接着歯学
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18 巻, 3 号
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  • 中島 正俊, 緒方 美和子, 山口 佐緒理, 田上 順次
    2000 年 18 巻 3 号 p. 201-206
    発行日: 2000/12/15
    公開日: 2011/06/07
    ジャーナル フリー
    セルフエッチングプライマーの成分であるHEMAは, 酸を触媒として加水分解するといわれている. したがって, 酸1生モノマー, HEMAおよび水をひとつのボトルにおさめたメガボンドのセルフエッチングプライマーは, 経時的に変性する恐れがある. そこで, セルフエッチングプライマーの保管環境が, 象牙質接着性に及ぼす影響について検討を行った.
    メガボンドのセルフエッチングプライマーを3つの条件 (冷蔵保管, 室温保管, 恒温器保管) にて所定期間保管した後, ウシ唇面象牙質に対し, 製造者指示に従って接着操作を行った. ついで, クリアフィルAP-Xを充填し, 37℃水中に保管した後に, クロスヘッドスピード2mm/minにて引っ張り接着強さの測定を行った.
    4週目までにおいては, 15~22MPaと3つの保管条件とも高い象牙質接着強さが得られ, 3条件の間に有意差は認められなかった. その後, 冷蔵保管群については, 36週目まで1日後の接着強さと比較して有意差は認められなかったのに対し, 恒温器保管群においては, 8週目以降接着強さは低下する傾向を示した.
  • 山本 一世, 岩田 有弘, 三木 尚, 三木 秀治, 成川 公一, 井上 正義
    2000 年 18 巻 3 号 p. 207-215
    発行日: 2000/12/15
    公開日: 2011/06/07
    ジャーナル フリー
    エッチング, 水洗後の処理面象牙質の湿潤状態がSingle Bondの接着性能に及ぼす影響を, 長期水中浸漬後の引張接着試験およびサーマルストレス負荷後の辺縁漏洩試験により検討した. 綿球で余剰水分を除去するWet法では1日後から1年後まで有意差のない引っ張り接着強さであり, 被着象牙質面の劣化は認められなかった. エアーブローで乾燥させるDry法では1カ月後に接着値は有意に低下し, 管間象牙質が著しく破壊された破断面となった. 乾燥後, 再度湿潤させるRewet法では接着値の有意な低下はなかったが, 1年後の破断面の一部に被着象牙質面の劣化が認められた. 辺縁封鎖性はWet法では良好であったがDry法では大きく低下し, Rewet法ではかなり改善した. 本システムはエッチング後の象牙質に対し, 余剰水分を除去したのみの湿潤状態において良好な接着性能を発揮するが, 乾燥させた場合には接着性能が低下することが判明した.
  • 阿部 菜穂, 坪田 有史, 橋本 興, 天川 由美子, 福島 俊士
    2000 年 18 巻 3 号 p. 216-225
    発行日: 2000/12/15
    公開日: 2011/12/01
    ジャーナル フリー
    今回われわれは, 従来の象牙質前処理剤と多用途型の象牙質前処理剤を用いて, 支台築造用コンポジットレジンのヒト象牙質に対する接着強さを測定した.
    多用途型の象牙質前処理剤を用いて4種類の象牙質前処理法を想定し, それらの剪断接着強さを従来のものと比較した. また, 支台築造用コンポジットレジンの築盛高さとして2, 4, 10mmのものについて検討した. すべての試料は剪断接着試験後, 肉眼的観察を行いすでに定めておいた基準に従って破壊様相を分類した. また, 築盛高さ4mmで典型的な試料について走査型電子顕微鏡で精査した.
    剪断接着試験の結果, すべての条件で築盛高さが低くなればなるほど, 勇断接着強さが高くなった. また, 築盛高さ2mmの場合, すべての象牙質前処理条件の接着強さに有意差はなかった.
    すなわち, 多用途型ボンディングシステム, ライナーボンドIIΣは窩洞を積層法で充填するならば, 支台築造用コンポジットレジンの象牙質前処理剤として有用であると評価することができた.
