日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成21年度日本調理科学会大会
選択された号の論文の214件中101~150を表示しています
ポスタ-セッション
  • 伊藤 美穂, 本間 健, 大越 ひろ
    セッションID: 1P-12
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/28
    会議録・要旨集 フリー

    【目的】2005年度より栄養教諭制度が開始され学校での食育が盛んに行われている。中でも食の安全性や国の食糧自給率低下の問題を踏まえて、地産地消や郷土料理が注目されつつある。また、女性の社会進出や食の平準化が促進する現在、家庭での郷土料理伝承は困難な状況にあることが予想される。そこで、小学校における郷土料理伝承に着目し、学校給食での郷土料理提供状況および食文化伝承の方向性を検討することを目的とした。
    【方法】全国学校総覧に記載されている小学校から無作為に1,100校を抽出し調査対象とした。調査時期は2007年8月から9月であり、質問紙を各学校栄養職員宛に郵送し、無記名の自記式アンケート調査を行った。調査項目は、学校給食における郷土料理提供の有無とその理由、提供した郷土料理に関する質問、学校栄養職員に関する質問とした。統計学的な解析にはSPSS Ver.16.0およびエクセル統計2006を用いた。
    【結果】回答の回収率は47.9%(527校)であった。そのうち、回答に不備があったものを除外し、460校の回答を分析に用いた。学校給食で郷土料理を提供している学校は87.4%であった。郷土料理を提供する理由は、「郷土料理を知らせたい」が32.7%と最も高く、次いで「地域の食文化を伝承したい」が30.4%であった。一方、郷土料理を提供しない理由は、「郷土料理がない」が24.0%、「給食の献立にふさわしくない」が16.0%、「手間がかかる」が14.0%であった。学校給食に関する業務の中で特に重要なことは何かという問に対する回答では、「郷土料理の取り入れ」は10.7%と低かった。現在、学校給食で伝承されている郷土料理には、作りやすさという要因が影響していることが伺えた。
  • 坂本 薫, 岸田 恵津, 岩城 啓子, 杉本 温美, 堀内 美和, 横溝 佐衣子, 升井 洋至, 三浦 加代子, 作田 はるみ, 三崎 勝
    セッションID: 1P-13
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/28
    会議録・要旨集 フリー

    【目的】学校給食は、児童・生徒の健康の保持増進だけでなく、食育を効果的に進めるために大きな教育的意義を有している。その中で米飯給食は、伝統的な食生活の根幹である米飯に関する望ましい食習慣を児童・生徒に身に付けさせることや、日本の伝統的食文化や主幹作物である稲作について理解させるなどの意義を持つ。一方、米の消費量は減少しており、主食としての米飯の位置づけが懸念される。そこで炊飯分科会では、米飯給食の炊飯(調理)から児童・生徒に供するまでのプロセスの現状を知り、今後のさらなる発展のためにはどのような問題や課題があるのか検討することとした。
    【方法】炊飯の実態を知るため、兵庫県の数件の学校給食米飯工場の見学を行うとともに、兵庫県の学校栄養職員を対象とした米飯給食の実態に関するアンケート調査を2009年2月に実施した。調査内容は、米飯、変わりご飯等の頻度、炊飯方式、米飯の配食・分配方法、米飯とパンとの比較等とした。
    【結果】回答は兵庫県内の35市町の103名の学校栄養職員から得られた。米飯給食の1週間5日当たりの実施回数は、「兵庫県の学校給食の概要」によると平均3.0回であったが、本調査の結果では、一番少ないところで2.5回、多いところでは5回が複数の市町でみられた。米飯のおいしさについては、回答者の意見ではおいしいが多かった。混ぜご飯や炊き込みご飯などの変わり飯の回数については、1カ月当たり5回程度のところや無しというところもあり、自治体によってその内容は異なることがわかった。
  • 新澤 祥恵, 中安 章
    セッションID: 1P-14
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/28
    会議録・要旨集 フリー

    【目的】食育の中で食に関する情報を与える教材としての意義が期待される学校給食の食材について、青果物を取り上げ、特に消費動向との関連で検討した。
    【方法】金沢市立小学校における学校給食の実施献立より、使用食品などについて、『金沢市中央卸売市場年報』『家計調査年報』と比較検討した。調査年度は今回入手することができた最も古い5年間隔で1984~2004年の5時点に2005年と2006年を加えた。
    【結果】 1)学校給食での野菜の使用数量や頻度で多いものは「たまねぎ」「じゃがいも」「にんじん」「キャベツ」である。これに対し、『市場年報』や『家計調査年報』では「だいこん」「玉ねぎ」「じゃがいも」「キャベツ」が上位を占めている。このうち、「玉ねぎ」については1990年頃まで増加傾向を示した市場動向と同じ動向であったが、「キャベツ」は生野菜の使用が制約されることから、減少していた。「にんじん」は市場動向では増加傾向であるが、学校給食では、従来多い食品であったが、近年は食材の多様化と相俟って、やや減少傾向である。この他、市場動向で増えている「トマト」「レタス」は少なくなっている 2)青菜類は「ほうれん草」に、きのこ類は「しいたけ(または干ししいたけ)」に特化していたが、学校給食、市場動向とも、「小松菜」「なのはな」「チンゲンツァイ」や「えのきたけ」「しめじ」「なめこ」などにと使用食品の多様化傾向がみられた。 3)地場農産物の利用が課題となっている。今回の資料で産地の特定は出来ないが、「たけのこ」は年に一回、5月に使用されていたが、2004年では4月に使用されており、県内産の最多入荷月の変化と合致していた。
  • 藤田 倫子, 湯川 夏子, 中西 洋子
    セッションID: 1P-15
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/28
    会議録・要旨集 フリー

    【目的】平成20年3月、新学習指導要領が公示された。小学校家庭科では、「B.日常の食事と調理の基礎」として、「食事の役割」「栄養素の種類とはたらき」「調理の基礎」を指導することになった。「調理の基礎」を指導することは、従来より小学校家庭科の重要課題である。そこで本研究では、新学習指導要領下で実施可能な調理実習教材探求を目的に、小学校家庭科調理実習教材の変遷(戦後~現在)について調査を実施した。
    【方法】小学校学習指導要領家庭科編および小学校家庭科検定済教科書(T社およびK社。計28冊)を資料として調査を行った。
    【結果】小学校学習指導要領家庭科編は、昭和22年に試案が出され、7回改訂後現在に至っている。昭和22年の試案には、学習題材として「蒸し芋・青菜のひたし・いり卵」(6年)が示された。昭和33年改訂では「野菜の生食・ゆで卵・青菜の油いため」(5年)、「ごはん・みそしる・目玉焼き・こふきいも・サンドイッチ」(6年)が示された。昭和43年および52年改訂では大きな変化はなかった。平成元年改訂では、「野菜や卵を用いた簡単な調理」(5年)、「米飯,みそ汁,じゃがいも料理,魚や肉の加工品を使った料理,サンドイッチ,飲み物」(6年)が挙げられた。平成10年改訂では、「米飯とみそ汁」のみ題材指定され、本内容は平成20年改訂の指導要領に引き継がれた。指導要領に対応して教科書が作成・改訂されるが、平成10年改訂に対応した教科書から、5・6年で一冊となった。2社の教科書は、改訂時期や変更内容は類似しているが、平成10年改訂に対応した教科書から実習例や使用食材が異なってきた。
  • 冨岡 典子, 太田 暁子, 志垣 瞳, 福本 タミ子, 藤田 賞子, 水谷 令子
    セッションID: 1P-16
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/28
    会議録・要旨集 フリー

    【目的】 日本におけるエイ利用の地域性および食習慣が形成された背景について解明を試みるとともに,エイ利用の事例から日本の魚食文化の特徴を明らかにしたいと考える。
    【方法】 「平成15・16年度日本調理科学会特別研究調理文化の地域性と調理科学-魚介類の調理-」の報告書およびDBを資料に,北海道から沖縄までのエイの調理文化(調理法,日常食・晴れ食の利用など)について検討するとともに,エイの食習慣が形成された背景および地域性を明確にするための資料として『日本の食生活全集』 (全48巻)を参考にした。
    【結果】 エイが食用として記載されるのは室町期の『四条流包丁書』が初見であり、「さしみ」の調理法とともに,その薬効が紹介されていた。江戸期になり、汁,なます,田楽など種々の料理が記されると,「庄屋文書」「宮座記録」にもエイの料理が供されている。今日,各地の晴れ食に伝わるエイの食習慣は,この時代に発達し、定着したと考える。エイの伝統的な食習慣は,東北,近畿,中国の内陸部や山間部の正月,盆,祭りに欠くことのできない食べ物として現代においても伝承され、その調理法には煮もの・煮付けが多く、東北ではエイの乾物が、近畿・中国ではアカエイの鮮魚が用いられていた。エイの魚肉は尿素含量が高く,魚類としては腐敗しにくい特性を持ち,日持ちのする無塩物(鮮魚)として調理できることや乾物にすれば保存できることなど、海から遠い地域でも利用できる海魚であった。エイは,肉,ひれ,骨のすべてが食用になり,軟骨特有の歯ごたえと煮ものによって形成されるゼラチン質の煮こごりの食感は,日本人の嗜好に合い,本草書に記されたエイの食品価値は,民間に伝わったアカエイの肝の薬効とともに高く評価され、晴れ食の食べ物になったと考える。
  • 坂本 薫, 作田 はるみ, 小泉 弥栄
    セッションID: 1P-17
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/28
    会議録・要旨集 フリー

    【はじめに】食に問題を抱える人々が増加する中、実際の食生活において「何を」「どれだけ」食べればよいかを示した「食事バランスガイド」の活用がすすめられている。これはバランスの良い食事を、栄養素や食品の量ではなく、料理の組み合わせで示しているのが特徴である。「食事摂取基準」で示された科学的根拠に基づいた数値が活用され、実践することにより食生活の問題点の解決につながることが期待されている。
    【目的】「食事バランスガイド」の考え方を普及させる場として、給食施設がある。特に栄養士・管理栄養士が配置されている施設では、「食事摂取基準」を活用した栄養管理がなされ、喫食者に対する適切な栄養教育の実施が望まれている。「食事バランスガイド」は、料理を「料理区分(主食・副菜・主菜・牛乳乳製品・果物)」で示すことが基本である。料理は主材料の量的な基準によって1品ごとにサービング数が割り出される。本研究では、給食の献立を「料理」と「献立」のそれぞれでサービング数を検討し、相違を確認した。
    【方法】短期大学の栄養士養成課程で実施された給食管理実習の献立を検討した。「食品構成」と「荷重平均成分表」からサービング数を割り出した。また通常の「料理区分」から割り出したサービング数と、一献立を「主材料の量的な基準」から割り出したサービング数との差異を検討した。
    【結果】献立は、主食、主菜、副菜、デザートの4~5品の料理で構成されていた。「食品構成」からの検討では、主食のサービング数が少なく、副菜と主菜のサービング数が多い傾向がみられた。
  • 宇和川 小百合, 色川 木綿子
    セッションID: 1P-18
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/28
    会議録・要旨集 フリー

