接着歯学
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31 巻, 4 号
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  • 宇野 滋, 阿保 備子, 陶山 雄司, 森上 誠, 杉崎 順平, 山田 敏元
    2013 年 31 巻 4 号 p. 145-150
    発行日: 2013年
    公開日: 2022/03/31
    ジャーナル オープンアクセス
    乾燥あるいは湿潤状態でも有効なオールインワン接着性レジンの開発を目的として,リン酸エステル系モノマーと Bis-GMA を含有し,エタノール,アセトンおよび水を溶媒として用いたレジン接着材を試作した.  ウシ下顎前歯を#600 の耐水研磨紙にて研削しエナメル質あるいは象牙質平面を作製した.この面を強圧で5 秒間 エアブローした場合(乾燥)と唾液汚染水溶液にて湿潤させた場合(湿潤)の2 条件を設定した.引張接着試験用試 料を作製し,24 時間水中保存後に引張接着強さを計測した(各群n=6).また,ヒト大臼歯歯冠部を#1000 の耐水研 磨紙にて平坦とし,上記2 条件下で接着試料を作製し,接合界面をFE-SEM にて観察した.  エナメル質および象牙質に対する引張接着強さは,それぞれ,乾燥条件では21.6±3.8 MPa および20.3±2.0 MPa, 湿潤条件では21.6±1.8 MPa および21.0±6.1 MPa であった.この4 群間に統計学的有意差は認められなかった (p>0.05).SEM 像では両条件下ともにエナメル質および象牙質に対して緊密な接合状態が観察された.  以上より,試作レジン接着材は乾燥および湿潤双方の条件下において有効であると示唆された.
  • 杉崎 順平, 陶山 雄司, 森上 誠, 宇野 滋, 山田 敏元
    2013 年 31 巻 4 号 p. 151-158
    発行日: 2013年
    公開日: 2022/04/02
    ジャーナル オープンアクセス
    レジンコアは歯質と近似した弾性率により歯根破折の危険性を低減し,また優れた接着性能によって高い維持力と 根管象牙質の封鎖性を得られることからその適応の幅を広げている.すでに多くのデュアルキュア型セルフエッチン グアドヒーシブを含むレジンコアシステムが市販されている.(株)松風は独自の S-PRG 技術を応用したバイオアク ティブなレジンコアシステムとしてビューティコアシステムを開発した.今回われわれはこのシステムについて根管 内象牙質,歯冠切断象牙質との接合界面の様相を通法に従って FE-SEM を用いて観察を行った.  その結果,流動性の高いビューティコアフローペーストと根管内象牙質,また流動性の低いビューティコアペース トと歯冠切断象牙質面との接合状態は非常に緊密であることが確認された.しかし特に根管内象牙質との界面におい てボンド層は極めて薄く,明瞭に観察されなかった.また象牙質表層のハイブリッド層も確認できなかった.  ビューティコアシステムは,象牙質に対して良好な接着性能を有するばかりでなく,流動性の異なる 2 種のペース トによって築盛が容易かつ効率的に行えることから臨床的に有意義な材料であると考えられた.
  • 中嶋 亮, 徳永 理利, 葛西 一貴
    2013 年 31 巻 4 号 p. 159-166
    発行日: 2013年
    公開日: 2022/03/31
    ジャーナル オープンアクセス
     接着システムの異なる3 種のレジン系接着材のヒト未研削エナメル質に対するブラケット剪断接着強さと接着試験 後の破壊形態を評価した.接着システムには2 ステップのプライムマスターLC とビューティーオーソボンド,3 ス テップにはトランスボンドTMXT を選択して,ヒト抜去小臼歯の未研削エナメル質にメーカー指示に従って歯面処理 を施した.次にステンレス製ブラケットを室内環境および湿潤環境下にて接着した後に37℃水中に24 時間浸漬し, 室内環境下で接着した試験体ではサーマルサイクル試験も追加してクロスヘッドスピード1.0 mm/min で測定を行っ た.その結果,トランスボンドTMXT と比較してプライムマスターLC の接着強さは同等以上であったが,ビュー ティーオーソボンドの接着強さは有意に低かった.また,接着試験後の破壊形態は異なり,トランスボンドTMXT で はエナメル質の損傷が散見されたのに対して,プライムマスターLC は接着性モノマーの効果により全てがエナメル 質界面と接着材層の混合破壊のみでエナメル質の損傷は認められなかった.以上より,3 種のレジン系接着材のエナ メル質への接着性能が異なることが示唆された.
  • 安藤 進, 市野 翔, 村山 良介, 辻本 暁正, 鈴木 崇之, 宮崎 真至, 日野浦 光
    2013 年 31 巻 4 号 p. 167-174
    発行日: 2013年
    公開日: 2022/03/31
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究では,市販の洗口剤がウシエナメル質の衝突摩耗性に及ぼす影響について検討した.常温重合レジンで包埋した30 本のウシ歯冠部を耐水性SiC ペーパーで研削し,これを試験用エナメル質試片とした.試片を浸漬する溶液は,市販の洗口剤5 製品;ConCool F(CF,pH5.4),Check-Up(CU,pH5.8),Listerin(LR,pH4.2),Listerin Zero(LZ,pH4.2),シュミテクト(SH,pH6.8)およびコントロールとして蒸留水(DW,pH7.2)を使用した.  溶液に浸漬した試片に,ステンレスアンタゴニストを用いて荷重25N を負荷し1,000 回まで衝突摩耗試験を行った.その後,衝突摩耗(ISW)量の測定,摩耗部の三次元レーザー顕微鏡およびSEM 観察,さらにエナメル表面のヌープ硬さ測定を行うことによって衝突摩耗挙動を評価した.  その結果,ISW 量は,衝突摩耗100 回負荷後で7.5 ~ 24.3×104 μm3 であり,500 回負荷後のISW 量は11.8 ~ 80.9×104 μm3,そして1,000 回負荷後は16.2 ~ 137.8×104 μm3 であった.2 種の酸性洗口剤(LR およびLZ)のISW量はその他の洗口剤に比べ有意に高かった(p<0.05).また,LR およびLZ では,その他の溶液に比べてヌープ硬さの低下が認められた.これらの成績から,マウスリンスの組成および溶液のpH によって衝突摩耗量が異なることが示された.また,凝着磨耗および摩擦化学的摩耗などの機序の異なったwear が衝突摩耗性のtooth wear に関与していることが示唆された.