  • 根面う蝕象牙質へのレジン接着性
    吉山 昌宏, 伊東 孝介, 西谷 佳浩, 仲保 聡, 土居 潤一, 山田 登美子, 鳥井 康弘, 松尾 敬志, 浦山 明久, 木持 健
    2000 年 18 巻 3 号 p. 226-231
    発行日: 2000/12/15
    公開日: 2011/06/07
    ジャーナル フリー
    3種の象牙質接着システムの根面う蝕象牙質へのレジン接着性を, マイクロテンザイル法 (MTBS法) および走査型電子顕微鏡 (SEM) を用いて検討した. 接着システムとして, クシーノCFボンド (X-CF), フジライニングボンドLC (F-LC) およびAQボンド (AQ) を用いた. 接着被着体としては, 抜去直後の根面う蝕を有する生活犬歯を用い, 中央部にう蝕検知液ピンク染部を有し周辺部に健全象牙質部を有する頬側根面研磨面を形成した. この研磨面に各種接着システムを接着させ, コンポジットレジンを築盛硬化させた. 得られた接着試料から接着面積を1mm2に規定した試片を調製しMTBS法に供した. MTBS測定の結果, X-CFは健全象牙質に対しては約28MPaと高い接着強さを発揮したが, 根面う蝕象牙質に対する接着強さは約14MPaと有意に低下した. F-LCおよびAQでは, 両部位への接着強度の間に有意差はなかった. またSEM観察から, う蝕象牙質では樹脂含浸層形成が阻害されることが示されたが, 一部界面でう蝕細菌を封じ込めていた. 以上の結果から, 本実験に用いた3種の接着システムはいずれも根面う蝕シールド・レストレーションに応用可能であることが示唆されたが, 同部への接着性向上のために何らかの前処置の必要性も明らかとなった.
  • 古川 哲, 平林 茂, 桑原 洋助
    2000 年 18 巻 3 号 p. 232-238
    発行日: 2000/12/15
    公開日: 2011/06/07
    ジャーナル フリー
    ダイレクトボンディング法において, 光を透過しない矯正用メタルブラケットを光重合レジンで歯面に接着する場合, 光照射器から照射された光は, ブラケットに遮光されて直接レジンには届かない. そこで著者は, その影響を明らかにするために, メタルブラケット下のレジンの反応率に及ぼす照射時間の影響を調べ, すでに報告した. 本研究では, そのボンディングレジンの反応率がメタルブラケットの接着強さに及ぼす影響を評価した.
    牛歯エナメル質へ光重合レジンで接着したメタルブラケットの接着強さの照射時間の延長に伴う変化を測定した. 接着強さは, 40秒照射までは照射時間の延長に比例して増加したが, 40秒を超えるとほとんど変化しなかった. この結果は, 照射時間の延長に伴うメタルブラケット下のレジンの反応率の変化と一致し, 接着強さとボンディングレジンの反応率との問に強い正の相関があることが認められた.
  • 早川 徹, 菊竹 一代, 根本 君也
    2000 年 18 巻 3 号 p. 239-248
    発行日: 2000/12/15
    公開日: 2011/06/07
    ジャーナル フリー
    酸性モノマーと水溶性光重合開始剤QTX, 3級アミンおよび水溶性メタクリレートモノマーを含有する水溶性ボンディング剤を試作し, コンポジットレジンと歯質との接着性に与える影響を検討した. 酸性モノマーとしては, 4-METAまたはMDPを使用した.
    コンポジットレジンと牛エナメル質または牛象牙質との引張接着強さを測定したところ, 4-META含有ボンディング剤は水溶性ジメタクリレートを配合すると, エナメル質に対しては良好な接着強さを与えたが, 象牙質に対してはいずれの組成でも良好な接着強さは得られなかった. 一方, MDP含有ボンディング剤を用いると, エナメル質に対しては組成に関係なく良好な接着強さが得られた. 象牙質に対しては水溶性ジメタクリレートを配合した場合のみ良好な接着強さが得られ, SEM観察では, 象牙質とコンポジットレジンとの間には塩酸および次亜塩素酸ナトリウム浸漬でも溶解しない樹脂含浸層が約2~3μmの厚みで生成していた.
  • 入江 正郎, 鈴木 一臣
    2000 年 18 巻 3 号 p. 249-254
    発行日: 2000/12/15
    公開日: 2011/06/07
    ジャーナル フリー
    歯質接着面処理法を単純化した新しいレジンセメント2種 (Chemiace II, サンメディカル社;XenoCem, サンキン社) について, 長期耐久性を評価する目的からサーマルサイクル20,000回までの曲げ強さおよびその時の弾性率を測定, 硬化初期の歯質接着性を評価する目的から硬化直後と1日間水中浸漬後の象牙質窩洞辺縁部の間隙や象牙質に対する接着強さを測定し, 併せて現在臨床で多用されているレジンモディファイドグラスアイオノマーセメント (RMGIC) とレジンセメント (RC) を比較対照とした.
    その結果, サーマルサイクル20,000回負荷後の本セメントの曲げ強さはRMGICとRCの中間の値を, 弾性率はRMGICおよびRCより低い値を示した. 辺縁部の間隙は, 硬化直後RMGICとRCの中間の値を示したが, 1日後では有意な差がなくなった. また, 1日間水中浸漬することにより有意に間隙は減少した. せん断接着強さも辺縁部の間隙と類似の結果を示した.
  • 医療・教育検討委員会
    2000 年 18 巻 3 号 p. 255-267
    発行日: 2000/12/15
    公開日: 2011/06/07
    ジャーナル フリー
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