    【目的】「誰もがわかりやすい」ということを目的として作成された食事バランスガイドであるが、実際の認知度、参考度は低く、あまり利用されていないのが現状である。そこで、女子大生が食事バランスガイドをより身近で利用しやすいものとしていけるように調査・検討した。
    【方法】本学栄養学専攻履修者107名に調査用紙を配布し、身近な食材の重量を計測して記入してもらった。これを基に食品重量目安表を作成し、食事バランスガイドにおける「つ(SV)」早見表の作成を行った。
    【結果】食事バランスガイド「つ(SV)」早見表は、作成した食品重量目安表を基に料理の1つ(SV)当たりの概量を示し、惣菜やインスタント食品については、1食分のSV数を算出し、概量を示した。料理の写真を掲載し、主食、副菜、主菜、乳・乳製品、果物、嗜好品(お菓子)、それぞれで「つ(SV)」の表現方法を工夫した。また、現在の食事バランスガイドにはないインスタント食品や惣菜については喫食頻度の高いものの写真とSV数を、女子大生がよく喫食する嗜好品については1日の目安量を写真で示したので、よりわかりやすいものとなった。これらを食事バランスガイドの副教材として併用することにより、食事バランスガイドを使用する者は使いやすく、食事指導を行う者にとってはより正確な評価や指導に活用されることが期待できる。
  • 成田 亮子, 加藤 和子, 長尾 慶子
    セッションID: 1P-19
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/28
    会議録・要旨集 フリー

    【目的】海に囲まれた日本は、日本海側と太平洋側の海流により、獲れる魚の種類は地域や季節によって異なる。農林水産省統計表及び日本調理科学会特別研究での調査結果(2004年)をもとに、現在の魚離れの傾向・旬の魚の種類の認識・現在知り得る魚料理に対する知識と種類、調理方法の傾向について女子学生へのアンケート調査を行った。
    【方法】調査対象は、東京家政大学栄養学科・同短期大学部栄養科に在籍する学生236名、調査期間は、2009年4月~5月とした。また、日本海側・太平洋側各2店の大型鮮魚店に季節ごとの魚種別販売量について聞き取り調査を行った。
    【結果】(1)魚の嗜好性:85%が好きと回答し、喫食頻度が毎日の者18%、1週間に3日以上の者が54%と、魚を好んで食す傾向がみられた。(2)好む魚種名:45種の魚が出現した。鮭、まぐろ、さんまが多く、5年前の調査結果と同様であった。(3)好む魚料理名:刺身34%、鯖のみそ煮16%と多かった。(4)魚料理と調理法: 焼き物が多く、次に生もの(刺身)>煮付け>揚げ物>蒸し物>汁物の順であった。魚を用いた主菜、副菜の料理名として、主菜に塩焼き・煮付けが多く出現した。副菜にはサラダ・酢の物が多く、その中にはマリネ・カルパッチョと現代風の料理名もみられた。主菜に記述された料理には具体的な料理名の記述は少なく、煮る、焼くなど簡単な調理操作法での回答が多くみられた。(5)季節を感じる魚: 春-さわら37%、夏-うなぎ30%、秋-さんま77%、冬-ぶり38%であった。季節と販売量:春-かれい・たい、夏-いか・あじ、秋-さけ、冬-ぶり・あんこうが多く、季節を感じる魚類と販売量と間には相関がみられなかった。
  • 中村 裕子, 亀岡 聖朗, 橋本 まさ子, 中島 君恵
    セッションID: 1P-20
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/28
    会議録・要旨集 フリー

    本研究では、栄養士養成課程に所属する短期大学生を対象として、食行動に影響を与えていると考えられる家庭での食生活習慣の特徴を検討することを目的とした。また、課程における食に対する学習の前後で、食行動に影響を与える食生活習慣の特徴が変化するかどうかを検討し、学習による影響の有無を考察した。因子分析によって抽出された食行動の各因子を目的変数、同じく因子分析によって抽出された家庭での食生活習慣の各因子を予測変数とした重回帰分析の結果を短大入学前と現在とで比較したところ、入学前の食行動は家庭における食生活習慣との関連は認められなかったが、現在の食行動因子の “カロリー制限”因子と食生活習慣因子の“季節感・旬の食材重視”因子との間に、そして食行動因子の“バランス配慮”因子と食生活習慣因子の“食に対する努力推奨”因子など複数の因子との間に有意な関連が認められた。これは、入学前に比べて、現在の方が自分自身の食行動と家庭における食生活習慣とを結びつけて考えることができるようになっていることを示すと考察され、課程のカリキュラムの学習が、入学前後の相違の一端を担っていることがうかがえた。
  • 冨永 美穂子, 井川 佳子, 尹 鍋淑, ロート ローズウィット
    セッションID: 1P-21
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/28
    会議録・要旨集 フリー

    【目的】食育の重要性が叫ばれ,食生活改善,向上に向けての取り組みは海外においても実施されており,健康的な食生活の確立が先進諸国の目下の課題の1つといえる.大学生の時期は自炊性活を始める者も多く,食の自立期ともいえ,特に将来の主要な食の担い手となると考えられる大学生女子の食生活に対する意識(食意識)を含めた食生活状況を解析することは今後の食の方向性を推測する上で重要と考えられる.そこで,社会的文化的背景の類似した韓国,異なるオーストリア(欧米)との間で大学生女子の食生活状況を比較し,食生活の現状を把握することとした.
    【方法】 2005年12月~2006年12月にかけて、質問紙調査を行い,欠損値を除く大学生女子506名(日本:4大学,276名,韓国:1大学,103名,オーストリア:1大学,127名)のデータを分析に用いた.調査内容は,食事や食品の摂取頻度などの食生活に関する項目,食意識に関する項目であった.各質問項目について,国別にクロス集計,数値化できる項目は評点の平均値を求めるとともに,食意識項目については因子分析を行い,抽出因子の因子得点を算出し,分散分析を行った.
    【結果】 食事や食品の摂取頻度において,昼食,夕食,動物性食品や菓子類の摂取頻度は日本の学生が韓国,オーストリアよりも高かった.よく食する調理方法については,調査項目全てにおいて有意差が認められ,日本の学生は焼き物,炒め物を食する割合が他の2国よりも高かった.食意識に関して,36項目中29項目において有意差が認められ,日本の学生の評点の平均値が低い項目が多く,他方,オーストリアは高い項目が多かった.食意識を因子分析したところ,7因子が抽出され,いずれの因子得点においても有意差が認められた.食意識を含めた食生活状況の違いが三国間で明らかとなった.
  • 渡辺 敦子, 大越 ひろ
    セッションID: 1P-22
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/28
    会議録・要旨集 フリー

    【目的】平成18年度日本調理科学会において凍みこんにゃくを添加した食パンに関して発表を行ったが、凍みこんにゃくの添加量が増すことで膨化に影響が生じたため、本研究では、試料をクッキーに変更して添加割合の増加を図り、消えゆく食品といわれる凍みこんにゃくの利用拡大を目的として、カルシウム量の測定と嗜好性について検討した。
    【方法】試料として、凍みこんにゃくを0%、5%、10%添加したクッキーを調製し、塩化ランタンを加えた試料希釈液を用いて原子吸光法でカルシウム量を定量した。嗜好性については、シェッフェの一対比較法により評価した。硬さに関しては、(株)山電製簡易テクスチャー測定器TPU-1で測定し、光学顕微鏡による構造の観察も行った。
    【結果】凍みこんにゃくを添加したクッキーのカルシウム量は、5%添加で110.9mg/100g、10%添加で176.7mg/100gとなり、0%添加の5倍、8倍の含有量を示した。凍みこんにゃくを添加したクッキーの硬さは、0%添加と5%添加ではほとんど差が無かったが、10%添加になると45.6×104N/m2となり、0%添加の2倍の硬さを示した。嗜好性では、硬さ、しっとり感の項目において添加量による有意差がみられなかったことから、凍みこんにゃくを10%添加したクッキーが食用に適していることが明らかになった。
  • 長坂 慶子, 藤井 恵子
    セッションID: 1P-23
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/28
    会議録・要旨集 フリー

    【目的】雑穀はその栄養的価値が見直され、粒状のまま精白米に混ぜて炊いたり、粉状にして小麦粉と混ぜて焼くなど利用範囲は広がっているが、その種類や使用量は限られている。本研究では雑穀を主食としておいしく食べて消費の拡大を図ることを目的とし、アマランサス、キヌア、ホワイトソルガムのみで炊飯した飯の調理特性について検討した。
    【方法】試料としてアマランサス(モチ系)、キヌア(ウルチ系)、ホワイトソルガム(ウルチ系、以下ソルガム)を用い、比較対照にはコメ(ウルチ系)を用いた。試料は加水量を重量の1.5倍とし、アマランサスとキヌアは20℃で17時間浸漬し、ソルガムは10時間浸漬した。炊飯はジャー炊飯器を用いて雑穀米コースで炊飯した。炊きあがった飯を20℃で1時間保持後テクスチャー特性値(フドーレオメーター)、色度を測定した。動的粘弾性定数(レオログラフゾル)は25℃で1.5時間保持後に測定した。
    【結果】雑穀の吸水率はコメの24%に比べ、アマランサスは52%、キヌアは65%と高く、ソルガムは25%であった。雑穀飯の硬さと脆さは、コメに比べアマランサス、ソルガムは高い値を示し、キヌアは低い値を示した。アマランサスの付着力と弾力性はコメに比べて高い値を示し、キヌア、ソルガムについては弾力性は低く、付着力は認められなかった。凝集性と貯蔵弾性率は、いずれの雑穀試料もコメに比べ低い値を示した。以上の結果より、昨年度最も好まれたアワに比べてアマランサスは、硬さ、損失弾性率が高い飯、キヌアは硬さ、脆さ、付着力、貯蔵弾性率が低い飯、ソルガムは硬く、付着力、貯蔵弾性率、損失弾性率が低い飯になることが示された。
  • 松本市梓川地区住民を対象とするアンケート調査
    中澤 弥子
    セッションID: 1P-24
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/28
    会議録・要旨集 フリー

    【目的】長野県松本市梓川地区(旧梓川村)では、平成15年に第三セクターによる発芽玄米の加工場が設立され、農村女性グループを中心に発芽玄米による米の消費拡大と健康な地域づくりが行われてきた。既報1) において、梓川地区全戸を対象とする発芽玄米の摂取に関するアンケート調査の結果を報告した。本研究では、発芽玄米を長期摂取している梓川地区住民を対象とし、日常的な発芽玄米の長期摂取が健康に及ぼす影響を検討することを目的とした。
    【方法】松本市梓川支所および農村女性グループの協力を得て、梓川地区内で中高年を対象とし、留め置き法によるアンケート調査を平成20年2~3月に行った。梓川特産発芽玄米の摂取期間、摂取量、摂取頻度、摂取方法、調理上の工夫、健康への影響および基本健康診査結果等について調査した。
    【結果】アンケート配布数は91、有効回答数72、有効回答率は79.1%であった。回答者は、性別では女性が多く73.6%を占め、平均年齢は67.4±7.9歳であった。発芽玄米の摂取頻度は、「ほとんど毎日食べる」が68.1%、ご飯として食べる場合の白米:発芽玄米の割合は2:1~4:1が72.2%、加水量は白米と同様が62.5%、通常の水加減より多めが37.5%だった。摂取による体調(健康状態)の変化については、「よい変化があった」の回答が54.2%、その内容は「便通がよくなった」が89.7%(N=39)でその多くから回答された。基本健康診査においては、高血圧症・高脂血症の改善傾向、総コレステロール値の減少傾向などを示す対象が存在した。
    1)中澤弥子:日本家政学会第59回大会、岐阜(2007)
  • 荒川 祐美, 西成 勝好, 岩城 啓子
    セッションID: 1P-25
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/28
    会議録・要旨集 フリー

