移動管を用いた測定は,本シリーズで示されたように原子・分子間ポテンシャルの解明,反応追跡,クラスターやナノ物質の構造検出と分離など広い分野で用いられている.最近では電子技術,計算機技術の向上により,さらなる発展が見られる.本稿では移動管を用いた測定が現在どのような発展を遂げているか,主に装置開発の観点から解説する.
近年の量子制御研究において,dynamic Stark 効果(DSE)が重要キーワードの一つとなっている.DSEは静電場による Stark 効果を振動電場への拡張バージョンといえるが, Stark 効果自体はその発見から既に一世紀以上が経過しており目新しいものでもない.しかしながら,最近のレーザー技術の飛躍的な進歩により,これまで未知であった DSE の数々の興味深い側面が明らかにされるにつれ,制御研究における DSE の重要性がますます高まってきている.本稿では,化学物理学における DSE による量子制御研究の現状を概説するとともに,筆者らの最近の研究成果についても紹介する,