市販のセラミックプライマーを長期に保管した場合, 保管条件の違いが被着体とレジンセメントとの接着性に与える影響について検討した.
セラミックプライマーはポーセレンライナーM, ラミナボンドポーセレンプライマーとし, 購入直後に冷蔵庫または室温に20カ月保管した.被着体はCAD/CAM用GN-1コンポジットブロックおよびグラディアとし, 耐水研磨紙#1,000にて研磨し, 被着面とした.被着面に塩化ビニル製リングを仮着し, セラミックプライマーで処理後, レジンセメントを接着し, 24時間後の圧縮せん断接着強さを測定した.また, 購入直後および20カ月間室温保管したセラミックプライマーの
29SiNMRスペクトルを測定した.
その結果, 以下の結論を得た.
1.ポーセレンライナーMは, 購入直後または保管条件の違いによる接着強さの差はなかった.
2.ラミナボンドポーセレンプライマーは, 20カ月保管すると接着強さが低下し, 冷蔵庫保管に比べて室温保管した場合に, 有意に低下した.
3.ポーセレンライナーMのB液に含まれるγ-MPTSは, 室温に20カ月保管しても変質しなかった.
4.ラミナボンドポーセレンプライマーに含まれるγ-MPTSは, 室温に20カ月保管すると, 購入直後に比べて, シラン分子種の分子量が増大した.
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