    【目的】米飯の物性は食味を大きく左右するといわれている。しかしながら、米飯は形状も特殊で個体差のある飯粒の集合体であることから、その物性に関する研究は少なく、ほとんど圧縮試験法のみに限られている。そこで、飯粒の物性を動的粘弾性測定により数値化することを目的とした。
    【方法】試料米(コシヒカリ)を炊飯後、クリープメータ(山電RE2-33005S)で、1粒法で圧縮2回、圧縮歪率25%と80%で測定するとともに、動的粘弾性測定装置(UBMRheosol-G3000)を用い、パラレルプレートに飯粒4粒を放射状に並べギャップ2mmで、歪率依存性を測定した。
    【結果】測定した飯粒の高さは2.46±0.21 mmであり、2mmに圧縮した飯粒の面積は20.8±1.9 mm2であった。飯粒の貯蔵弾性率(G’)と損失弾性率(G’’)は、歪率0.1~2%で一定となったので、歪率0.6%でのG’、G’’と損失正接(tanδ)を、25℃保存時の0、2、4、6、8、21時間後と冷蔵68時間後に測定した。0時間のG、G’’とtanδはそれぞれ575±106 Pa、133±17 Pa、0.232±0.013であり、21時間後までほとんど変化しなかったが、冷蔵68時間後にはそれぞれ4760±725 Pa、376±57 Pa、0.079±0.005となり、長時間の冷蔵により変化した。0時間と冷蔵68時間後の圧縮測定結果比は、25%圧縮時の最大荷重が3.5倍、80%圧縮時の最大荷重が1.5倍、付着性が0.13倍となり、動的粘弾性測定結果とよく一致した。
  • 丸山 悦子, 佐藤 真実
    セッションID: 1P-26
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/28
    会議録・要旨集 フリー

    【目的】米飯の粘りは主要な食味構成要因であり、炊きあがった米飯の粘りが多いほど食味が良いとされる。米粒外層部に含まれる呈味物質は炊飯中の残存液に一旦溶出するが、再び付着しおねばとなり、米飯表面のつや、粘り、食味に影響を与える。本研究は、炊飯残存液中の溶出固形物が食味と相関関係がみられることに着目し、炊飯残存液の粘度特性に米飯品種間で差異がみられるかを検討した。
    【方法】試料米は新潟産コシヒカリ、秋田県産あきたこまち、滋賀県産日本晴、北海道産きらら397およびユキヒカリ、タイ米の6品種を用いた。食味値の推定には(株)T社トーヨー味度メーター(M90B)および(株)S社ライスアナライザー(RQ1)を使用した。炊飯方法は竹生らの変法を用い、電気炊飯器で自動炊飯を行い、炊飯中に釜内の温度が40℃、70℃、100℃(0、5、10、20分)に達した時の炊飯残存液を用いて、(株)T社回転粘度計(RE80型)を使用し、25℃恒温下で測定した。
    【結果】いずれの残存液においても、炊飯中40℃から100℃(0分)までのみかけの粘度の変化は小さく、降伏値は出現しない。しかし、100℃(5分)以降に非ニュートン係数は急激に高くなり、Casson降伏値も顕著に増大した。とくに味度値の高い米ほど他の米と比較し、100℃(5分)以降の非ニュートン係数が高く、非ニュートン指数が低く、100℃(20分)で急激に降伏値が上昇する傾向がみられた。
  • 石井 和美, 吉田 瞳, 小林 三智子
    セッションID: 1P-27
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/28
    会議録・要旨集 フリー

    【目的】うどんの低アレルゲン化を目的として、小麦粉の一部を4種類の雑穀で代替し、その製麺性について検討した。
    【方法】試料の粉は中力粉(手打ち麺用粉 めん匠)を用い、粉重量の10%、20%、30%および40%を雑穀で代替した。用いた雑穀はホワイトソルガム、キヌア、もちあわおよびうるちあわである。粉重量の45%の冷水に同3%の塩化ナトリウムを溶解して加え、一定の方法で混捏後、室温で1時間ねかした。その後インペリアル製麺機で厚さ2.2mmに圧延し、幅4.0mmに切断して14分間茹でたものを試料とした。破断特性の測定にはレオメーターRE33005(山電)を用い、破断特性値として破断歪率、破断応力および破断エネルギーを求めた。
    【結果】雑穀で代替したうどんは、いずれも破断応力と破断エネルギーは低下する傾向がみられた。ことに30%以上のもちあわ代替ではコントロールに比し、有意に破断応力と破断エネルギーが低下した。また、ホワイトソルガムは破断応力および破断エネルギーについて、10%と40%代替間では有意差が認められた。コントロールに比すと、30%以上の代替で破断応力と破断エネルギーについて有意に低下がみられた。うるちあわは10%と20%代替で、破断応力と破断エネルギーの平均値が最もコントロールに近い値であったが、30%以上の代替では有意に低下がみられた。しかし、キヌアは代替量の増加による破断応力と破断エネルギーの低下が少ない傾向にあり、代替量の変化による物性値の有意差は認められなかった。
  • 貝沼 やす子, 永田 智広
    セッションID: 1P-28
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/28
    会議録・要旨集 フリー

    【目的】 大豆加工食品の生産過程で排出されるおからには、大豆タンパク質や食物繊維等の良質な栄養素が豊富に含まれる。食品に有効利用する方法として小麦粉の揚げ調理に着目し、ドーナツと天ぷらを取り上げ、粉末状のおからを小麦粉に代替添加することによる有効性を検討した。
    【方法】 おからは乾燥(500Wの電子レンジで13分間加熱)または焙煎(180℃の乾燥器で18分間加熱)した後、ミルサーで粉砕して添加した。ドーナツについては、添加量を小麦粉の10%、20%とし、調製後に形状観察、粗脂肪量測定、ガスクロマトグラフィーによる脂肪酸分析、官能検査、遊離油分率測定等を行った。また生地の硬さによる性状変化を検討するため、無添加生地の硬さに合わせて加水したおから添加生地のドーナツも一部の測定項目で同様に測定した。天ぷら衣については添加量を20%、40%とし、加水量を増加させ衣の粘度を合わせた後調製し、形状観察、官能検査、走査型電子顕微鏡観察等を行った。
    【結果】 おから添加ドーナツは無添加と比較して赤みを帯び、膨化性が低下し、硬くもろい食感となった。また、油脂含有量は低下し、油によるべたつきも抑制できた。官能検査において10%添加・20%添加ともに油っぽくならず、好ましさは損なわれないと判断された。生地の硬さを調整したドーナツでは、調整前と比較して色・膨化性の改善、脂質含有量の減少が見られた。おから添加天ぷら衣では、20%添加のときに最も天ぷらとして好まれ、20%添加、40%添加ともに油のべたつきや脂質含有量が減少した。電子顕微鏡写真からは、おから添加天ぷら衣に多数の空洞が観察された。
  • 小出 あつみ, 山本 淳子, 山内 知子
    セッションID: 1P-29
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/28
    会議録・要旨集 フリー

    【目的】最近、黒豆(煮)の青年における喫食率の減少傾向が伺える。本研究では、時代別の調理法で煮た黒豆の物性と青年の嗜好性との関連を検討し、青年に好まれる黒豆の物性条件を探ることを目的に研究を実施した。
    【方法】大玉丹波黒豆を材料として、調製法は大正6年(T6)、昭和19年(S19)、60年(S60)、平成14年(H14)から選んだ。黒豆100gに対する砂糖添加量はT6からH14の順に56g・30g・110g・80gで、醤油添加量は13g・27g・5g・7.2gであった。黒豆の色を色差計で、破断強度とテクスチャーをクリープメータ物性試験システムで測定し検定を行った。また、官能検査を実施した。
    【結果及び考察】黒豆の色差のL*値はH14>S19>S60>T6の順で高く、a*とb*値はH14で有意(p<0.01)に高かった。破断強度およびテクスチャーのかたさ荷重ではS60>T6>S19>H14の順で硬く、凝集性ではT6>S60>S19>H14の順に高かった。もろさ荷重ではS19とH14で有意(p<0.01)に高く、付着性ではH14で有意(p<0.05)に高かった。官能検査の評点法の色ではH14 で有意(p<0.01)に悪く、つやと香りでは有意差は認められず、硬さと粘弾性ではH14で有意(p<0.01)に柔らかく、粘弾性があると評価された。甘さ・美味しさ・総合評価ではH14 とS60で有意(p<0.01)に評価が高かった。順位法の嗜好評価は評点法と類似した。これより、青年ではS60とH14 の黒豆で好まれることが示唆され、色の寄与は小さく、テクスチャーは軟らかいと硬いの2極に別れ、甘さの強い黒豆で好まれることが明らかになった。
  • 遠藤 千鶴, 西堀 尚良, 明槻 とし子
    セッションID: 1P-30
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/28
    会議録・要旨集 フリー

    【目的】黒大豆はイソフラボンやポリフェノールを多く含んでいることが知られている。また、最近細胞増殖に必須の生理活性物質としてポリアミンを多く含んでいることもわかってきた。しかし、大豆は強靱な外皮を有するため、調理するには前処理として浸漬が必要であり、加熱に長時間を要することからその摂取量は少ない。本実験は大豆の軟化に効果的であると言われている食塩水、炭酸水を用いて浸漬液の違いによる軟化の状態とポリアミン含有量の変動を測定した。
    【方法】黒大豆は平成19年度篠山産を使用した。浸漬液は水、1%食塩水、0.3%炭酸水素ナトリウム液の3種類とし、浸漬時間は12時間(23℃)、加熱は電気調理器(火力:強10分、中40分)を使用した。豆の硬さはクリープメーターで破断強度を測定し、ポリアミン分析試料は豆(生、浸漬後、加熱後)を破砕し、これに5%トリクロロ酢酸を加え、ホモジナイズ後、遠心分離し、得られた上澄みを用いた。分析はポストカラムOPA法により行った。
    【結果】12時間浸漬後の膨潤倍率は水2.40倍、1%食塩水2.32倍、0.3%炭酸水素ナトリム液2.37倍で、液間に膨潤差はなかった。加熱後の硬さは水に浸漬した豆が一番硬く、ついで1%食塩水、0.3%炭酸水素ナトリウム液の順であり、0.3%炭酸水素ナトリム液に浸漬した豆は他の2つに比べ有意に柔らかであった。ポリアミンの分析ではプトレシン(PUT)、スペルミジン(SPD)、スペルミン(SPM)の3成分が全体の95-97%を占めていた。これらの成分はいずれも加熱により減少するものの、浸漬液の違いによる差は認められなかった。
  • 石臼・すり鉢・家庭用ミキサーによる磨砕
    山本 寿, 廣田 貴子, 石田 真由, 三矢 亜希子
    セッションID: 1P-31
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/28
    会議録・要旨集 フリー

