は,荷重を0.5 N に規定し,実験2 は,歯科衛生士7 名がPTC を行った.表面粗さ (Ra)をサーフコーダSE300 にて計測し,PTC 前後の差分を計算し比較した.統計学的解析は,PTC 方法および間 接修復用コンポジットレジンの種類を要因とする二元配置分散分析後,多重比較を行った.有意水準は1%とした.  実験1 では,Es ではN 群がS 群およびM 群と比べて有意に小さい値を示した.S 群では,Ex がEs と比較し有意 に小さい値を示した.実験2 では,N 群がS 群と比べて有意に小さかった.  PTC 方法および修復材料の違いにより,表面性状の変化が異なることが明らかとなった.
  • 峯岸 至保, 日比野 靖, 中嶌 裕, 須田 直人
    2016 年 34 巻 2 号 p. 68-81
    発行日: 2016年
    公開日: 2022/10/31
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究はセメント練和時の粉液比とサーマルサイクリングが,矯正用レジン添加型グラスアイオノマーセメントの エナメル質への接着強さに及ぼす影響について検討を行った.実験には市販矯正用化学重合型および光重合型レジン 添加型グラスアイオノマーセメントを用いて,ウシ歯エナメル質に矯正用スタンダードブラケットを接着した. セメ ントはメーカー指定の標準粉液比と標準粉液比に対して粉末を20% 増減させた粉液比を用いた.ブラケット接着後, 24 時間(23℃,95%rh)静置した試料,24 時間静置後にサーマルサイクル試験(2,000 回,5℃-55℃)を行った試料 および37℃水中にサーマルサイクルと同時間(111 時間)浸漬した試料について,せん断接着強さを測定した (n=20).光重合型セメントは,化学重合型セメントよりも有意に大きい平均せん断接着強さを示した.粉液比の変動 が標準から± 20% の範囲内であれば,光重合型グラスアイオノマーセメントの平均せん断接着強さは, サーマルサイ クルに影響を受けなかった.平均接着強さ及びワイブル分析より光重合型セメントは,化学重合型セメントより,安 定した接着強さを示すことが推測された.
  • 松村 光祐, 梶原 雄太郎, 塩向 大作, 村原 貞昭, 村口 浩一, 嶺崎 良人, 田中 卓男, 南 弘之
    2016 年 34 巻 2 号 p. 82-87
    発行日: 2016年
    公開日: 2022/10/31
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究の目的は,加熱酸化処理を行った金銀パラジウム合金とMMA-TBBO レジンの接着に及ぼす金属接着プラ イマーの影響を検討することである.被着体は,金,銀,銅,パラジウムの純金属および金銀パラジウム合金(MC12) のいずれかで作製した.金属接着プライマーには,Alloy Primer(AP),V-Primer(VP),Epricode Opaque Primer (OP)のいずれかを使用した.レジンセメントには,Super-Bond C&B(Normal)またはNormal の液剤をMMA と したものを使用した.純金属試料では,4種類の金属と4種類の表面処理の組み合わせにNormal を用いて計16 グ ループ(n=5)の試験片を,MC12 試料では,4 種類の加熱時間,4 種類の表面処理,2 種類のセメントを用いて,計 32 グループ(n=7)の試験片を作製し,2,000 回の熱サイクルを負荷したのちに剪断接着強さを測定した.その結果, 4-META 存在下でVP はAg とCu に有意に高い接着強さを示した.また,加熱酸化処理により,非貴金属用プライ マーとの反応性が高まることが認められたことから,Cu が加熱により酸化されたものと考えられる.一方で, VBATDT は酸化膜を透過して未酸化部分と反応することは難しいことが示された.以上より,MC12 で製作された 歯冠修復物を加熱酸化処理することは接着耐久性の向上に寄与することが示唆された.
feedback
Top