初夏になると日本のあちこちでホタルを見ることができる.ホタルの発光は,タンパク質酵素内での化学反応により起こる現象であることが知られているが,発光機構については未だ謎の部分も多い.この発光反応の理解のためには,基質や発光体など,発光反応に重要な役割を果たす分子そのものの情報を得ることが必須である.私たちはこれまで,ホタル生物発光の気質であるルシフェリンと発光体であるおきしルシフェリンの分光的な性質を理論的に調べてきた.本解説では,これまで行ってきた理論研究により実験スペクトルがどこまで解釈できるようになったかについて紹介する.