    【目的】最近、演者らは、加水された浸漬大豆の石臼(大、小)磨砕は家庭用ミキサーを用いた磨砕よりも生呉中の脂質酸化を抑制し、そのことは豆腐の色調に反映すること、すなわち石臼磨砕生呉から調製された豆腐の -a値(緑色)と b値(黄色)はミキサー磨砕豆腐よりも大きいことを明らかにした。本研究では、石臼(小)、家庭用ミキサー両磨砕法にすり鉢磨砕法を加えて、生呉中の脂質の酸化程度と生豆乳の色を比較した。
    【方法】すりばち磨砕法は、「5分間水ずり(E0-W5)」、「2分間空ずり後に3分間水ずり(E2-W3)」、「4分間空ずり後に1分間水ずり(E4-W1)」、「5分間空ずり(E5-W0)」の4通りに分けられた。得られた生呉から抽出された油脂のPVとTBA値を測定し、対応する生豆乳の測色を行なった。
    【結果】PV(平均)が小さかった順に磨砕法を列記すると「石臼(小)、E0-W5、E4-W1、ミキサー、E2-W3、E5-W0」であり、TBA(平均)値では「石臼(小)、E4-W1、E0-W5、E2-W3、ミキサー、E5-W0」であった。生豆乳の明度はミキサー磨砕において最小であった。-a値とb値はともにミキサー磨砕において最小、石臼(小)磨砕で最大であった。すり鉢磨砕法の-a値とb値はともにそれらの中間にあり、空ずりの割合が増えるほど、低下する傾向が見られた。以上より、石臼磨砕において大豆の脂質酸化が最も抑制され、生豆乳の緑と黄の退色が抑えられることが確認された。また、すり鉢磨砕法では、脂質酸化や緑や黄の退色が磨砕時の水の存在によってやや抑制される 傾向が示唆された。
  • 菊崎 泰枝, 久米 みゆき, 森山 達哉, 小川 正, 河智 義弘
    セッションID: 1P-32
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/28
    会議録・要旨集 フリー

    【目的】「なごみまる」は収量や耐倒伏性などの農業特性に優れた品種として開発された低アレルゲン大豆で、現在アレルギーリスクの低い大豆製品の開発が進められているが、タンパク質以外の大豆の特徴的成分である脂質やイソフラボンについて未だ分析がなされていない。そこで本研究では、「なごみまる」の脂質含量、脂肪酸組成、イソフラボン含量を調べ、あわせて「なごみまる」を原料とした味噌のイソフラボンの定量および官能評価を行うことを目的とした。
    【方法】脂質含量の定量および脂肪酸組成分析は五訂日本食品標準成分表分析マニュアルに即して行った。イソフラボンはHPLCによって定量を行った。官能検査は湯12mLに対し味噌1gの比率で味噌汁を調製し、色、香り、味について評点法により評価した。
    【結果】「なごみまる」の脂質含量は「なごみまる」の母系である普通大豆「タチナガハ」に比べてやや低値を示した。脂肪酸組成については、「なごみまる」のオレイン酸、パルミチン酸含量が少ない傾向にあったが、いずれも大豆の品種や栽培条件に起因すると考えられている脂質含量や脂肪酸組成の変動の範囲内にあった。イソフラボン含量については両者に有意な差は認められず、なごみまるのイソフラボンの面からみた機能性は普通大豆と同等と考えられる。「なごみまる」から調製した味噌のイソフラボン組成は対照に用いた普通大豆味噌の組成と大差はなかった。また、色、味、香りの評価および嗜好性評価は、普通大豆味噌に比べてむしろやや良好であるとの結果が得られ、大豆アレルギー患者用食品として十分に有用性があるものと考えられる。
  • 四十九院成子 成子, 吉田 恵子, 山岸 美穂, 青木 操代, 小川 涼子, 内藤 美紀
    セッションID: 1P-33
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/28
    会議録・要旨集 フリー

    【目的】さやえんどう(以下絹さやと略す)は多くの家庭でも使われる食材の一つで、色どりのよい野菜として扱われているが、味よりも色調を重視し、固く茹でたものが好まれる傾向にある。そこで茹で時間と色、甘味および生理活性物質としてアンジオテンシン変換酵素(Angiotensin Converting Enzyme)阻害活性(以下、ACE阻害活性と略す)を指標とし、おいしさと色、味、生理機能等との関連を検討した。
    【方法】試料として,北海道産の市販さやえんどうを用いた。各20gを洗浄後、1000mlの沸騰水で1~10分間茹で加熱後氷水で冷却し、色差(日本電色工業ZE-2000)を測定した。また、各時間加熱した試料をホモジナイズし、冷却遠心分離した上澄液をACE阻害活性及び糖度測定用の試料とした。ACE阻害活性の測定はHipp-His-Leu(ペプチド研)を基質として、山本らの方法に準じて行った。糖度は(株)アタゴPR-101で測定した。
    【結果】絹さやの加熱時間と色、糖度、ACE阻害活性の変化について検討した。色の変化について肉眼では、1~2分が最も鮮やかで、次いで3~4分であった。それ以上茹でると褪色し、黄色味を帯びて好ましくなかった。色差計では、a*の緑(-)の度合いが減少し、b*の黄色(+)の度合いが増えて、相関が見られた。一方、糖度は3~4分が高く、味覚テストでも好まれ、色のピークと美味しさのピークにずれがあることが認められた。色の良さを重視するならば、青臭みが残るが1~2分加熱が良く、美味しさを重視するならば、3~4分加熱が良いと考えられた。またACE阻害活性の変化に一定の傾向は認められなかった。
  • 真部 真里子, 馬場 聡子, 坂本 直美, 若吉 紀名
    セッションID: 1P-34
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/28
    会議録・要旨集 フリー

    【目的】小腸上皮細胞は互いにタイトジャンクションによって密着し、異物の体内への侵入を阻止するバリア機能を有するが、酸化ストレスが過剰に加わるとその機能が低下し、様々な疾病を引き起こす可能性がある。これまでに、我々は、野菜が酸化ストレス(H2O2)による小腸上皮細胞のバリア効果の低下を防ぐことを報告してきた。本研究では、この野菜の効果が、H2O2消去能に起因するかどうかを検討した。
    【方法】野菜のH2O2消去能を測定するために、生もしくは茹で加熱、電子レンジ加熱した野菜(アスパラガス・キャベツ・トマト・タマネギ)の人工消化処理液(試料)とH2O2を1時間反応させ、H2O2残存量を測定した。また、分化させたCaco-2細胞を野菜試料存在下で3日間培養し、野菜試料除去後、H2O2を添加し経上皮膜電気抵抗値(TER)を経時的に測定した。
    【結果】いずれの野菜試料にも顕著なH2O2消去能は認められなかった。しかし、Caco-2細胞に、茹で加熱もしくはレンジ加熱したアスパラガス試料を添加すると、H2O2と同時に添加した時だけでなく、添加後3日間 Caco-2細胞を培養し、試料除去後、H2O2を添加した場合にも、H2O2によるCaco-2細胞のTERの低下が抑制された。これらの結果から、野菜による小腸上皮細胞の酸化ストレス防御能は、H2O2消去能に起因せず、野菜が直接細胞に働きかけると考えられた。作用機構については今後の研究課題である。また、野菜を継続的に摂取することによって、小腸壁における酸化ストレス防御能が増強すると推察される。
  • 高橋 真美, 小林 杏, 吉野 文彦, 李 昌一, 森高 初惠
    セッションID: 1P-35
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/28
    会議録・要旨集 フリー

    【目的】 食品の機能性の中で,抗酸化能は生活習慣病,脳卒中,老化,悪性腫瘍との関連性が示唆されており,活性酸素を消去する物質を有する抗酸化食品が注目されている。活性酸素の中でもヒドロキシルラジカルは,特に反応性に富み,酸化力が強く,酵素タンパク質や細胞骨格タンパク質,脂質,糖質,核酸などに反応し,種々の疾患の病因となることが知られている。本研究では,紅麹の抗酸化能として,ヒドロキシルラジカル消去活性について検討した。
    【方法】 ラジカル消去活性は,二酸化チタン(TiO2)を混合後,TiO2 の励起波長である紫外線 (365nm) を照射し,ヒドロキシルラジカルのスピントラップ剤としてCYPMPO を用いて,フローインジェクションを併用したX-band ESR 装置で測定した。
    【結果】 紅麹の抗酸化能は,γ-アミノ酪酸を含む紅麹において濃度依存的に抗酸化能が認められた。抗酸化物質の検討を行った結果,γ-アミノ酪酸に抗酸化能が認められた。加熱処理による影響では,長時間加熱において抗酸化能は低下したが高濃度では高い抗酸化能を示した。アミノ酸分析の結果,グルタミン酸,バリン,アスパラギン酸,ロイシンはγ-アミノ酪酸よりも抗酸化能が高いことが判明した。このことから,紅麹を食品として摂取することで総合的に抗酸化能が高まることが示唆された。
  • 堂前 美和子, 粟津原 理恵, 長尾 慶子
    セッションID: 1P-36
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/28
    会議録・要旨集 フリー

    【目的】ソバは抗酸化成分ルチンを含むことから、健康増進において有用な食品であると考えられる。これを容易に利用できるのがソバ茶であり、特にダッタンソバ茶は熱湯4分間浸出により薬理効果が期待できるルチン濃度となることを報告した。本研究では、蒸留水、水道水、ミネラルウォーターで調製したソバ茶 (普通ソバ茶、ダッタンソバ茶) 浸出液の抗酸化性を比較するとともに、浸出液保存による抗酸化性の経時変化を検討した。
    【方法】日穀製粉(株)製の普通およびダッタンソバ茶各6gに、沸騰した蒸留水、水道水および硬度の異なる2種のミネラルウォーターをそれぞれ300mL加え4分間蒸らした浸出液を試料とした。抗酸化性は0.1Mリン酸緩衝液をコントロールとし、調製直後の各ソバ茶浸出液を原液として、AAPH-CL法によるぺルオキシラジカル(L00・)補捉活性を測定し、発生したラジカルの50%量を補捉するIC50値(%)で比較した。IC50値は低いほど抗酸化性が高いことを示している。測定試料は12および24時間後に同様の測定を行い結果を比較した。
    【結果】普通ソバ茶では、蒸留水が最もIC50値が低く、次いで水道水、ミネラルウォーターA、Bの順に高くなった。また全ての試料において24時間経過後のIC50値が上昇し抗酸化性が低下した。ダッタンソバ茶は普通ソバ茶に比較してIC50値が低く、水質の違いによる差も些少であった。また、ミネラルウォーターB以外の試料では24時間後も有意なIC50値の低下は認められず、ダッタンソバ茶浸出液は保存による抗酸化性低下が起こりにくいことが示唆された。経時的な抗酸化性低下の認められたミネラルウォーターBは硬度が高く(約1470mg/L)、ルチンの抗酸化性低下にミネラル成分が影響していると考えられた。
  • 尾久 智希, 粟津原 理恵, 加藤 哲郎, 長尾 慶子
    セッションID: 1P-37
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/28
    会議録・要旨集 フリー

    【目的】これまでにソバ茶浸出液の調製条件を検討し、ルチン含量が高く嗜好性の良好なソバ茶液が得られることを報告した。今回はソバ茶の浸出に適した水質条件を明らかにするために、ミネラル含有量の異なる3種の水を用いて試料液を調製し、ミネラル成分が水色および嗜好性に及ぼす影響について追究した。
    【方法】日穀製粉(株)製の普通およびダッタンソバ茶各6gに、沸騰した蒸留水、水道水およびミネラルウォーターを300mLずつ加え4分間蒸らした浸出液を試料とした。各試料の色について、0,12,24時間放置した場合の明度L*,色度a*,b*および色差ΔEを測色色差計により測定した。また、カルシウム、マグネシウム、ナトリウム、カリウムの4種のミネラル溶液を用いてソバ茶浸出液を調製し同様に水色を比較した。なお、ミネラル溶液はミネラルウォーターの含有量と同濃度および統一濃度(0.01mol)の2条件で調製した。併せて、嗜好性評価として味、色、香りについて順位法による官能検査を行った。
    【結果】蒸留水の水色に対する各ソバ茶浸出液のΔEは、ミネラルウォーター>水道水>蒸留水の順となり、この傾向はダッタンソバ茶で顕著となった。カルシウムとマグネシウム溶液による浸出液はいずれの濃度でもa*が上昇し、b*が低下して緑を帯びた黄色となり、大いに色が変化した。カルシウム、マグネシウム溶液およびミネラルウォーター利用の浸出液は経時的に沈殿物を生じL*が上昇したことから、色素成分ルチンとこれらミネラル成分の相互作用が示唆された。官能検査ではミネラル成分により変化した水色および味が最も好まれないことから、ソバ茶の浸出にはミネラルウォーターは適さないと考えられた。
  • 横山 次郎, 木村 慎太郎, 坪内 美穂子, 三矢 誠, 河合 清, 伊藤 正江
    セッションID: 1P-38
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/28
    会議録・要旨集 フリー

