【目的】 近年のわが国の温室効果ガス排出増加傾向が止まらず、家庭部門は2006年度では民生部門の42%を占めている。用途別家庭消費エネルギーのエネルギー源別内訳を見ると、電気は48%を占め、家庭で最も留意すべきポイントは消費電力削減であることが分かる。家庭での食に関わるCO
2排出量を算出し、明確にすることを目的とした。
【方法】 食品の電子レンジによる加熱試験を行い、消費電力を実測し、家庭使用電力量に対しての消費電力量比率とCO
2排出量を検討した。経産省資源エネルギー庁の電子レンジ使用実態のアンケート報告書による、電子レンジの使用目的、食品の重量、年間使用回数から、食品の電子レンジによる加熱試験を行い、所要電力量を測定し、家庭使用電力量に対しての消費電力量比率を検討した。加熱対象食品はイモ類、野菜類、冷蔵飯の温め・冷凍飯の解凍・冷凍挽肉の解凍・オーブン加熱利用などとした。加熱対象別に食品の食味や仕上がり具合等の調理性を考慮して加熱条件を設定し、電子レンジの電力消費量、ガス消費量の実測を行った。
【結果】 1日の摂取目標のイモ類100g、野菜350g(加熱野菜250g、生野菜100gと仮定)を加熱した場合の1世帯(3人家族と仮定)の年間電子レンジ使用消費電力量は、2004年度の家庭消費電力に対し2.6%であった。電子レンジ加熱のCO
2排出量は、ガスコンロ加熱と比較すると一人暮らしでは年間51.4 Kg、1世帯当たりでは13.8Kg削減される。これは、食材の量により電子レンジ加熱消費電力が異なるためである。また一般的な家庭の電子レンジ使用状況に基づいた加熱対象(冷凍飯の解凍・冷凍挽肉の解凍・茶碗蒸しの加熱調理を仮定)を、アンケート結果に従って電子レンジ加熱を行った場合の所要電力量は家庭消費電力に対し1.0%となった。
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