  • 小川 信太郎, 柵木 寿男, 奈良 陽一郎
    2013 年 31 巻 4 号 p. 175-190
    発行日: 2013年
    公開日: 2022/04/02
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究の目的は,レジンコアシステム応用のコンポジットレジン直接修復における接着実態を明らかにすることで あった.ヒト抜去下顎第一大臼歯 60 本に対し,規格化 2 級型 MO コア窩洞を形成した.窩壁に対する前処理後に髄 腔部分へのコア用レジン填入を Clearfil DC Bond + DC core Automix (DC)または Clearfil Bond SE ONE + DC core Automix ONE (SE)で行った.その後,歯冠部を Clearfil AP-X を用いて修復した.修復試料は 2 グループ (n=15);動的荷重ストレス負荷群(S+群)と非負荷群(S-群)とに区分した.S+群に対しては,37℃水中で動的 荷重(16.0 kgf × 3 × 105 回)を負荷した.S-群に対しては,負荷しなかった.それら試料は規格化ビーム状試料に 調整し,4 つの窩洞内象牙質窩壁,すなわち歯肉側窩壁(G),髄床底窩壁(P),歯冠部軸側窩壁(CA)および髄腔 軸側窩壁(PA)に対する微小引張接着強さ(μ-TBS)値を測定した.データは,分散分析とワイブル分析によって 検討した.G 壁のμ-TBS は,DC(S-)の P に対する値を除き,動的荷重ストレスならびにレジンコアシステムの如 何にかかわらず,他の象牙質窩壁値より有意に高かった.動的荷重ストレスは,P に対するμ-TBS のみに有意な影 響を与えた.G のワイブル係数は,動的荷重ストレスならびにレジンコアシステムの如何にかかわらず,他の窩壁の 値に比べ有意に大きかった.累積破壊確率 10%・90% レベルの両方において,4 種象牙質面の接着は,レジンコアシ ステムにかかわらず,接着破壊に必要な応力が動的荷重ストレスによって減少する傾向を示した.
  • 河合 利浩, 間所 ゆかり, 長塚 由香, 岸本 崇史, 大下 尚克, 冨士谷 盛興, 千田 彰
    2013 年 31 巻 4 号 p. 191-198
    発行日: 2013年
    公開日: 2022/03/31
    ジャーナル オープンアクセス
     漂白材の過酸化水素(H2O2)濃度が漂白されたエナメル質へのレジン接着に及ぼす影響を検討するために,ヒト抜 去エナメル質平坦面を,3.5%H2O2(Pyrenees: P),22.5%H2O2(TiON In Office: T),または35%H2O2(Hi Lite: H) 含有漂白材で各々漂白し,直ちにレジンを填塞した場合,あるいは37℃生理食塩水中に1,3,7,14 日間保管後レ ジンを填塞した場合の接着強さを測定した.なお,非漂白群をC とした.P の接着強さはいずれの期間においてもC と差異はなく,T とH は直後ではC,P よりも有意に低かったが,T,H 間に差異はなかった.漂白後1日以上経過 すると,P,T,H いずれもC とほぼ同等の接着強さを示した.漂白直後のT,H では界面破壊が多く,他は混合破 壊がほとんどであった.これらのことから,エナメル質漂白直後のレジン接着は,H2O2 の濃度が高いと低下するが, 時間の経過による接着性の回復程度は濃度に関係なく差異はなかった.従って,漂白したエナメル質におけるレジン 修復は,漂白後少なくとも1 日以上経過してから行うことが望ましいと考えられる.
  • 邑田 歳幸, 坪田 有史, 大久保 力廣
    2013 年 31 巻 4 号 p. 199-205
    発行日: 2013年
    公開日: 2022/03/31
    ジャーナル オープンアクセス
     ファイバーポスト併用レジン支台築造は歯根破折の防止効果が高いことや歯肉縁周辺の審美性が高いことなどから 広く臨床に普及してきている.ファイバーポストはレジン築造の中心に位置させることが基本とされているが,経験 や勘だけに依存して製作すると適切な位置にファイバーポストを設定できない場合がある.  著者はシリコーンコアを用いてファイバーポストの正確な位置を決定してレジン築造を製作する術式を考案した. 光ファイバーポストは光透過性が高く,スリーブと一体化し二重構造とすることで高い機械的強度を得ることができ る材料である.光ファイバーポストとスリーブを二重構造としてシリコーンコアを用いて成型するこの製作術式は, 確実性と作業効率に優れている.このシリコーンコア法は圧接と成型を同時に行なうことができるため,経験の浅い 製作者でもファイバーポスト併用レジン築造を製作することができる製作術式である.
  • 細矢 由美子
    2013 年 31 巻 4 号 p. 206-214
    発行日: 2013年
    公開日: 2022/03/31
    ジャーナル オープンアクセス
  • 松田 康裕
    2013 年 31 巻 4 号 p. 215-216
    発行日: 2013年
    公開日: 2022/04/02
    ジャーナル オープンアクセス
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