    【目的】現在の五訂増補日本食品標準成分表には、ヨウ素の収載がない。そのため、日本人がどの位ヨウ素を摂取しているかを推測することが困難である。本研究では、ひじき中のヨウ素量および調理過程におけるひじきのヨウ素溶出量を知ることを目的とした。
    【方法】ヨウ素の測定は、ガスクロマトグラフィー法にて 1)生ひじき 2)市販乾燥ひじき 3)市販ひじきの加工品 4)ひじき調理試作品 5)ひじきの常温戻し汁の測定を行った。
    【結果・考察】1) 生ひじきと乾燥ひじきのヨウ素量は、生ひじき1.31mg/100g、乾燥ひじき37.9mg/100gであった。 2) 乾燥ひじきの調理過程におけるヨウ素溶出量は、長ひじきに比べて、芽ひじきの方が約3倍程多い結果が得られた。また、蒸留水を50℃と70℃に加温してひじからのヨウ素の溶出量を比較した場合については、70℃の方が多く溶出した。 3) 市販加工品のヨウ素含有量については、粉ひじきが有意にヨウ素含有量が多く、その他のひじき加工品はほぼ同じ平均2.18mg/100gであった。 4) ひじきの調理試作品では、長時間煮る煮物の方がヨウ素溶出量が多かった。ひじきのヨウ素量は、乾燥ひじきを戻した場合、乾燥ひじきに対して、平均0.71%溶出していた。ひじきを戻す工程では、あまりヨウ素が溶出しないことが示唆された。1品当たりの調理試作品では、乾燥ひじきに対して約96.5%のヨウ素量が減少していた。調理試作品に約3.5%しかヨウ素が含有していないのは、調理操作により多くのヨウ素が溶出することが示唆された。
  • 荒木 葉子, 笹原 麻希, 西岡 純, 上野 義栄
    セッションID: 1P-39
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/28
    会議録・要旨集 フリー

    【目的】京都府では、海水の富栄養化が進んでいるが、その中で海藻を育てることにより水質改善を試みている。それに伴ってアカモクの藻場が広がりを見せているため、その利用法が検討されるようになった。本研究室では、これまでに岩手産アカモクの多糖類やミネラルなどの成分含量を測定し、品質特性を調べて、食用としての応用を検討してきた。そこで、本研究では京都産アカモクのフコイダン、アルギン酸およびミネラルを測定し、岩手産のものと比較するとともに、アカモクを使用した料理の試作検討を行い、資源の有効活用に貢献しようと考えた。
    【方法】フコイダンの抽出は希硫酸抽出とアルコール分別法により行った。試料に0.1mol/l硫酸溶液を加えて室温でろ過を行い、得られたろ液にエタノールを加え遠心分離を行い、沈殿物を乾燥したものを粗フコイダン画分とした。アルギン酸ではフコイダン抽出の残渣試料に1%炭酸ナトリウム溶液を加えて室温で遠心分離を行い、得られたろ液にエタノールを加え遠心分離を行い、沈殿物を乾燥したものを粗アルギン酸画分とした。ミネラルはプラズマ発光分光分析法により測定した。
    【結果および考察】京都産アカモクのフコイダンとアルギン酸含量を調べた結果、フコイダンは、7.9g(乾燥物100gあたり、以下同様)、アルギン酸は29.1gとなった。ミネラルではCaが1230mg、Mgが1320mg、Kが2350mg、亜鉛が11.1mgとそれぞれ高値を示し、岩手産と比較して遜色ないことがわかった。アカモク料理として、お好み焼き・餃子・鍋・豚汁・炊き込みご飯・デザート白玉など12品目の試作を行った。各々の料理にはアカモクが元来有す自然な色調が出ていて、好ましかった。海藻独特のニオイもきつくなく、適度であった。試作品によってはアルギン酸の保水保湿効果によるためか、しっとりとした仕上がりとなり、他の素材や調味料とよくなじむ傾向が認められた。今後も様々な食材との相性を試しながら、メニューをさらに展開し、アカモクの応用の幅を広げていきたいと考えている。
  • 升井 洋至, 渡邊 真由, 土田 絢子
    セッションID: 1P-40
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/28
    会議録・要旨集 フリー

    【目的】ハチミツの主成分は糖分で果糖、ブドウ糖が多く含まれており砂糖の代用品として用いられている。しかし、ハチミツは砂糖と異なりたんぱく質や有機酸、ビタミン類、ミネラルに富んでおり栄養価が高い食品と言われている。近年、健康志向の高まりから、ハチミツを使った調理に注目がはらわれるようになっている。天然素材としてのハチミツは製造方法の点からも安全性が重視され、嗜好要因(甘味度、香り)の差異が大きい。本研究では兵庫県西宮市山間部で生産され香り等その特色を活かした地域特産物として、利用が検討されているハチミツの家庭スイーツへの利用法について検討を行った。
    【方法】使用したハチミツは、兵庫県西宮産の「森の蜜」、「山桜の蜜」の2種類と比較として量販品のハチミツ1種の計3種を用いた。地域特産品として、「山桜の蜜」は香りを活かす点より非加熱または軽度の加熱条件の調理品4種、「森の蜜」は加熱調理品10種について検討を行った。調理方法は、市販料理本を参考に検討した。各調理品について順位法により簡易的に官能評価を行った。また匂い分析計(ShimazuFF-1)、味覚識別装置(αASTREE)による機器分析を行った。
    【結果及び考察】「山桜の蜜」など香りを活かすハチミツ調理では飲料系での使用が官能評価が高く、効果的であった。また、ムース、クリームなど低温で食するものでは山桜の香りが保持される傾向があった。「森の蜜」を用いた加熱条件での調理品では、砂糖の代用として用いることで、出来上がり調理品の官能評価による大きな差はなかったが、香りが強く感じられる傾向があった。今回検討した西宮産ハチミツも地域特産品として、その特性を活かした利用が考えられる。
  • 小林 三智子, 池田 良美, 小笠原 由佳, 嶋田 和美, 多尾田 麻衣, 宮城 道子
    セッションID: 1P-41
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/28
    会議録・要旨集 フリー

    【目的】にんじんを添加したスポンジケーキの調製法を検討した。にんじん臭を少なくし、にんじん添加による分離を防ぎ、家庭でも作りやすい形状や調理法をにんじん添加量を変化させることにより検討した。
    【方法】ケーキの材料は卵150g、薄力粉90g、グラニュー糖90g、無塩バター20g、レモン汁10g、ベーキングパウダー3gとし、21cm丸型のケーキ型を用い、180℃で40分焼成した。にんじん添加量は15.2%、25.6%、30.6%および40.2%の4段階とし、21時間放冷後のケーキのテクスチャー、水分量および比重の測定を行った。測定試料は縦3cm×横3cm×厚さ2cmに超音波カッター(山電)で成型した。テクスチャーはレオメーターRE33005(山電)、水分量は赤外線水分計FD720(ケツト科学研究所)、比重は菜種法で測定した。
    【結果】テクスチャー測定の結果、「付着性」においてはにんじんの添加量が最も多い40.6%は他と比べて有意に高かった。「凝集性」はにんじんの添加量が最も少ない15.2%が高く、添加量15.2%と40.2%、25.6%と40.2%の間には1%の危険率で有意差がみられた。「硬さ」においては添加量30.6%が最も高く、他と比べて有意差が認められた。水分量では各添加量間で1%の危険率で有意差がみられ、添加量が高くなると水分量も高くなった。比重は添加量40.2%は、15.2%および25.6%に比べ有意に高かった。
    今後は官能評価を行い、にんじんの添加量の違いによるスポンジケーキについて、さらに詳細に検討する予定である。
  • 土屋 京子, 長尾 慶子
    セッションID: 1P-42
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/28
    会議録・要旨集 フリー

    【目的】パウンドケーキの主材料はバター・砂糖・卵・小麦粉であり、これらに様々な副材料を添加することにより、バリエーション豊富なケーキが出来上がる。材料や作り方が比較的シンプルなケーキであるため、主材料の特性が製品に大きく影響すると考えられる。そこで、このうちのバターと上白糖について、他の材料と代替する時にその種類や代替量が製品の品質にどのように影響を与えるかを検討した。
    【方法】文献調査により得られた基本の材料・配合割合・作り方を基に予備実験を行い、改善を重ねて得た理想的な材料・配合割合を標準とした。本実験では、上白糖をそれぞれグラニュー糖・粉糖・ブラウンシュガー・はちみつに変え、バターをそれぞれサラダ油・太白胡麻油・ショートニングに変えてケーキを調製した。得られた製品の外観および内相を観察し、機器測定によるテクスチャーおよび色差と合わせて総合的に評価した。
    【結果】グラニュー糖は上白糖に近い仕上がり状態であったが、ブラウンシュガーは外観と内相は共に標準に比べ、明度が下がり赤の度合いが強くなった。粉糖ではテクスチャー特性の硬さにおいて、いくらか差がみられた。はちみつは製品の外観の変化が大きかったため、上白糖の一部を代替配合(%)することにした。その割合をそれぞれ25、33、50および75%に変えて調製した結果、33%までは標準とあまり変わらない仕上がり状態になった。また、バターの代替のショートニングは風味が劣っていたものの、固型脂のためバターに近い製品が得られた。サラダ油・太白胡麻油は共に油っぽく、風味が劣るため、油の16~18%を水または豆乳に変えて調製したところ、油のみに比べて硬さや油のしつこさが改善された。
  • 久木野 睦子, 三浦 志保, 三宅 紀子, 酒井 清子, 沼田 貴美子
    セッションID: 1P-43
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/28
    会議録・要旨集 フリー

    【目的】室町時代の末期にポルトガルの宣教師により伝えられたとされるカステラは、現在では長崎の主要な土産品となり多くの店舗がカステラを製造している。カステラの特徴は焦げ茶色の焼き色がついた黄色い外観で、その味は甘みが強く、スポンジケーキとは異なる独特のしっとりした食感にあるが、土産品として市販されているカステラの特徴は様々である。本研究では市販のカステラから、特徴の異なる製品3種を選び、その嗜好評価から製品の特徴と嗜好性との関係について検討を行った。
    【方法】試料のカステラ(A,B,C)は約2 cm立方に切ったものを3桁の乱数コードを付した白い紙皿に載せて供した。長崎及び新潟の20歳を中心とした各66名(計132名、男性39名、女性93名)の嗜好パネルが外観、香り、味、食感、総合を7点ヘドニック尺度で評価した。得られた官能評価データについて分散分析、多変量解析を行った。さらにサンプルの糖含量(HPLC法)、色の測定値、比重等を測定し、サンプルの特性と嗜好評価との関連を解析した。
    【結果】サンプルの特性については、糖含量はA>B>Cの順であり、黄色の濃さもA>B>Cであった。分散分析により外観、味、食感、総合において3種間に有意差(p<0.001)が認められた。いずれの評価項目においてもスコアは糖含量、黄色味ともに中程度であるBが最も高く、次いでA,Cの順であり、長崎、新潟とも同じ傾向が認められた。さらにクラスター分析をおこなったところ、パネルは4つのクラスターに分かれ、最も大きなクラスター(50名)はBの他、糖含量が高く黄色の濃いAも好むことが特徴であり、その他Cを好むクラスター(28名)などが認められた。
  • 久保 加織, 梶原 恵美, 中田 理恵子, 堀越 昌子
    セッションID: 1P-44
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/28
    会議録・要旨集 フリー

