セルフエッチングプライマーの成分であるHEMAは, 酸を触媒として加水分解するといわれている. したがって, 酸1生モノマー, HEMAおよび水をひとつのボトルにおさめたメガボンドのセルフエッチングプライマーは, 経時的に変性する恐れがある. そこで, セルフエッチングプライマーの保管環境が, 象牙質接着性に及ぼす影響について検討を行った.
メガボンドのセルフエッチングプライマーを3つの条件 (冷蔵保管, 室温保管, 恒温器保管) にて所定期間保管した後, ウシ唇面象牙質に対し, 製造者指示に従って接着操作を行った. ついで, クリアフィルAP-Xを充填し, 37℃水中に保管した後に, クロスヘッドスピード2mm/minにて引っ張り接着強さの測定を行った.
4週目までにおいては, 15~22MPaと3つの保管条件とも高い象牙質接着強さが得られ, 3条件の間に有意差は認められなかった. その後, 冷蔵保管群については, 36週目まで1日後の接着強さと比較して有意差は認められなかったのに対し, 恒温器保管群においては, 8週目以降接着強さは低下する傾向を示した.
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