本研究は,補綴装置製作段階にて付与可能な冠脱離防止方法の開発を目的とし,CAD/CAMレジン冠内面に付与した横溝(Micro retentive groove:MRG)が接着強さに及ぼす影響について検討を行った.冠内面に異なる深さのMRG(0 μm:MRG0,25 μm:MRG25,50 μm:MRG50,100 μm:MRG100)を付与したCAD/CAMレジン冠を製作した.なお,MRG0では粒径50 μmのアルミナブラスト(AB)処理有りと無し(Con)の2条件とし,コントロールとした.すべての試験片はシラン処理を行った後,メーカー指示に従ってセルフアドヒーシブセメントにて装着した後,引抜き接着試験を行った.結果は破壊時の最大荷重(N)を測定し,引抜き接着強さとした(n=5).実験の結果,MRG50 で492.2 (79.9) Nと最高値,Conで55.1(17.5) Nと最低値を示した.また,MRG50はMRG100以外のすべての条件に対し,有意に高い値となった(
p<0.05).以上から,MRGを付与することでCAD/CAMレジン冠の引抜き接着強さが向上することが明らかとなった.
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