    【目的】家庭用冷凍冷蔵庫の普及に伴い、食品の保存形態は変化した。冷凍庫内温度は-20℃に設定され、微生物の繁殖限界である-18℃を下回っているため、冷凍は有効な保存方法である。しかし、脂質酸化は-20℃でも進み、油焼けも起こる。本研究では、日常よく食されるあじといわしを用いて、家庭用冷凍庫内での保存中の成分変化について検討した。
    【方法】魚(あじ、いわし)は大津市内のスーパーマーケットで購入後、直ちに三枚に卸し、ラップフィルムで1枚ずつ包み、5枚ずつを市販のジッパー付袋(冷凍、解凍用)に入れて家庭用冷凍庫内で保存した。保存後は、冷蔵庫内で12時間かけて解凍し、そのまま、あるいは焼き調理を行った後、分析に供した。ドリップ量、水分含量は定法通り、遊離アミノ酸はアミノ酸分析計により分析した。揮発性成分は40℃でSPMEファイバーに吸着させ、GCMSにより分析した。脂質をBrigh and Dyer法により抽出し、過酸化物価(POV)とカルボニル価(CV)の測定、ガスクロマトグラフィーによる脂肪酸分析を行うことで脂質酸化について検討した。
    【結果】脂質のPOVは冷凍期間が長くなるにつれて徐々に増加し、あじは8週、いわしは12週で20meq/kgに達したが、CVの上昇はほとんどみられず、脂肪酸組成にも大きな変化はなかった。ドリップ量、遊離アミノ酸量は保存期間が長くなるほど増加した。検出される揮発性成分も冷凍期間が長くなるにつれて増加し、腐敗臭や生臭い臭をもつケトンやアルデヒドが出現した。家庭用冷凍庫で魚を保存すると、8~12週間で脂質の初期酸化が進み、過酸化物が蓄積すること、味や風味に関わる様々な問題も生じさせることが明らかになった。
  • 我如古 菜月, 川上 育代, 池上 由美, 大坪 佑香, 湯之上 祐子, 北野 直子, 白土 英樹
    セッションID: 1P-45
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/28
    会議録・要旨集 フリー

    【目的】魚類は多価不飽和脂肪酸を多く含み、良質なたんぱく質源であるが、風味劣化防止の面や保存面から、練り製品などに加工することが多い。練り製品の主原料はスケトウダラが一般的だが、近海魚などを混合することで、独特の風味を出している。熊本でも同様な製品も多く見られるが、近海魚の有無による風味の差異を検討した報告は少ない。そこで本研究では、熊本県近海で比較的大量に漁獲可能であり、殆ど市場に流通していないヒラに着目し、その加工品に関する基礎データを得ることを目的とした。
    【方法】試料のヒラは熊本県漁連より入手した。頭部・内臓を除去後、実験に供するまで冷凍保存し、使用時に流水中で解凍した後、可食部のみを用いた。血合肉・表皮を残した混合試料と、除去試料に分けてすり身化した。この2種類のすり身を成型して蒸し加熱を行い、蒲鉾のモデル系を作製した。これらの試料を蒸留水でホモジナイズした後、バイアル瓶に入れて密封し、インキュベートした。その後、SPMEファイバーで揮発性成分を抽出し、ガスクロマトグラフ及びガスクロマトグラフ-質量分析計に供した。
    【結果】未加熱の場合、除去試料と比較して混合試料では、揮発性成分量が増加する傾向にあり、特に1-penten-3-ol(金属臭)が2倍程度増加していた。蒸し加熱をすると更に揮発性成分が増加し、混合試料の香気総量は、除去試料と比較しておよそ3倍に増加していた。下処理の簡略化を考えると、混合試料のように、皮や血合肉を混ぜてすり身化することが効果的であり、そのためには皮や血合肉を混ぜても魚臭が抑制できる調味料の添加、加工法の工夫が必要と考えられた。
  • 宇野 和明, ティダポーン チャウィーパック, 宇野 良子, リラ ランパン
    セッションID: 1P-46
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/28
    会議録・要旨集 フリー

    【目的】近年、タイ国などの東南アジア諸国はバナメイエビを盛んに養殖して、輸出している。また、エビ殻はキチン・キトサンに加工されサプリメント素材として輸出されている。現在、エビ養殖過程で発生する疾病の治療薬としてオキシテトラサイクリ(OTC)やオキソリニック酸(OA)が広く用いられており、これらの体内残留が食品安全上憂慮される。本研究では、エビ筋肉及び殻に残留する抗菌剤の調理・加工による消長について調べた。
    【方法】供試エビにタイ国チャンタブリ県産のバナメイエビ(Penaeus vannamei)及び供試抗菌剤としてOTC及びOAを用いた。抗菌剤を餌料に混ぜ、投与量が50 mg/kgとなるように強制経口投与を行った。投与6時間後にエビを取り上げ、筋肉及び殻をHPLC分析に供した。ついで、それらを「茹でる(沸騰水中4分)」、「焼く(200℃, 4分)」及び「揚げる(180℃, 1分)」の処理を行った。殻については、酸 (1M-HClに1時間浸漬) 及び アルカリ (1M-NaClに1時間浸漬) 処理した。各処理後、HPLC分析を行い、残留抗菌剤の減少率を求めた。
    【結果】筋肉において残留OTCは茹でる、焼く及び揚げるの加熱調理により30~50%消失した。一方、殻では20~30%の消失にすぎず、加熱調理に対して殻における残留OTCは安定であった。酸処理では80%以上の消失が認められ、処理液中にそのほとんどが検出された。アルカリ処理では約30%の消失であった。残留OA は茹でることにより筋肉及び殻とも40~65%消失した。しかし、焼く及び揚げるでは筋肉で10%、殻で20~30%の消失であった。アルカリ処理で残留OAは70%、酸処理でも60%の消失が認められた。なお、本研究は平成18~20年度科学研究費補助金基盤研究(C)(No.18500613)により行われた。
  • 松田 真依, 村上 亜由美, 末 信一朗
    セッションID: 1P-47
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/28
    会議録・要旨集 フリー

    【目的】 サバ糠漬けは,塩漬けの後,糠床に漬け半年から1年間発酵させて製造する。保存性は高く,独特の風味を持っているが,塩分含量は高い。そこでこれまで,製品の低塩化を目的として,あらかじめ一定条件下で発酵した糠を用いて,実験室における少量の試料により製造方法の検討を行ってきた。本研究では,従来法の製造に用いられる樽にサバ30尾を漬け込み,本製造方法の実用性について検討した。
    【方法】 調味料を合わせた糠に乳酸1%と食塩3%を添加し,重石をして25℃で2週間発酵させた(発酵調味糠)。サバの下処理は,背開きしたサバに食塩5%(サバ重量)を振り塩し,一晩おいた。これらと発酵調味糠を層にする過程で,下処理時に滲み出てきた水分(生しえ)を加えたものと加えないものの2試料とし,3ヶ月間発酵させた。食用の可否について一般性菌数,大腸菌数,発酵の程度の指標としてpH,ペプチド量,脂質栄養の指標として脂質量,過酸化脂質量を測定した。また,食味の好ましさについて,製造した2試料と従来法で製造された市販品の3点を試料とし,順位法による官能検査を行った。
    【結果】 食用における安全性が確認された。脂質量には有意差はみられなかった。過酸化脂質量においては,市販品は製造した2試料よりも有意に高かった。食味の好ましさは「塩辛さ」において生しえを加えたものが,生しえを加えなかったものと市販品より有意に好ましく,「総合評価」においても生しえを加えたものが好ましかった。よって,本製造方法では,過酸化脂質を低く抑えることができ,食味も好ましいということから,大量に製造する上で実用可能であると考えられる。
  • 西念 幸江, 小澤 啓子, 生方 恵梨子, 峯木 真知子, 野口 玉雄
    セッションID: 1P-48
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/28
    会議録・要旨集 フリー

    【目的】無毒化されたトラフグの肝臓(フグ肝)について,食料資源としての可能性および価値を検討してきた.ゆでたフグ肝を用いた官能検査では,その色,匂い,脂っぽさの点から,高い評価は得られなかった.そこで,料理を調製して,官能評価および組織観察より食味特性を調べた.
    【方法】フグ肝は,佐賀県唐津市呼子にある(株)萬坊で室内水槽(100t)により,養殖されているトラフグ2年魚から腑分けされたものを試料とした(2009年1月).このフグ肝は食品衛生検査指針・理化学編中のフグ毒検査法に準じて,フグ毒を抽出し,マウス毒性試験を行い,毒性がすべて認められなかったことを確認した.その後,-50℃で冷凍保存し、使用時に流水で解凍し,血抜後,酒水,長葱および生姜の中に浸漬した(5℃、3時間)後、6種の調理法による料理を調製した(刺身、味噌汁、蒸し物、西京焼き、照り焼き、天ぷら).
    フグ肝の調理による重量変化を求めた。フグ肝の下処理については,円卓法による官能評価で検討した.各料理は,5段階評点識別試験と嗜好試験(1-5点)を行った.調理されたフグ肝の試料は卓上型電子顕微鏡(TM-1000,(株)日立ハイテクノロジーズ)で観察した.
    【結果】重量減少率は、味噌汁および蒸し物で大きかった。フグ肝料理の分析型官能評価では, 匂いの強さが平均2.5点でやや弱く,香りのよさは平均3.8点でややよく、油っぽさについては,2.5-4.0点の範囲であった。嗜好型官能評価では,いずれの料理も,「料理としての好ましさ」の評点が3.5以上で高かった.組織観察では、調理法による脂肪の違いが観察された。
  • 永塚 規衣, 原田 和樹, 上野 俊士郎, 長尾 慶子
    セッションID: 1P-49
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/28
    会議録・要旨集 フリー

    【目的】捕獲されたエチゼンクラゲの有効利用が問題となっている。原田らは、エチゼンクラゲそのものに抗酸化能があり機能性食品として利用できることを、昨年度の本大会において報告した。我々はエチゼンクラゲを調理素材として活用する方策を探ることにし、今回はうどんに添加した場合の嗜好性並びに抗酸化性について検討した。
    【方法】山形県鶴岡市沿岸で捕獲されたエチゼンクラゲを、凍結乾燥粉末にし、実験材料とした。塩5%添加うどん(対照試料)とクラゲ粉末5%および7.5%添加うどん試料を調製した。さらに、調理操作手順を変えたクラゲ粉末5%添加うどん試料を調製した。東京家政大学調理科学研究室員16名をパネルとして、つや、歯ごたえ、弾力、滑らかさ、魚臭さ、塩味等の各項目について7段階評点法による官能評価を実施した。次いで、上記試料うどんを凍結乾燥後粉末にし、水及びエタノールで抽出した水溶性部及び脂溶性部のペルオキシラジカル捕捉活性を、化学発光(ケミルミネッセンス)法により測定した。抗酸化能の評価には、発生した上記ラジカルの半分量を除去する試料濃度のIC50値(%)を用いた。
    【結果】官能評価でクラゲ粉末を5%添加したうどんが総合的に好まれた。クラゲ粉末添加うどんは添加量が増すとペルオキシラジカル捕捉活性が増大するが、うどんを調製する際、クラゲを粉末のまま添加した場合に対照である塩添加うどんよりもラジカル捕捉活性が低下する結果となった。そこで操作手順を変えて、クラゲを粉末の状態で加えるのでなく、水に0.5~72時間浸漬させた状態で添加したところ、浸漬時間が長いほどクラゲ添加うどんのペルオキシラジカル捕捉活性が増大することが判明した。
  • 飯田 文子, 前田 恵助, 橋本 典和, 味村 妃紗, 築野 卓夫
    セッションID: 1P-50
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/28
    会議録・要旨集 フリー

