水(H
2O)は、氷として地球を含む太陽系の天体や星間空間を漂う星間塵に大量に存在するため、その光化学反応は太陽系を含む宇宙の物質進化において大きな役割を担う。氷に真空紫外光を照射すると、H
2Oの光分解反応をはじめ、さまざまな二次反応が起きる。その複雑な光反応機構について知るためには、光反応性生物のエネルギー状態(電子・振動・回転・並進エネルギー)を明らかにすることが有効である。本稿では、氷に157 nmレーザーを照射することで光脱離したH
2Oを共鳴多光子イオン化法により検出し、得られた回転・並進エネルギーからH
2Oの光脱離メカニズムについて考察する。さらに、光脱離したH
2Oの核スピン異性体比とその天文学における意義についても議論する。
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