    【目的】ライストリエノール添加飼料を給与した鶏肉の食味特性を明らかにするため、添加飼料の異なる3飼料区および対照区について官能評価を行った。
    【方法】養鶏用飼料に米レシチン油、ライストリエノール、米油由来のエステル型植物ステロールを添加した3区および対照区の雌雄につき官能評価を行い、理化学測定値と比較した。官能評価は訓練パネルのべ16名で行った。凍結胸肉を2℃で24時間解凍後、180℃オーブンで18分ロースト後、繊維に直角に1cmに切り分け試料とした。項目は食感・味・風味等9項目とし8段階評価尺度SD法で行った。分析は山電製レオナーを用い定速圧縮破断測定、HPLCでイノシン酸およびアミノ酸アナライザーで遊離アミノ酸の定量を行った。試料中の水分含量も測定した。
    【結果】官能評価の結果、ライストリエノール添加の有無では、試験区雄が「風味の強さ」「総合評価」で有意に高値を示した。重回帰分析による総合評価に寄与する項目は「総合的な食感」ついで「好ましいうま味」であり、破断測定の結果と併せるとある程度噛み応えのあるやわらかすぎない試料が好まれたと考察された。うまみ成分統合値は対照に比較し試験区は高い傾向にあり、特に雌の試験区は有意に高値を示した。試料の水分含量(71-73%)は、雄に比較し雌が高く、対照区雌、試験区雌、対照区雄、試験区雄の順であった。レシチン、エステル型植物ステロール添加飼料による有意な差はみられなかった。うま味成分含量でライストリエノール添加区試料が高値を示したが必ずしも官能評価の「好ましいうま味」が高く評価されず、試験区雌は雄に比較し水分含量が高く、食感がやわらかすぎ、味が薄く感じた事が影響したと考察された。
  • 石渡 奈緒美, 福岡 美香, 松長 正見, 西山 重幸, 酒井 昇
    セッションID: 1P-51
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/28
    会議録・要旨集 フリー

    【目的】畜肉は一般的に加熱処理を行って食べるが、過度な加熱処理は食品そのものの美味しさを半減させ、中でも、物理的変化であるタンパク質の加熱変性はテクスチャー、旨味に大きく関与している.その為本研究では、加熱処理に伴う畜肉タンパク質の変性を予測制御することを目的とした.
    【方法・結果】牛モモ肉15mgを耐圧製アルミニウム容器(15μl)に封入し、昇温速度10℃/minでDSC測定を行ったところ、55.3℃、62.5℃、79.5℃において吸熱ピーク温度Tmax(℃)が観測された.さらに異なる昇温速度下で得られた吸熱ピーク温度からDynamic methodに基づき、アレニウスの式における活性化エネルギーEa(J・mol-1)と頻度因子Z(min-1)を算出し、所定温度における畜肉タンパク質の加熱変性速度定数を解析した.次に、温度分布が生じるマクロな畜肉試料を対象に三次元熱伝導解析を行い、得られた温度分布と先に算出した加熱変性速度定数を用いて変性分布を算出した.またこの結果を、ポストプロセッシングシステムであるFEMAPにて可視化を実施した.一方、これら数値計算に関する検証として加熱変性時にタンパク質がドリップとして離水する現象に着目し、加熱後蓄肉内に残存する水の信号分布を磁気共鳴イメージング(MRI)マルチエコー法により測定し、変性分布の解析結果と一致するか比較した.その結果、解析値とMRI測定値から変性率に変換した値とで同様な分布の特徴を示したが、MRI法による結果の方が低い変性率分布となった.マクロな試料であることから、変性後の水の移動も考慮する必要があり、測定条件等を含め、今後より詳細な検討を行う予定である.
  • 星 睦水, 井上 かほる, 桑山 弓枝, 岩森 大, 山崎 貴子, 伊藤 直子, 村山 篤子
    セッションID: 1P-52
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/28
    会議録・要旨集 フリー

    【目的】食肉は、たんぱく質の良い供給源である。しかし、加熱した食肉は、咀嚼能力が低下している高齢者にとっては、食しにくい食材の一つである。これまでに、我々は、マイタケのプロテアーゼと低温スチーミング調理と併用することにより効果的に肉を軟化することを報告した。しかし、マイタケ処理した肉は、軟らかいものの食感が悪く、好まれなかった。そこで、本研究では、マイタケ処理液の濃度調節を行い、調味することにより風味の改善を試みた。
    【方法】マイタケの重量に対して2倍量の水を加えてホモジナイズ後濾過した液(A)、4倍量の水を加え同様に処理した液(B)、Bに1%食塩を添加した液(C)を作成した。牛もも肉は一定の大きさに切断し、ナイロンポリバッグ中に上記マイタケ抽出液とともに真空包装し、低温スチーミング装置(AIHO ATS-10A)を用いて、70℃2時間加熱した。破断応力、テクスチャーはクリープメーター(山電レオナーRE-3305S)にて測定した。プロテアーゼ活性は、カゼイン消去法を用いた。官能評価は、20歳代の男女18名(若者群)および50-70歳代の男女22名(高齢者群)をパネルとして行った。
    【結果】A液と比較して、B液で処理したところ、破断応力には有意差は見られなかった。また、カゼイン分解活性は、B液とC液では変化がなかったことから食塩によるカゼイン分解活性の阻害効果はないと考えられる。官能検査ではB液、C液で処理した肉は、A液で処理した肉と比較して、苦み、口中残留感が有意によかった。特にC液で処理した肉は、軟らかさを保ちつつ、風味を改善することができた。C液で処理した肉を用いた料理を作成し、若者群および高齢者群に対して官能検査を行ったところ、通常の肉を用いた場合と比べ、どちらのパネルでもやわらかく、噛み切りやすく、飲みやすいと評価された。総合評価においては、高齢者群ではC液で処理した肉の評価が高かったが、若者群では差がなかった。
  • 中嶋 加代子, 岸本 律子
    セッションID: 1P-53
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/28
    会議録・要旨集 フリー

    【目的】食中毒の原因となる細菌は家庭内にも存在しており、台所における二次汚染の防止は食中毒予防のために重要である。調理器具とくにマナ板は、汚染経路になりやすく洗浄殺菌することが必要であるが、一般家庭ではマナ板の消毒があまり行われていない(予備調査:調査対象の65.2%は熱湯消毒を全然しない)。本研究では、日常的に家庭で使用されているマナ板の衛生状態を知り、洗浄および消毒の除菌効果について知見を得ることを目的とした。
    【方法】マナ板の衛生状態を調べるため、衛生指標細菌である一般生菌数を測定した。測定時期は2008年5月である。検体は、栄養士養成課程の学生の自宅で日常使用されているマナ板、a:生肉・生鮮魚類の調理に使用した直後、流水のみで洗浄したもの、b:流水洗浄後に中性洗剤、たわし、40℃温湯で洗浄したもの、c:さらに熱湯消毒した(沸騰水をマナ板の全面に隙間なく3回かけた)ものである。細菌検査は拭き取り法で行い、37℃、24時間培養した。
    【結果】流水洗浄段階のマナ板(a)では、一般生菌数がマナ板100cm2当たり平均19,000個であった。bでは、平均900個/100cm2に減少した。cでは平均15個/100cm2となった。以上により、生肉・生鮮魚類を切ったマナ板を流水洗浄した状態では一般生菌がかなり残存しているが、さらに洗剤を用いた洗浄・熱湯消毒を行うことにより除菌効果が得られることが分かった。この効果は、洗浄および消毒の方法によって差があることが示唆された。
  • 鈴木 栄貴, 青木 秀敏
    セッションID: 1P-54
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/28
    会議録・要旨集 フリー

    【目的】調理用家庭電器として冷蔵庫、オーブントースター、電子レンジ、炊飯器、ミキサー等が市販されている。著者らは農水産物の乾燥工程にUV-Aを照射し乾燥すると旨み成分である遊離アミノ酸量が増加することを報告している。この研究結果を元に、食材として用いられる魚介類や野菜を家庭でも調理前に気軽に乾燥し、旨み成分等を増加することのできる食品乾燥器を試作した。その試作乾燥器に実際に椎茸や魚介類を入れて乾燥し、乾燥前後の品質変化を測定した。
    【方法】試作乾燥器はステンレス鋼を使用し加工、組立を行った。UV-A照射装置としてLEDランプを用い、乾燥器上部に設置した。乾燥物として岩手県洋野町でとれた冬菇シイタケを乾燥しやすくするために柄を取り除き細切りしたもの上記の乾燥機に入れ、20時間乾燥させた。UV-A照射による遊離アミノ酸の変化を調べるため、UV-A強度・強・弱・無(温風のみで乾燥)とシイタケを生のままフリーズドライを行った計4つの乾燥条件で乾燥させたものを高速液クロで解析し、比較した。表面の色の変化は色彩色度計で測定した。
    【結果】高速液クロで解析した結果、UV-A強を照射したシイタケは温風で乾燥させたものより旨み成分であるアスパラギン酸が1.24倍、グルタミン酸が1.18倍、甘み成分であるアラニンが1.21倍、プロリンが1.32倍増加しており、アミノ酸総量で比較すると、温風乾燥の場合よりUV-A弱で乾燥させたのが約1.09倍、UV-A強では約1.38倍増加した。
  • 中山 玲子, 石村 哲代, 奥山 孝子, 片寄 眞木子, 阪上 愛子, 樋上 純子, 福本 タミ子, 細見 和子, 安田 直子, 山本 悦子 ...
    セッションID: 1P-55
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/28
    会議録・要旨集 フリー

    【目的】ハンバーグステーキは幅広い年齢層で広く好まれる代表的なひき肉料理であり、演者らはこれまで食品衛生上の観点からその焼成方法について種々の検討をおこない報告してきた。ハンバーグステーキの焼成は、一般家庭ではほとんどがフライパンを用いて調製されており、今回はその焼成方法の違いがどのようにジューシーさやおいしさに影響するのかを明らかにするため、ふたの有無、火加減、フライパン予熱の有無の影響についての比較検討をおこなった。
    【方法】試料は牛豚ひき肉を使用し、重量100g、厚さ2cmに成型した。フライパンを使用して、予備実験により食品衛生上安全であった4つの焼成条件(A予熱あり、終始ふた、終始弱火、B予熱あり、後半ふた、終始弱火、C予熱あり、後半ふた、中火→弱火、D予熱なし、後半ふた、中火→弱火)で焼成した。焼成時の温度履歴、焼成時間、75℃保持時間、焼成後の製品の形状、色調、肉汁量、物性の測定および官能評価をおこなった。
    【結果】4つの焼成条件のうち形状に有意差が見られたのは焼成後ハンバーグの重量と直径で、予熱なしは予熱ありよりも重量の減少は多く、終始弱火で焼成すると直径は小さくなった。官能評価では、終始ふたは後半ふたより柔らかく香ばしさに欠け、終始弱火は中火→弱火より柔らかいが脂っぽく、予熱なしは硬くて焼き色は好まれないが、どの組み合わせにおいてもジューシーさや総合的な好ましさに差が見られなかった。肉汁量も4つの焼成条件の違いによる差が見られなかった。食品衛生上安全とされる75℃到達までの焼成時間は、焼成条件AとCは約11分、BとDは約12分30秒と90秒の差が見られた。
  • 肥後 温子, 寺本  あい, 富永 暁子, 井部 奈生子
    セッションID: 1P-56
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/28
    会議録・要旨集 フリー

    【目的】スチームコンベクションオーブンには,熱風(30~300℃),スチーム(30~130℃),コンビネーション(100~300℃,蒸気量変化)の各加熱モードがあるが,モード間の差が解りにくい.そこで,湿熱状態が敏感にテクスチャーに反映される食パンと,加熱状態を凝固量としてとらえるバッター生地をモデル的に使い,7種類の典型的な加熱モードについて凝固までの消費エネルギー量,蒸気投与による圧縮破断物性の変化などの基本加熱特性を比べた.
    【方法】電気スチームコンベクションオーブン(SSC-06DCNU,マルゼン製)の熱風(180℃,280℃),スチーム(100℃)およびコンビ(180℃スチーム30%,同100%,280℃同30%,同100%,)モードを用い,1) 通電時間と消費エネルギー量,2)バッター生地の凝固むら,3)完全凝固時間と消費エネルギー量,4)食パンの圧縮破断特性,5)水分,6)焦げ色(ΔE)変化を調べ,7)料理メニューとの関連づけを行なった.
    【結果】1) 消費電力量(kWH/分)は,180℃熱風を1とすると280℃熱風2.7,100℃スチーム3.6,180℃コンビ(スチーム100%)4.9,280℃コンビ(同100%)5.2となった.2)バッター生地の完全凝固時間(分)は,180℃熱風4.3, 180℃コンビ(同30%)3.7,180℃コンビ(同100%)3.0,100℃スチーム2.8となり,水蒸気量を増すと凝固時間が短縮された.3) 食パンがΔE40(適度な焦げ色)に達した時間(分)は,180℃熱風33,180℃コンビ(同30%)25,180℃コンビ(同100%)20,280℃の各モードでは3~4.5であった.水蒸気を加えると,初期弾性率が低下し軟化傾向がみられたが,最大応力,総エネルギーが増加し,クラッカー性の発現が速くなる効果が顕著であった.
  • 杉山 久仁子, 山形 純子, 池内 ますみ, 内山 智美, 喜多 記子, 木下 枝穂, 杉山 智美, 高橋 由紀, 津田 淑江, 長尾 慶子 ...
    セッションID: 1P-57
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/28
    会議録・要旨集 フリー

    【目的】熱源や構造の異なるオーブンに蒸気を供給した場合の加熱特性の変化と、蒸気供給による食品の脱脂効果を明らかにすることを目的として共同研究を行った。
    【方法】8実験室で10種のオーブン(業務用4種、家庭用6種)12台を使用した。庫内に蒸気を供給しない場合(HA)と供給する場合(SHS、蒸気量可変の機種は100%に設定)で、庫内温度250℃設定で予熱した後、試料を加熱した。各オーブンの加熱特性を得るため、湿らせたガーゼ球(重量0.60~0.85g、直径13~15mm)を試料とし、ガーゼ球の表面と中心温度、近傍の気流温度、加熱前後の重量を測定し、複合熱伝達率および蒸気量を推算した。次に、市販のソーセージ(水分58%、脂質24%、直径約50mm)を厚さ15mmに切り、天板に金網をセットした上に4個並べ、試料近傍の気流温度および試料の中心温度を測定しながら10分間加熱した。加熱前後の試料重量から重量変化率を、天板に落下した油の量から脱脂率をそれぞれ求めた。
    【結果】蒸気量(上昇速度と最大量)は機種によって大きく異なり、業務用のオーブンは家庭用のものよりも高いことが確認された。ソーセージの内部温度変化から、加熱初期(5分間)の温度上昇速度は、SHSの方がHAよりも速くなっていることが確認された。脱脂率は、重量減少率と正の相関が認められた。蒸気供給による脱脂効果については、蒸気量が非常に高い機種においてSHSの方が脱脂率が高くなる傾向が見られたが、家庭用で蒸気量がより低い機種においてはHAの方が有意に高くなることが確認された。
  • 個人対応、ソフト食対応の試み
    荒田 玲子
    セッションID: 1P-58
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/28
    会議録・要旨集 フリー

    【目的】病院厨房におけるオール電化、新調理システムの導入が近年進んでいるが、それぞれの病院の規模や人員配置によって、その運用条件に違いがある。今回はその事を踏まえ、126床の病院での個人対応、特にソフト食への真空調理の利用を検討する事を目的とした。
    【方法】煮物(常食とソフト食)調製において、下処理、一次加熱、充填(真空包装)の操作まで同じく調製し、その後の加熱温度と加熱時間を変えることで、常食のソフト食への展開が可能であるかを検討した。また検討する食材は以下の3種とした。 ・野菜(大根の煮物) ・豆(金時豆の甘煮) ・軟体動物(たこの煮物)
    【結果】野菜、豆、軟体動物の煮物についての、該当病院におけるTT管理を、おおよそ確立した。野菜の煮物については、加熱時間の延長により食味も優れて、歯茎だけで患者さんがおいしく食べられるものを調製することができた。煮豆については、美しい形を保つ事が難しかったが、刻み食やミキサー食より患者さんの評判は良かった。たこの煮物については、加熱に時間がかかり、ランニングコストの問題が指摘されたが、たこの身を柔らかくするために和風割烹の板前さんが行う、何度も叩くという調理操作を真空調理操作で代用できる事がわかった。今後はさらに詳細な検討を行い、軽度の咀嚼、嚥下困難者の嗜好に合うソフト食TT管理のマニュアルを確定したい。
  • 坂根 千津恵, 奥野 元子
    セッションID: 1P-59
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/28
    会議録・要旨集 フリー

    【目的】真空調理は、下処理した食材を調味液などと一緒に専用の袋に入れ、真空包装し加熱をして提供する、新調理システムの一つである。真空調理の利点としては、計画生産の実現、交差汚染の防止、調味料の少量化、調理操作のマニュアル化による品質のバラツキ防止などがある。特定給食施設等の食事サービスでは、特に作業効率やHACCPなどの衛生管理の面からその多くが新調理システムを導入している。真空調理は真空包装後、数日間の冷蔵保存を経て再加熱し提供されている。その保存期間は1週間程度と明確な基準はなく、各施設で異なっているのが現状である。そこで、安全に提供できる保存期間を明らかにすることを目的に真空調理における保存性を経日的に検討した。
    【方法】大量調理で使用頻度の高い大根を試料とした。前報(工程1~3)に続き、工程4として水洗浄後真空包装し加熱処理したものについて、通常包装、常温保存をコントロールに比較検討した。保存性は、汚染指標細菌(一般生菌、大腸菌群)、pH、水分活性を指標とし、細菌数は食品衛生検査指針に準じ、乾式培地(ペトリフィルム)にて測定した。
    【結果】本工程では、真空包装し密閉された状態で加熱を行ったので二次汚染が起こらず、細菌増殖が抑制された。また、前報の処理工程と比較しても、最大でも一般生菌103cfu/ml、大腸菌群101cfu/mlと細菌数が抑えられていた。真空包装後に加熱をすることで保存期間の延伸が可能であると考えられる。特に大腸菌群については増殖数が目立って少なかった。水分活性は、どの条件においても0.98以上であったことから水分活性が一般生菌と大腸菌群の増殖に与える影響はないと考えられる。
  • 廣田 真由子, 中村 眞理子
    セッションID: 1P-60
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/28
    会議録・要旨集 フリー

    【はじめに】関節リウマチ(以下RA)は多関節に炎症を生じ,疼痛,関節破壊,変形をきたす慢性炎症性疾患である.リハビリテーションでは,早期から関節破壊を予防し生活の質を維持する目的で筋力強化や関節可動域維持,日常生活動作指導などと共に,関節の機能の補助や物理的な負担を目的とし装具が処方される.一方,調理は家庭内で毎日繰り返され,家事の中でも重要度が高いとされ家庭内役割としても重要な位置を占める.そこで,装具の適応と効果を検討するため,握力の変化や日常生活の中で重要度の高い調理動作の変化を分析した.
    【対象】研究の趣旨を説明し同意を得た女性60代RA患者1名Steinbrokerのclass分類II,変形は右示指に軽度スワンネック変形,右母指Z型変形あり.
    【方法】熱可塑プラスチックを用い右示指,母指に関節保護用装具を作成した.握力の測定およびフライパンで物を炒める動作(IHクッキングヒーター使用)を行い,装具の未装着時および装着時それぞれでデジタルビデオで撮影し動作を分析し比較検討した.あわせて調理に対するイメージ,装具に対するイメージをSemantic Differential(以下SD)法にて調査した.
    【結果と考察】装具および調理のイメージでは装具を使用した調理に対する抵抗感は認められず調理に対する前向きな意欲が伺われ,対象者にとっての調理活動の重要性が示唆された.握力については装着前/装着後13.3kg/14.1kgで装具の装着により向上が見られた.装具装着の有無による調理動作には動作ではわずかではあるが関節角度と動作パターンの変化が見られた.調理のような患者の意欲の高い活動の中で装具を利用することは,変形予防への意識を高めるとともに動作遂行の質を向上させる可能性があると思われた.
  • 熊谷 貴子, 伊藤 治幸, 清水 健史, 木村 緑, 藤井 博英
    セッションID: 1P-61
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/28
    会議録・要旨集 フリー

    【目的】精神疾患患者は一般成人より肥満傾向が強く、精神科を退院した後は体重が大きく変化をする事が言われている。しかしながら、体重の変化が食生活あるいは活動量の何が要因となっているのかは不明な点が多い。そこで我々は、食生活の面から地域で生活する精神障がい者がどのような自炊調理を行って生活しているのか現状を明らかにする事を目的とした。
    【方法】地域で生活している精神障がい者32名を対象に、食事調査を実施した。食事調査は、3日間の間に口にした全ての食べ物を食事記録用紙へ記入し、更に食前と食後をカメラで写真撮影する事を依頼した。記録用紙と画像分析から、日常の調理作業の有無と食事内容から栄養価計算を行い、自炊をしていない対象群と比較検討した。
    【結果】3日間の食事記録と写真撮影をする事ができた者は30名(94%)で、そのうち自炊を行っている者は19名(63%)であった。調理作業として「煮る」、「焼く」が主な方法で、「和える」調理はほとんど見られなかった。食事内容については、毎日同じ食品を同じ食事区分に食べる傾向がみられ、「主食のみ」や「主食に汁物のみ」「主食に副菜1品のみ」などの組合せが目立った。また、調理加工済み食品では惣菜の「コロッケ」を中食(なかしょく)として多く利用していた。食品群別摂取量では、海藻類、種実類の摂取量が著しく少なく、自炊をしている者は対象群に比べて緑黄色野菜の摂取量が有意に少なかった(p<0.05)。地域で生活する精神障がい者がQOLを保ちながら自立した食生活を送るために、簡単な調理作業で多種類の食材を適切な量を用い、主食・主菜・副菜を揃えられるような調理支援が必要である事が示唆された。
feedback
Top